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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y09
管理番号 1136285 
審判番号 無効2004-89093 
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-06-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-10-28 
確定日 2006-04-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第4645369号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4645369号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4645369号商標(以下「本件商標」という。)は、「速聴センター」の文字を横書きしてなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」及び第16類「印刷物」を指定商品として、平成14年6月11日に登録出願、同15年2月21日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標
請求人は、本件商標の登録無効の理由に、以下の(1)ないし(3)の登録商標を引用している。
以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。
(1)引用登録第4527033号商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケ-ブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコ-ド,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,回転変流機,調相機,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカ-ラ-,電気ブザ-,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホ-ス用ノズル,消防車,消防艇,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガ-ライタ-,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フイルム,スライドフイルム,スライドフイルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテ-プ,ガソリンステ-ション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲ-ト,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコ-ダ-,電気計算機,パンチカ-ドシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットス-ツ,浮き袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレ-タ-,ア-ク溶接機,犬笛,家庭用テレビゲ-ムおもちゃ,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノ-ム」を指定商品として、平成12年10月24日に登録出願、同13年12月7日に設定登録されたものである。
(2)同じく、登録第2196391号商標は、「速聴」の文字を横書きしてなり、第11類「電気機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和61年7月29日に登録出願、平成元年12月25日に設定登録されたものであるが、その後、同12年2月1日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(3)同じく、登録第2149903号商標は、「速聴」の文字を横書きしてなり、第26類「新聞、雑誌、その他の印刷物」を指定商品として、昭和61年7月29日に登録出願、平成元年6月23日に設定登録されたものであるが、その後、同11年2月23日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第545号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号及び同第15号違反について
(1)「速聴」というのは、請求人が、1993年7月に初めて開発した潜在能力開発メソッドである(甲第5号証)。この「速聴」は、請求人の創造語であって、請求人が引用する登録商標である。
この「速聴」を実践するのに使用する特殊テープレコーダ及び特殊オーディオ再生機(速聴機)には、「速聴機」の商標と「速聴」の商標とが付されている(甲第6号証及び甲第7号証)。さらに、「速聴」を宣伝するメールマガジンには、「速聴.com」の商標が付されている(甲第8号証)。
請求人は、「速聴」を実践する教材として、CD等の能力開発プ口グラムと特殊テープレコーダ及び特殊オーディオ再生機(速聴機)とを一緒に販売しているが、これは請求人の売上のほとんど全てを占めている。
ちなみに、平成13年度の請求人の10月までの売上額は、106億円(甲第9号証)であるが、この中で「速聴」関連商品の売上額は100億円を越えている。必要ならば、追って、その証拠を提出する。
(2)「速聴」の宣伝広告は、主として新聞、雑誌、書籍、チラシ、パンフレット、ホームページ、メールマガジン等によって行われている。
