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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 110
管理番号 1132934 
審判番号 取消2005-30386 
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-04-08 
確定日 2006-03-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第1916238号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1916238号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ココロ」の片仮名文字と「KOKORO」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、昭和59年1月27日に登録出願、第10類「理化学機械器具、光学機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和61年11月27日に設定登録されたものである。当該商標権は、平成9年3月11日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続するものである。

2 請求人の主張(要旨)
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として請求書に添付の甲第1号証及び同第2号証、弁駁書に添付の甲第1号証ないし同第5号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、審判請求日現在において既に登録後3年以上経過しており、しかもこの間、被請求人は、日本国内において、本件商標をその指定商品「理化学機械器具、光学機械器具、その他本類に属する商品」について使用した事実は存在しない。また、登録原簿謄本においてみるも、本件商標について専用使用権者若しくは通常使用権者の設定登録がなされていないことから、使用権者の存在並びにそれによる本件商標の使用を推認せしめる根拠もない。
よって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、使用されていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである。
(2)弁駁
ア 登録商標の区分
本件商標の商品区分は昭和34年法の第10類、指定商品は理化学機械器具、光学機械器具、その他本類に属する商品であるが、弁駁書に添付の甲第1号証に示すように、現行区分では、1類(写真材料)、5類(医療用腕輪)、9類(理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具)、10類(医療用機械器具)、12類(車いす)に相当する。
イ 商品区分の整理
(ア) 乙第1号証および同第2号証のココロニュース、乙第5号証、および同第6号証の中で「ロボット」という言葉とそのロボットを撮影した写真が記載されているが、弁駁書に添付の甲第2号証に示すように、ロボットは現行区分の第7類もしくは第28類に属する。
(イ) 乙第1号証の3頁のココロニュースの中で「動刻」という言葉とその動刻を撮影した写真が記載されているが、甲第3号証の信越化学工業株式会社のホームページにおいて株式会社ココロ動刻部動刻営業課主任の松崎辰夫氏が『私たちはロボットのことを動く彫刻=「動刻」と呼びます。』と発言していることから、動刻はロボットと同じものであり、ロボットは現行区分の第7類もしくは第28類に属する。
(ウ) 乙第1号証の6頁ないし8頁のココロニュースの中で「(ゲーム系)自販機」という言葉とその自販機を撮影した写真が記載されているが、甲第4号証に示すように、自販機は現行区分の第9類に属するが、本件商標の現行区分第9類の理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具とは異なる。また、甲第5号証で示すように、自動販売機は昭和34年法の分類においても第9類であり、昭和34年法の分類で比較した場合にも商品区分が異なる。
(エ) 乙第7号証の1と2は被請求人のインターネット上のホームページであるが、そこではショップロボット、ACTROID等のロボットについては記載されているが、上記でも説明したとおり、ロボットは現行区分の第7類および第28類に相当する。
(オ) 以上のことから、乙第1号証、同第2号証、及び同第5号証ないし同第7号証において「ロボット」、「自販機」は、本件商標の昭和34年分類の商品区分第10類に相当する上記現行区分には属さないため、本件商標「KOKORO」を使用していることの証拠たり得ない。
(カ) なお、被請求人は、答弁書において『乙第1号証には、本件商標権者が製作し、販売する商品である恐竜型のロボット、汎用型ナレーションロボットについての記載がある。このうち、恐竜型のロボットは、恐竜の模型に該当するものであって、商品区分第10類に属する商品に該当する』との主張をしているが、(弁駁書に添付の)甲第1号証および同第2号証で示すように、ロボットは、現行区分第7類及び第28類、模型は現行区分第9類に属するものであり、ロボットと模型が商品区分上違う物であることは明らかである。
また、乙第1号証ないし同第4号証のココロニュースでは、被請求人がロボット、動刻、模型を意図的に使い分けており、被請求人もロボットと模型は違うものであると認識していたはずである。
