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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y25
管理番号 1141944 
異議申立番号 異議2004-90173 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-03-22 
確定日 2006-07-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第4735075号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4735075号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4735075号商標(以下「本件商標」という。)は、「SNOW TREK」の欧文字と「スノートレック」の片仮名文字を二段に書してなり、平成15年5月12日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年12月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証を提出している。
(1)申立人が引用する登録第2381687号の1商標(以下「引用商標」という。)は、「TREK」の欧文字を横書きしてなり、昭和63年9月29日に登録出願、第12類「自転車、自転車のフレーム、その部品および附属品、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成4年2月28日に設定登録された登録第2381687号商標の分割に係るものであって、その指定商品を「自転車、自転車のフレーム、その部品および附属品、その他本類に属する商品、但し、自動車のタイヤおよびチューブを除く、但し、(自動車並びにその部品及び附属品、但し、自動車のタイヤ及びチューブを除く)を除く」とするものであり、その後、平成16年7月7日に、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がなされているものである。
(2)申立人の所有に係る引用商標(TREK商標)は、主としてマウンテンバイク(「MTB」と略称されることもある。)およびその附属品等に付され、マウンテンバイク等は、毎年全世界で100万台以上を売り上げる世界でNo.1のシェアを誇り、引用商標は斯界における世界的著名商標であることは明らかである。
マウンテンバイクとは、いわゆる政令表示によるならば「第12類 自転車」に該当するものである。
そして、引用商標を付した自転車を製造・販売する「トレク バイシクルコーポレーション(TREK Bicycle Corporation)は、1976年、米国ウイスコンシン州ウォータールーにおける創業以来、たゆまぬ技術開発と大々的な宣伝広告をはじめとする営々たる企業努力により、斯界における世界的トップブランドとなったものである。
また、ユーザーからの高い評価を受け、1995年から1998年まで連続して「バイシクル・オブ・ザ・イヤー」に輝いたことでも実証されている。さらに、1995年にはクライン社(世界でNo.1のハイクォリティアルミフレーム製造メーカー)及びボントレガー社(競技用クロモリフレームにおいてNo.1を誇るメーカー)を買収し、両社のブランドをトレックの名のもとで販売することになった。
なお、申立人は、米国に本社を置くが、海外支社として我が国の他、イギリス、ドイツ、スペイン、ベネルクス、オーストリア及びスイスに支社を持っている。
このような世界的名声を誇る申立人は、我が国において、平成3年2月5日にトレック・ジャパン株式会社(以下「トレック・ジャパン」という。)を設立し、申立人より自転車及びその関連商品を輸入し、国内約300店舗の正規代理店を通じてその販売を行っている。
トレック・ジャパンは、設立当初から各種雑誌などを通じて大々的な宣伝広告活動を行い、その販売する商品の品質の高さと相侯って国内マウンテンバイク市場において不動の地位を築き上げた。この広告の一例を挙げるならば以下のとおりである。なお、これらの雑誌はいずれも斯界における有名雑誌であり、マウンテンバイクファン必読のものといわれている。
(ア)「Bicycle Club」(甲第4号証)
(イ)「サイクルスポーツ」(甲第5号証)
(ウ)「ファンライド」(甲第6号証)
(エ)「MTBマガジン」(甲第7号証)
(オ)「Tarzan」(甲第8号証)
(カ)「トレックニュース」(甲第9号証)
なお、「トレックニュース」とは、2000年から全国約300店舗の正規代理店に、毎週金曜日に配信してきたニューズレターで、その内容は、売れ筋情報、新製品入荷のお知らせ及び在庫状況、トレックに関わる最新情報などを主とするものである。
さらに、トレック・ジャパンの平成5年から同15年までの売上げ推移は、甲第10号証に示すとおりであるが、最近過去5年間の総売上高は以下のとおりである。
(ア)平成11年度 7億3, 5 9 1万7, 5 4 4円
(イ)平成12年度 1 9億7, 7 7 6万5, 8 1 5円
(ウ)平成13年度 2 1億6, 9 8 6万2, 5 2 6円
(エ)平成14年度 2 4億8 1 5万2, 0 9 8円
(オ)平成15年度 2 5億7, 3 3 9万5, 3 7 0円
このように、引用商標は、長年の間、盛大に使用されてきたものであり、申立人及び申立人の代理店の活発な宣伝活動と相俟って、申立人の業務を示す商標として、取引者・需要者の間で極めて広く認識されるに至ったものであることは明らかである。
なお、インターネット上で、「TREK」及び「MTB」をキーワードとして検索した場合、甲第11号証に示すように149,000 件という膨大なヒット数を記録するものである。
以上より、引用商標は、申立人のハウスマークとして、自転車及びその関連商品について長年の間盛大に使用されてきた結果、現在は勿論のこと、本件商標の出願時には、申立人の商標として広く認識されるに至っていたものである。
また、甲第12号証にも示すように、自転車の関連商品は被服など幅広い商品を含むものである。さらに、申立人の主力商品であるマウンテンバイク及びその関連商品は、雪や雨等の悪天候の下でも使用され得る商品である。 これらのことを考慮すると、その構成中に引用商標「TREK」を含む本件商標を、その指定商品に使用した場合には、需要者・取引者は、あたかも雪の日の使用に適した申立人の業務に係る商品又は申立人の業務と一定の関連がある商品であるかのごとく認識し、申立人の業務に係る商品と現実に混同を生じるおそれがあることは明らかである。
(3)以上詳述したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)申立人の提出した甲各号証及び申立の趣旨を総合勘案すれば、申立人及びその代理店であるトレック・ジャパンが、引用商標「TREK」を主にマウンテンバイク及びその附属品に使用した結果、我が国において、特にマウンテンバイク関連の分野においては、相当程度、取引者、需要者間に認識されていたことを認めることができる。
