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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 030
管理番号 1141724 
審判番号 取消2005-30804 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-07-04 
確定日 2006-07-25 
事件の表示 上記当事者間における登録第3362467号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3362467号商標(以下「本件商標」という。)は、「EAGLE」の欧文字と「イーグル」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成7年5月17日に登録出願され、第30類「油で焼き塩味を付けたピーナッツ,油で焼き砂糖・はち蜜・ピーナッツオイル・スターチ及び食塩にて味付したピーナッツ,油で焼き上げたピーナッツ,炒ってなる殻付きピーナッツ,その他の菓子及びパン」を指定商品として、平成9年11月28日に商標権の設定登録がされたものである。
そして、本件審判請求の予告登録は、平成17年7月21日にされた。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求めると主張し、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べた。
1.請求の理由
本件商標は、請求人の調査した限りにおいては、少なくとも、本件審判請求日前3年以内に日本国内において、その指定商品のいずれにも使用されていないことが判明した。したがって、本件商標の登録は取り消されるべきものである。
2.弁駁の理由
(1)乙第1号証ないし乙第5号証を検討する。
(ア)乙第1号証の1として提出された製品カタログ内部の頁には「イーグルは、お菓子の専門メーカーとして…」「イーグルポット」等の表示は見受けられるが、これらは商標「イーグル」又は「Eagle」の使用に該当しないのは明らかである。「イーグルは、お菓子の専門メーカーとして…」の「イーグル」は商標権者の会社名の略称を表しているものであり、「イーグルポット」と「イーグル」は社会通念上同一の商標とは認識され得ないものである。「鷲図形とEagleの組み合わせ」の商標についても、被請求人が自ら認めているようにこれはあくまで図形と文字の「組み合わせ」の商標として認識されるべき態様で表示されているため、「イーグル」及び「EAGLE」の文字の二段併記からなる本件商標とは社会通念上同一とはいえないものである。
また、カタログの裏表紙に表示されている「鷲図形とEagleの組み合わせ」の商標については、上記のとおり、本件商標とは社会通念上同一とはいえないものである。
被請求人は、このカタログの裏表紙の前頁に表示される「0309」の数字をもってこのカタログが2003年9月に印刷されたことの証拠としているが、この数字が印刷年月を示す根拠が不明である。このような単なる4桁の数字の羅列は商品コードや得意先コード等の様々な目的に使用され得るものであって、必ずしもカタログの印刷年月を示すと考えるべき根拠はない。むしろ、通常の商慣行を鑑みれば、カタログの印刷年月を示す数字であれば、カタログの内部の頁ではなく裏表紙に表示されるのが自然と考える。
さらに重要なことは、この製品カタログの展示又は頒布等の証明が一切なされていないことである。商標法第2条第3項第8号は、「広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」を商標の「使用」と定義する。答弁書では、製品カタログが印刷されたことが述べられているのみで、このカタログが「展示」、「頒布」、「電磁的方法により提供」のいずれかがなされたことの主張及び立証が一切なされていない。
(イ)乙第1号証の2として提出された納品書(控)によって証明されるのは、平成15年10月7日に乙第1号証の1の製品カタログが商標権者に納品されたことのみであって、当該製品カタログが本件商標の指定商品「ビスケット、キャラメル、その他の洋菓子」の需要者に展示又は頒布等されたことを証明するものではない。
(ウ)乙第1号証の3、の4として、乙第1号証の1に掲載の洋菓子類の写真が提出されている。しかし、仮にこれらの写真に表されている商品が本件商標の指定商品に含まれるものであるとしても、乙第1号証の1の製品カタログの展示又は頒布等が証明されていない以上、本件商標が指定商品について使用されたことは証明されない。
(エ)乙第2号証の1として製品カタログが提出されている。これらについては、上記(ア)の項で乙第1号証の1について述べたことが全て該当する。
