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審決分類 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Y11
審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない Y11
管理番号 1143377 
審判番号 無効2005-89150 
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-10-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-11-25 
確定日 2006-08-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第4840446号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4840446号商標(以下「本件商標」という。)は、「OHILITE」及び「オーヒライト」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成16年6月28日に登録出願され、第11類「便所ユニット,浴室ユニット,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,牛乳殺菌機,工業用炉,原子炉,飼料乾燥装置,ボイラー,暖冷房装置,冷凍機械器具,業務用衣類乾燥機,美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除く。),業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,し尿処理槽,ごみ焼却炉,太陽熱利用温水器,浄水装置,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類,水道蛇口用座金,水道蛇ロ用ワッシャー,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台,アイスボックス,氷冷蔵庫,家庭用浄水器,浴槽類,あんどん,ちょうちん,ガスランプ,石油ランプ,ほや,あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,化学物質を充てんした保温保冷具,火鉢類」を指定商品として、平成17年2月25日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
業務用「蛍光灯」に使用している、「OHILITE」の欧文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)。

第3 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証(枝番を含む。)を提出している。
1 請求の理由
(1)引用商標について
引用商標は、請求人の代表取締役「大塚斉」の名前にヒントを得てネーミングされた造語である。すなわち、「大塚」(オオツカ)の「オ」のローマ字「O」と「斉」(ヒトシ)の「ヒ」のローマ字「HI」の文字とを「OHI」とし、それに「light」の略称として用いられている「LITE」の文字とを組み合わせて、「OHILITE」としたものである。
引用商標が使用されている業務用「蛍光灯」は、請求人の旧社名の「株式会社大電社」(代表取締役大塚斉)(以下「大電社」という。)が開発した「蛍光灯安定器の高調波低減方式」の発明に係る商品であり、平成12年8月4日に特許第3096462号として特許されているものである(甲第2号証)。そして、当該特許権は、平成16年5月に、請求人が通常実施権を保有することを条件として、被請求人に譲渡された。
引用商標が使用されている業務用「蛍光灯」は、請求人が、米国GE社及びSYLVANIA社に上記特許の技術を供与して委託製造し、日本国内で販売しているものである(甲第3号証の1ないし3)。
(2)引用商標の周知性について
引用商標は、請求人が平成元年頃より業務用「蛍光灯」に使用し、公共施設、鉄道関係、各種の企業などに幅広く使用商品が受注された結果、取引者間では周知になっているものである。
本件商標の登録出願以前に、新聞報道された内容や取引の事実の一例を証拠として提出する。
(3)請求人と被請求人との代理店契約について
本件商標の登録出願前の平成16年1月15日に、請求人の販売する商品(主に蛍光灯の「OHILITE」と蛍光灯安定器「SAVEe」)の売買に関して、請求人と被請求人の間で代理店契約が締結された(甲第13号証)。 なお、請求人と被請求人は、当該代理店契約を締結する以前から、取引があった。
請求人は、被請求人に約5万本の「OHILITE」を納入しているが、取引にトラブルが生じるようになり、平成15年5月27日(注:「平成16年5月27日」の誤りと思われる。)に、請求人の代表取締役と被請求人の担当部長とが打合せを行い、主に次の点を確認した。
「1.米国製蛍光灯安定器及び蛍光ランプはオーデンシャインク(請求人)よりシステムサポート(被請求人)は購入する。〜略〜5.オーデンシャインク(請求人)に対して下記支払いをする。支払金は発注前渡金扱い。以下略。」(甲第14号証)。
しかしながら、被請求人は、その後も、平成16年7月に納入代金172万円(150万円+22万円)の再度に請求に応じなかったため、請求人は、同16年7月30日に、被請求人に対して、「当該請求に応じない場合は被請求人一切の商取引に応じない」旨の通知をした(甲第15号証)。
