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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 005 |
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管理番号 | 1132753 |
審判番号 | 取消2004-31586 |
総通号数 | 76 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-04-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2004-12-10 |
確定日 | 2005-12-05 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3370132号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第3370132号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第3370132号商標(以下「本件商標」という。)は、「Anyan」の文字と「アニャン」の文字とを二段に横書きしてなり、平成6年6月9日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同10年9月4日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)請求の理由 調査によれば、本件商標の権利者(株式会社アニャンファム)(以下「被請求人」という。)は、関連会社である「株式会社ハーツ」(住所:京都府京都市右京区西院東貝川町81番地)(以下「通常使用権者」という。)を通じて、商標「天王石」の使用に係る商品「天然鉱石からなる水質改善剤(飲料水用)」及び商標「龍水華」の使用に係る商品「天然鉱石からなる水質改善剤(浴用)」(以下「本件使用商品」という。)を販売していることが明らかである。 しかしながら、本件商標は、その指定商品である「薬剤」について、本件審判請求の登録日前3年以内に継続して、商標権者又はその使用権者のいずれによっても使用されてはいない。 よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、登録を取り消されるべきである。 (2)答弁に対する弁駁 (ア)被請求人は、同人が商標「龍水華」の下に製造販売する本件使用商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「アニャン」を前記商標「龍水華」とともに使用しており、また、本件使用商品が本件商標の指定商品「薬剤」に含まれている商品「浴剤」であると主張し、乙第1号証ないし乙第14号証を提出している。 しかしながら、請求人は、被請求人の主張に係る本件使用商品が本件商標の登録の取消請求に係る指定商品である第5類「薬剤」中に含まれている商品「浴剤」であるとは認めず、本件商標がその指定商品について使用されているとの被請求人の主張を争う。 そこで、まず、本件商標の指定商品「薬剤」中に含まれると被請求人が主張している本件使用商品について、以下、検討する。 (イ)本件使用商品の性質・特徴 本件使用商品の取扱説明書(甲第2号証の1、乙第1号証の5頁目)や株式会社ハーツ・ホームページ(甲第2号証の2、乙第1号証の10頁目)の記述によれば、本件商品は、以下のごとき、性質・特徴を有する。 (a)商品の素材 熱風・殺菌処理を施した天然素材の鉱石。 (b)素材の特質、商品の使用目的・効能 多孔質で吸着性・吸収力に富んだ特質は、水道水に含まれる有害な物質を吸着させ、解毒するろ過作用を持ち、水の浄化・消臭に大変優れる。 (c)商品の効能 お湯に溶け出すミネラル成分により水質向上を図れる。 (d)商品の使用方法 袋に入った状態で、浴槽につける。 (ウ)「浴剤」の概念 「商品及び役務の区分解説・国際分類第8版対応」(特許庁商標課編)によれば、第5類「薬剤」の概念には、次のものが含まれる(甲第3号証)。 (a)薬事法(昭和35年法律145号)の規定に基づく“医薬品”の大部分 (b)同法にいう“医薬部外品”の一部 (c)農薬(薬事法にいう“医薬品”には含まれない。)の大部分 したがって、第5類「薬剤」(中概念:10 外皮用薬剤)に含まれている「浴剤」は、上記(a)又は(b)のいずれかに該当するものであると解される。 