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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y29
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Y29
審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない Y29
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Y29
管理番号 1141745 
審判番号 無効2005-89147 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-09-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-11-22 
確定日 2006-08-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第4875881号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4875881号商標(以下「本件商標」という。)は、平成
16年10月27日に登録出願され、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第29類「味付けのり,干しのり,焼きのり,のりのつくだに,お茶漬けのり,のりを主原料とする板状・棒状・ブロック状・粉末状・カプセル状・液体状の加工食品」、第30類「のりを使用してなる菓子,のりを使用したべんとう,のりを加味してなるもち」を指定商品として同17年7月1日に設定登録、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の引用商標
(1)引用登録第1566741号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和53年2月9日に登録出願、第32類「味つけのり」を指定商品として同58年2月25日に設定登録、その後、指定商品については平成16年4月28日付けで、第29類「味付けのり」に書換登録されたものである。
(2)引用登録第4783841号商標(以下「引用B商標」という。)は、平成15年11月7日登録出願、別掲(3)のとおりの構成よりなり、第29類「味付けのり,干しのり,焼きのり,のりのつくだに,お茶漬けのり,のりを主原料とする板状・棒状・ブロック状・粉末状・カプセル状・液体状の加工食品」、第30類「のりを使用してなる菓子,のりを使用したべんとう,のりを加味してなるもち」を指定商品として、同16年7月2日に設定登録されたものである。
以下、これらを一括していうときには「各引用商標」という。

3 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第66号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号の規定により無効にすべきものである。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
本件商標は、上記のとおり、楕円の黒色背景に白抜きで「白子のり」の文字を横書きし、その下に「おつまみ海苔」の文字を縦書きした態様よりなるものであるが、「おつまみ海苔」の文字部分は、「白子のり」と比較して、ひとまわり大き目の文字よりなり、文字全体の長さも後者の方が150%程度長いため、本件商標中にあって「おつまみ海苔」の文字は中心的で目立つ態様となっている。したがって、本件商標中で自他商品の識別機能を発揮するのは、被請求人会社の名称の略称である「白子のり」の部分と、これより大きく表された「おつまみ海苔」の部分である。
ところで、請求人である株式会社山本海苔店は、甲第3号証の商品チラシにあるように、胡麻、ちりめんじゃこ、梅、うに、玄米などの具材を短冊状の2枚の海苔の小片で挟んだ商品(具材付き味付けのり)を、本件商標と同じ「おつまみ海苔」の商標のもと販売している。この「おつまみ海苔」は、全国の有名百貨店を中心に1978年の発売開始以来、今日まで四半世紀以上に渡って販売されてきている人気商品であって、「おつまみ海苔」の商標も請求人の販売に係る商品を表すものとして、本件商標の出願時及び登録査定時には既に需要者の間に広く認識されるところとなっていたものである。
こうした事実を具体的にみるに、まず甲第4号証の1から甲第23号証は、1986年から2005年までの請求人会社の商品パンフレットである。ここでは、請求人が少なくとも1986年から今日に至るまで継続して「おつまみ海苔」を販売してきていることが分かる。
甲第24号証の1及び2は、「おつまみ海苔」の販売実績を示す請求人作成のデータである。ここでは甲第24号証の1として、1989年から2003年10月までの販売実績が、また甲第24号証の2として、2003年から2005年8月までの販売実績が集計されているが、この期間において合計では19億5千万円以上、年間平均では1億1千万円以上の売り上げを記録している。
甲第25号証から甲第42号証は、新聞や雑誌に掲載された「おつまみ海苔」の宣伝広告又は紹介記事である。
甲第43号証及び甲第44号証は、テレビにおける「おつまみ海苔」の紹介番組である。
なお、請求人は全国有名デパート等において直営店を運営しているが、例えば東急百貨店の東横のれん街(甲第45号証)や、吉祥寺駅ビルの吉祥寺ロンロン(甲第46号証)では、山本海苔店の紹介とともに、「おつまみ海苔」もお奨めの商品として紹介されている。
加えて、請求人の「おつまみ海苔」は、全国観光土産品連盟及び日本商工会議所が主催する全国推奨観光土産品審査会において、全国的に優秀な観光土産として認められ、10年以上に渡り推奨されている(甲第47号証ないし甲第60号証)。
よって、本件商標は請求人の「具材付き味付けのり」を表示するものとして需要者の間に広く知られる商標「おつまみ海苔」と同-又は類似であって、これと同-又は類似する商品について使用されるものである。
さらに、「おつまみ海苔」の商標が、請求人使用商標として著名性を有すること上記したとおりであるから、商標権者が本件商標をその指定商品について使用する場合、当該商品が請求人若しくは請求人と関係のある者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は別掲のとおり、「白子のり」と「おつまみ海苔」の文字よりなるものであるから、構成文字に相応して「シラコノリ」及び「オツマミノリ」のそれぞれの称呼が生じるものと認められる。
他方、引用A商標及び引用B商標は、別掲(2)及び(3)のとおりの構成よりなるところ、構成中の「おつまみ海苔」の文字部分は、独立して自他商品の識別標識として機能し得るとみるのが相当であるから、これより「オツマミノリ」の称呼をも生ずるものというべきである。
してみれば、本件商標と引用A商標及び引用B商標は、「オツマミノリ」の称呼において類似する商標である。
また、本件商標と引用A商標及び引用B商標の指定商品は同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
さらに、本件商標は請求人の販売に係る上記商品との関係で、不正の目的をもって使用されるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

