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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y03
管理番号 1141952 
異議申立番号 異議2005-90255 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2005-05-30 
確定日 2006-08-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第4849408号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4849408号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4849408号商標(以下「本件商標」という。)は、「DHC SUNBLOCK」の文字を標準文字により表してなり、平成15年7月16日に登録出願、第3類「日焼け止め化粧品」を指定商品として同17年3月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1063069号商標(以下「引用商標」という。)は、「サンブロック」の文字を横書きしてなり、昭和46年11月2日に登録出願、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として昭和49年4月18日に設定登録され、その後、昭和59年4月19日、平成6年7月28日及び同16年1月6日の3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされているものである。その後、指定商品については、平成16年5月26日、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は、上記2の引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当すると主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出している。
本件商標と引用商標とは、称呼において類似する商標であり、かつ、指定商品も類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 本件商標に対する取消理由の要点
当審において、商標権者に対し、意見書を提出する期間を指定して、平成18年3月27日付けで商標登録の取消の理由を通知した。その要旨は、次のとおりである。
本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、上記1に示した構成よりなるところ、「DHC」の文字と「SUNBLOCK」の文字との間に1文字程度の間隔があることから、両文字は、分離して看取されるばかりでなく、「DHC」の文字は、化粧品業界においては、商標権者である「株式会社ディーエイチシー」の商号の英語表記の略称として、また、同社の取扱いに係る商品の代表的出所表示としても知られているものといえる。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その構成中の「DHC」の文字部分を商標権者の代表的出所表示部分として捉え、「SUNBLOCK」の文字部分を同人が取り扱う個々の商品の標識、いわゆる個別商標として認識し把握するものというべきである。さらに、本件商標は、全体から生ずる「ディーエイチシーサンブロック」の称呼が比較的冗長であることも考慮すれば、代表的出所表示部分たる「DHC」を省略して個別商標部分である「SUNBLOCK」の文字部分を捉え、これより生ずる「サンブロック」の称呼をもって取引に資される場合も少なくないものというべきである。
よって、本件商標は「ディーエイチシーサンブロック」の称呼のほか、単に「サンブロック」の称呼をも生ずるものである。
なお、「サンブロック」の文字に関しては、化粧品について自他商品の識別標識としての機能を有するものである旨判断した当庁の判定(判定2004-60006)がある。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して「サンブロック」の称呼を生ずること明らかである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「サンブロック」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品に包含されるものである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

5 商標権者の意見の要点
商標権者は、上記4の取消理由に対する意見を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第25号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)本件商標を構成する「DHC SUNBLOCK」の文字は、「DHC」と「SUNBLOCK」の文字との結合であるところ、「DHC」の文字は、商標権者の商品の出所標識であるばかりでなく、製品を表徴する社標であり、化粧品業界における著名な商標の表示であるのに対し、「SUNBLOCK」の文字は、商品「日焼け止めクリーム(ローション)」について自他商品の識別標識として機能を有しない。
また、化粧品取引の場において、各化粧品会社が展示する商品「日焼け止めクリーム(ローション)」は、「SUNBLOCK」と称され、普通に使用されている商品名であって普通名称であり、さらに、「SUNBLOCK」の文字は、商品名として広く一般に海外を含めて世界に認識されていることからも、特定のメーカーの商標表示とはいえない。
したがって、本件商標は、商品「日焼け止め化粧品」に使用するかぎり、該構成文字に相応して「ディーエイチシーサンブロック」の一連の称呼及び「DHCの日焼け止めクリーム(ローション)」の観念を生じ、または、「DHC」の文字部分に相応して「ディーエイチシー」のみの称呼及び観念を生ずるものであって、「サンブロック」の称呼及び観念は生じないものである。
これに対し、引用商標は、その構成文字に相応して、「サンブロック」の称呼を生じ、「日焼け止めクリーム(ローション)」の観念を生ずるものである。
(2)本件商標より生ずる「ディーエイチシーサンブロック」又は「ディーエイチシー」の称呼と引用商標より生ずる「サンブロック」の称呼を比較すると、両称呼は、構成音数及び配列音を異にし、互いにその語感を全く異にする異質の称呼であり、互いに聞き誤るおそれがない別異の称呼として聴取されるものである。
また、本件商標がその構成態様から「商標権者(DHC)の日焼け止めクリーム(ローション)」又は「商標権者(DHC)」を観念させるのに対し、引用商標は「日焼け止めクリーム(ローション)」を観念させるので、両者の意味合いが全く異なるので、互いに観念を異にするものである。
さらに、本件商標が欧文字と片仮名文字との結合であり、引用商標が片仮名文字のみの表示であり、互いに構成文字の綴り字及び書体の態様を全く異にするので、外観上において判然と区別されるものである。
以上のように、本件商標は、引用商標と称呼、観念及び外観において非類似であり、指定商品が互いに抵触するとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。