本件使用商品は、上記(イ)に記載の性質・特徴を有する商品であり、人体に対し、顕著な薬理作用を及ぼすものではないから、同商品が“医薬品”としての「浴剤」でないことは、明らかである。 (エ)“医薬部外品”としての「浴剤」 薬事法は、「医薬部外品」について、明確に定義している(弁駁書4頁及び甲第4号証)。 そして、同規定を基に、薬事法に定める医薬部外品に該当する商品は、明確に定められており、この中には、「浴用剤」も含まれている(甲第5号証の1及び2)。 また、「商品及び役務の区分解説・国際分類第8版対応」(特許庁商標課編)は、第5類「薬剤」の概念に含まれる“医薬部外品”に関し、次のとおり、解説する(甲第3号証)。 すなわち薬事法に規定する“医薬部外品”のうち、例えば、「薬用ベビーパウダー」「薬用ベビーオイル」「口中清涼剤」「殺虫剤」「殺そ剤」等が含まれる。ただし、“医薬部外品”であっても、その使用目的において身体を清潔にし、美化し、魅力を増す等の用途に使用されるもの、例えば、“薬用化粧品”は、第3類化粧品に含まれる。 以上、薬事法が規定する医薬部外品の定義、並びに、商品及び役務の区分解説を総合勘案するに、“医薬部外品”としての「浴剤」であるためには、薬事法第2条第2項に規定する1ないし4の目的の下、穏やかではあっても人体に対する作用が認められた成分を配合する物質であり、器具機械ではないものであって、なおかつ、使用目的において、「人体に対する薬理作用」の用途に使用されるものでなければならず、例えば、身体を清潔にしたり、美化したりする用途に使用されるものを含まない。 これに対し、本件使用商品は、多孔質の鉱石を素材とし、ろ過作用により風呂の水を浄化することを主たる使用目的とし、かつ、鉱物中のミネラル成分による水質の向上を補助的な効能とするものであり、いずれも、人体への薬理作用を直接的かつ主要な目的とするものではないので、本件使用商品は、“医薬部外品”としての「浴剤」とは認められない。 ちなみに、被請求人は、答弁書(8頁以降)において、「・・・次に、本件使用商品は、説明書に添付の前記写真(E、F)、前記商品カタログ、前記取扱説明書及び前記宣伝用チラシに見られるとおり、『自然石』(商品カタログ参照)・『天然の鉱石』(取扱説明書参照)からなるものであり、前記取扱説明書中の『・・・ネット袋より布袋に入れ替えてください。中の石が出ないようにしっかりとひもにしばって下さい。・・・浴そうに入れてご入浴下さい。・・・』なる記載や前記宣伝用チラシ(乙第1号証の7頁目)中の『・・・ご家庭の浴槽に約30分、龍水華をつけておくだけで・・・湯冷めしにくく、冷え性・美容・肌荒れ・疲労回復等にも効果があります。・・・』なる記載のとおり、『浴剤』の一種と認められるべき商品である。なお、商品区分第5類の『薬剤』に自然石・天然の鉱石を用いた浴剤が含まれている事実は、例えば、登録第4740470号商標に係る指定商品が第5類『天然鉱石を用いた入浴剤,遠赤外線・磁気を生ずる鉱石からなる入浴剤』であること(乙第11号証参照)によって立証できる。・・・」という旨主張している。 しかしながら、「自然石」「天然石」を風呂に入れて使用することは、単に同商品が風呂に関連する商品であることを意味するにすぎず、このことのみをもって、本件商品が「浴剤」(あるいは、「浴用剤」「入浴剤」)であるとは認められない。 また、被請求人の前記宣伝広告用チラシ(乙第1号証の7頁目)中、「湯冷めしにくく、冷え性・美容・肌荒れ・疲労回復等にも効果があります。」との記述は、商品の効能を多数挙げることにより、商品価値を高めんとする宣伝広告的意図に基づいて表示されたにすぎず、本件使用商品の直接的かつ主要な目的は、水のろ過・浄化である。 さらに、上記のような効能が本当にあるのかどうか客観的な裏付けもなく、ましてや、人体への薬理作用が本件使用商品に備わっているとは認められない。 それに加えて、上記の効能に基づいて、医薬品や医薬部外品としての承認・認可を得たとの証拠もない。 その上、登録第4740470号商標の指定商品に第5類「天然鉱石を用いた入浴剤,遠赤外線・磁気を生ずる鉱石からなる入浴剤」を含むからといって、本件使用商品が第5類「薬剤」に含まれる「浴剤」(すなわち、人体への薬理作用を有する商品)であるとの証左にはならない。本件使用商品の第一次的な使用目的は、水のろ過・浄化であり、したがって、「浴用の商品」ではあっても、いわゆる「入浴剤」の概念には含まれない。本件使用商品は、多孔質の鉱物を素材とし、水のろ過・浄化を図るものであり、遠赤外線・磁気を生ずる鉱物を素材とし、人体に薬理作用を及ぼすことを目的とするものではない。 