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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 Y03051621 審判 一部申立て 登録を維持 Y03051621 |
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管理番号 | 1134948 |
異議申立番号 | 異議2005-90348 |
総通号数 | 77 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2006-05-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2005-07-15 |
確定日 | 2006-03-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4858880号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4858880号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4858880号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成16年8月27日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,香料類」、第5類「入浴剤」、第16類「印刷物,紙製包装用容器」及び第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」を指定商品として、平成17年4月22日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、指定商品をいずれも第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」とする以下の(1)及び(2)のとおりの登録商標(以下、順に「引用商標1」及び「引用商標2」という。)を引用している。 (1)引用商標1 登録第1321383号商標は、「バスキング」の文字を横書きしてなり、昭和48年2月14日に登録出願、同53年2月1日に設定登録され、その後、同63年2月26日及び平成10年2月24日の2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。 (2)引用商標2 登録第2142397号商標は、「イング」及び「ing」の文字を上下二段に横書き(下段の文字は、上段の文字に比して著しく大である。)してなり、昭和60年10月17日に登録出願、平成1年5月30日に設定登録され、その後、同11年3月9日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。 3 登録異議申立ての理由の要点 本件商標は、その指定商品中、第5類「入浴剤」については、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当し、取り消されるべきである旨、主張し、甲第1号証ないし同第10号証を提出している。 (1)商標法第4条第1項第10号について 引用商標1は、申立人の商品「入浴剤」の商標として周知であり、本件商標の指定商品も「入浴剤」であるため、本件商標が使用された場合、その出所について混同を生ずる。 (2)商標法第4条第1項第11号について ア 引用商標1との関係 本件商標は、その構成から「バスイング」の称呼が生じるのに対し、引用商標1は、その構成から「バスキング」の称呼が生ずるもので、両商標は、印象の弱い中間音における「イ」と「キ」の差異のみで、両者をそれぞれ一連に称呼した場合、聴者をして明確に区別させることのできない類似の商標である。 また、本件商標の指定商品である「入浴剤」は、引用商標1の指定商品「薬剤」に含まれるものである。 イ 引用商標2との関係 本件商標構成中の「Bath」及び「バス」の文字は、「入浴」を意味する語として広く認識されているため、指定商品中、第5類「入浴剤」との関係においては、単に商品が「浴剤」であることを示すにすぎず、要部は、「ing」及び「イング」の部分にあるため、引用商標2に類似する。 また、本件商標の指定商品である「入浴剤」は、引用商標2の指定商品「薬剤」に含まれるものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、別掲に示したとおり、アイスクリームを模した図形よりなる図形と、その図形の前面に「バスイング」の片仮名文字を上段に、「Bathing」及び「Not Icecream Shop」よりなる筆記体の欧文字を中段と下段にそれぞれ書してなるところ、その図形部分と上段及び中段の文字部分とは何等、一体的に捉えるべき格別の事情も認め難いことから、上段及び中段に書された文字部分も独立して自他商品の識別標識として機能を果たすものとみるのが相当である。 なお、下段の文字部分は、本件商標の図形部分との関係を考慮すると、その記載内容の意味合い(アイスクリームショップではありません。)から、単なる注意書きにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない部分とみるのが相当である。 