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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 010
管理番号 1139713 
審判番号 取消2005-31158 
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-08-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-09-16 
確定日 2006-06-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第4310839号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4310839号商標(以下「本件商標」という。)は、「レックス」の片仮名文字を横書きしてなり、平成8年9月3日に登録出願、第10類「医療用の補助器具及び矯正器具」を指定商品として、同11年9月3日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
(1)請求の理由
請求人は、本件商標の指定商品「医療用の補助器具及び矯正器具」について、あらゆる方向から調査しても、継続して3年以上日本国内において本件商標が被請求人により使用された事実を見出せない。
さらに、被請求人以外の者が被請求人から本件商標の指定商品について専用使用権または通常使用権の許諾を受けて、本件商標を本件審判請求前に継続して3年以上日本国内において使用した事実も認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、全指定商品について取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)乙第1号証の案内状は、平成9年4月の日付が付されており、平成9年4月には、取引先に頒布されたとしても、本件審判請求の登録前3年以内(平成14年10月12日以降)の登録商標の使用を何ら立証することはできない。
(イ)乙第2号証の商品カタログには、印刷日など日付を示す表示が一切ない。したがって、この商品カタログが仮に過去の一時期に頒布されたとしても、本件審判請求の登録前3年以内に頒布されたという事実はうかがい知れない。また、乙第3号証の稟議書写しに記載されているような事実は、あくまで平成9年6月当時のことであり、平成14年10月12日以降のことではないから、乙第2号証及び乙第3号証によっても本件審判請求の登録前3年以内の登録商標の使用を何ら立証することはできない。
(ウ)乙第4号証の商品パッケージの写真及び乙第5号証の梱包箱の写真も日付が全く表れていないから、乙第4号証及び乙第5号証によっても本件審判請求の登録前3年以内の登録商標の使用を何ら立証することはできない。
なお、乙第4号証の写真を詳細に検討すると、他の乙号証において本件商標「レックス」が記載されているときは、必ず「TM」なる記号が「レックス」の右上または右下に小さく表されているにもかかわらず、乙第4号証の写真において、突然、商標「レックス」の後ろに「アール(マル)」なる記号が付されており、これは、乙第4号証が本件審判請求後に急造されたものではないかと疑わせるに十分である。
(エ)乙第6号証の「レックス販売実績」は、被請求人のコンピュータ台帳から印刷したものであり、第三者により客観的に証明されたものではない。したがって、2002年、2003年には販売実績が0でありながら、2004年に「胸部固定帯」が3個だけ販売されたとすることも俄に信ずることはできない。
(オ)乙第7号証及び乙第8号証だけでは、商標「レックス」が付された商品「胸部固定帯」が各1個のみ実際に販売されたのか、また、その販売がはたして乙第6号証における販売実績の一つであるのかは、必ずしも明確であるとはいえない。加えて、乙第8号証には、売上金額が表れていないので、販売であったかどうかもわからない。無償の譲渡であれば、商標法上の商標の使用でないおそれもある。
もし仮に、被請求人のいうように、2004年に3件の使用があったと仮定しても、かかる僅少な使用によっては、業務上の信用の蓄積があったとは到底いえない。このような僅少な、いわば名目的ともいうべき使用によっては、業務上の信用が発生するとは考えられないのであって、また、仮に発生していたとしても、その後も実質的に不使用であれば維持すべき業務上の信用も最早失われてしまい、かかる商標を商標法上保護すべきいわれは全くないものと言わざるをえない。
(カ)以上、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により取消請求に係る指定商品について使用されたものとはいえないものである。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出している。
被請求人は、指定商品「医療用の補助器具及び矯正器具」に含まれる商品「胸部固定帯」について、本件商標とともに社名を付し、本件審判の請求日である平成17年9月16日以前の少なくとも平成9年4月1日から現在に至るまで継続的に使用している。
(1)乙第1号証は、「胸部固定帯『レックス』新発売のお知らせ」と題する案内状であり、商品販売については平成9年4月1日よりとあり、本件商標は、商品「胸部固定帯」について、少なくとも平成9年4月1日から使用されているといえる。