しかしながら、マウンテンバイクは、「広辞苑第5版」によれば、「オフロード走行用の自転車。軽量・堅牢なフレームで、表面の凹凸の深い太いタイヤと強力なブレーキ、直線的なハンドルなどが特徴。」また、申立人が申立の具体的理由中で紹介している社団法人日本自転車協会の定義によれば、「荒野、山岳地帯等での高速走行、急坂登降、段差越えなどを含む広範囲の乗用に対応して、軽量化並びに耐衝撃性、走行性能および乗車姿勢の自由度等の向上を図った構造の自転車」であって、構造、性能等において一般の自転車とは異なり、特殊な自転車ということができ、競技用としても使用されていることを窺い知ることができる。
また、申立人の提出した甲各号証は、その多くが自転車関係の専門誌であり、その購読者も限定されるというべきであって、需要者も自ずと若者や自転車(特にマウンテンバイク)愛好家、同競技者等の一部の者に限られるとみるのが相当である。
そうすると、たとえ、引用商標「TREK」が、特にマウンテンバイク関連の分野において、相当程度、認識されているとしても、その需要者は、上記のとおり、特定分野の者に限られているものということができる。
(2)そこで、本件商標をみると、本件商標は、上記1のとおり「SNOW TREK」「スノートレック」の文字よりなるものであるところ、「SNOW TREK」及び「スノートレック」の各文字が軽重の差なくまとまりよく一体となって表されているばかりでなく、全体としても一体の構成態様からなるものとみられるものである。また、全体としての称呼も、片仮名文字部分が欧文字部分の読みを特定しているものと無理なく認識し得るから、これよりは「スノートレック」と淀みなく一連に称呼し得るものであって、かつ、「SNOW」「スノー」の文字が「雪」を意味し、「TREK」「トレック」の文字が「ゆっくり旅行する、長くてつらい旅、徒歩による小旅行」等を意味する英語であるとしても、全体として親しまれた特定の意味合いを生じないから、一種の造語よりなるものとみるのが相当である。
さらに、引用商標は、相当程度認識されているとしても、その需要者が、特定分野の者に限られているものであることからすれば、その周知性は、本件商標の一体性を凌駕する程のものということができないから、本件商標の「TREK」の文字部分が、特に看者の注目を引き分離して観察されるものであるとする特段の理由は見出し得ない。
他方、引用商標は、上記2(1)のとおり「TREK」の文字よりなるものであるところ、これよりは「トレック」の称呼を生じ、本件商標の「TREK」の文字部分と同様であるから「ゆっくり旅行する、長くてつらい旅、徒歩による小旅行」等の意味を有するものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、両者の構成態様から、外観においては、判然と区別し得る差異を有するものである。また、称呼においては、それぞれより生ずる「スノートレック」と「トレック」の称呼において、構成音数の差異により全体の音感、音調が異なり、顕著に相違すること明らかである。さらに、観念においても、本件商標が造語よりなるものであること上述のとおりであるから、相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものである。
そして、他に、両者間において混同を生ずるとすべき格別の理由は見出せない。
そうすると、本件商標は、引用商標とは全く別異の商標といえるものである。
(3)つぎに、商品の関係についてみると、マウンテンバイク等と本件商標の指定商品である第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」とは、原材料をはじめ、生産者、販売場所、取引系統を異にする商品と認められるが、一部、マウンテンバイク等の自転車と関連性がある商品が含まれているとしても、本件商標と引用商標は別異の商標であるばかりでなく、引用商標の周知性も本件商標の一体性を凌駕する程のものではないこと上記のとおりであり、両商標間において混同を生ずるおそれはないから、商品間の関連性は
考慮する必要はないといえるものである。
また、申立人は、マウンテンバイク及びその関連商品は、雪や雨等の悪天候の下でも使用され得る商品であり、本件商標を、その指定商品に使用した場合には、取引者、需要者は、あたかも雪の日の使用に適した申立人の業務に係る商品又は申立人の業務と一定の関連がある商品であるかの如く認識する旨述べているが、マウンテンバイク及びその関連商品は、雪や雨の日に使用することがあるとしても、例えば、スキーやスノーボードのような専らウインタースポーツのための商品ではないこと、本件商標は一体の構成態様からなるものであること及び引用商標が、マウンテンバイク関連の分野において、相当程度、取引者、需要者間に認識されていたことを認めることができるとしても、その周知性は本件商標の一体性を凌駕する程のものとはいえないことから、その構成中の「SNOW」「スノー」の文字部分を捉えて、雪の日の使用に適したTREK印の商品と認識するようなことはないものと判断するのが相当である。
(4)そうすると、たとえ、引用商標「TREK」が、特にマウンテンバイク関連の分野において、相当程度、取引者、需要者間に認識されているとしても、特定分野の者に限られていること、本件商標は引用商標とは別異の商標であること及び商品間の関連性を考慮する必要が認められないこと、上記のとおりであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を直ちに連想、想起するようなことはなく、該商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
(5)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2006-06-30 
出願番号 商願2003-38419(T2003-38419) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (Y25)
最終処分 維持  
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 小川 有三
岩崎 良子
登録日 2003-12-19 
登録番号 商標登録第4735075号(T4735075) 
権利者 ダイワ企業株式会社
商標の称呼 スノートレック、トレック 
代理人 宮嶋 学 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 吉武 賢次 
代理人 若林 拡 
代理人 上原 空也 
代理人 塩谷 信 

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