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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z37 |
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管理番号 | 1134846 |
審判番号 | 取消2005-31108 |
総通号数 | 77 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-05-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2005-09-07 |
確定日 | 2006-04-12 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4591789号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4591789号商標(以下、「本件商標」という。)は、「翼」の文字を標準文字で書してなり、平成13年5月1日に登録出願、第9類、第37類、第38類及び第42類に属する登録原簿記載の商品又は役務を指定商品又は指定役務として、平成14年8月2日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張(要旨) 請求人は、本件商標の指定役務第37類中「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出した。 本件商標は、本件取消請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において使用された事実が存しない。 したがって、本件取消請求に係る指定役務についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。 3 被請求人の主張(要旨) 被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証を提出した。 (1)「建築一式工事,土木一式工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,塗装工事,内装仕上工事,屋根工事,さく井工事,電気工事」などへの使用について (ア)乙第1号証及び同第2号証について 被請求人は、乙第1号証パンフレットに示すように中古車販売ショップの全国チェーン(リニューカー)事業や、乙第2号証パンフレットに示すように、自動車の車検(ヤマト車検)に関する事業も展開しており、その事業展開の際に採用している共通のC.I.を実現するために、乙1号証においては、各加盟店共通の「外照式大型看板」、「ルミネート看板」及び「ポールサイン」等の設置工事を行っている。この点は、乙第1号証に上記看板やポールサインが示されていると共に、かつ「見違える程美しく、華やかに!自慢できるお店へと大変身!」と記載されていること、さらに、上記看板やポールサインが実際に設置されているのが明示されていることからも、十分理解でき得るものであり、また、乙第2号証においては各加盟店を「斬新な店舗デザイン」及び「共通C.I.」として「お店のイメージをガラリと変え、インパクトのある斬新な近未来店舗デザインに!」と記載されていることからも明らかである。 そして、これら共通C.I.採用の店舗を施設するには、「建築一式工事,土木一式工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,塗装工事,内装仕上工事,屋根工事,さく井工事,電気工事」等の工事も行われていることは常識である。 乙第1号証及び同第2号証の表紙左上部には、「TSUBASA」の商標が使用されており、これは本件商標をローマ字表記したものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標である。よって、この表紙に明記された商標「TSUBASA」が、商標法第50条第1項における登録商標に該当することは明白である。 又、各号証背表紙には、その業務主体が被請求人である「翼システム株式会社」であること、及び乙第1号証掲載の業務が2004年12月において行われ、同第2号証の発行年月日が2003年6月であることが明示されている。 (イ)乙第3号証について 上記乙第2号証中に示された、被請求人が提供している「ヤマト車検」に関しては、乙第3号証パンフレット中に「ご加入から開業まで」の流れが掲載されており、この中で、「竣工」を行うことや、「エリア担当者、建築担当者、・・・などのプロスタッフにより加入申込みから開業までフルサポート」することが明記されている。したがって、これら記載からも被請求人は、上記した「建築一式工事,土木一式工事,・・・電気工事」等を行っている。 よって、乙第1号証ないし同第3号証から、被請求人は、2004年12月及び2003年6月の時点において、少なくとも上記した「建築一式工事,土木一式工事,・・・電気工事」等について本件商標を使用していたことは明らかである。 (2)「機械器具設置工事」への使用について (ア)乙第2号証について 上記(1)(ア)のとおり、被請求人は、「リニューカー」や「ヤマト車検」事業等、自動車販売や整備に関するフランチャイズ展開を行っており、各加盟店が顧客に対し、同一品質を提供できるように独自の機器を開発し、これを全加盟店に設置しており、独自の機器としては、乙第2号証の「高速デジタル診断/検査ライン」、「計量板金設備」及び「洗車機」等がある。特に「高速デジタル診断/検査ライン」は、加盟店である「ヤマト車検」の店舗に設置した状態を明示しているので、被請求人が「機械器具設置工事」を行っているのは、容易に理解できる。 そして当該乙第2号証は、上記(1)(ア)のとおり、本件商標の「機械器具設置工事」への使用及びその使用年月日(2003年6月)は、明らかである。 (3)「電気通信工事」への使用について (ア)乙第4号証及び同第5号証について 被請求人は、乙第4号証のパンフレットに示すように「ITソリューション&ネットワークソリューションでお客様のビジネス発展を支援」、「中古車/部品流通ネットワークの構築・運営事業」及び「釣具用品情報・玩具情報のPOSシステムの開発」、すなわち、「通信・ネットワークシステムの構築」を行っていることを明らかにしているところ、このような「通信・ネットワークシステムの構築」において、「電気通信機械器具その他のハードウェア」が不可欠であることから、被請求人は、当該システム構築の一環として「電気通信機械器具その他のハードウェアの設置工事」も行っており、このような「電気通信機械器具その他のハードウェア」を用いた通信システムの具体例は、乙第5号証においてPOS端末、クライアントPC、サーバー、ハブ、プリンタ等を設置して通信・ネットワークシステムを構築することが明示されている。 乙第4号証の表紙には、商標「TSUBASA」と、その業務主体が被請求人である「翼システム株式会社」の表示が明示されており、「TSUBASA」の商標は、本件商標をローマ字表記したものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標である。よって、この表紙に明記した商標「TSUBASA」が、商標法第50条第1項における登録商標に該当することは明白である。 また、同号証は、この背表紙に記載されているとおり、2005年6月に作成されたものである。 (イ)乙第6号証について 乙第6号証は、2002年6月に発行されたものであるので、直接的には本件商標の使用を証明するものではないが、被請求人がネットワークシステム構築の際、即ち、「電気通信機械器具その他のハードウェアの設置工事」の際には、独自に提供する「電気通信機械器具」も使用することを明瞭にすることを意図したものである。 (ウ)乙第7号証について 乙第7号証は「コンピュータソフトウェア及びハードウェアの保守」に関するカタログであって、直接的に「電気通信工事」に関するものではないが、このような保守サービスの提供に際しては、障害発生現地に各種ハード機器を設置することも行われており、需要者等からすれば「コンピュータハードウェアの設置作業」について本件商標を使用していると理解される。 そして当該カタログ表紙左上には、「TSUBASA」の商標が表示され、かつ、中央には「翼」の部分を要部とする「翼保守」の商標が表示されている。 又、裏表紙には、その業務主体が被請求人である「翼システム株式会社」の表示とともに当該カタログの記載内容が2005年7月現在であることが明記されている。 (4)まとめ 以上のとおり被請求人は、本件審判請求登録前3年以内に日本国内において、本件商標を本件審判請求にかかる指定役務中の「建築一式工事,土木一式工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,塗装工事,内装仕上工事,屋根工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事」について使用している。 よって、本件商標は、商標法第50条第1項により取り消されるべきではない。 4 請求人の弁駁 請求人は、被請求人の答弁に対し、何等弁駁していない。 5 当審の判断 (1)乙第2号証ないし同第4号証のパンフレットによれば以下の事実が認められる。 (ア)乙第2号証パンフレットの表紙右上には、「TSUBASA」の文字、また表紙及び裏表紙下方には、「翼システム株式会社」及び「カーコンビニ倶楽部株式会社」の文字、さらに裏表紙下方には、「S605A-SF-3000-E-0503-SI」の文字がそれぞれ記載されている。 そして当該パンフレット10及び11頁(但し、被請求人は、8及び9頁と述べている)には、「カーコンビニ倶楽部」の文字と共に、大きく「ヤマト車検」の文字が記載されており、その説明(10頁中央)において、「・・・『ヤマト車検』は、前検査に完全対応した最新鋭のデジタル診断/検査ライン(型式認定取得)とモバイル端末(PDA)を併用するカーチェックシステムにより・・・。斬新な店舗デザイン、CMや新聞広告などでの集客支援・・・」の文字、さらには、10頁下方においては、共通C.I.の見出しの下に、「・・・を採用した最強のC.I.で、お店イメージをガラリと変え、インパクトのある斬新な近未来店舗デザインに!」の文字、そして、11頁中央には、上記車の診断/検査用機器(高速デジタル診断/検査ライン)を設置した写真が掲載されている。 (イ)乙第3号証のパンフレットは、上記乙第2号証中の「カーコンビニ倶楽部」の「ヤマト車検」に関するものであって、この3号証2頁においては、外観基本セットとして、「ヤマトメイン看板、ファサード看板(2種)、フラッシュライト、ネオンサイン、誘導サイン」の文字、また、内装基本セットとして、「ローカウンター、メニューサイン、壁面真空パネル」等の文字、さらに「ご加入から開業まで」の見出しの下、「エリア担当者、建築担当者、・・・などのプロスタッフにより、加入申込みから開業までフルサポート。」との記載、その他、加入申込みからオープンまでの流れ図においては、「加入申込み→・・・開業準備→竣工→オープン」と記載されている。併せて、「『高速デジタル診断/検査ライン』は、さまざまなお店に導入出来るコンパクト設計。」とも記載されている。 (ウ)乙第4号証のパンフレットは、その表紙中央に、ゴシック体による「TSUBASA」の記載と共に、表紙及び裏表紙に「翼システム株式会社」、の文字、また裏表紙には、「経済産業省システムインテグレータ 登録番号(関)14210097」、及び「771-2A-TBS-2340-A-0506-CRE」と記載されている。 また、2頁上部においては、「業務別システムパッケージの提供を核とし、お客様の基幹業務をトータルに支援。」、「・・・『業種別・業務用コンピュータシステム(システムパッケージ)』を開発・販売してまいりました。つねに『導入したその日から誰でも使えるコンピュータシステム』という開発思想のもとに、・・・データベース、ハードウェアと併せ、パッケージ化したトータルシステムとして、自動車アフターマーケット業界を中心とするお客様に提供してまいりました。