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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y24
管理番号 1139450 
審判番号 無効2004-89009 
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-08-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-04-13 
確定日 2006-04-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4731655号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4731655号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成14年12月24日に登録出願、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト」を指定商品として、同15年10月23日に登録査定がなされ、同年12月5日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用する商標
請求人東京海上火災保険株式会社(以下「請求人」という。なお、東京海上火災保険株式会社は、引用された登録商標の当該登録原簿の記載によれば、平成16年10月26日受付の登録名義人の表示変更により、権利者の表示は「東京海上日動火災保険株式会社」に変更されている。)は、本件商標の登録の無効の理由として、下記の4件の登録商標を引用しており、いずれも、現に有効に存続しているものである。
(a)登録第3244276号商標についての防護標章登録第11号(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成4年9月16日に登録出願され、第40類「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。),裁縫,ししゅう,電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼戻し,溶融めっき,映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真用フィルムの現像,製本」を指定役務として、同9年7月11日に設定登録されたものである。
(b)登録第3244276号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月16日に登録出願され、第36類「損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」を指定役務として、特例商標として同9年1月31に設定登録されたものである。
(c)登録第3151999号商標(以下「引用C商標」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月29日に登録出願され、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機による計算処理」を指定役務として、特例商標として同8年5月31に設定登録されたものである。
(d)登録第3244274号商標(以下「引用D商標」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月8日に登録出願され、第36類「損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,資金の貸付け,債務の保証,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券の保護預かり,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,建物の貸与,建物の売買,土地の貸与,土地の売買」を指定役務として、特例商標として同9年1月31に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第6号証(枝番を含む)を提出した。
(1)本件商標と引用A商標ないし引用D商標が類似することについて
本件商標は、図形と欧文字との組合せよりなるところ、図形部分は、横線で縦横が同巾のT形状に描き、中央上部に正三角形を白抜きに表わし、右側上部に黒く塗りつぶした正三角形が飛び出たように斜めに配されてなるものであり、その図形部分も欧文字部分と同様、独立して自他商品を区別する標識としての識別性を具備するものである。
また、該図形の中央上部を正三角形に白抜きしたT形状部分は、主要な構成要素であり、看者の注意を惹き印象に残るものである。
これに対し、引用A商標及び引用B商標は、図形と欧文字との組合せよりなるところ、図形部分が縦横同巾のT形状に黒く塗り潰して描き、中央上部を正三角形に白抜きで表わしてなるものであり、自他商品を区別する標識としての識別性を具備する部分である。
同じく、引用C商標は、横線で縦横が同巾のT状に描き、中央上部を正三角形に白抜きしてなる図形である。
同じく、引用D商標は、縦横が同巾のT形状に黒く塗り潰して描き、中央上部を正三角形に白抜きしてなる図形商標である。
そして、各引用商標の図形部分は、T形状部分の中央上部を正三角形に白抜きした独創的な特徴を有しているものである。
そのため、本件商標と引用A商標ないし引用D商標は、右上の黒く塗り潰した正三角形の有無、T形状図形が横線又は黒塗りの差異があるとしても、同形のT形状図形と中央上部における正三角形の白抜きが共通する点において構成の軌を一にするものであり、両者の全体が彼此相紛らわしく類似するものである。
(2)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することについて
(ア)請求人の著名性について
請求人は、明治12年に創業した我が国最初の損害保険会社であり、現在、我が国最大の保険会社として日本各地に国内営業網の店舗・代理店を有し、米国を始めとする全世界に及ぶ海外営業網の代理店を有している(甲第6号証)。
そして、営業種目として、個人向けサービスとしてくらしの保険、住まいの保険、自動車保険、レジャー保険、積立火災保険、積立傷害保険及び財形保険、また、企業向けサービスとして財物・経営に関する保険、賠償責任に関する保険、船舶・貨物の保険及び航空機保険、その他の保険等である(甲第6号証)。
また、請求人の引用A商標及び引用B商標に示す商標は、昭和59年5月にCI導入で請求人の社章として制定されたものであり、上記請求人の営業種目の全てに使用され、その営業広告、業務カタログ及びサービスシステムとしてのカード等にも使用している(甲第6号証)。
さらに、請求人は、東京マリンクレームサービス(株)、(株)東海オペレーション等の子会社88社および関連会社15社の企業グループを有しており、いずれも請求人の関連業務を内容とするものである。また、請求人は、その情報活動として、経済問題や環境問題に関する各種の刊行物を発行し、各種セミナー等も開催している(甲第6号証)。
これらのことから、請求人の社章たる引用A商標及び引用B商標は、我が国のみならず世界的に広く知られ親しまれている商標であり、請求人は、本件商標の態様に示す横線で構成するT形状部分と同じくする図形の引用C商標を有するほか、T形状部分のみの図形よりなる引用D商標をも所有している。
(イ)商品の出所について混同のおそれがあることについて
本件商標と引用A標ないし引用D商標は、前記のとおり、その図形部分における外観について、T形状の部分が同形で、その中央上部における正三角形の白抜きが共通するので、両者の全体が彼此相紛らわしく類似し、請求人の周知・著名な引用A商標(防護標章)と指定商品も同-又は類似するものである。
そのことは、請求人の周知・著名な社章の引用A商標及び引用B商標と共通する主要な図形部分を本件商標に使用し、主要な構成要素としていることによっても明らかである。
そのため、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、その業界の分野における取引者・需要者をして、該商品が恰も請求人の関連する会社の業務に係る商品であるかのように、出所について混同を生ずるおそれが充分にあるものである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、登録を受けることができないものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の上記主張に対し、答弁していない。