4 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおりに述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
(1)本件商標は、黒色横長楕円形の中に白抜きでかつ独特の書体で「白子のり」と横書きするとともに、その下方に縦書の通常書体にて「おつまみ海苔」と書してなるものである。
そして、構成中の「白子のり」の文字が周知・著名商標であることは、AIPPI-JAPAN発行 日本有名商標集(乙第2号証)より明らかであるとともに、黒色横長楕円形と「白子のり」の文字は極めて印象的であり、構成中の「おつまみ海苔」の文字のみが特に目立つということはあり得ない。 また、構成中の「おつまみ海苔」の文字部分は商品の単なる用途、品質表示又は普通名称と認められるものであり、独立して自他商品の識別標識として機能し得るとする特段の理由は見当たらない。
(2)引用A商標及び引用B商標の構成中の「おつまみ海苔」の文字は、他の「菱形図形」や「丸の中に梅の文字のマーク」(以下、「丸梅マーク」という。)等の図形と共に表示されているものであり、請求人は「おつまみ海苔」の文字のみよりなる単独の商標権を所有してはいない。
また、株式会社なとりも黒色四角形体の中に「おつまみ」と「海苔」を二段に書した「おつまみ海苔」(登録第4796736号商標)を所有している。
当該登録事実は、本件商標の存在と相俟って「おつまみ海苔」の文字が商品の用途、品質表示又は普通名称であり自他商品識別力を発揮し得ない文字であることの証左であるから、「おつまみ海苔」の文字は単独でも自他商品の識別標識として機能し得るとする請求人の主張は失当である。
(3)焼海苔はそれ自体、あるいはこれに梅肉、チーズ、塩から、各種漬物
等種々の珍味等をそえて「おつまみ」として古来より食されており、また味付けのりにあっても子供から大人に至るまで食事の際のおかずとして、またそれ自体を古来より手軽な酒の肴のおつまみの一種として食されている。
また近年は海苔に油をひき塩味を付けた「塩のり」も「おつまみ」として
多くの人に食されている。
また米菓に海苔を巻いたもの、海苔をまぶしたもの等もお菓子としてまた
酒、ビールの「おつまみ」として古来より食されていることは周知である。
このような古来よりの諸事実からして「おつまみ海苔」は需要者、取引者
をして商品の普通名称「おつまみ用の海苔」としての用途、品質表示と直感することが明白である。
(4)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
本件商標の自他商品識別力を発揮する部分は「白子のり」の部分であり、
「おつまみ海苔」の部分は、自他商品の識別標識として機能し得ない部分であることは既に述べた。
請求人は、甲第4号証ないし甲第64号証を提出し、「おつまみ海苔」が請求人の「具材付味付けのり」を表示するものとして広く知られる商標となったと主張しているが、請求人提出の上記甲各号証からはそのような事実を立証し得ない。
また、乙第8号証(JF佐賀市女性部HP)、乙第9号証(松田園HP)、乙第10号証(まる浪HP)、乙第11号証(ホーリョウ商事HP)及び乙第12号証(丸徳海苔HP)に示すように「おつまみ海苔」「おつまみのり」の文字は品質あるいは用途表示として各社数多く使用しており、「おつまみ海苔」が用途、品質表示又は普通名称として取引者、需要者に認識されていること明白である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものではない。
(5)商標法第4条第1項第11号について
本件商標及び引用A商標及び引用B商標における「おつまみ海苔」の文字部分は自他商品の識別標識として機能し得ないものというべきであり、両商標のその他の文字部分及び図形部分は非類似であることは明白である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
(6)商標法第4条第1項第19号について
「おつまみ海苔」の商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内において、需要者の間に広く認識されている商標でないことは既に述べた。
また被請求人が不正の目的をもって「おつまみ海苔」を使用した事実もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、黒色の横長楕円形の中に、「白子のり」の文字を白抜きで表示し、その下に「おつまみ海苔」の文字を縦書きした構成よりなるものである。
他方、引用A商標は別掲(2)のとおり、外側を太く、内側を細く二重に描いた菱形図形の中の上部に「丸梅マーク」、下部に「おつまみ」の文字と「海苔」の文字とを二段に併記した構成よりなるものである。
同じく、引用B商標は別掲(3)のとおり、上部に「丸梅マーク」、下部に「おつまみ」の文字と「海苔」の文字とを二段に併記した構成よりなるものである。