しかるに、被請求人は、正常な商取引に応じないばかりか、その一方で、引用商標が本件指定商品について登録されていないことを奇貨として、平成16年6月28日に、「蛍光灯」を含む第11類に属する商品について、本件商標の登録出願を行ったのである。
(4)むすび
以上詳述したとおり、本件商標は、請求人の使用する引用商標の周知性を利用し、被請求人が自己の利益をもくろみ、請求人の販売を妨害するために不正に得た登録商標である。
この行為は取引上の信義則に反するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び第19号の規定に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)大電社の破産について
被請求人が指摘するとおり、大電社が、平成16年4月5日に破産決定を受けたことは事実である。しかし、これは同社の事業が行き詰まったことが原因ではなく他の事業による借財が主な原因である。
甲第3号証の1(登記簿)に記載されているように、請求人の設立は平成12年1月20日であり、正確には大電社と請求人は併存している期間があるので、大電社が請求人の旧社名であるとの記載は誤りであるので訂正する。
しかしながら、大電社も請求人も、代表者は「大塚斉」であり、実質的には、大電社の事業を請求人が行っていることは、次に述べるとおりである。
(ア)大電社の事業を、請求人が実質的に引き継いでいることについて
大電社の倒産から僅か1ヶ月足らずの間に、請求人と被請求人との間で「特許通常実施権」が締結された資料として、被請求人の担当部長と請求人の東京支店長との間で交わされた平成16年5月27日付けの「特許通常実施権に関する覚書」(甲第17号証)及び「打合せ決定事項」(甲第18号証)を提出する。
請求人が大電社の事業を実質的に引き継いでいないのであれば、大電社が倒産して間もない時期に、被請求人が請求人と「特許通常実施権に関する覚書」(甲第17号証)及び「打合せ決定事項」(甲第18号証)を結ぶ必要はないはずである。
また、被請求人は答弁書において「大電社の破産管財人を通じて、日本国特許第3096462号・米国特許No.600651を譲り受けると共に、大電社の商品在庫を引き受け、更に本件商標を付して当該商品の販売を続けてきた。」旨述べているが、大電社の倒産時は使用商品たる蛍光灯ランプ「OHILITE」の在庫はなかった。
したがって、被請求人は在庫の引き受けようがない。引き受けたというのは在庫であった蛍光灯安定器「SAVEe」のみであるのが事実である。
被請求人が、ここで在庫品といっているのは、代理店契約(甲第13号証)に基づく、通常取引で仕入れた商品の在庫とすり替えているものである。
引用商標が使用されている商品は、請求人の特許技術により米国GE社、SYLVANIA社に委託製造し、日本国内で販売している商品であるので、被請求人が、米国製蛍光灯ランプと安定器の商品を継続かつ安定的に確保するためには、請求人と契約(決定事項の内容)を結び、その商品を請求人から購入する必要があったのである。
さらに、被請求人は答弁書において、あたかも、本件登録出願について正当性があるかのように述べているが、被請求人は「打合せ決定事項」(甲第18号証)中にある150万円(実質は150万円+22万円の172万円)の支払いには応じず、その一方では、その直後に、本件商標を被請求人名で登録出願をするという背信行為をしているのである。請求人は引き続いて172万円の支払い催促を行ったが、被請求人が応じなかったので、改めて甲第15号証の通知文書を被請求人に送付し今日に至っているのが実情である。
したがって、責任ある対処をしてこなかったのは、請求人ではなく被請求人である。
(イ)商標法第4条第1項第10号について
商標法第4条第3項は「第1項第8号、第10号、第15号、第17号又は第19号に該当する商標であっても、商標登録出願の時に当該各号に該当しないものについては、これらの規定は、適用しない。」と定め、その判断時期を登録出願時及び査定時とは規定していない。
周知性の証明は、本件商標の登録出願時に周知であれば足りるものであり、登録出願時に周知なものは当然に査定時においても周知性を通常は有しているものである。
請求人の引用商標の周知性の証拠である甲第4号証ないし甲第12号証は、全て本件商標の登録出願時以前にマスコミで取り上げられた事実や商品の販売、設置先などの資料を提出しているものである。
(ウ)商標法第4条第1項第19号について
被請求人は、譲渡により「蛍光灯安定器の高調波低減方式」に係る特許権を所有しているが、請求人の代表取締役が当該特許権のノウハウを持っているため、請求人に頼る以外に上記商品を確保することはできない。その具体的な事実が「特許通常使用権に関する覚書」(甲第17号証)及び「打合せ決定事項」(第18号証)である。
被請求人は、本件商標取得の理由を「在庫を安全に取引すべく商標権を取得したもので、被請求人の商標権の取得については、何ら不正の目的を保有しているものではない。」と述べているが、在庫はなかったので、この主張は成り立たない。
被請求人が請求人に頼る以外に商品を確保することができないことを示す一例として、被請求人が契約した支払いを反故にして取引を不可能な状況にした後も、再三に渡って商品の発注を請求人に行ってきていることを示す被請求人の担当部長の印及び自筆サインのある2004年(平成16年)7月6日付け発注書(甲第21号証の1)、同部長の印のある同月20日付け発注書(甲第21号証の2)及び商品が欲しいために請求人側を懐柔しようとする様子が窺える資料(甲第22号証)を提出する。
