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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y30
審判 全部申立て  登録を維持 Y30
管理番号 1141998 
異議申立番号 異議2005-90622 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2005-12-07 
確定日 2006-07-31 
異議申立件数
事件の表示 登録第4892986号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4892986号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4892986号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成17年3月8日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成17年9月9日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、その登録出願前より映画・テレビドラマ・小説・テレビアニメ・絵本等の主人公の犬の名称又はこれらの著作物の題号として著名となっていた「LASSIE」及び「ラッシー」(両者を合わせていうときは、以下「引用標章」という。)に類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品である「菓子及びパン」の需要者と「LASSIE」及び「名犬ラッシー」の映画等の需要者とはほぼ一致するものである。そして、「LASSIE」について食品を含む様々な商品化事業が行われてきた事実を考慮すれば、本件商標をその指定商品に使用する場合には、これに接する需要者は、これが「LASSIE」及び「名犬ラツシー」の商品化について許諾を受けた者の業務に係る商品であるかのように、又は、「LASSIE」及び「名犬ラッシー」の映画等と何らかの関係を有する商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(2)商標法第4条第1項第19号について
本件商標の使用は、引用標章に関して、登録異議申立人(以下「申立人」という。)及びその許諾を受けた者が本件商標の指定商品の分野において、我が国に進出することを阻むこととなり、また、引用標章に化体した信用や名声に対して、ただ乗り(フリーライド)、希釈化(ダイリューション)、汚染(ポリューション)することにより、申立人等に損害を与えるものであるから、不正の目的をもってするものといわざるを得ない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号について
(ア)甲第2号証ないし甲第16号証を総合すると、引用標章は、テレビドラマ等の主人公の犬の名称又はこれらの著作物の題号として、本件商標の登録出願時には既に、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
(イ)しかしながら、引用標章の著名性が本件商標の指定商品である「菓子及びパン」の分野にまで及んでいたものとは、上記証拠を総合しても認めることはできないし、また、我が国における菓子及びパンをはじめとする食品関連の分野で、引用標章を使用した商品が取引市場に流通していたと認めるに足る証拠も見出せない。
(ウ)加えて、本件商標と引用標章は、以下のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきである。
すなわち、本件商標は、別掲のとおり、図形と文字の組み合わせよりなるものであるところ、これらは、常に一体ものとして把握、認識しなければならない格別の理由がないから、その構成中の「L'ASIE」の文字部分は、独立して自他商品の識別機能を有するものといえる。そして、該「L'ASIE」の文字部分は、冒頭部分の「L’」がフランス語の定冠詞等の省略形を表したと理解されるところから、全体として、フランス語風読みに「ラジー」と称呼されるか、あるいは、我が国において、英語が親しまれているところから、英語風読みにした「ラシー」の称呼が生ずるものであって、特定の観念を想起し得ない造語を表したと理解されるというのが相当である。
一方、引用標章は、「LASSIE」及び「ラッシー」の文字よりなるものであるから、これより「ラッシー」の称呼を生ずるものであって、テレビドラマ等の主人公の犬の名前を表したと理解されるというのが相当である。
そうすると、本件商標より生ずる「ラシー」の称呼と引用標章より生ずる「ラッシー」の称呼は、「ラ」の音に促音を伴うか否かの差異を有することにより、前者は、全体の称呼が平坦になめらかに称呼されるものであるのに対し、後者は、「ラッ」の音と「シー」の音との間に称呼上の段落が生ずるものであるから、両称呼は、全体の語調、語感が相違したものとなり、これらの差異が短い音構成よりなる両称呼全体に及ぼす影響は、決して小さいものとはいえないのみならず、本件商標より生ずる「ラジー」の称呼と引用標章より生ずる「ラッシー」の称呼も、上記差異に加え、「ジ」の音と「シ」の音の差異を有するものであるから、全体の語調、語感が大きく相違するものである。したがって、本件商標より生ずる「ラシー」又は「ラジー」の称呼は、引用標章より生ずる「ラッシー」の称呼とは類似しないものといわなければならない。
また、上記のとおり、本件商標は、造語よりなるものであるのに対し、引用標章は、テレビドラマ等の主人公の犬の名前を想起させるものであるから、観念上類似するところはなく、さらに、本件商標中の「L'ASIE」の文字部分は、5文字よりなり、かつ、「’」を含むものであるのに対し、引用標章の「LASSIE」の文字部分は、中間部に「S」が2つ続く6文字よりなるものであるから、通常の注意力をもってすれば、外観上、両者を見誤るおそれはないというべきである。
してみれば、本件商標と引用標章とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても十分に区別し得る別異の商標といわなければならない。
(エ)上記(イ)及び(ウ)によれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これ接する需要者は、引用標章ないし「名犬ラッシー」の映画等を想起又は連想することはないというのが相当であって、本件商標を使用した商品を申立人又はこれと営業上何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
(2)商標法第4条第1項第19号について
前記(1)で認定したとおり、本件商標は、引用標章とは、その称呼、観念及び外観のいずれにおいても非類似の商標と認められる。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用することが、引用標章にただ乗り等をするものであるとみることはできないから、不正の目的をもって使用するものということもできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反してされたものでないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標




(色彩については原本参照)
異議決定日 2006-07-12 
出願番号 商願2005-19930(T2005-19930) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (Y30)
T 1 651・ 222- Y (Y30)
最終処分 維持  
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 小林 薫
寺光 幸子
登録日 2005-09-09 
登録番号 商標登録第4892986号(T4892986) 
権利者 株式会社クールアース
商標の称呼 ラジー、アジー、ラシー、ラシエ 
代理人 谷 義一 
代理人 角田 嘉宏 

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