• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y30
管理番号 1141490 
審判番号 不服2003-24765 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-22 
確定日 2006-07-10 
事件の表示 商願2003-8525拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「割烹仕立て」の文字を横書きしてなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成15年2月6日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における平成15年9月29日付けの手続補正書により、第30類「調味料」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、「割烹仕立て」の文字を書してなるものであるところ、「割烹」の文字は「(切ったり煮たりして)食べ物を(和風に)料理すること」を意味する文字であり、「仕立て」の文字は「工夫してこしらえること」を意味する文字であり、両者を結合してなる「割烹仕立て」の文字は「割烹の味を(に)工夫してこしらえた商品あるいはこしらえるための商品」を意味する語として広く親しまれ採用されている文字であるから、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、上記意味合いの商品であるという、単に商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品識別標識として機能し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における職権証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、「割烹仕立(て)」、「割烹」及び「仕立て」の各文字について、次の事実(1ないし3)が認められるとして、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に通知(平成18年2月27日付け)し、意見を求めた。
1 「割烹仕立(て)」の文字について
(1) 1994年9月23日付けの日本食糧新聞には、「味噌特集 静岡地区=昨年並みへ意欲 低価格がエスカレートか」の見出しの下に、「…あるスーパーは、味噌フェアと銘打って特級田舎みそ二八八円、米こうじみそ同、おみそやさん同、カップ信濃育ち二九八円、カップ割烹仕立て三九八円などを打ち出している。…」との記載がある。
(2) 1995年8月2日付けの日刊工業新聞には、「ヒガシマル醤油、業界初の煮物専用粉末調味料を9月発売」の見出しの下に、「…業界初の煮物専用粉末調味料「割烹(かっぽう)仕立て煮物の素=写真」を九月一日発売する。…」との記載がある。
(3) 1997年8月11日付けの日本食糧新聞には、「中埜酢店、鍋用調味料「ミツカン味なべ」など25日から発売」の見出しの下に、「…「追いがつお昆布白だし四〇〇ミリリットル」(同一二×二、同三二〇円)は、ミツカンの特徴である“追いがつお製法”で仕上げただしが決め手の割烹仕立ての調味料。…」との記載がある。
(4) 1999年4月9日付けの日本食糧新聞には、「「ねりごま300g<高級割烹仕立て>」業務用発売(かどや製油)」の見出しの下に、「…「ねりごま三〇〇g(高級割烹仕立て)」を新発売した。…」との記載がある。
(5) 2002年10月2日付けの日本食糧新聞には、「「創作しゃぶ 豚しゃぶのつゆ 和風だし仕立て」発売(モランボン)」の見出しの下に、「…▽「割烹仕立て 寄せ鍋スープ 〈うすくち醤油味〉」「同 寄せ鍋スープ〈白みそ味〉」は、利尻昆布だしと枕崎産鰹節だしに、まろやかなうまみの鯛だしを加えてうすくち醤油で仕上げたうすくち醤油味と、白味噌で仕上げた白味噌味の2品。…」との記載がある。
(6) 「自然食品ポケットクラブ」のウェブページ(http://www.pocket-club.co.jp/shop/item/150082.html)には、「…金笛醤油 春夏秋冬だしの素・割烹仕立うすいろ(P・B) 1L…」との記載がある。
2 「割烹」の文字について
(1) 「広辞苑第5版」(株式会社岩波書店 1998年11月11日第5版第1刷発行)には、「かっぽう【割烹】」の項に「(肉を割さき烹にる意から) 食物の調理。多く日本料理にいう。」との記載がある。