甲第21号証の1では、最初の発注日が7月6日であるが、その後7月8日、同月13日、同月14日とFAXをしてきている様子がわかる。甲第22号証では、「発注の件はいかがですか、もし私どもの方でお手伝いする事が有ったらご連絡ください、例えば、アドバンス社と御社の取引条件のなかで、先にLCをオープンした方が良いのならします、」(注:「LC」は「Letter of Credit」の略で信用状のことである。)と請求人に何とか取り入ろうとしている様子が窺える。
さらに、請求人が米国の企業に委託製造している使用商品たる蛍光灯ランプ「OHILITE」及び蛍光灯安定器「SAVEe」の商品について、被請求人が米国の企業に委託製造している総販売元であると名乗って宣伝しているパンフレット(甲第23号証)を提出する。ここに記載されている商品の特徴、メリットなどの内容は請求人が宣伝してきたものである(甲第3号証の2、3及び甲第11号証の3)。また、導入実績は請求人と代理店とによって創りあげてきたもので、被請求人の単独実績では決してない。
さらに、請求人に頼る以外に商品を確保することはできない被請求人が、GE社及びSYLVANIA社に委託製造をしている事実などはない。
委託製造先を開拓してきたのは請求人である。それを、あたかも、被請求人が商品を米国企業に委託製造して販売をしているかのごとく宣伝していることは、正に詐欺的行為に等しいものといわなければならない。
このような事実から明らかなことは、被請求人には本件商標を所有する必要性、正当性がなかったということであり、被請求人は、商標法第4条第1項第19号にいう「不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的」をもって本件商標を登録出願し権利を取得したものである。

第4 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出している。
1 第4条第1項第10号について
(1)請求人の名称の旧社名が「株式会社大電社」であるとの主張について 請求人の上記主張は誤りである。
大電社は、平成16年4月5日に破産の宣告を受けている会社で破産管財人が選任されている(乙第1号証)。
もし、請求人が主張のとおり「株式会社大電社」から社名を変更した会社であるとすれば、その変更事項が書かれた登記簿謄本の提出をする事ができるはずである。
しかし、その書面すら提出できていない以上当該主張を認めることはできない。
被請求人は、大電社の破産管財人を通じて、日本国特許第3096462号・米国特許No.6100651を譲り受けると共に、大電社の商品の在庫を引受け、更に本件商標を付して当該商品の販売を続けて来ているのである。すなわち、現状において、商品「蛍光灯」について本件商標の使用をする権利を大電社から引き継いでいるのは、請求人ではなく、被請求人なのである。これは、特許権を譲り受けていること、在庫を譲り受けていることなどからも明らかである。
また、被請求人名義で権利を取得したのは、在庫の販売などの商取引を行うために必要不可欠であったこと及び大電社が倒産し、しかも同社の代表者が責任ある対処をしてこなかったことによるものである。
(2)引用商標の周知性について
本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するか否かは、本件商標の登録出願時及び査定時に同号に該当しているか否かで判断されなければならない(第4条第3項)。
しかし、請求人の提出している証拠は平成14年及び15年に引用商標を商品「蛍光灯」に使用していたことがわかるのみで、需要者の間に広く知られている商標であったとする証拠は何一つ提出されていない。しかも、大電社は、平成16年に破産宣告を受けており、平成16年及び17年当時、引用商標が商品「蛍光灯」について周知であったとする程の販売実績を上げることは事実上不可能であるといわざるを得ない。
したがって、大電社または請求人が、引用商標を商品「蛍光灯」に使用して、平成16年6月28日頃及び平成17年2月25日頃に、需要者の間に広く知られている商標であったとする主張は誤りである。
(3)まとめ
以上述べたように、請求人が大電社の事業を引き継いだ会社ではなく、被請求人こそが実質的に大電社の事業を継続しているのであるため、現行で商標「OHILITE」の正当な所有者は、被請求人であるといわざるを得ない。
さらに、上記(4)で述べたとおり、引用商標の周知性を認めることはできないので、他の要件について判断するまでもなく本件商標は、商標法第4条第1項第10号には該当しない。
2 第4条第1項第19号について
(1)不正の目的について
被請求人は、上述の如く大電社の破産管財人より商標「OHILITE」を使用した蛍光灯を引き受けており、この在庫を安全に取引すべく商標権を取得したもので、被請求人の商標権の取得については、何ら不正の目的を保有しているものではない。
(2)引用商標の周知性について
上記1でも説明したように、引用商標の周知著名性を立証する証拠の提出がなされていない以上、引用商標が周知であったとはいえない。
(3)まとめ
よって、請求人の主張はいずれも誤りであり採用されるべきものではないので、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 むすび
以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当せず無効理由を有していない。
したがって、本件審判の請求は成り立たない。