(キ) ただし、乙第3号証および同第4号証には、「模型」という言葉とその写真が記載されており、「模型」は現行区分第9類(理化学機械器具)に属するため、以下に乙第3号証および同第4号証が本件商標の使用を証明するものではないことについて述べる。
ウ 乙第3号証および同第4号証における商標「KOKORO」の使用態様
(ア) 「広告に付される標章は、商品に関して付されていなければ、商品についての標章の使用とはいい得ない。会社の商号の略称や社標が商標として登録されていても、該商標を商品と関係なく、会社自体の宣伝のために、広告書類に表示している場合には、商標の使用があったとはいい得ない。」(小野昌延編 注解商標法 73頁 青林書院 1994年)と考えられる。
(イ) 乙第3号証の4頁は、ポニーの模型についての記事と写真が記載されているが、このポニーの模型に本件商標「KOKORO」が付されている事実は確認できない。また、乙第4号証の3頁は、セイスモサウルス模型(恐竜模型)についての記事と写真が記載されているが、この模型に本件商標「KOKORO」が付されている事実は確認できない。
(ウ) 以上から、乙第3および同第4号証には、被請求人が製作し印刷したココロニュースの表紙最上部には「KOKORO」の商標が付されている事実は確認できるが、商品自体に本件商標が付されている事実は確認できないから、上記理由により本件商標の使用があったとはいい得ない。
エ 乙第1号証、同第2号証、同第3号証の1頁ないし同3頁および同5頁ないし同8頁、同第4号証の1頁、同2頁および同4頁、同第5号証、同第6号証、並びに同第7号証で記載されている商品は、本件商標の昭和34年法の商品区分第10類に属するものでなく、乙第3号証の4頁と同第4号証の3頁は商標「KOKORO」を本件商標の指定商品に使用した事実を説明するものではない。
オ 以上のとおり、被請求人の提出に係る各証拠によっては、被請求人の主張する本件商標の使用は客観的には証明されていないものである。

3 被請求人の主張(要旨)
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標の商標権者は、本件商標権者が製作し印刷したココロニュース(以下、順に乙第1号証ないし同第4号証) 「No.59 2002.10」、 「No.60 2003.5」、「No.61 2003.11」、「No.62 2004.12」を、本件商標権者が製作し、販売する商品の広告を目的に頒布している。
そして、乙第1号証の2頁に示される恐竜型の「ロボット」の展示物は、日本のココロと、イギリスの大英自然史博物館と、スペインの企画デザイン会社であるGPDとの共同事業であり、この企画はパッケージ化し、販売をしていく予定である旨の記載がある。また、乙第1号証の第4頁には、汎用型ナレーションロボット「Sドール」が写真とともに示され、ココロのロングセラーであることが記載されいる。
このように、乙第1号証には、本件商標権者が製作し、販売する商品である恐竜型のロボット、汎用型ナレーションロボットについての記載がある。このうち、恐竜型のロボットは、恐竜の模型に該当するものであって、商品区分第10類に属する商品に該当する。
そして、乙第1号証の8頁の下欄に、アルファベットで「kokoro」の表記とともに、片仮名文字で「ココロ」の表記がされている。
乙第1号証において、アルファベットで表記された「kokoro」はデザイン化され、片仮名「ココロ」は、法人を示す株式会社の文字を連続して記しているが、乙第1号証に記載された商品の出所を示す記載として用いられているものであり、本件商標権者の商標として使用されるものである。
乙第1号証に記載される「kokoro」、「ココロ」は、本件商標と同様に「ココロ」の称呼を生ずるものであって、実質的に同一の商標でもある。
また、乙第2号証ないし同第4号証にも、本件商標権者が製作し、販売する恐竜型のロボット、昆虫模型、さらには人型ロボットが示されている。
そして、これらの各号証においては、いずれも1頁の下欄に、アルファベットで「kokoro」の表記とともに、片仮名文字で「ココロ」の表記がされている。これらの各号証においても、アルファベットで表記された「kokoro」はデザイン化され、片仮名「ココロ」は、法人を示す株式会社の文字を連続して記しているが、いずれもこれらの各号証に記載された商品の出所を示す記載として用いられているもであり、本件商標権者の商標として使用されるものである。
ところで、乙第1号証ないし同第4号証のココロニュースは、第1号( No.1)から連続して印刷され、頒布されたものの一部である。そして、表題に連続して記載される「2002.10」、「2003.5」、「2003.11」、および「2004.12」は、頒布年月を示すものである。これは、乙第1号証ないし同第4号証には、連続したナンバーが付され、概ね定期的に印刷頒布されていることからも明らかである。
このように、本件商標権者は、本件取消審判の予告登録日前3年以内において、本件商標をその指定商品に使用していることは明らかである。
なお、乙第1号証ないし同第4号証のココロニュースに連続する「ココロニュース No.55」については、本件商標の商標権存続期間更新登録願の登録商標の使用説明書として提出され、本件商標の使用を示す資料として認められているものである。
また、「工業教育」 5月号、通刊第235号、発行所 株式会社産学通信社、平成16年5月15日発行(乙第5号証)の第2頁および同第3頁には、商標権者の広告が掲載され、ここには、片仮名の「ココロ」の表記とともに、本件商標の指定商品に該当する人型ロボットが記載されている。この人型ロボットは、本件商標の指定商品の模型に相当するものである。
乙第5号証においても、片仮名「ココロ」は、法人を示す株式会社の文字を連続して記しているが、乙第2号証ないし同第4号証に記載された商品の出所を示す記載として用いられているもであり、本件商標権者の商標として使用されるものである。