・・・」と記載されている。 さらに、3頁上・中部に、「ITソリューション&ネットワークソリューションでお客様のビジネス発展を支援。」、「・・・『中古車/部品流通ネットワークの構築・運営事業』、・・・『中古車売買/リニューアルの全国ネットワーク化事業(WINNET/リニューカー)』など、システムインテグレータの枠を越え、”ビジネス・ソリューション”としてご提供させていただくようになり、・・・」のほか、「自動車関連業界以外においても、機械工具・農業・文具事務機・旅行代理店業・携帯電話販売向けのシステムパッケージやネットワーク、・・・POSシステムの開発など、・・・」と記載されている。 (2)上記記載事実からすれば、以下を認めることができる。 (ア)使用商標について 乙第2号証及び同第4号証の各パンフレットの記載によれば、被請求人(権利者)である翼システム株式会社は、上記パンフレットの表紙において、「TSUBASA」の文字を商標として使用してことが認められる。 そして、該「TSUBASA」の文字は、漢字の「翼」を欧文字表記したものと認められ、かつ、「TSUBASA」に相当する漢字は「翼」以外には想起し得ないものであり、しかも、何れも「ツバサ」の称呼を共通にするものである。 してみれば、「TSUBASA」の欧文字商標の使用は、本件商標「翼」と社会通念上同一の商標を自社のパンフレットについて使用しているとみても、差し支えないものというべきである。 (イ)使用役務について 乙第2号証及び同第3号証の各パンフレットの記載によれば、カーコンビニ倶楽部株式会社は、被請求人(権利者)の提供する業務の一部である自動車車検、整備等に関する一フランチャイジー(一加盟店)であり、被請求人(権利者)は、各加盟店共通C.I.のもと、そのカーコンビニ倶楽部株式会社の「ヤマト車検」なる店舗の開業準備及び施工を行うと共に、上記(1)(イ)に記載の外観基本セットとしての「ヤマトメイン看板、ファサード看板(2種)、フラッシュライト、ネオンサイン、誘導サイン」や、内装基本セットとしての「ローカウンター、メニューサイン、壁面真空パネル」等の施工、そのほか、「高速デジタル診断/検査ライン」なる検査機器設備の設置も行っていることが認められる。 してみれば、被請求人(権利者)は、常識的に少なくとも「建築一式工事,土木一式工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,塗装工事,内装仕上工事,屋根工事,機械器具設置工事,電気工事,電気通信工事」の役務を行っているものとみるのが相当である。 加えて、乙第4号証の裏表紙には「経済産業省システムインテグレータ登録番号(関)14210097」の記載があるが、これは、システムインテグレーションサービスを的確に遂行できる経理的基礎・技術的能力、システムインテグレーションサービスの実績を備えている企業(システムインテグレータ)を「情報サービス企業台帳」に登録する制度のもとに、認定・付与された登録番号であることは、一般に知られているところである。 そして、このシステムインテグレーションサービスを行う企業、つまり、システムインテグレータとは、「コンピュータシステムの企業への導入をサポートする企業であり、ハードウェアシステムの選定や、ソフトウェアの選定、ネットワークの敷設、客先に応じたソフトウェアのカスタマイズなどコンピュータ導入に関する全般的な作業を扱う」ことも、一般に知られているところである。 してみれば、被請求人(権利者)は、コンピュータの設置工事も行っているものとみるのが相当であって、当該工事は、機械器具設置工事のほか、電気工事、及び電気通信工事も伴うとみるのが相当である。 実際、乙第4号証の記載内容からしても、被請求人(権利者)の業務は、充分システムインテグレータの業務内容と認めうるところである。 (ウ)使用年月日について 乙第2号証及び同第4号証の、いずれも裏表紙記載の「S605A-SF-3000-E-0503-SI」中の「0503」、及び「771-2A-TBS-2340-A-0506-CRE」中の「0506」部分の数字は、印刷物においてはよく見られる記載であり、それぞれ、2005年3月及び同6月に作成されたものとみるのが相当である(但し、被請求人は、乙第2号証はの発行日は、2003年6月と述べているが、記載ミスと判断する)。 (3)小活 以上によれば、被請求人(権利者)は、本件取消審判請求の登録前3年以内の2005年3月及び同6月に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の「TSUBASA」なる商標を、少なくとも取消請求に係る指定役務中の「建築一式工事,土木一式工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,塗装工事,内装仕上工事,屋根工事,機械器具設置工事,電気工事,電気通信工事」について、自社の広告宣伝パンフレットに使用していたものと認めることができる。 (4)まとめ したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品について使用をしていないものには該当しないから、商標法第50条第1項により、その登録を取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-02-14 |
結審通知日 | 2006-02-17 |
審決日 | 2006-03-01 |
出願番号 | 商願2001-39937(T2001-39937) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Z37)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
山田 清治 |
特許庁審判官 |
久我 敬史 水茎 弥 |
登録日 | 2002-08-02 |
登録番号 | 商標登録第4591789号(T4591789) |
商標の称呼 | ツバサ、ヨク |
代理人 | 黒沼 吉行 |
代理人 | 中村 政美 |