また、この製品カタログには発行年月日らしき表示は見当たらないが、被請求人の主張によれば、これは2001年10月に発行されたものとのことである。したがって、本件商標が審判請求の登録前3年以内に使用されたことを立証するものでないことは明らかである。
(オ)乙第2号証の2として提出されたのは、平成13年10月31日付けの納品書(控)であるが、これに関しては上記(イ)の項で乙第1号証の2について述べたことが全て該当する。
また、この納品書の発行日は、審判請求の登録日から3年の日より前であるので、そもそも本件審判において立証されるべき商標の使用とは無関係のものである。
(カ)乙第3号証ないし乙第5号証として提出された売上伝票及び納品受領書は、商標権者から第三者に対して商標「EAGLE」を使用した商品「キャラメル」「キャンディ」「チョコレート」が納品された事実を示すものであると被請求人は主張する。
しかしながら、ここで被請求人が商標「EAGLE」と表現する商標は、答弁書における乙第1号証の1及び乙第2号証の2の説明で自ら「鷲図形とEagleの組み合わせ」の商標と表現したものと完全に同一態様のものである。そして、上述のとおり「鷲図形とEagleの組み合わせ」の商標と本件商標とは社会通念上同一とは認識され得ないものである。
(2)以上述べたことから、乙第1号証ないし乙第5号証によって、「商標権者が本件登録を、審判請求日前3年以内に、日本国内において、その指定商品について使用している。」とする被請求人の主張は、認められないものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし甲第5号証(枝番を含む。)を提出した。
1.答弁の理由
(1)商標権者は、本件商標を審判請求日前3年以内に日本国内において、その取消に係る指定商品中の「キャラメル、キャンディ、チョコレート、タフイー、ヌガー、クッキー、プリン、ゼリー、ゼリーを使用した和菓子」について使用している。
これを証するため商品写真を掲載したカタログ、取引伝票写を提出する(乙第1号証ないし乙第5号証)。
その使用態様は登録商標と完全に一致しないが、「イーグル」又は「Eagle」の文字をカタログの表紙、裏表紙、商品の包装並びに取引伝票に使用する態様はいずれも社会通念上同一といえる範囲のものである。
(2)証拠の説明
(ア)乙第1号証の1:製品カタログ2003年9月商標権者発行
Eagle's collection イーグル製菓 製品ご案内
このカタログは専門店向けの商品が掲載されており、そこには「イーグル」又は「Eagle」の文字又は「鷲図形とEagleの組み合わせ」が商標として使用され、商品「キャラメル、キャンディ、チョコレート、タフイー、ヌガー、クッキー、プリン、ゼリー、ゼリーを使用した和菓子」に使用していることが記載されている。
また、カタログの裏表紙に「鷲図形とEagleの組み合わせ」及び商標権者の商号が大きく表示されていて、カタログに記載の商品が「イーグル」又は「Eagle」の商標を使用した商品であることを明らかにしている。
裏表紙の前頁(「製品一覧表」の右側頁)の下端には「0309」と表示されていて、このカタログが2003年9月に印刷されたことを表示するとともに、カタログ番号として使用している。
これらカタログは納品後、現在に至るまで継続して使用されている。
(イ)乙第1号証の2:納品書(控)平成15年10月7日株式会社大協発行
乙第1号証の1として提出の製品カタログが2003(平成15)年9月に印刷され、同年10月7日商標権者に納品されたことを立証する。
商品名の欄には0309製品カタログ(専門店向)12頁と記載されている(表表紙を1頁とすると裏表紙は12頁となる。)
(ウ)乙第1号証の3、4:商品写真平成17年9月2日撮影
撮影者 大阪市北区西天満2丁目8番1号大江ビル3階
藤田特許法律事務所内 馬淵 健
乙第1号証の1に掲載の「イーグルポット」(E‐080)商品コード01701がキャンディの詰め合わせであることを明らかとするために参考として提出する。また、同掲載の「スイートデラックス」商品コード05012が「キャンディー」及び「チョコレート」の詰め合わせであることを明らかとするために参考として提出する。
(エ)乙第2号証の1:製品カタログ2001年10月商標権者発行
Eagle's collection イーグル製菓 製品ご案内
このカタログにはスーパー向け商品が掲載されており、そこには「イーグル」又は「Eagle」の文字又は「鷲図形とEagleの組み合わせ」が商標として使用され、商品「キャラメル、キャンディ、飴、チョコレート、タフイー、ヌガー」に使用していることが記載されている。
これらカタログは納品後、現在に至るまで継続して使用されている。
(オ)乙第2号証の2:納品書(控)平成13年10月31日株式会社大協発行
