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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 001 |
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管理番号 | 1138051 |
審判番号 | 取消2005-30126 |
総通号数 | 79 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-07-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2005-02-03 |
確定日 | 2006-05-30 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3009031号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第3009031号商標(以下、「本件商標」という。)は、「HOK-Boron」の文字を横書きにした構成からなり、平成4年7月9日に出願、第1類「化学品,植物成長調整剤類,肥料」を指定商品として、平成6年11月30日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張(要旨) 請求人は、本件商標の指定商品中「化学品及びこれに類似する商品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」について当該登録商標の使用をしていないものである。 したがって、指定商品中「化学品及びこれに類似する商品」についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。 (2)弁駁(要旨) 乙第1号証ないし同第7号証は、本件商標の使用を立証する証拠とはなり得ないものであり、以下に各号証について述べる。 ア 乙第1号証ないし同第3号証について 乙第1号証ないし同第3号証は、被請求人の主張によれば、2004年6月(乙第1号証)、2003年11月(同第2号証)及び2002年3月(同第3号証)にそれぞれ発行された商品カタログとされているが、それは単に被請求人の主張であって、現実にそれぞれの年月に発行され、日本国内において使用された事実を証明する客観的な証拠ではない。また、これら各号証は、英語で作成されており、英語圏での使用を目的としたものであると見受けられるが、この点からもこれら各号証が日本国内で使用されていたとは到底考えられない。 以上に鑑みると、乙第1号証ないし同第3号証により、本件商標がその指定商品中「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」に審判請求登録前3年以内に日本国内において使用されているとは到底考えられない。 更に、乙第1号証ないし同第3号証中において「HOK-Boron」の文字は、「CHEMICAL NAME(化学名)」の欄の化学名の下に括弧書きで記載されており、当該「CHEMICAL NAME(化学名)」の欄には、その他「PK」「EMZ-K」「DBUH-K」「DBN-K」「HZ-N」「HZ-Y」「HMN-72A」の各文字(但し、各号証により、使用されていないものも含む)が化学名の下に括弧書きで記載されている。この事実に鑑みると、これらの文字は単に商品の記号、品番等を表すにすぎない文字と考えられ、自他商品を識別するための標識であるとは到底考えられないものである。したがって、「HOK-Boron」の文字の使用態様の点からしても、乙第1号証ないし同第3号証により、本件商標がその指定商品中「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」に審判請求登録前3年以内に日本国内において使用されているとは到底考えられない。 イ 乙4号証ないし同第6号証について 被請求人は、乙第4号証ないし同第6号証が、平成9年(1997年)1月(乙第4号証)または平成6年(1994年)(同第5及び6号証)に発行された商品カタログであると共に、「10年以上前から改版を重ねて」と主張している。 これらの点から、平成17年2月の審判請求登録前8年以上前(乙第4号証)または11年以上前(同第5及び6号証)の商品カタログが、その後5年以上(乙第4号証)、または8年以上(同第5及び6号証)も使用され続けて審判請求前3年以内に使用されていたとは到底考えられず、また使用された時期も不明であり、使用を立証する証拠とはなりえない。 また、乙第4号証は、主に英語で作成されており、主に英語圏での使用を目的としたものとであると見受けられるが、この点からも乙第4号証が日本国内で使用されていたとは考えられない。 更に、乙第4号証中において「HOK-Boron」の文字は、他の化学名に記載の「PK」の文字も下に括弧書きで記載されている事実に鑑みると、これらの文字は乙第1号証ないし同第3号証と同様に自他商品を識別するための標識であるとは到底考えられないものである。 以上に鑑みると、乙第4号証ないし同第6号証により、本件商標がその指定商品中「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」に審判請求登録前3年以内に日本国内において使用されているとは到底考えられない。 ウ 乙第7号証について 乙第7号証は、被請求人のインターネット・ホームページの抜粋であり、2004年6月に改訂されたもの主張とするが、これが審判請求登録前にインターネット・ホームページに掲載された客観的な時期も不明であり、使用を立証する証拠とはなりえない。 また、乙第7号証中において「HOK-Boron」の文字は、他の化学名に記載の「PK」「EMZ-K」「DBN-K」の文字も下に括弧書きで記載されている事実に鑑みると、これらの文字は乙第1号証ないし同第4号証と同様に自他商品を識別するための標識であるとは到底考えられないものである。 以上に鑑みると、乙第7号証により、本件商標がその指定商品中「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」に審判請求登録前3年以内に日本国内において使用されているとは到底考えられない。 エ まとめ 以上述べたように、被請求人が提出した乙第1号証ないし同第7号証は、いずれも、審判請求登録前3年以内に日本国内において本件商標が指定商品中「化学品(他の類に属するものを除く)及びこれに類似する商品」に使用されている事実を客観的に立証するものではない。 3 被請求人の主張 被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証を提出した。 被請求人が、本件商標を、触媒、特殊反応試剤あるいは分析試薬などを用途とする化学品である「テトラフェニルホウ素ナトリウム(Sodium tetrapheny1borate)」の商品名「HOK-Boron」として、現在使用中である。 本件商標の使用の事実を示す書類として、以下の証拠を提出する。 (1)ないし(6)については、10年以上前から改版を重ね、化学製品を取り扱う国内の化学業界で広く配布されてきている商品カタログであり、また、(7)のインターネット・ホームページは化学業界に限られない不特定多数の需要者が目にしうるものである(以下、順に乙第1号証ないし同第7号証)。 (1)「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCTS」(2004年6月発行) (2)「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCTS」(2003年11月発行) (3)「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCTS」(2002年3月発行) (4)「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCT LIST」(平成9年(1997年)1月発行) (5)「HOKKO ファインケミカル製品」(平成6年(1994年)発行) (6)「HOKKO FINE CHEMICALS」(1994年発行) (7)被請求人のインターネット・ホームページ(URL http://www.hokkochem.co.jp/)の「ファインケミカル部門」に掲載している「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCT LIST」(2004年6月改訂)中、「7.Boron Compounds」の表 上記した証拠は、本件商標が日本国内において10年以上に亘って継続して使用されていることを示すものである。 4 当審の判断 (1)提出の乙各号証から、以下の事実が認められる。 ア 乙第1号証は、その末葉における「北興化学工業株式会社」「2004.6.1000.SK」等の記載からみて、2004年6月印刷の被請求人の商品カタログと認められるところ、その22頁「7 Boron Compounds」には、CHEMICAL NAME欄の「Sodium tetraphenylborate」の下の括弧内に「HOK-Boron」の文字が記載されている。 イ 乙第2号証は、ア同様に末葉の記載から、2003年11月印刷の被請求人の商品カタログと認められるところ、その22頁に、アと同じ文字等の記載がある。 ウ 乙第3号証は、ア及びイと同様に末葉の記載から、2002年3月10日印刷と推認される被請求人の商品カタログと認められるところ、その20頁「7 Boron Compounds」には、CHEMICAL NAME欄の「Sodium tetraphenylborate」の下の括弧内に「HOK-Boron」の文字が記載されている。 エ 乙第7号証は、被請求人のホームページと認められるところ、そのFINE CHEMICAL PRODUCT LISTの「7 Boron Compounds」には、CHEMICAL NAME欄の「Sodium tetraphenylborate」の下の括弧内に「HOK-Boron」の文字が記載されている。 そして、この掲載日は定かでないが、トピックス欄の記載内容は平成16年11月期決算に係るものであること、製品についてのお知らせ欄には「2004.12.09」との記載が認められる。 (2)上記における、「Boron Compounds」はホウ素化合物、「Sodium tetraphenylborate」はテトラフェニルホウ素ナトリウムをそれぞれ表す文字と認められる。 しかして、上記商品カタログに記載されている「HOK-Boron」の文字は、前記ホウ素化合物の一である商品「テトラフェニルホウ素ナトリウム」について使用されている商標(以下、「使用商標」という。)と認めるのが自然である。 (3)本件商標は、「HOK-Boron」の文字を横書きにしてなるものである。これに対して、使用商標は、「HOK-Boron」と表してなるものである。 しかして、使用商標は、本件商標とその構成文字を全く同じにするものであることから、本件商標が使用されているものというべきである。 この点について、請求人は、使用商標がその使用形態からすれば自他商品を識別するための標識であるとは到底考えられない旨主張する。 しかしながら、化学名の下に括弧書きで記載された「HOK-Boron」の文字が、単に商品の記号、品番等を表すにすぎないとすべき証拠はなく、他の括弧書き内の文字の中に記号・符号と認識されるものがあることをもって直ちに、当該「HOK-Boron」が自他商品の識別機能を果たし得ないとは言い得ず、その識別機能を果たし得るものというべきである。 (4)また、請求人は、乙第1号証ないし同第3号証の商品カタログが英語で作成されているから、日本国内で使用されたとは到底考えられない旨主張する。 しかし、本件の使用に係る商品の取引者や需要者は専門的な知識を備えた者とみるのが相当であるうえに、日本語も併せ記載されていることをみれば、日本国内での使用をも前提としているものというのが妥当であり、英語の記載を有する点のみをもって英語圏での使用に限定されたものとして、これらの日本国内での使用が否定される根拠とはなり得ないというべきである。ちなみに、乙第7号証の記載をみると、本件商標を付した商品が日本国内の取引者・需要者を対象とされていることが十分に窺われるところである。 さらに、乙第1号証ないし同第3号証の商品カタログが、現実に頒布等された具体的な年月日の提示はないが、本件商標に係る商品カタログが作成されていることからすれば、カタログ自体、広告・宣伝のために取引者、需要者に対し、展示若しくは頒布されるのが主目的であることから、当該カタログは、少なくとも乙第3号が印刷された2002年3月10日以降、乙第1号証の印刷された2004年6月を過ぎて本件審判請求の登録前に至る間に、取引者、需要者に対して、頒布又は展示がされたものとみるのが商取引の通念からして相当というべきである。 (5)してみれば、本件商標は被請求人の取引書類に付されており、そして、2002年3月から2004年6月過ぎに至る間に、当該書類が頒布され、又は展示されたと推認されるものである。 以上によれば、本件商標は、取消請求に係る指定商品の一と認められる商品「テトラフェニルホウ素ナトリウム」について、本件審判請求の登録前3年以内の時期に日本国内において、商標権者によって使用されていたと認めることができる。 (6)したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品について使用をしていないものには該当しないから、商標法第50条第1項により、その登録を取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-12-21 |
結審通知日 | 2006-01-04 |
審決日 | 2006-01-17 |
出願番号 | 商願平4-136664 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(001)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩本 明訓、上村 勉 |
特許庁審判長 |
山田 清治 |
特許庁審判官 |
山本 良廣 水茎 弥 |
登録日 | 1994-11-30 |
登録番号 | 商標登録第3009031号(T3009031) |
商標の称呼 | ホクボロン、エッチオオケイボロン、エイチオオケイボロン、ホク、エッチオオケイ、エイチオオケイ、ホックボロン、ホック |
代理人 | 花村 太 |
代理人 | 佐藤 正年 |
代理人 | 佐藤 年哉 |