(2)乙第2号証は、商品「胸部固定帯」についての商品カタログであり、「胸部固定帯」に本件商標「レックス」が付されている事実が明確に示されている。また、乙第3号証は、上記商品カタログの発注先である共同コミュニケーション株式会社に商品カタログの増刷を依頼するための社内稟議書の写しである。これらにより、販売当初から稟議書提出時(平成9年6月1日)までの間に、被請求人の精力的な使用状況が推認され、事実、被請求人は、上記商品カタログを取引先各社に頒布し、販売当初のみならず現在に至るまでその販売努力を継続的に行っている。
(3)乙第4号証は、商品「胸部固定帯」について、本件商標を被請求人の名称とともに付した商品パッケージの写真である。また、乙第5号証は、上記商品パッケージを取引先へ搬送するのに用いられている梱包箱の写真である。
(4)乙第6号証は、被請求人のコンピュータ台帳から印刷した「レックス販売実績表」である。2000年(平成12年)から2004年(平成16年)の販売実績が示されており、本件商標は、本件審判請求の登録の日より3年以内である平成16年に、本件商標が付された商品を販売したという使用の事実が明確に示されている。
(5)乙第7号証の1及び2は、上記「レックス販売実績表」の2004年(平成16年)における販売先の一つである株式会社ムトウ東京SPDセンターへの納品書(控)の写し(納品日:2004年2月13日)及びその受領書の写し(受領日:2004年2月13日)である。また、乙第7号証の3は、株式会社ムトウSPDセンター(株式会社ムトウ物流)のインターネットウェブサイト上での会社概要である。
(6)乙第8号証は、上記「レックス販売実績表」の2004年(平成16年)における販売先の一つであるひかり整骨院の受領書の写し(受領日:2004年4月22日)である。
なお、「レックス販売実績表」(乙第6号証)に示されているように、本件商標が付された商品「胸部固定帯」は、販売当初(平成9年)から2000年(平成12年)頃までは順調に販売実績を伸ばしていたものの、2001年(平成13年)にはその販売実績がふるわず、2002年(平成14年)には販売実績0、そして、昨年(2005年;平成16年)には僅かに3箱(30枚)の販売実績に止まっている。
しかし、被請求人は、現在も商品「胸部固定帯」について本件商標を継続的に使用しており、その使用意志は、今後も、そして、将来に向かって些かも変わることはない。
(7)以上、乙第1号証ないし乙第8号証により提示した証拠物件により、その使用の事実は明確に立証されたものと思料する。

4 当審の判断
(1)乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第1号証は、平成9年4月付の「胸部固定帯(メッシュタイプ)『レックス』新発売のお知らせ」と題する案内状であり、「このたび胸部固定帯(メッシュタイプ)『レックス』を下記のとおり新発売させていただくことになりました。」との記載のもとに、商品名として「レックス」の表示があり、規格の欄には、商品コード・種類として「033240 フリー」と「033246 XL」の2種類がその詳細とともに表示されており、その他に、価格設定、特長、保険適用の表示があり、発売時期として「平成9年4月1日(火)より」と記載されている。
乙第2号証は、商品カタログであり、「胸部固定帯(メッシュタイプ)」の表示とともに「レックス」の商標が表示されており、商品を体に装着した写真、商品の特長、素材、保険適用や使用上の注意等が記載されており、規格の欄には、商品番号・サイズとして「033240 フリー」と「033246 XL」の2種類がその詳細とともに記載されている。
乙第3号証は、平成9年6月3日付の「稟議書」と題する書面であり、商品カタログの増刷の承認を求める被請求人の社内における稟議書と認められるものであって、「単品カタログ制作(増刷)/対象商品名:胸部固定帯『レックス』」等の表示が記載されている。
乙第4号証は、「胸部固定帯」の商品パッケージの写真と認められるものであり、透明のパッケージ(包装袋)内に胸部固定帯が収納されており、パッケージの表面には「レックス」の表示とともに「胸部固定帯(メッシュタイプ)」の表示があり、裏面には、商品番号として「033240」と「033246」の2種類がその詳細とともに記載されており、その他に、商品の特長、装着方法、使用上の注意等が記載されている。
乙第5号証は、上記商品の梱包箱の写真であり、「レックス」の表示とともに「メッシュタイプ/胸部固定帯」の表示が記載されている。
乙第6号証は、被請求人のコンピュータ台帳から印刷した「レックス販売実績表」と認められる資料であり、2000年度には「033240(商品コード)、レックス フリー(商品名)」が1914箱、「033246(商品コード)、レックス XL(商品名)」が339箱、2001年度には「033240(商品コード)、レックス フリー(商品名)」が1箱、「033246(商品コード)、レックス XL(商品名)」が4箱、そして、2002年度及び2003年度には販売実績がなく、2004年度には「033246(商品コード)、レックス XL(商品名)」が3箱販売されたことが記載されている。