乙第2号証の1として提出の製品カタログが2001(平成13)年10月に印刷され、同年10月31日商標権者に納品されたことを立証する。
商品名の欄にはA4製品カタログ(スーパー向)8頁と記載されている(表表紙を1頁とすると裏表紙は8頁となる。)
(カ)乙第3号証の1、2:売上伝票及び納品受領書
売上伝票及び納品受領書には、商標権者より株式会社折目に商標「EAGLE」を使用した商品「キャラメル、キャンディ、チョコレート」が納品された事実を示す取引伝票である。
商品コードと商品名で、乙第1号証ないし乙第2号証に表示されているカタログの商品であることが確認できる。
(キ)乙第4号証の1、2:売上伝票及び納品書受領書
売上伝票及び納品受領書には、商標権者より株式会社丹波屋本舗に商標「EAGLE」を使用した商品「キャラメル、キャンディ、チョコレート」が納品された事実を示す取引伝票である。
商品コードと商品名で、乙第1号証ないし乙第2号証に表示されているカタログの商品であることが確認できる。
(ク)乙第5号証の1、2:売上伝票及び納品書受領書
売上伝票及び納品受領書には、商標権者より株式会社やぢに商標「EAGLE」を使用した商品「キャラメル、キャンディ、チョコレート」が納品された事実を示す取引伝票である。
商品コードと商品名で、乙第1号証ないし乙第2号証に表示されているカタログの商品であることが確認できる。
(2)乙第1号証ないし乙第5号証に表示する商標権者の住所は営業所を表示している。商標登録原簿に記載の住所は商業登記された本店所在地である。この登記した住所及び営業所は隣接していて、商標権者は両者を併せた場所で営業をしており、営業所の入り口がある大阪市都島区友淵町2丁目7番15号を住所として使用している。
以上をもって、被請求人は、商標権者が本件商標を、審判請求日前3年以内に、日本国内において、その指定商品について使用していることを立証する。

第4 当審の判断
本件商標は、上記のとおりその構成を「EAGLE」の欧文字と「イーグル」の片仮名文字とし、指定商品を「油で焼き塩味を付けたピーナッツ,油で焼き砂糖・はち蜜・ピーナッツオイル・スターチ及び食塩にて味付したピーナッツ,油で焼き上げたピーナッツ,炒ってなる殻付きピーナッツ,その他の菓子及びパン」とするものであるところ、本件審判請求は、請求の趣旨及び理由によれば、商標法第50条第1項の規定により商標登録の取り消しを求めたものということができ、審判請求の登録は、平成17年7月21日にされた。
そこで、被請求人が、本件商標、すなわち、本条でいう登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)を本件審判請求に係る商品について所定の時期において使用していた事実を証明するものとして提出した乙各号証を検討する。
1. 登録商標及び商品の使用について
(1)乙第1号証の1は、筆記体風に書された「Eagle's collection」(イーグル製菓/製品ご案内)と題し、下段に「EAGLE CONFECTIONERY」の表示のある表紙、2頁目以下にキャンディ、チョコレート等洋菓子の詰め合わせ写真やその品名ないしコード等の表示、10頁目及び11頁目に製品一覧表と欄外に「0309」表示、裏表紙には、その中央に翼を広げた鷲の図形とやや図案化した「Eagle」の欧文字(以下「鷲図形とEagle」という。)、商標権者の商号及び本店所在地に隣接した住所等の表示などの各記載が認められる。
してみると、該製品カタログ(乙第1号証の1)は、商標権者の取扱いに係るキャラメル、キャンディ、チョコレート等の製品カタログといえるものであるから、本店所在地に隣接した住所地において商標権者により使用されていたということができる。
(2)上述の「EAGLE CONFECTIONERY」の表示及び鷲図形とEagleは、それぞれがカタログに紹介掲載されている商品全ての識別標識としての機能を果たしている商標とみるのが相当であり、また、5頁目の品名「イーグルポット」とするキャンディの詰め合わせとする商品(E-080:商品コード01701)には、「E-A-G-L-E/P-O-T」の表示及び鷲図形とEagleの表示がされており、4頁目の品名「マルーゼ」とするチョコレートとキャンディの詰め合わせ商品(Sマルーゼ(E-100)商品コード04004、他)、6頁目の品名「スイートデラックス」とする商品(商品コード05012)、8頁目の品名「マルーゼ」とする商品(E-030:商品コード01402)等にも鷲図形とEagleが表示されているばかりでなく、9頁目に紹介掲載されている商品においては、品名として「イーグル」と商品名と容易に理解させるものとの組み合わせになる「イーグルアーモンドヌガー」及び「イーグルアーモンドタフィー」の表示もあり、これらは個別商品にも商標として使用しているといえる。