「速聴」の新聞広告は、1993年(平成5年)から現在まで、ほとんど毎日行われているが、1997年(平成9年)4月から1998年(平成10年)11月までに掲載された広告を、甲第9号証から甲第117号証として提出する。さらに、1993年(平成5年)9月24日から1998年(平成10年)5月24日まで、各種新聞に掲載された、「速聴」に関する書籍広告を、甲第118号証から甲第279号証の2として提出する。
これら多くの甲号証中で、「続・聴覚刺激で頭の回転が驚くほど速くなる」書籍が広告宣伝されているが、この書籍は、甲第25号証に見られるように、全国主要書店週間売上ランキングは、丸善仙台一番町店でビジネス書1位、三省堂神田本店ビジネス書3位、紀伊国屋書店新宿南店人文・社会3位、駸々堂京宝店ビジネス書2位、ブックスキヨスク大阪駅東口店総合3位と大ベストセラーになっている。この書籍は、「速聴カセット」と共に販売されているので、「速聴」は、ビジネス書を読む人達の間では、「速聴」メソッドとともに、カセットテープ等の商標として周知・著名となっていること明らかである。
また、「思考は現実化する」の書籍についても、上記多くの甲各号証中で広告宣伝しているが、この書籍の表紙には、本件商標「速聴」が表示されている。
さらに、月刊誌「Big Tomorrow」には、毎月「速聴」の宣伝広告をしているが(甲第280号証ないし甲第328号証)、この宣伝広告から「速聴」という脳力開発技法は、特殊テープレコーダー及び特殊オーディオ再生機(速聴機)を使用して高速再生された音声を聴くだけということが分かる。そして、この特殊テープレコーダー及び特殊オーディオ再生機(速聴機)には、「速聴機」と共に「速聴」の商標が付されているのであるから、「速聴」は、自己啓発を目指す人達の間では、脳力開発技法及び該脳力開発技法を行う装置として周知・著名化していたこと明らかである。
加えて、「速聴」は、パンフレット、小冊子、投げ込み、チラシ等によっても広告宣伝している(甲第329号証ないし甲第350号証)。
上記パンフレット等は、特殊テープレコーダー及び特殊オーディオ再生機(速聴機)を使用した「速聴」脳力開発技法を宣伝広告するものであり、テープレコーダ及びオーディオ再生機(速聴機)には、「速聴」の商標が付されていることから、「速聴」は、潜在脳力開発メソッドとして周知・著名であるだけでなく、「速聴」メソッドに使用されるテープレコーダ及びオーディオ再生機の商標として、周知・著名であること明らかである。
そして、「速聴」は、1998年(平成10年)から、インターネットのホームページで広告宣伝している。請求人のホームページのコピーを甲第351号証、SLBS「速聴サイト」のコピーを甲第352号証、「SSIコーポレートサイト」のコピーを甲第353号証として提出する。
甲第351号証には、「速聴」メカニズムと「速聴」の専門家による推薦の記載と「速聴機R」を使用して速聴を行うことが開示されている。前記したように、速聴用のテープレコーダ等には、速聴Rの商標も付されているので、能力開発に興味のある人達の間では、速聴は、「速聴」メソッドとして周知・著名であるだけでなく、メソッドとして周知・著名な「速聴」を付したテープレコーダ及びソフトウェア等の商標としても、周知・著名になっていること明らかである。
前記甲第8号証に記載のように、「速聴」はメールマガジンの商標「速聴.com」として使用している。さらに、各種メールマガジン(甲第354号証ないし甲第356号証)の広告に、“速聴サイト”へのリンク広告を出稿しているが、これらの広告からの“速聴サイト”へのアクセスは、自動集計プログラムの統計(甲第357号証)によれば、2003年(平成15年)1月から2004年(平成16年)10月8日まで、実に5,005,734件に達している。
このメールマガジンは、「速聴」を行うための「速聴機」(テープレコーダ等)及び速聴ソフトを販売するために、宣伝広告しているものであるから自己啓発を目指す人達の間では、「速聴」は周知・著名となっていたこと明らかである。
さらに、「速聴」は、甲第358号証ないし甲第380号証のような多くの書籍によって宣伝広告している。
上記書籍には、速聴CDが付されているが、この速聴CDには、甲第376号証及び甲第380号証に見られるように、上記書籍だけでなくCD自体に「速聴/CD」の文字が付されている。したがって、「速聴」は、CDの商標としても周知・著名化していたこと明らかである。
さらに、甲第381号証ないし甲第394号証に見られるように、「速聴」は、各種電車内での広告も広く行っている。
甲第386号証ないし甲第389号証には、「速聴/CD」の記載があり、「速聴」商標を「CD」の商標として、宣伝広告していることを示している。甲第395号証は、各種電車内での宣伝広告の詳細を示すものであり、同号証から2003年度(平成5年度)の電車内での宣伝広告費だけで、約8,000万円に達していることが分かる。
また、「速聴」は、各種雑誌にも記事広告スタイルで宣伝広告している(甲第396号証〜甲第402号証)。甲第403号証は、このような雑誌の記事広告の詳細を示すものであり、同号証から2003年度(平成5年度)の雑誌の記事広告費だけで、約1億3000万円に達することがわかる。
さらに、「速聴」は、甲第403号証に見られるように、書店で無料で封入する小冊子「頭の鍛え方、育て方」で宣伝広告し、甲第404号証及び甲第405号証に見られるような文庫・コミック差し込みでも宣伝広告し、甲第406号証ないし甲第408号証に見られるような書店封入チラシでも、宣伝広告している。これら小冊子、封入広告費は、甲第409号証に見られるように、実に約10億円に達している。
(3)上記したように、請求人の商標「速聴」は、莫大な宣伝広告費を投入し、この種商品の需要者が接するあらゆる宣伝媒体で広く宣伝広告をしているものであるから、自己啓発を目指す本件指定商品の需要者の間では、「速聴」は、請求人の事業に係る能力開発プログラム用テープレコーダ及びオーディオ再生機並びにこれらを使用した「速聴」メソッドとして、周知・著名化していたこと明らかである。