そして、「週刊新潮」第50巻第13号、発行所 株式会社 新潮社 17年3月31日発行(乙第6号証)の第174頁には、商標権者が作製し、愛知万博会場で展示される人型ロボットについて、アルファベットで表記された「kokoro」と片仮名「ココロ」とが表記された写真が掲載されている。
本件商標権者が、乙第6号証に示されるアクトロイドと称される「人型ロボット」を愛知万博会場において展示していることは、本件商標権者のホームページからも明らかである。本件商標権者のインターネット上のホームページを乙第7号証の1ないし4として提示する。なお、上記ホームページへのアクセスは、平成17年6月27日に行った。
上記乙第7号証の1ないし同3には、アクトロイドと称される「人型ロボット」とともに、本件商標「kokoro」及び「ココロ」と標記され、商品としての模型に該当する「人型ロボット」に関する商標として本件商標「kokoro」及び「ココロ」が使用されていることが示されている。そして、上記乙第7号証の3は、平成17年3月19日に閲覧可能になったことは、乙第7号証の2の記載からも明らかであり、本件取消審判の予告登録日前3年以内において、本件商標を本件商標の指定商品に使用していることは明らかである。
(3)結び
本件商標権者は、本件取消審判の請求の予告登録前3年以内に、本件商標を本件商標の指定商品に使用しており、商品の出所を表示する商標として機能し、商品流通秩序の維持に寄与しているものであり、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきものではない。

4 当審の判断
(1)被請求人提出の乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件商標権者が製作した「ココロニュース No.61 2003.11」(乙第3号証)には、1頁の左下にデザイン化された「kokoro」の文字が表示されていることが認められる。そして、同1頁ないし同5頁には、恐竜の模型と認められる展示物が掲載されている。
イ また、同じく「ココロニュース No.62 2004.12」(乙第4号証)には、1頁の左下にデザイン化された「kokoro」文字が表示されていることが認められる。そして、同1頁ないし同3頁には、恐竜の模型と認められる展示物が掲載されている。
ウ そして、上記両「ニュース」は、いずれも、被請求人が製造する商品の広告をするために発行されたものであり、その発行日と認められる「2003.11」「2004.12」の記載と、日本語によって記載されていることから、平成15年11月頃及び同16年12月頃に日本国内で頒布されたもの推認される。
(2)本件商標は、「ココロ」の片仮名文字と「KOKORO」の欧文字とからなるものであるところ、上記ニュースに使用された商標(以下、「使用商標」という。)は、デザイン化されているけれども、「kokoro」の欧文字を表したと容易に認識されるものである。そして、上記使用商標は、大小文字の違いはあるが、本件商標の欧文字とその構成を同じにし、また、その称呼を共通にするうえ、観念における変動があるとはいえないものであるから、本件商標とは社会通念上同一の商標とみて差し支えないというべきである。
また、上記に掲載の模型は、上記ニュースの記載の記事内容からして、作業用の機械器具の類や単に娯楽を目的とした玩具の類のものとはいえず、恐竜の実物を模したものであって、これにより実物に接する疑似体験(学習)や教育に資するものとみるのが相当であり、本件商標の指定商品である理化学機械器具中の「模型」に属すべき商品というべきである。
したがって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、商標権者によって本件審判請求の登録前3年以内の時期に、指定商品「模型」について使用されていたと認め得るものである。
(3)請求人は、ココロニュースの表紙最上部には商標が付されている事実は確認できるが、商品自体に本件商標が付されている事実は確認できないから、商標の使用があったとはいい得ない旨主張する。
しかし、商品自体に商標が付されている証左の提出がないからといって、それをもって直ちに商標の使用を否定することができないことは明らかであり、上記のとおり、広告における本件商標の使用を認定し得るものであるから、請求人の主張は採用し得ない。
(3)以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、日本国内において、被請求人によって、その指定商品中「模型」について使用されていたと認め得るものである。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品に使用をしていないものには該当しないから、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-01-06 
結審通知日 2006-01-13 
審決日 2006-01-24 
出願番号 商願昭59-6160 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (110)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小松 英世 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 山本 良廣
水茎 弥
登録日 1986-11-27 
登録番号 商標登録第1916238号(T1916238) 
商標の称呼 ココロ 
代理人 藤井 稔也 
代理人 野口 信博 
代理人 田村 榮一 
代理人 小池 晃 

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