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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z07
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z07
管理番号 1136691 
異議申立番号 異議2004-90058 
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-01-21 
確定日 2006-04-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第4722232号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4722232号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件商標は、「OIL CLEAR FILM」の欧文字と「オイルクリアフィルム」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、第3類「クレンジング効果を有する化粧品,おしろい,化粧水,クリーム,紅,頭髪用化粧品,香水類,脂肪取り紙,その他の化粧品」を指定商品として、平成10年7月29日に登録出願、同15年10月31日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
本件商標とその指定商品との関係をかんがみるに、「OIL CLEAR(オイルクリア)」の語は、洗顔料、パック、脂取り紙等との関係において、「皮脂をきれいに除去する商品」を意味する語として、普通に使用され、認識されるものである。
また、「FILM(フィルム)」の語は、本類においては、脂取りフィルムのような「フィルム状の商品」があって、これらの形状を表す語として普通に使用され、認識されているものである。
さらに、これらを結合した「OIL CLEAR FILM(オイルクリアフィルム)」の語は、「皮脂をきれいに除去するフィルム状商品」を表す語として使用され、認識されているものである。
したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、単に商品の効能、用途、品質を表す標章にすぎないものであることから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
また、「皮脂をきれいに除去するフィルム状商品」以外の指定商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。
以上の理由により、本件商標は、登録の要件を具備しないものとして、その登録は、取り消されるべきである。

3 取消理由通知
当審は、平成16年12月3日付け取消理由通知により、以下の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
登録異議申立人提出の甲第1号証ないし甲第3号証及び甲第7号証によれば、皮脂を取り除くための紙及びこれと同様の目的で使用する皮脂を取り除くためのフィルムが、本件商標の商標権者以外の複数の化粧品メーカーによって製造販売され、また、これらの商品を「あぶらとりペーパー」(甲第1号証)、「オイルクリアペーパー」(甲第2号証)、「あぶらとり紙(フィルムタイプ)」(甲第3号証)、「オイルクリアフィルム」(甲第7号証:1枚目、2枚目[1/1頁])、「あぶらとりフィルム」(甲第7号証:3枚目[1/2頁]、4枚目[1/1頁]、5枚目[1/2頁]及び7枚目[1/2頁])、「オイルコントロールフィルム」(甲第7号証:9枚目[1/2頁])などと称している事実が認められる。
なお、前記中「オイルコントロールフィルム」(甲第7号証:9枚目[1/2頁])という使用例は、本件商標について登録をすべき旨の審決がされた平成15年7月1日前に使用されていたか否かは不明である。
また、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証、甲第7号証:1枚目、2枚目[1/1頁]、11枚目[1/3頁]、13枚目、14枚目によれば、化粧品業界においては、「皮脂を取り除く」という意味の用語として「あぶらとり」及び「オイルクリア」、「OIL CLEAR」、「oil clear」の文字が普通に使用されている事実が認められる。
さらに、前記証拠のほか、甲第7号証:15枚目ないし17枚目によれば、化粧品業界においては、「フィルム」の文字が普通に使用されている事実が認められる。
しかして、以上の事実を総合勘案すれば、化粧品に属する「皮脂を取り除くためのフィルム」について「OIL CLEAR FILM」及び「オイルクリアフィルム」の文字が表記されている場合、化粧品の取引者・需要者は、その商品の用途・品質を表示する文字として容易に認識し、自他商品識別標識としての機能を果たすものとは認識しないというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その指定商品中、上記「皮脂を取り除くためのフィルム」について、商品の品質・用途等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであり、また、それ以外の指定商品に使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
取消理由に示された証拠からは、「オイルクリアフィルム」と一連で商品の品質を表すような使い方をしているとは、見いだせない。
なお、甲第7号証において、「オイルクリアフィルムN」として一連に使用しているが、提示された商品の画像自体においては、「オイルクリアフィルム」の文字を使用されておらず、「Kanebo」あるいは、「PETIT GARDEN」の文字により、他の商品と識別される商品であることが窺えるものである。
そして、1998年当時、商標権者から発売された「オイルクリアフィルム」に追随し、他社からフィルムタイプの脂取り紙が発売されたことは事実であるが、少なくとも、現在調べられる範囲で商品名に「オイルクリアフィルム」の一連で使用している商品は、見当たらない。
そもそも、本件商標は、拒絶査定不服審判(平成11年審判第18404号)において、自他商品の識別標識としての機能を十分果たし得るものであると判断されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものでないから、その登録は、維持されるべきである。

5 当審の判断
本件商標は、前記の構成よりなるところ、上記の取消理由は妥当なものであり、これに対する商標権者の意見は、以下の理由により採用できない。
本件商標は、前記のとおり、「OIL CLEAR FILM」の欧文字及びそれを片仮名文字で表記したものと認められる「オイルクリアフィルム」の文字よりなるものである。
しかして、本件商標構成中の「OIL CLEAR」あるいは「オイルクリア」の文字は、甲第1号証ないし甲第4号証及び甲第7号証により、本件商標の指定商品に係る化粧品を取り扱う業界においては、「皮脂を取り除く、きれいにする」のごとき意味合いを有する品質を表す語として、ローション、脂取り紙、パック等の商品に普通に使用されていると認められるものである。
また、該構成中後半の「FILM」あるいは「フィルム」の文字は、「薄膜」を意味する(広辞苑)語として、一般に広く使用されているばかりでなく、上記化粧品を取り扱う業界においては、甲第7号証によれば、フィルム状の脂取り紙、使用するとフィルム状に変化するアイクリームなどフィルム状あるいはフィルム状に変化する商品に普通に使用されていることが認められる。
そうとすると、本件商標は、上記のとおりの構成よりなるものであるから、上記の実情からして、「OIL CLEAR」、「オイルクリア」の文字と「FILM」、「フィルム」の文字とを結合してなるものと容易に認識され、本件商標は、上記各文字のそれぞれ親しまれた意味合いから、「皮脂を取り除くためのフィルム」の意味合いを認識させるにすぎないものというのが相当である。
商標権者は、「オイルクリアフィルム」の文字を一連で商品の品質を表すような使い方をしているものはないことから、本件商標は、品質を表す識別力のない商標ではない旨主張しているが、甲第7号証の「カネボウ プチガーデン オイルクリアフィルムN」の記載が商品に直接付されているか否かは別として、「オイルクリアフィルム」の文字自体が広告に使用されていることが認められるばかりでなく、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年9月4日東京高裁 平成12(行ケ)76)から、商標権者の上記主張は、採用することができない。
また、本件商標が拒絶査定不服審判を経て登録となったものであるとしても、本件商標は、上記のように判断するというのが相当であるから、その登録を維持することはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2006-03-07 
出願番号 商願平10-64431 
審決分類 T 1 651・ 272- Z (Z07)
T 1 651・ 13- Z (Z07)
最終処分 取消  
特許庁審判長 大場 義則
特許庁審判官 内山 進
蛭川 一治
登録日 2003-10-31 
登録番号 商標登録第4722232号(T4722232) 
権利者 株式会社白元
商標の称呼 オイルクリアフィルム 
代理人 齋藤 理絵 
代理人 桜井 常洋 
代理人 幸田 全弘 

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