(3)そして、上述の「EAGLE CONFECTIONERY」、鷲図形と組み合わせてなる「Eagle」、「イーグルアーモンドヌガー」及び「イーグルアーモンドタフィー」の各表示が商標法第50条での当該登録商標の使用にあたるかについて判断するに、本件商標は「EAGLE」と「イーグル」の文字とにより構成されるものであり、これと「EAGLE CONFECTIONERY」とは、本件商標の指定商品である洋菓子との関係においては、後者構成中の「CONFECTIONERY」文字が「菓子類の総称、菓子店・菓子工場、砂糖菓子」の意味合いを有し、これが商標の要部でない附記的部分と認識される場合もあり、かかる構成にあって「EAGLE」の文字部分が独立して把握され、該文字部分をもって取引指標と認識されるというべきである。
また、裏表紙や個別商品に使用される鷲図形と組み合わせてなる「Eagle」の文字が、該鷲の図形と常に一体のものとしてのみ捉えなければならない格別の事情もなく、独立して自他商品の識別標識として機能するものであり、本件商標との関係にあっては、その構成中「Eagle」の文字自体が商標の使用ということができる。
さらに、「イーグルアーモンドヌガー」及び「イーグルアーモンドタフィー」の各表示においても、「イーグル」以下の「アーモンドヌガー」又は「アーモンドタフィー」の文字部分は商品名を容易に理解させ、これが商標の要部でない附記的部分と認識される場合もあり、かかる構成にあって「イーグル」の文字部分が独立して把握され、該文字部分をもって取引指標と認識され、「イーグル」の文字自体が商標の使用といえるものである。
(4)以上の鷲図形又は商標の要部でない附記的部分と認識されるものとの組み合わせになるそれぞれの「EAGLE」、「Eagle」及び「イーグル」の各商標は、「EAGLE」と「イーグル」の各文字を併記してなる本件商標とは、片仮名文字又は欧文字の使用であり、その構成態様において異なる点があるとしても、それぞれから生ずる称呼及び観念(鷲)を同じくするものであって、商標本来の機能である自他商品識別標識としての実質的差異はないから、本件商標と社会通念上同一ということができる。
また、製品カタログに掲載の「キャラメル、キャンディ、チョコレート等の洋菓子」は、審判請求に係る商品に含まれるものである。
(5)乙第2号証の1は、上述の製品カタログ(乙第1号証の1)と表紙、裏表紙、2頁目以下にキャンディ、チョコレート等洋菓子の詰め合わせ写真やその品名ないしコード等の表示、6頁目下段及び7頁目に製品一覧表とすものであり、紹介掲載されている商品においては異なるもののその体裁を同じくし、この製品カタログ(乙第2号証の1)も商標権者の取扱いに係るキャンディ、チョコレート等の製品カタログといえるものであり、表紙下段の「EAGLE CONFECTIONERY」の表示及び裏表紙の中央に鷲図形とEagleの欧文字ほか、2頁目の品名「270gプチチョコレート」とするチョコレートの詰め合わせ商品(商品コード01601)には、包装袋に「EAGLE CONFECTIONERY」の表示、その他商品の包装袋に鷲図形とEagle、これに「CONFECTIONERY」を表示したもの、やや図案化した「Eagle Assorted」の表示、「イーグルキャラメルファッジ」や「イーグル/バターボール」などが表示されており、これらの鷲図形又は商標の要部でない附記的部分と認識されるものとの組み合わせになるそれぞれの「EAGLE」、「Eagle」及び「イーグル」の文字部分は上述(3)と同様に独立して把握され、該文字部分をもって取引指標と認識され、製品カタログに係る「キャラメル、キャンディ、チョコレート等の洋菓子」への商標の使用ということができるから、上述(4)と同様に使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められ、かつ、製品カタログに掲載の商品は審判請求に係る商品に含まれるものである。
2. 使用時期について
(1)乙第1号証の2は、平成15年10月7日付け納品書(控)であり、商品名の欄及びその他の記載事項から、上述のキャラメル、キャンディ、チョコレート等の製品カタログ(乙第1号証の1)を大阪市都島区在の株式会社大協から商標権者宛にその日付をもって、6,000冊が納品されたということができる。そして、かかる日付は、本件審判請求の登録前3年以内に該当する。
(2)乙第2号証の2は、平成13年10月31日付け納品書(控)であり、商品名の欄及びその他の記載事項から、上述のキャラメル、キャンディ、チョコレート等の製品カタログ(乙第2号証の1)を大阪市都島区在の株式会社大協から商標権者宛にその日付をもって、6,000冊が納品されたということができる。そして、かかる日付は、本件審判請求の登録日(平成17年7月21日)の3年前であるとしても、一つのカタログを数年に亙って使用することはあり得るものであって、当該製品カタログを本件審判請求の登録日(平成17年7月21日)の3年以内に亙り継続して使用していないといい難く、かつ、これを否定し得る証拠方法がない以上、その使用を認めざるを得ない。
