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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200225215 審決 商標
不服200322975 審決 商標
不服20035262 審決 商標
不服2003853 審決 商標
不服200225216 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない Y07
管理番号 1134741 
審判番号 不服2004-5170 
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-12 
確定日 2006-03-28 
事件の表示 商願2002- 90993拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第7類「塗装用スプレーガン」を指定商品として、平成14年10月28日に立体商標として登録出願されたものである。

2.原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、細長い矩形及び円図形よりなるものであり、これは、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標である。また、仮に、これが立体的形状を表したものであると解されたとしても、単純な環を表したものとしか理解されなく、いずれにしても、極めて簡単で、かつ、ありふれた立体的形状の範囲を超えないものと認識される形状のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3.当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異な形状であっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
なお、商品等の立体的形状について、上記と同旨の判示をしたうえで、自他商品の識別力を有しない旨認定、判断をした以下の東京高等裁判所の判決(平成13年(行ケ)第446号 判決言渡日 平成14年7月18日、 平成14年(行ケ)第581号 判決言渡日 平成15年8月29日ほか)がある。
(2)そこで、本願商標を以上のことに照らし検討するに、本願商標は、別掲のとおり、環状の立体的形状を表すものと認められるから、これを本願指定商品に使用しても、取引者・需要者は、単純な環(リング)と理解し、極めて簡単で、かつ、ありふれた立体的形状の範囲を超えないものと認識される形状であり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
(3)なお、請求人は、同種の商品において、本願商標のような態様で使用される商標は他にないことと、本願商標が付された塗装用スプレーガンは、世界各国における需要者又は取引者に広く知られるに至っていること及び本願商標がアメリカ合衆国において登録されていることより、出願人の業務に係る商品であることを認識し得る旨、また、本願商標は、ドイツ国、米国、英国等の諸外国並びに日本国内においても継続して使用され、その結果、使用による識別性を備えており「塗装用スプレーガンのエアキャップリング」についての国際的な周知商標となっているので、商標法第3条第2項に該当する商標である旨主張し、甲第3号証ないし甲第8号証を提出している。
しかしながら、該形状は、なんら特徴が認められない環状の立体形状よりなるものであり、それ自体が自他商品の識別標識として認識されたとみることはできない。
また、その使用方法は、塗装用スプレーガンのキャップ部分に着色してはめるものであって、美感を高めるために採択されたものと認められ、環(リング)のみの形状が周知となっている証拠を見いだし難い。
したがって、本願商標が使用により識別力を有するに至っているものと認定することはできないというべきである。
さらに、外国における登録例を示しているが、諸外国における立体商標の登録制度及びその運用と我が国のそれが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められないから、これに基づく主張は採用の限りでない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第5号に該当するものであって、使用による識別性を得ているものとも認められないから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標
平面図

左側面図、正面図及び右側面図

底面図

背面図


審理終結日 2005-10-25 
結審通知日 2005-10-31 
審決日 2005-11-14 
出願番号 商願2002-90993(T2002-90993) 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (Y07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡田 美加長柄 豊 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 寺光 幸子
池田 光治
代理人 廣江 武典 

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