(2) 「改訂 調理用語辞典」(社団法人全国調理師養成施設協会 平成10年12月25日改訂版第1刷発行)には、「かっぽう【割烹】」の項に「食物を調理すること。割は材料を切る,烹は火をもって煮るという意味の字である。江戸時代後期にできた高級料理店などでこのことばが用いられるようになり,その後日本料理店自体も割烹の名で呼ぶようになった。」との記載がある。
(3) 1988年5月17日付けの読売新聞(東京朝刊)には、「本醸造高級割烹しょうゆ キッコーマンが発売」の見出しの下に、「キッコーマンは16日から高級割烹(かっぽう)しょうゆ「本膳(ほんぜん)」を発売した。蔵出しそのままの色、味、香り、風味を大切にした生粋の本醸造しょうゆで、素材の持ち味を大切にする日本料理に適している。…」との記載がある。
(4) 1995年7月14日付けの日本食糧新聞には、「九州地区つゆ特集・各社動向 フンドーダイ=4種の液体調味料新発売」の見出しの下に、「…同社も、総合食品メーカーへと商品開発を進めているが、これらのつゆのほか、とくに液体調味料の商品の幅が広がっている。ポン酢、割烹だし、三杯酢「酢のものの酢」などがあり…」との記載がある。
(5) 1998年2月25日付けの日本食糧新聞には、「キッコーマン、本みりんと鰹節生かし「割烹さしみしょうゆ」など発売」の見出しの下に、「…「割烹さしみしょうゆ」は、…開発に当たり、国内のさしみ醤油の八〇%以上が西日本地区で消費されていることに注目。それを探っていくと、関西の高級割烹がさしみに使用している秘伝の味にたどりついた。…」との記載がある。
(6) 1999年2月19日付けの日本食糧新聞には、「たっぷりの鯛だし「クッキング-白だし」発売(宝酒造)」の見出しの下に、「…同商品は、薄めるだけで割烹の淡色料理が手軽にできる本みりん加工調味料。…」との記載がある。
(7) 1999年8月13日付けの日本食糧新聞には、「梵珠百水仕込み「割烹の白みそ」など発売(かねさ)」の見出しの下に、「…カップ詰味噌(七五〇g)は、「割烹の白みそ」「同赤みそ」「同合わせみそ」「同みそ天然だし入り」「同赤だしみそ」。いずれも鰹だしを主体にしただし入りで、ナチュラルミネラルウオーター“梵珠百水”で仕込んだ(赤だしを除く)本格割烹の味‐‐がうたい文句。…」との記載がある。
(8) 1999年11月26日付けの日本食糧新聞には、「鍋物調味料特集、ヒガシマル醤油、楽しみは中華火鍋つゆ」の見出しの下に、「…順調に伸びる「白だし」市場をにらんで京風割烹「白だし」ほんしろ・白だしの素(三六〇ミリリットル)を、うすくちのヒガシマルがおくる「白だし」の決定版として強力展開している。…」との記載がある。
(9) 2001年5月3日付けの産経新聞(東京朝刊)には、「【こだわりの調味料】しょうゆ キレがいい濃口、うまみのある白」の見出しの下に、「…濃口しょうゆ「割烹大吟醸」720ミリリットル入り2000円。…」との記載がある。
(10) 2002年11月20日付けの日本食糧新聞には、「鍋物調味料特集:主要メーカー動向=ヤマキ」の見出しの下に、「…秋冬調味料群は基幹商品「めんつゆ」「割烹白だし」、鍋物専用タイプ「地鶏だし鍋つゆ」シリーズを三本柱に展開。…」との記載がある。
(11) 「ヤマキ」のウェブページ(http://www.yamaki.co.jp/syohin/catalog1-3.html)には、「割烹」の文字を商品ラベルに付した商品「白だし」の画像と、その横に「…ご家庭で本格割烹の味。 割烹白だし 選び抜いた鰹節に、薄口醤油をあわせ、だしの旨味を効かせた「割烹白だし」 薄めてお料理に使うだけで、食材の持ち味と色と引き立てて、まるでプロが作ったような本格料理が、簡単に食卓で再現できる「手軽さ」が特長です。…」との記載がある。
(12) 「【楽天市場】」のウェブページ(http://www.rakuten.co.jp/kushimania/594739/)には、「割烹」の文字を商品ラベルに付した商品「白だし」の画像と、その横に「…お手軽に本格割烹の味を!天然だしの旨味が決め手「白だし」…」及び「…本格割烹の味を薄めるだけで味わえます。…」との各記載がある。
(13) 「窪田味噌醤油株式会社」のウェブページ(http://www.kubota-noda.co.jp/lineup/index_k.shtml)には、「割烹」の文字を商品ラベルに付した商品「白だし」の画像と、その横に「…本醸造特級淡口醤油に、みりん、かつお節、昆布、椎茸のだしなどをプラス。本格的な京風割烹の味をご家庭でも。…」との記載がある。
