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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z37
管理番号 1139523 
審判番号 取消2005-31106 
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-08-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-09-07 
確定日 2006-06-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4581223号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4581223号商標(以下「本件商標」という。)は、「つばさ」の文字を標準文字で書してなり、平成13年5月1日登録出願、第37類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成14年6月28日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定役務中、第37類『建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事』について登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由として、「本件商標は、その指定商品中の本件審判請求に係る役務について、継続して3年以上日本国内において使用された事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。」旨述べた。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
(1)建築工事一式、土木一式工事、鋼構造物工事、左官工事、大工工事、タイル・れんが又はブロックの工事、塗装工事、内装仕上工事、屋根工事、さく井工事、電気工事などについて
(ア)商標権者(被請求人)である「翼システム株式会社」は、中古車販売ショップの全国チェーンである「リニューカー」事業を展開しており、この事業展開に際しては、その存在価値や役割を社内外に対して明確なものとし、イメージと業務内容の統一を図るべく共通のCI(corporate identity)を採用している(乙第1号証)。
そして、被請求人は、この共通CIを実現する為に、各加盟店に共通の「外照式大型看板」、「ルミネート看板」、「ポールサイン」などを使用しており、これらを設置するための工事を行っている。この点は、乙第1号証のパンフレット中に共通CIとして、上記「外照式大型看板」等が示されており、加盟店において、実際にこれらが設置されていることが明示されていることから、明らかである。
さらに、上記パンフレットに示されているように、共通CIを採用した店舗を施設するには、上記外照式大型看板等の設置工事のみならず、建築工事一式、土木一式工事、鋼構造物工事、左官工事、大工工事、タイル・れんが又はブロックの工事、塗装工事、内装仕上工事、屋根工事、さく井工事、電気工事など、多くの工事も行われている。
(イ)また、被請求人は、自動車などの車検に関する「ヤマト車検」も事業展開しており、この事業においても、各加盟店で共通CIを採用している。そして、この共通CIを実現するために、建築工事一式、土木一式工事、鋼構造物工事、左官工事、大工工事、タイル・れんが又はブロックの工事、塗装工事、内装位上工事、屋根工事、さく井工事、電気工事などを行っており(乙第2号証)、このことは、乙第2号証のパンフレットの第9頁における、各加盟店を「斬新な店舗デザイン」としているとの記載、及び「共通C.I.」として、「お店のイメージをガラリと変え、インパクトのある斬新な近未来店舗デザインに ! 」するとの記載からも明らかである。
さらに、「ヤマト車検」に関しては、乙第3号証中に「ご加入から開業まで」の流れが記されており、この流れの中では、「竣工」を行うことや、「エリア担当者、建築担当者、…などのプロスタッフにより、加入申し込みから開業までフルサポート」することが明記されている。
したがって、これらの記載からも、被請求人は、「建築工事一式、土木一式工事、鋼構造物工事、左官工事、大工工事、タイル・れんが又はブロックの工事、塗装工事、内装仕上工事、屋根工事、さく井工事、電気工事」を行っていることは、明らかである。
そして、上記各パンフレットの表紙左上部には、「TSUBASA」の商標が使用されており、これは本件商標である「つばさ」をローマ字表記したものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標である。
よって、この表紙に明記した商標「TSUBASA」が、商標法第50条第1項における「登録商標」に該当することは、明白である。
また、この乙第1号証及び乙第2号証に示される業務の主体が、「翼システム株式会社」であること、及び乙第1号証に示されている業務が2004年12月において行われ、乙第2号証の発行年月日が2003年6月であることは、各裏表紙に明示されている。
よって、この乙第1号証ないし第3号証から、被請求人は、2004年12月及び2003年6月の時点において、少なくとも、建築工事一式、土木一式工事、鋼構造物工事、左官工事、大工工事、タイル・れんが又はブロックの工事、塗装工事、内装仕上工事、屋根工事、さく井工事、電気工事などについて、本件商標を使用していたことは、明らかである。
(2)機械器具設置工事について
上記のとおり、被請求人は、自動車の販売や整備に関するフランチャイズ展開を行っており、各フランチャイジー(加盟店)が同一の品質を顧客に対して提供できるように、独自の機器を開発し、これを全ての加盟店に設置している。