6 当審の判断
本件商標は、前記1のとおり「DHC SUNBLOCK」の文字よりなるところ、これを常に一体不可分のものとしてのみ把握すべき特段の事由を見いだせないばかりでなく、「DHC」と「SUNBLOCK」の文字との間に1文字程度の間隔を有する構成とも相俟って、両文字は、分離して看取されるものであり、そして、前半の「DHC」の文字部分は、商標権者である「株式会社ディーエイチシー」の商号の英語表記の略称に相当すると理解されるものであり、また、「SUNBLOCK」の文字部分は、「日焼け止め」の意味を有する英語「sun block」に相当することが、英和辞典、現代用語に関する雑誌等の記載により確認されるものである。
そこで、本件商標中の「SUNBLOCK」の文字が、自他商品の識別標識としての機能を有するか否かについて検討するに、先ずは、商標権者の提出した乙第4号証ないし乙第13号証(英和辞典、現代用語に関する雑誌等)によれば、「sun block」の文字が「日焼け止めクリーム(ローション)」又は「日焼け止め」の意味を、また、「サンブロック」の文字が英語「sun block」の表音の片仮名表記で「日焼け止め」の意味をそれぞれ有すること、さらに、商品「日焼け止めクリーム」の英文記載が、「sun block cream」であることが認められるものである。そしてまた、「サンブロック」の文字が、商標権者の提出した乙第21号証の1ないし7(化粧品販売に係るインターネットのウェブサイト)において「日焼け止め剤」又は「日焼け止め(ジェル,クリーム)」の意味合いを表すものとして使用されていることをも認めることができる。
つぎに、本件商標中の「SUNBLOCK」の文字と、その指定商品との関係をみるに、上記の「sun block」又は「サンブロック」の語に係る辞書、雑誌等の記載事実、及び化粧品業界における「サンブロック」の語の採択・使用の実情を総合勘案すると、「日焼け止め化粧品」にあって「SUNBLOCK」の文字は、英語「sun block」に相当し、「日焼け止め」或いは「日焼け止め用」の意味合いで、商品の品質、用途を表示する語と理解、認識されるにすぎないものであるといえるから、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものと判断するのが相当である。
そうとすれば、本件商標よりは、構成全体に相応した「ディーエイチシーサンブロック」の称呼のほか、本件商標中にあって独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得ると認められ、商標権者の商号の英語表記の略称に相当する「DHC」の文字部分に相応して、単に「ディーエイチシー」の称呼をも生ずるといわなければならない。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して「サンブロック」の称呼を生ずること明らかである。
してみると、本件商標より、単に「サンブロック」の称呼をも生ずるものとし、その上で、本件商標と引用商標が称呼において類似するものとして、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。 なお、本件商標と引用商標とは、外観及び観念においても、何ら類似するものとは認めることができない。
ところで、申立人は、登録異議申立ての理由において、本件商標中の「SUNBLOCK」の文字に関しては、そのカタカナ表記の「サンブロック」についての判定(判定2004-60006)において、自他商品の識別機能を発揮するものと認められており、他の商標との類否判断の対象となることは明らかである旨主張している。
しかしながら、本件商標中の「SUNBLOCK」の文字は、英語「sun block」に相当するものであって、「日焼け止め」の意味を有すること、また、「SUNBLOCK」の文字が、英語「sun block」に相当し、化粧品を取り扱う業界において「日焼け止め剤」又は「日焼け止め(ジェル,クリーム)」の意味合いを表すものとして使用されていることは上記のとおりである。そして、本件商標中の「SUNBLOCK」の文字が、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るか否かの判断は、その査定時において、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであって、判定例が存在することのみによって、本件商標中の「SUNBLOCK」の文字が、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ると認めることはできないし、また、本件商標中の「SUNBLOCK」の文字についての自他商品の識別機能の有無の判断が、判定例に拘束されるものではないから、申立人の前記主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2006-07-27 
出願番号 商願2003-59783(T2003-59783) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (Y03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 杉山 和江 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 澁谷 良雄
久我 敬史
登録日 2005-03-25 
登録番号 商標登録第4849408号(T4849408) 
権利者 株式会社ディーエイチシー
商標の称呼 デイエッチシイサンブロック、デイエイチシイサンブロック、デイエッチシイ、デイエイチシイ、サンブロック 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 館石 光雄 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 萼 経夫 
代理人 村越 祐輔 
代理人 田中 克郎 
代理人 石田 良子 
代理人 宮川 美津子 

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