請求人は、本件商標と各引用商標中の「おつまみ海苔」の文字部分は自他商品の識別標識として機能し得るものであるから、両商標は、「おつまみ海苔」の文字部分より生ずる「オツマミノリ」の称呼において類似する商標であると主張している。
そこで、「おつまみ海苔」の自他商品識別機能の有無について判断するに、その構成中の「おつまみ」は、「つまむこと、つまみもの(食事の際、最初に出す簡単な食品、つまんで食べられるような簡単な酒の肴の略」「食事の際、最初に出す簡単な食品、つまんで食べられるような簡単な酒の肴)(「広辞苑 第五版」株式会社岩波書店発行)や、「簡単な酒の肴のこと、つまみ」(「調理用辞典」社団法人調理師養成施設協会発行)を意味する語であり、該文字と「海苔」とを組み合わせた「おつまみ海苔」の文字全体よりは、容易に「簡単に食することができる海苔」または「簡単な酒の肴として食する海苔」を認識し得るものである。
そうとすれば、本件商標と各引用商標中の「おつまみ海苔」の文字部分は、それぞれの指定商品との関係において、単に「おつまみ用の海苔」又は「海苔を具材とするおつまみ」であること、すなわち商品の用途、品質を表示するにすぎず、自他商品の識別機能を有しない部分とみるのが相当である。
以上のとおり、自他商品の識別機能を有しない「おつまみ海苔」の文字部分より生ずる称呼を以て本願商標と引用商標とが称呼上類似の商標であるとする申立人の主張は認め難い。
加えて、本願商標と各引用商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、外観上は十分に比較しうるものである。
また、本件商標は、その構成中黒塗り楕円形内に「白子のり」の文字を白抜きで表した部分に相応し「シラコノリ」の称呼、「白子(被請求人)製の海苔」の観念を生じるのに対し、各引用商標は、その構成中の○の図形内に「梅」の文字を表した「丸梅マーク」の部分より、「ウメ」又は「マルウメ」の称呼、「梅」の観念を生じ、それぞれ全く異なる音構成よりなるから称呼上十分に聴別し得るものであり、また観念上も区別できるものである。
そうとすると、両商標は、外観、称呼及び観念の何れにおいても十分に区別し得る非類似のものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録さ
れたものということはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
請求人は、各引用商標中の「おつまみ海苔」の文字部分は、請求人使用の商標として周知・著名性を有する旨主張し、その周知・著名性を証する書面として甲第4号証ないし甲第64号証を提出しているが、「おつまみ海苔」の文字が自他商品の識別標識として機能し得ないこと上記したとおりであり、また、請求人提出に係る上記甲各号証によっても、請求人が、1989年から現在に至るまで、商品「のり」について、商品のカタログ、包装用の容器等に「おつまみ海苔」と「丸梅マーク」又は「山本海苔店」とを組み合わせて使用していることが認められるが、かかる使用方法によっては、「おつまみ海苔」の文字のみで自己の業務に係る商品であることを識別し得る程の著名性を獲得したものとは認められない。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、当該商品が請求人若しくは請求人と関係のある者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものではない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と各引用商標が非類似のものであること前記のとおりであるから、請求人が本件商標を採択使用する行為に不正の目的があったものとは認め得ないところである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項により、その登録を無効とすべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標

(2)引用A商標

(3)引用B商標

審理終結日 2006-06-02 
結審通知日 2006-06-08 
審決日 2006-06-22 
出願番号 商願2004-98246(T2004-98246) 
審決分類 T 1 11・ 222- Y (Y29)
T 1 11・ 25- Y (Y29)
T 1 11・ 26- Y (Y29)
T 1 11・ 271- Y (Y29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梶原 良子 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 小川 有三
岩崎 良子
登録日 2005-07-01 
登録番号 商標登録第4875881号(T4875881) 
商標の称呼 シラコノリオツマミノリ、シラコノリ、オツマミノリ、ツマミノリ、シラコ 
代理人 小谷 武 
代理人 木村 吉宏 
代理人 田辺 恵 
代理人 田辺 敏郎 

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