このような機器としては、乙第2号証のパンフレットに示しているような「高速デジタル診断/検査ライン」(10頁)、軽量板金設備である「ハイスピードピット」(13頁)、「……リモコンスイッチ付き洗浄ガンを使用。業界初のポリマーガンも標準装備して」いる洗車機(14頁)等がある。この内、「高速デジタル診断/検査ライン」に関しては、「ヤマト車検」の店舗に設置した状態を明示しているので、「機械器具設置工事」を行っていることが明らかである。
そして、本件商標を使用していること、乙第2号証に示された業務の主体が、被請求人である「翼システム株式会社」であること、及び乙第2号証の発行年月日が2003年6月であることは、上記のとおりであるので、被請求人が2003年6月の時点において、機械器具設置工事について、本件商標を使用していたことは、明白である。
(3)電気通信工事について
(ア)乙第4号証は、被請求人が頒布している会社案内パンフレットの一部であり、これは、その裏表紙に記載されているとおり、2005年6月に作成されたものである。
さらに、この乙第4号証の表紙には、商標「TSUBASA」が明示されており、これは本件商標である「つばさ」をローマ字表記したものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標である。よって、この表紙に明記した商標「TSUBASA」が、商標法第50条第1項における「登録商標」に該当することは、明白である。
そして、この乙第4号証は、被請求人の業務内容の一部として、「ITソリューション&ネットワークソリューションでお客様のビジネス発展を支援」すること、「中古車/部品流通ネットワークの構築・運営事業」を行っていること、及び「釣具用品情報・玩具情報のPOSシステムの開発」を行っていることを明らかにしており、すなわち、被請求人が、通信・ネットワークシステムの構築を行っていることを明らかにしている。そして、このような通信・ネットワークシステムの構築において、電気通信機械器具その他のハードウェアの使用は必要不可欠であることから、被請求人は、当該通信・ネットワークシステムの構築作業の一環として、電気通信機械器具その他のハードウェアの設置工事も行っている。
このような電気通信機械器具その他のハードウェアを用いて構築される通信システムの具体例は、例えば、乙第5号証に示されており、この中には、POS端末、クライアントPC、サーバー、ハブ、プリンタなどを設置して、通信・ネットワークシステムを構築することが明示されている。
また、乙第6号証は、被請求人が電気通信機械器具を取り扱っていることを明らかにしているので、被請求人は、このような電気通信機械器具を使用し、通信・ネットワークシステムの構築に関する役務を提供していることが明らかである。
以上より、被請求人は、乙第4号証の発行された2005年6月の時点において、電気通信工事について本件商標を使用していたことを証明する。
(イ)乙第7号証は、被請求人が提供している、コンピュータソフトウェア、及びハードウェアの保守作業(「翼保守」)に関するカタログであり、その表紙の左上部には「TSUBASA」の商標が表示され、かつ、中央には「翼」の部分を要部とする「翼保守」の商標が表示されている。
この乙第7号証は、「コンピュータソフトウェア、及びハードウェアの保守」に関するものであって、直接的に「電気通信工事」に関するものではないが、このような保守サービスの提供に際しては、障害が発生した現地に赴き、本体・ディスプレイ、プリンタなどを設置することも行われている。このため、被請求人は、実質的には、この保守サービスの一環として「コンピュータハードウェアの設置」作業も行っており、需要者などからすれば「コンピュータハードウェアの設置」作業について、本件商標を使用していると理解されることも多々あるかと思う。
そして、この乙第7号証に示された役務が、被請求人によって提供されていることや、このカタログの記載内容が2005年7月現在のものであることは、裏表紙に明記されている。
よって、被請求人が、2005年7月において、「コンピュータハードウェアの設置」作業について、本件商標を使用していることは、明らかである。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人である「翼システム株式会社」は、本件審判請求登録前3年以内に、日本国内において、本件商標を、本件審判請求にかかる指定役務中の「建築工事一式、土木一式工事、鋼構造物工事、左官工事、大工工事、タイル・れんが又はブロックの工事、塗装工事、内装仕上工事、屋根工事、機械器具設置工事、さく井工事、電気工事、電気通信工事」について使用している。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものではない。

4 当審の判断
乙第1号証ないし乙第7号証によれば、被請求人は、商標権者が本件審判の請求の登録(平成17年9月30日)前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認め得るところである。
そして、請求人は、前記3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものではない。
審理終結日 2006-04-18 
結審通知日 2006-04-21 
審決日 2006-05-09 
出願番号 商願2001-39938(T2001-39938) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z37)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 田代 茂夫
特許庁審判官 藤平 良二
内山 進
登録日 2002-06-28 
登録番号 商標登録第4581223号(T4581223) 
商標の称呼 ツバサ 
代理人 中村 政美 
代理人 黒沼 吉行 

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