そして、中段の「Bathing」の文字は、「水浴び、水泳」の意を有し、「ベイズィング」と発音される成語であるとしても、本件商標に接する一般の取引者・需要者層における英語の普及度からすれば、さほど一般に親しまれた語とも言い難いものというのが相当であり、これより、本件商標にあっては、上段の「バスイング」の文字が、下段の「Bathing」の文字の読みを特定したものとみるのが相当である。 また、本件商標の上段及び中段の各構成文字は、外観上まとまりよく一体に表現されていて、しかも、上段及び中段より生ずる「バスイング」の全体の称呼も僅か5音の短いものであって、よどみなく一連に称呼し得るものである。 さらに、本件商標中の中段の「Bathing」の文字は、いわゆる「現在分詞」と称される成語であり、「動詞」に「ing」を付加し、これが「be動詞」と共に用いて進行形を形成するパターンの1つとして認識されることも十分考えられることと相まって、例え、本件商標中の「Bath」及び「バス」の文字が「入浴」を意味する語として広く認識されているとしても、また、本件商標の「入浴剤」への使用を考慮しても、本件商標からは、一連一体の「バスイング」のみの称呼が生ずるものとみるのが相当である。 一方、引用商標1及び引用商標2は、上記2に示したとおりの構成よりなるものであることから、引用商標1からは「バスキング」、引用商標2からは「イング」の称呼がそれぞれ生ずること明らかである。 しかして、先ず、本件商標より生ずる「バスイング」と引用商標1より生ずる「バスキング」の両称呼を比較するに、両称呼は、共に同数音からなるものの、中間に位置する「イ」と「キ」の音に差異を有するものである。 そして、該差異音の「イ」の音は、唇を平たく開き、舌先を下方に向け、前舌面を高めて硬口蓋に接近させ、声帯を震動させて発する母音であるのに対し、「キ」の音は、後舌面を軟口蓋に接し破裂させて発する無声子音(k)と母音(i)との結合した音節であって、その調音方法を著しく異にするばかりでなく、「キ」の音は、「イ」の音に比して比較的強く、かつ、明瞭に発音・聴取される音であること、及び両商標を一連に称呼したときは、両商標のアクセントの位置(本件商標にあっては、語頭の「バ」、引用商標にあっては、中間の「キ」に位置するとみるのが相当)の相違も相まって、両称呼の語調・語感が著しく異なり、互いに聴き誤るおそれのない、称呼上非類似の商標とみるのが相当である。 次に、本件商標より生ずる「バスイング」の称呼と引用商標2より生ずる「イング」の称呼を比較するに、両称呼は、語頭における「バス」の音の有無の著しい差異から、互いに聴き誤るおそれのない、称呼上非類似の商標といわなければならない。 なお、本件商標の図形部分から「アイスクリーム」の称呼が生ずるとしても、引用商標1及び2とは、称呼において類似しないこと明らかである。 また、本件商標と引用商標1及び2における外観及び観念についても、類似とすべき点は見出せない。 してみれば、本件商標と引用商標1及び2とは、その指定商品において同一又は類似する商品を有するものであるとしても、その称呼、外観及び観念のいずれの点においても非類似の商標といわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 なお、申立人は、「バス」に関する過去の審決例を示し、本件商標は、引用商標2と類似する旨主張しているが、商標の類否に当たっては、個別具体的に判断すべきであって、前記認定が左右されるものではない。 (2)商標法第4条第1項第10号について 申立人は、上記3(1)において、「引用商標1は、申立人の商品『入浴剤』の商標として周知である。」との前提で、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する旨主張している。 ところで、商標法第4条第1項第10号の立法趣旨は、「商品又は役務の出所の混同防止とともに、一定の信用を蓄積した未登録有名商標の既得の利益を保護するところにある。」(1999年8月30日第15版、社団法人発明協会発行、「工業所有権法逐条解説」)であって、引用商標1の如く、既に商標権が設定されている既登録商標の場合は、本号ではなく、次号の商標法第4条第1項第11号において、その適用判断をすべきものと解するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号にも該当しない。 なお、引用商標1が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、仮に申立人の業務に係る商品「入浴剤」の商標として、未登録の周知(有名)商標であったとしても、上記(1)における認定のとおり、本件商標と引用商標1とは、非類似の商標といわざるを得ないことから、やはり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
【別掲】本件商標 |
異議決定日 | 2006-03-06 |
出願番号 | 商願2004-79217(T2004-79217) |
審決分類 |
T
1
652・
25-
Y
(Y03051621)
T 1 652・ 262- Y (Y03051621) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 野上 サトル |
特許庁審判長 |
山田 清治 |
特許庁審判官 |
久我 敬史 水茎 弥 |
登録日 | 2005-04-22 |
登録番号 | 商標登録第4858880号(T4858880) |
権利者 | 村松 真智子 |
商標の称呼 | バスイングノットアイスクリームショップ、バスイング、ノットアイスクリームショップ、ノットアイスクリーム |
代理人 | 幸田 全弘 |
代理人 | 佐野 弘 |
代理人 | 齋藤 理絵 |