乙第7号証の1は、納品書(控)の写しであり、被請求人の東京支店が埼玉県越谷市在の株式会社ムトウ東京SPDセンターへ商品を納品した際に発行した納品書(控)の写しと認められる書面であり、納品日は2004年2月13日、商品コード・商品名欄には「033246/レックス XL」とあり、数量欄には「1」の記載があり、その他の項目として単価、金額等が記載されている。また、乙第7号証の2は、受領書の写しであり、乙第7号証の1に対応する形式の書面であって、単価、金額等の欄は「受領印」欄となっており、「商品受付/16.2.13」の受領印が押されている。
乙第8号証は、受領書の写しであり、乙第7号証の2と同一体裁の書面であることからみれば、被請求人の横浜支店が厚木市在のひかり整骨院へ商品を納品した際に発行した納品書に対する受領書の写しと認められるものであり、納品日は2004年4月22日、商品コード・商品名欄には「033246/レックス XL」とあり、数量欄には「1」等の記載があり、受領印欄には受領者の印が押されている。
(2)上記において認定した乙各号証によれば、被請求人は、本件商標「レックス」を付した「胸部固定帯」の案内状やカタログを被請求人の取引先へ配布するとともに、平成9年4月1日以降、上記商品の販売活動を継続して行っていたものと推認される。
しかして、その販売実績は、ここ数年において急減してはいるが、少なくとも、乙第7号証及び乙第8号証によれば、本件審判の請求の登録(平成17年10月12日)前3年以内である平成16年2月13日には株式会社ムトウ東京SPDセンターへ、また、同年4月22日にはひかり整骨院へ、乙第2号証のカタログに掲載されている商品コード(商品番号)「033246」、商品名「レックス XL」と同じ胸部固定帯をそれぞれ各1箱(10枚)販売したものと認めることができる。
そして、使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一のものであり、使用に係る商品「胸部固定帯」は、本件商標の指定商品である第10類「医療用の補助器具及び矯正器具」に含まれるものである。
(3)請求人の主な反論について
この点について、請求人は、乙第1号証の案内状の日付は平成9年4月であり、本件審判請求の登録前3年以内の登録商標の使用を立証するものではないこと、乙第2号証の商品カタログや乙第4号証の商品パッケージの写真及び乙第5号証の梱包箱の写真には日付を示す表示がないこと、乙第3号証の稟議書は平成9年6月当時の事情にすぎないこと、乙第6号証ないし乙第8号証の書面については、その信憑性に疑問があることを挙げて反論している。
しかしながら、これら乙各号証をそれぞれ単独でみれば、本件審判の要証期間内に本件商標の使用をしていた事実を証明するものとして充分なものとはいえないとしても、乙第1号証の案内状や乙第3号証の稟議書は、当該商品の発売当初の事情を知るに充分なものであり、乙第4号証の商品パッケージの写真や乙第5号証の梱包箱の写真も該商品が販売される際の状態を知るに充分なものである。そして、乙第6号証の販売実績表、乙第7号証の1、乙第7号証の2及び乙第8号証の取引書類に表示されている商品コードや商品名等は、乙第1号証の案内状や乙第2号証の商品カタログに表示されている商品コード(商品番号)や商品名等とも符合しており、乙第7号証の1の納品書、乙第7号証の2及び乙第8号証の受領書についても、全体の体裁からみて、積極的に疑念を抱かせる不自然なところは見当たらず、その成立を否定するに足る証拠も提出されていない。
また、請求人は、2004年に3件の使用があったと仮定しても、かかる僅少な、いわば名目的ともいうべき使用によっては、業務上の信用が発生するとは考えられず、仮に発生していたとしても、その後も実質的に不使用であれば維持すべき業務上の信用も失われてしまい、かかる商標を商標法上保護すべきいわれは全くない旨主張している。
しかしながら、被請求人は、平成9年4月1日以降、本件商標を付した胸部固定帯の販売活動を継続して行ってきたと認められるものであり、現に、本件審判の要証期間内に本件商標を「胸部固定帯」に使用をしていた事実を証明したと認められるものであって、上記した一連の経緯からみれば、名目的な使用とはいえず、また、販売数量が少ないからといって、使用の事実が否定されるものでもない。そして、商標法第50条第2項は、請求人が主張しているようなその余の要件の証明を被請求人に課してはいない。
そうしてみると、請求人の上記主張は、いずれも理由のないものというべきである。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標を取消請求に係る商品に含まれる「胸部固定帯」について使用していたものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-04-27 
結審通知日 2006-05-08 
審決日 2006-05-19 
出願番号 商願平8-98670 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (010)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠司佐藤 達夫 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 澁谷 良雄
久我 敬史
登録日 1999-09-03 
登録番号 商標登録第4310839号(T4310839) 
商標の称呼 レックス 
代理人 秋山 文男 
代理人 大原 拓也 
代理人 朝日奈 宗太 

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