第5 当審の判断
(1)本件商標と引用各商標の構成について
本件商標は、構成別掲(1)のとおり、多数の細い線を等間隔で横引きし、クロスバー(横線)の中央部は線を引かないで正三角形状に抜き出すように描いた欧文字の「T」を図案化したと思しきもの、その右肩上部に一部重ねて黒塗りの逆三角形を描いてなる図形と、この下段に「Lanificio Tallia Galoppo」の欧文字を横書きした構成よりなるものである。
他方、引用A商標及び引用B商標は、別掲(2)のとおり、上部に横矩形の中央部を正三角形で切り取ったものに、その底辺部に接するように正方形を配して欧文字の「T」を図案化したと思しきものを青色で彩色した図形と、この下段部に太字で「TOKIO」及び細字で「MARINE」の各欧文字とを上下二段に横書きしてなるものである。また、引用C商標は、別掲(3)のとおり、引用A商標及び引用B商標の図形部分の青色で塗り潰した横矩形及び正方形の各部を帯状のものを等間隔で横書きした欧文字の「T」を図案化したと思しき図形を描いてなるものであり、同じく、引用D商標は、別掲(4)のとおり、引用A商標及び引用B商標の図形部分の青色で塗り潰した横矩形及び正方形の各部を黒塗りで欧文字の「T」を図案化したと思しき図形を描いてなるものである。
(2)著名性について
請求人は、同人の社章及びこれと構成態様を同じくする引用A商標及び引用B商標(以下「請求人使用商標」という。)は、我が国のみならず世界的に広く知られ親しまれている商標である旨述べ、証拠方法として「東京海上の現状2003 平成15年版/平成14年度決算」(甲第6号証)とする冊子を提出している。しかし、該冊子に掲載されている構成態様は、いずれも青色で塗り潰した「T」を図案化したと思しき図形と「TOKIO」及び「MARINE」の各文字を上下二段に横書きしてなるものであり、該図形のみをって、請求人の業務に係る火災保険、海上保険、傷害保険等の役務を表示するための標識としての使用は見出せない。
そうすると、当該冊子(甲第6号証)のみによっては、該図形のみの著名性を立証するに十分とはいえないものであって、請求人使用商標における構成中の青色で塗り潰した「T」を図案化したと思しき図形が独立して、本件商標の登録出願時において取引者・需要者間に広く認識されていたとは認め難いものである。
また、本件商標の指定商品と請求人の業務に係る役務とは、その関連性において、何ら共通性を見出し得ないものである。
(3)出所の誤認について
本件商標と引用A商標及び引用B商標との類否についてみると、本件商標は、上述及び別掲のとおりの構成よりなるところ、かかる構成にあって、その図形部分が文字部分とは独立しても識別標識として機能するものとみて差し支えないものであり、その図形部分は多数の細い線で欧文字の「T」を図案化し、その右肩上部に黒塗りの逆三角形を重ねた図形と印象し記憶されるものである。これに対して、引用A商標及び引用B商標の図形部分は、中央部を正三角形で切り取った横矩形と正方形とを組み合わせ、これらを青色で彩色し、図形全体が図案化された欧文字の「T」を画出した図形と印象し記憶されるものである。
してみると、本件商標と引用A商標、引用B商標及びこれと構成態様を同じくする請求人の社章とは、ともに欧文字の「T」を図案化してなる図形又は図形要素を有するところを共通にするとしても、その図形構成要素の相違、すなわち、前者は多数の細い線であるのに対し、後者は青色で塗り潰してなる点において差違を有し、かつ、前者には、黒塗り逆三角形の図形要素を右肩上部に加味してなり、これを捨象して認識されるべき事由もないから、一見して看者に与える印象はかなり相違し、それぞれ異なったものとして記憶され、両者を時と処を異にして離隔的に観察した場合を想定しても、外観上彼此見誤るおそれはないとみるのが相当である。また、両図形からは特定の称呼及び観念が生じるものでなく比較し得ず、他に何ら紛れるおそれのない非類似の図形であって、互いに別個のものというべきである。
そして、たとえ、請求人使用商標が同人の業務に係る火災保険、海上保険、傷害保険等の役務を表示するものとして、本件商標登録出願時に需要者の間に広く認識されていたものであって、かつ、図形部分も独立して同様に認識されるものとしても、本件商標の図形部分と請求人使用商標又はその図形部分とは非類似のものであり、別異のものであることからすれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者が請求人使用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、当該商品が請求人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
また、請求人は、本件商標のような横線で構成するT形状部分と同じくする引用C商標及びT形状部分のみの図形よりなる引用D商標をも所有している旨述べているが、これら引用各商標の指定役務は上記のとおりであって、本件商標の指定商品とは、その関連性において何ら共通性を見出し得ないものであり、かつ、該冊子(甲第6号証)には、これら引用各商標の掲載は見出せず、他にこれら引用各商標の著名性を証する書面は提出されていない。 してみれば、請求人使用商標とこれら引用各商標とは、横線で構成される点、色彩及び二段書きした「TOKIO」と「MARINE」の有無において相違するものであれば、自ずとその出所についての機能・役割の認識性も異なるものであって、その点を無視して述べる請求人の主張は単に登録商標についての事情を述べるに止まるものであり、上述の認定を覆すに足りるものでない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する
別掲 (各商標の色彩については原本参照)
(1)本件商標



(2)引用A・B商標



(3)引用C商標



(4)引用D商標



審理終結日 2006-02-28 
結審通知日 2006-03-03 
審決日 2006-03-14 
出願番号 商願2002-108682(T2002-108682) 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (Y24)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 寺光 幸子
小林 薫
登録日 2003-12-05 
登録番号 商標登録第4731655号(T4731655) 
商標の称呼 ラニフィーチョタッリアガロッポ、テイ 
代理人 野河 信太郎 
代理人 館石 光雄 
代理人 萼 経夫 
代理人 村越 祐輔 

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