3 「仕立て」の文字について
(1) 「広辞苑第5版」(株式会社岩波書店 1998年11月11日第5版第1刷発行)には、「したて【仕立て】」の項に「工夫してこしらえること。故意に作りあげること。」との記載がある。
(2) 「改訂 調理用語辞典」(社団法人全国調理師養成施設協会 平成10年12月25日改訂版第1刷発行)には、「したて【仕立て】」の項に「主に汁物に用いることば。どのような味つけにしたのか,またどのように作ったかを示す。みそ仕立て,すまし仕立て,スッポン仕立てなどがある。」との記載がある。

第4 証拠調べ通知に対する意見
請求人は、「本願商標について、本件審判請求書の【請求の理由】中に挙げた登録例との間に、審査基準の適用に関し、不公平があるのではないか、と主張しており、したがって、過去の使用例などではなく、請求人が例示した過去の登録例に対する審査基準と、本願商標に対する審査基準との間に、何故に差違があるのか、その合理的、論理的な説明をすべきである。今回、審判長は、「割烹仕立て」に関する証拠を提示している。ならば、請求人が例示した過去の登録例については、すべて品質表示としての事例がないことを立証すべきである。請求人が求めるのは、審査基準を曲げることではない。公平な審査基準の適用である。」旨意見を述べた。

第5 当審の判断
1 本願商標は、上記のとおり、「割烹仕立て」の文字よりなり、指定商品を第30類「調味料」とするものである。
2 そして、本願商標に関して行った上記第3の職権証拠調べの結果によれば、「割烹」と「仕立て」の文字(語)を結合した「割烹仕立て」の文字からは、「日本料理店が作るような割烹の味つけにした」といった程度の意味合いを容易に看取させるものと認められ、また、本願商標の指定商品である「調味料」を取り扱う業界では、「割烹」の文字(語)が、通常、「割烹の味」程の意味合いで普通に使用されているばかりでなく、「割烹仕立て」ないし「割烹仕立」の文字も商品名中や商品の説明書きで普通に使用されていることが認められる。
そうすると、「割烹仕立て」の文字からなる本願商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者・需要者に、本願商標がその商品の品質を表示するものと認識され得るものであり、かつ、本願商標は、前記商品の取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわなければならない。
3 証拠調べ通知に対する請求人の意見について
請求人は、上記第4のとおり、本願商標について、本件審判請求書の【請求の理由】中に挙げた登録例との間に、審査基準の適用に関し、不公平がある旨主張する。
しかし、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に当たるものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるものであって、請求人が例示する過去の登録例が存在することのみによって、本願商標が同号に該当することを否定することはできず、また、本願商標についての同号該当性の判断が、かかる過去の登録例に拘束されるものでもない(平成12年(行ケ)第76号事件 東京高裁平成12年9月4日判決言渡参照)。また、登録された商標が、事後に、登録異議の申立てによって取り消され、あるいは審決によって無効とされることもあり得るのであるから、請求人が例示する過去の登録例があることをもって、本願商標の登録を拒絶することが公平性を欠くことになるということもできない(平成16年(行ケ)第196号事件 東京高裁平成16年11月25日判決言渡参照)。したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。
4 むすび
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-05-09 
結審通知日 2006-05-11 
審決日 2006-05-23 
出願番号 商願2003-8525(T2003-8525) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 田村 正明
水茎 弥
商標の称呼 カッポーシタテ、カッポージタテ 
代理人 大橋 弘 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