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審決分類 審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない Y14
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない Y14
管理番号 1141503 
審判番号 無効2005-89129 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-09-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-10-03 
確定日 2006-07-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4786222号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4786222号商標(以下「本件商標」という。)は、「GENEVE YACHT CLUB」の欧文字を標準文字により書してなり、平成16年1月6日に登録出願、第14類「貴金属,貴金属製宝石箱,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製コンパクト,貴金属製靴飾り,時計,貴金属製喫煙用具」を指定商品として、平成16年7月9日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、欧文字「GENEVE YACHT CLUB」と書してなるものであるが、格別に書体を図案化したものでもなく、単に横に連続したにすぎない。
これらの欧文字は、一般に広く知られ、今日では日本語化したといえる英単語の「YACHT」及び「CLUB」の前に「GENEVE」を付したものである。
この「GENEVE」は、もとよりフランス語の「GENEVE」(すなわち、英語表記では「GENEVA」)としか考えられないこと、また、スイス国の極めて著名な地名であることも明らかである。
本件商標の構成中「GENEVE」の文字は、商標法第3条第1項第3号に明記されている「商品の産地表示」と理解される。
したがって、本件商標が、上記スイス国ジュネーブにおいて製造された商品以外の商品に使用された場合には、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標である。
さらに、上記結果として、本件商標は、別の見地からすれば、経済秩序等を破壊するものともいえるため、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号及び同第7号に該当する。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)被請求人は、「GENEVE YACHT CLUB」は、「ジュネーブのヨットクラブ」を表示すると理解されるから、指定商品に付されても、該商品は、ジュネーブヨットクラブ由来のものであることをイメージさせることになると述べているが、該由来のなる意味こそは、商品の出所を示すものである。
本件商標中の「GENEVE」(ジュネーブ)は、後述するように「ジュネーブ」という地名が商品との関係で著名である事実より、本件商標は、同時に該「ジュネーブ」に由来することをイメージさせる。
すなわち、本件商標が商品に付された場合には、看者は、スイス国の著名な地名「GENEVE」に由来すると、あるいは密なる関係ないし何らかの関連を有するものであるとイメージ、認識する。
(イ)被請求人は、時計の産地として、スイス国は著名であることは認めるが、ジュネーブは、著名ではないと述べているが、全くの独断、また無根拠である。
甲第1号証として提出する「スイス時計産業の歴史」で明らかなように、スイスの時計産業はジュネーブにおいて、すでに16世紀に始まっているのである。
被請求人は、「ジュネーブ」が、時計のどのような品質を示すのか不明であるから、品質誤認を生じないので、商標法第4条第1項第16号に該当しないとも述べているが、前述したように、また、提出する甲第1号証ないし甲第3号証で明らかなように、ジュネーブ製の時計は、その極めて長い歴史からも、また、その技術的な有能さからも、全世界的に、高級時計の代名詞ともなっていること明らかである。
したがって、「GENEVE」、「ジュネーブ」が付された時計の取引者、一般需要者は、時計の性能の優秀性、高級性、高価性を具備した商品であると認識する。
なお、甲第2号証として、例示的に、スイス国ジュネーブに本社を置くいくつかの著名な時計製造業者のリスト、及び甲第3号証の1ないし20として、それらのうち20社のカタログの一部を提出し、これらによるだけでも、ジュネーブが時計の産地として著名であることが容易に理解されるはずであって、被請求人の答弁は、全く根拠を有さないこと明らかである。
(ウ)請求人は、文字「GENEVE」は、本来的には、商標法第3条第1項第3号中の記載「産地」に該当するとのみ述べているのであって、該条項の規定に該当するとして無効の主張をしているものでないから、被請求人の答弁は、全く的を得ない。
(エ)以上述べた点により、本件商標は、品質の誤認を生じるおそれが極めて大きく、したがって、業界の秩序全体を害するおそれも、また極めて大きいから、商標法第4条第1項第7号にも該当することとなる。
(オ)本件商標の全ての指定商品は、今日の取引ないし販売ルートが時計と同一である実情に鑑みれば、商品品質の誤認のおそれは、単に時計にとどまらず、全指定商品について同様である。
(カ)また、参考までに、請求人の調査によれば、本件商標が付された時計は、インターネット上にて、極めて安価で販売されている事実が判明しており、社会的にも大きな問題となっていることを参考資料1として提出する。
(キ)被請求人は、平成11年以降、被請求人により本件商標を使用した結果、すでに保護すべき業務上の信用及び顧客吸引力が化体しているとも述べている。しかしながら、たかだか数年間の使用で、主張するような事実が生じているとは考えることができない。
(3)むすび