(3)乙第3号証の1、2は、2003(平成15)年12月8日付け「1.売上伝票」と「6.納品受領書」であり、商品コード欄、品名欄及びその他の記載事項から、上述のキャラメル、キャンディ、チョコレート等の製品カタログ(乙第1号証の1、乙第2号証の1)に掲載された商品(商品コード 01701/品名 イーグルポット、商品コード 01601/品名 プチチョコ 他)を東大阪市大蓮北在の株式会社折目と商標権者の間でその日付をもって、商取引されたということができる。そして、かかる日付は、本件審判請求の登録前3年以内に該当する。
(4)乙第4号証の1、2は、2004(平成16)年10月12日付け「1.売上伝票」と「6.納品受領書」であり、商品コード欄、品名欄及びその他の記載事項から、上述のキャラメル、キャンディ、チョコレート等の製品カタログ(乙第1号証の1)に掲載された商品(商品コード 04004/品名 マルーゼ)を大阪市浪速区在の株式会社丹波屋本舗と商標権者の間でその日付をもって、商取引されたということができる。そして、かかる日付は、本件審判請求の登録前3年以内に該当する。
(5)乙第5号証の1、2は、2005(平成17)年4月6日付け「1.売上伝票」と「6.納品受領書」であり、商品コード欄、品名欄及びその他の記載事項から、上述のキャラメル、キャンディ、チョコレート等の製品カタログ(乙第1号証の1)に掲載された商品(商品コード 01413/品名 キャラメルファッジ、商品コード 05012/品名 スイートデラックス 他)を大阪市平野区在の株式会社やぢと商標権者の間でその日付をもって、商取引されたということができる。そして、かかる日付は、本件審判請求の登録前3年以内に該当する。
3.まとめ
以上のとおり、商標権者は、本件商標と社会通念上同一といえる商標を使用した、同人の取り扱いに係るキャラメル、キャンディ、チョコレート等の製品カタログをもって、本件審判請求の登録前3年以内に大阪市在の各顧客との間で、本件審判請求に係る商品に含まれる「キャラメル、キャンディ、チョコレート」について商取引をしていたというべきである。
なお、請求人は、当該製品カタログに表示されている商標については、本件商標とは社会通念上同一とはいえないものである旨述べている。しかし、商取引の実際において登録商標を適宜に変更が加えられて使用するのがむしろ通常であり、上述1.の認定・判断は、商標法50条のカッコ書きの趣旨に即したものである。また、請求人は、当該製品カタログは商標権者に納品されたことのみであって、展示又は頒布等されたことを証明するものではない旨述べている。しかし、一般に各種の企業が自らの取り扱いに係る商品について、製品カタログを作成するのは商品の販売促進に資するためのものであって、当然に各顧客に頒布し使用されるものである。そうすると、当該製品カタログもその納品部数からして頒布、使用されているというべきであり、上述2.の認定・判断とおり、当該製品カタログに掲載された商品の取引があったことは、取引書類との商品コード、商品名の一致等により明かであるから、これらの点に関する請求人の主張は採用できない。
したがって、被請求人は、商標権者が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件商標の指定商品中「キャラメル、キャンディ、チョコレート」について使用していたことを証明し得たものといえるものであるから、結局、本件商標の登録は、商標法第50条の規定によりこれを取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-02-27 
結審通知日 2006-03-03 
審決日 2006-03-14 
出願番号 商願平7-48974 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (030)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 茂久松本 はるみ 
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 井岡 賢一
中村 謙三
登録日 1997-11-28 
登録番号 商標登録第3362467号(T3362467) 
商標の称呼 イーグル 
代理人 吉武 賢次 
代理人 藤田 邦彦 
代理人 宮嶋 学 
代理人 宮城 和浩 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 福田 進 
代理人 藤田 典彦 
代理人 塩谷 信 
代理人 宇梶 暁貴 

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