(4)一方、本件商標は、「速聴センター」の文字より構成されるところ、上記甲各号証から明らかなように、商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具」及び「印刷物」について使用する、周知・著名な請求人の引用商標「速聴」と、「センター」の片仮名文字とを結合したものであって、「速聴」は、周知・著名であるために「センター」の文字とは分離して認識されることから、本件商標は、引用商標と類似すること明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず、これに違反して登録されたものである。
(5)さらに、本件商標「速聴センター」をその指定商品について使用するときは、引用商標の「速聴」を連想させるから、本件商標の指定商品に接する需要者が、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるか、請求人の子会社等の関係ある事業者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について、広義の混同を生ずるおそれがあること明らかである。
2 結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は商標法第46条第1項1号により、無効とすべきである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の前記主張に対し、何ら答弁していない。

第5 当審の判断
請求人の提出に係る甲各号証によれば、引用商標「速聴」は、甲第20号証(平成9年6月25日発行)、甲第28号証(平成9年7月8日発行)、甲第32号証(平成9年8月27日発行)、甲第38号証(平成9年10月1日発行)、甲第42号証(平成9年10月29日発行)、甲第45号証(平成9年11月27日発行)、甲第47号証(平成9年12月19日発行)、甲第55号証(平成10年1月28日発行)、甲第62号証(平成10年2月26日発行)、甲第70号証(平成10年4月10日発行)、甲第74号証(平成10年5月28日発行)、甲第82号証(平成10年6月30日発行)、甲第89号証(平成10年7月30日発行)、甲第103号証(平成10年9月29日発行)、甲第107号証(平成10年10月28日発行)、甲第116号証(平成9年4月23日発行)、甲第117号証(平成9年5月28日発行)、甲第210号証(平成7年6月28日発行)、甲第210号証(平成7年6月28日発行)及び甲第272号証(平成8年5月発行・日付不明)に見られるように、請求人の業務に係る商品「テープレコーダー」及び「印刷物」の商標として、全国紙である「夕刊フジ」に広告ないし全面広告として、掲載されていることが認められる。
また、甲第113号証(平成10年12月1日発行)、甲第195号証(平成7年3月1日発行)、甲第201号証(平成7年4月27日発行)、甲第207号証(平成7年5月30日発行)、甲第413号証(平成8年6月29日発行)、甲第420号証(平成8年7月30日発行)、甲第432号証(平成8年9月27日発行)、甲第440号証(平成8年10月31日発行)、甲第446号証(平成9年1月30日発行)、甲第456号証(平成9年3月28日発行)、甲第468号証(平成9年5月1日発行)、甲第477号証(平成9年6月28日発行)、甲第483号証(平成9年7月30日発行)、甲第488号証(平成9年8月30日発行)、甲第494号証(平成9年9月30日発行)、及び甲第499号証(平成9年10月30日発行)によれば、上記と同様について、全国紙である「日刊ゲンダイ」にも、広告ないし全面広告として、掲載されていることが認められる。
さらに、産経新聞の全面広告として、甲第28号証(平成9年7月8日発行)、甲第115号証(平成9年4月20日発行)及び甲第463号証(平成8年10月22日発行)に見られるように、掲載されていることを確認することができる。
加えて、読売新聞(九州版)に掲載された全面広告(甲第30号証・平成8年10月22日発行)を始めとする、朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞・日刊工業新聞等のほか、各地方新聞にも広告掲載をし、さらに、月刊誌「Big Tomorrow」(甲第280号証ないし甲第328号証)にも、広告として掲載していることが認められる。。
また、甲第344号証、甲第345号証、甲第347号証、甲第349号証及び甲第350号証に見られるように、商品チラシ、商品パンフレット等の印刷物の発行による宣伝広告が頻繁に行われていたことが確認できる。
以上の甲各号証を総合勘案すれば、引用商標は、本件商標の登録出願(平成14年6月11日)前には、請求人の業務に係る商品「テープレコーダー及び印刷物」の商標として、少なくとも、需要者の間に相当程度広く認識さるに至っており、その著名性は、本件商標の査定時点(平成14年12月19日)においても継続していたものと認められる。
そうすると、本件商標は、その構成中に「速聴」の文字を顕著に含む、「速聴センター」の文字構成よりなるものであるから、被請求人が本件商標をその指定商品に使用した場合は、これに接する需要者は、本件商標の構成中の「速聴」の文字部分をとらえて、請求人の著名な引用商標を連想、想起し、その商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの密接な関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲

引用商標(1)
(登録第4527033号商標)



審理終結日 2006-02-01 
結審通知日 2006-02-15 
審決日 2006-03-01 
出願番号 商願2002-53398(T2002-53398) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (Y09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 大場 義則
特許庁審判官 柳原 雪身
内山 進
登録日 2003-02-21 
登録番号 商標登録第4645369号(T4645369) 
商標の称呼 ソクチョーセンター 
代理人 稲垣 仁義 

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