以上のように、本件商標は、その指定商品につき、「スイス国ジュネーブ製の」という限定がなされていない以上、本件商標が、指定商品「時計」のみならず、指定商品の「いずれについても」使用されるならば、本件商標は、直ちに品質誤認を一般に与えることとなる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当し、ひいては公の秩序等を害することになるため、同第7号にも該当し、その登録は無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、その証拠として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
(1)本件商標は、「GENEVE YACHT CLUB」であり、スイス国ジュネーブのフランス語である「GENEVE」と、軽快な競争(スポーツ)用の小型帆船を意味する英語「YACHT」と、趣味、娯楽、研究、運動など共通の目的を持つ人の集まり(同好会、倶楽部)を意味する英語の「CLUB」を結合させたものであり、ジュネーブの競争小型帆船(ヨット)のクラブ(倶楽部又は同好会)を表示するものとして理解、認識されるものである。
したがって、本件商標が指定商品に付された場合には、この商品が、ジュネーブの競争用小型帆船のクラブ(ジュネーブヨットクラブ)由来のものであることをイメージさせることになり、スイス国ジュネーブ製であると理解、認識されることはない。
しかも、地名である「ジュネーブ」は、日本では国際連合のヨーロッパ本部、国際労働機関(ILO)、世界保健機構(WHO)等の専門機関や国際機関が設置されている場所として著名であり、一般の需要者において、時計の産地としての認識はあまりないのが現状である。
(2)請求人の主張について
(ア)請求人は、本件商標構成中の「GENEVE」は、商標法第3条第1項第3号に明記されている「商品の産地表示」であるとするが、本件商標は、「GENEVE」のみからなる標章でないから、この規定の要件に該当しない。
(イ)請求人は、本件商標が、スイス国ジュネーブにおいて製造された商品以外について使用された場合は、「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」であるとするが、ジュネーブは、一般需要者にとって時計の産地としての認識が薄く、また、ジュネーブが時計のどのような品質を示すのかも不明であり、本件商標が商標法第4条第1項第16号に該当することはない。
(ウ)請求人は、経済秩序等を破壊するから、商標法第4条第1項第7号にも該当するとするが、本件商標は、産地表示に該当せず、品質の誤認を生じさせることもなく、公の秩序等を害するおそれがないことは明らかである。
(エ)請求人は、スイス国ジュネーブが全世界的に著名な時計の生産地であるという事実を良識をもって考えてほしいとするが、時計の生産地として、スイスが著名であることは認めるが、ジュネーブが全世界的に著名であることは認め難い。
(3)本件商標の登録前の被請求人の同一文字登録商標
被請求人は、本件商標の登録出願前に、乙第2号証の登録第2457149号商標(旧々々23類、平成4年9月30日登録、同14年9月30日存続期間満了)を平成11年10月15日に商標権譲渡により取得している。この登録商標は、本件商標と同一の文字で構成されている、したがって、本件商標の「GENEVE YACHT CLUB」は、平成4年から商標権として存在し、また少なくとも平成11年以降は、被請求人より使用されている結果、当該登録商標には、すでに保護すべき業務上の信用及び顧客吸引力が化体しており、これらのことも考慮されるべきである。
したがって、本件商標権に無効理由は存在しない。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、前記のとおり、「GENEVE YACHT CLUB」の文字よりなるところ、その構成文字は、スイス国南西部の地名ジュネーブを指称する「GENEVE」、スポーツ用の小型の帆船(ヨット)の意味を有する「YACHT」、趣味、娯楽、研究、運動(スポーツ)など共通の目的をもつ人の集まり(同好会、倶楽部)の意味を有する「CLUB」の各文字を結合してなると理解されるものである。
ところで、趣味、娯楽、研究、運動(スポーツ)など共通の目的をもつ人の集まり(同好会、倶楽部)は、その集まりの地域、所在の場所等を特定表示し、かつ、その同好会、倶楽部の内容を具体的に表示し、一名称として普通一般に採択使用されていることは周知の事実である。
してみれば、本件商標を構成する「GENEVE YACHT CLUB」の文字よりは、「スイス国のジュネーブを本拠とするスポーツ用の小型の帆船(ヨット)の同好会、同倶楽部」を表示した名称として、理解、認識されるとみるのが相当であって、本件商標をその指定商品に使用しても、本件商標に接する取引者、需要者をして、「スイス国ジュネーブ製の商品」であると理解、認識するものとは認められないというべきである。
そうとすれば、本件商標をその指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じるおそれはないものといわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
請求人提出に係る甲各号証によれば、ジュネーブにおいて時計が製造されている事実は認め得るとしても、本件商標は、前記(1)で認定したとおり、同好会、倶楽部の一名称として理解、認識されるというのが相当である。
そうすると、本件商標は、経済秩序等を破壊し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいい難いものである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第16号及び同第7号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-02-14 
結審通知日 2006-02-17 
審決日 2006-02-28 
出願番号 商願2004-500(T2004-500) 
審決分類 T 1 11・ 272- Y (Y14)
T 1 11・ 22- Y (Y14)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 佐藤 松江 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 寺光 幸子
伊藤 三男
登録日 2004-07-09 
登録番号 商標登録第4786222号(T4786222) 
商標の称呼 ジェネーブヨットクラブ、ヨットクラブ 
代理人 畠山 隆 
代理人 緒方 保人 
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