第5 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1) 請求人は、引用商標が、「業務用蛍光灯」に使用する商標として本件商標の登録出願前に取引者間において周知になっている旨主張し、証拠を提出しているので、この点について検討するに、提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、「OHILITE」又は「オーヒライト」の商標を使用した長寿命40Wの蛍光灯を取り扱っていること、該蛍光灯は日本で開発され、米国GE社、SYLVANIA社に生産委託されたものであること、同人は「SAVEe」の商標を使用した蛍光灯安定器も取り扱っていること(甲第3号証の2及び3)。
(イ)大電社(東京都千代田区、大塚斉社長)が1981年に設立され、同社が1991年に開発した次世代蛍光灯安定器「SAVEe」を拡販すること、該安定器は米国特許登録済み(日本でも特許申請中)であり、米国のバーモント社(イリノイ州)に生産委託していること、同社は該安定器のほかに使用商品たる蛍光灯「オーヒライト」を手掛けていること、蛍光灯安定器「セーブe」の販売を強化し、代理店数を4社から10社に増やし全国をカバーする体制を構築すること、などについて平成5年10月1日及び同14年12月2日に新聞報道されたこと(甲第4及び第5号証)。
(ウ)東横線中目黒駅ホーム照明改修工事において、引用商標「OHILITE」を付した蛍光灯が使用され、平成14年8月1日にその旨大電社から東京急行電鉄株式会社に通知されたこと(甲6号証の1及び2)。
(エ)2003年5月頃に、株式会社クリエイトトーワから大電社に対し、蛍光灯「OHILITE」が発注されたこと、発注に係る送付票中には「40W1灯用安定器・40Wランプx300セット」などの記載があること(甲7号証の1ないし3)。
2003年5月16日に、「西武鉄道株式会社向けトンネル用防水型照明器具」について株式会社テクノメタルと大電社間で売買契約が締結されたこと、その売買契約書中には「ランプ(オーヒライト40W)a白色195本b昼光色105本 合計:¥5,160,000」等の記載があること(甲第8号証)。
平成15年5月14日に被請求人と大電社の間で商品売買契約が締結され、平成16年4月1日に安定器「SAVEe」が発注されたこと(甲第9号証の1及び2)。
平成15年10月2日に、岡田電機株式会社から大電社に対し、産学官連携情報技術共同研究施設電気設備(電力)工事に関連して安定器「SAVE-e」及びランプ「OHILITE」の発注がされ、仕様書が作成されたこと(甲第11号証の1ないし3)。
(オ)他に、引用商標を使用した使用商品が取引され又は宣伝、広告などがされた事実を示す証拠はない。
(2)以上の認定事実によれば、大電社が開発したとされる「蛍光灯」について、引用商標「OHILITE」又は「オーヒライト」の商標が、大電社によって、平成5年頃から使用されていたことが認められる。そして、大電社と被請求人との関係は必ずしも明らかではないが、被請求人も、「蛍光灯」について、引用商標「OHILITE」又は「オーヒライト」の商標を使用しているものと認められる。
しかしながら、引用商標を使用した使用商品については、平成5年から14年までの9年間にわずか2回新聞報道されたのみで、宣伝、広告などされた事実はない。蛍光灯「OHILITE」又は「オーヒライト」の取引も、平成14年ないし同16年における数回にすぎず、数量もそれ程多いものではない。そして、該商品の年度売上高や市場占有率等を具体的に示す証拠もない。
しかも、提出された証拠において引用商標を使用していると認められる者は、ほとんどが大電社であり、請求人の使用と認められるのは甲第3号証の2及び3のみである。この点に関し、請求人は、「請求人が大電社の事業を実質的に引き継いでいる。」旨主張しているが、それを証する何らの証拠の提出もないので、請求人の主張は認められない。
そうすると、請求人の提出に係る証拠によっては、引用商標が本件商標の登録出願時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者間において広く認識されていたものとは認めることができない。
2 むすび
以上に述べたとおり、本件商標が引用商標と同一又は類似であり、かつ、本件商標の指定商品が使用商品と同一又は類似する商品を含むものであるとしても、引用商標の周知性が認められない以上、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び第19号のいずれにも該当しないものといわざるを得ない。
なお、請求人は、被請求人が引用商標の周知性を利用し請求人の販売を妨害するなどのために不正に本件商標を出願し登録を受けたものである旨主張している。被請求人に不正目的があるかどうかについては、別途争う余地があり得るとしても、本件においては、被請求人に不正目的があるか否かに拘わらず引用商標の周知性が認められないものであるから、請求人の主張は、前提を欠くものであり、採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-06-15 
結審通知日 2006-06-23 
審決日 2006-07-06 
出願番号 商願2004-59394(T2004-59394) 
審決分類 T 1 11・ 222- Y (Y11)
T 1 11・ 25- Y (Y11)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 井岡 賢一
中村 謙三
登録日 2005-02-25 
登録番号 商標登録第4840446号(T4840446) 
商標の称呼 オーヒライト、オーハイライト 
代理人 涌井 謙一 
代理人 山本 典弘 
代理人 鈴木 一永 
代理人 鈴木 正次 
代理人 舩坂 俊昭 
代理人 巻島 豊二 

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