本件使用商品の取扱説明書(甲第2号証の1、乙第1号証の5頁目)や通常使用権者のホームページ(甲第2号証の2、乙第1号証の10頁目)の記述によれば、本件使用商品は、「健康入浴用商品」と表示されており、「浴剤」とは表示されていない。 また、本件使用商品が「医薬品」あるいは「医薬部外品」であるとの記述も認められない。 本件使用商品は、昨今の健康ブームにあやかり、また、風呂好きの国民的嗜好に合致する商品として、「浴用水のろ過・浄化」を効能とする商品を提供せんとするものである。本件使用商品の一般名称について、「浴剤」(ないし「浴用剤」)と表示することは、商標権者にとっても妥当とは思われない結果、「健康入浴用商品」なる表示を付したと推測される。 本件使用商品が「浴剤」(「医薬品」ないし「医薬部外品」に該当するもの。)であるならば、その製造販売について承認・認可を得ているはずであるが、本件使用商品について承認や認可があるとは思われない。少なくとも、かかる事実に関する証拠の提出はない。 (オ)本件使用商品が属する商品の概念 本件使用商品は、非金属鉱物を素材とし、お風呂の水に含まれる塩素や不純物をろ過し、水を浄化することを主目的とする。 そして、特許庁・電子図書館によれば、「ろ過剤(鉱物性物質から成るものに限る。)」は、第1類(類似群コード:01A01)に分類されている(甲第6号証の1)。 さらに、第三者名義の登録第4379116号商標は、第1類「鉱石からなる粒状のろ過清澄剤」を指定商品として登録を認められており、また、登録第4235155号商標は、第1類「入浴用浄化剤(薬剤に属するものを除く),湯のろ過清澄剤(薬剤に属するものを除く)」を指定商品として登録を認められており、いずれも、その類似群コードは「01A01」である(甲第6号証の2及び3)。 それに加え、第三者名義の登録第4688894号商標は、第1類「三波川変成岩を用いてなる水質浄化剤,飲用水及び浴用水等の上水浄化用の非金属鉱物・・・」等の商品を指定のうえ、登録を認められており、その類似群コードは、「01A01」及び「06B01」である(甲第7号証の1及び2)。 同登録商標は、上記の指定商品について実際に使用されている。具体的には、「飲用水用のもの」と「浴用水用のもの」の2タイプの商品が市販されている(甲第8号証)。 そして、「浴用水用のもの」は、以下のごとき、特徴を有する。 (a)商品の素材 天然海洋ミネラル水。 (b)素材の特質、商品の作用・効果 備長炭の10万倍、麦飯石の8万倍の多孔質で、有機物質を分解し、自然ろ過する。 水道水の塩素や不純物を吸着、分解、自然ろ過。 (c)商品の作用効果 高い遠赤外線効果により血行促進、肌の新陳代謝を高める。 海洋ミネラル成分が肌に潤いと保湿性を与え、温泉気分を味わえる。 除菌効果により風呂のカビ等を抑制。 (d)商品の使用方法 ネットに入れて浴槽に沈める。 上記の商品と本件使用商品とを対比するに、両商品は、ともに(a)非金属鉱物を素材とし、(b)同素材が多孔質であって、塩素や不純物をろ過できる機能を有することを利用し、浴用水浄化の使用目的に供するものであり、(c)その他、非金属鉱物から溶け出すミネラル成分による効能等を併せ持ち、(d)袋やネットに入れて浴槽に浸して使用するものである。 したがって、両商品は、実質上、同じ概念の商品である。 両商品は、ともに第1類「化学品」ないし「非金属鉱物」の範疇に分類されるべきものであり、第5類「薬剤」には、属さないと解される。 付言するに、登録第4688894号商標の使用に係る商品には、「浴用水用のもの」のほかに、「飲用水用のもの」がある(甲第8号証)。 同様に、被請求人の製品にも、「浴用水用のもの」(すなわち「本件使用商品」)とは別に、「飲用水用のもの」(すなわち、商標「天王石」の使用に係る商品)がある(甲第2号証の1及び2、乙第1号証) これらの「飲用水用のもの」は、いずれも、(a)非金属鉱物を素材とし、(b)同素材が多孔質であって、塩素や不純物をろ過できることを利用し、飲用水浄化の使用目的に供するものであり、(c)その他、非金属鉱物から溶け出すミネラル成分による効能等を併せ持ち、(d)袋やネットに入れて、飲用水の入ったポット等に浸して使用するものである。両商品は、実質上、同じ概念の商品であると理解されるところ、第1類「化学品」ないし「非金属鉱物」の範疇に分類されるべきものであり、第5類「薬剤」の商品とは、理解されない。 「飲用水用のもの」は、同商品の使用に係る水(すなわち、ろ過・浄化の目的を達成した水)が人体の体内に直接摂取されるが、薬理作用を伴わず、第5類「薬剤」に含まれる商品ではない。同様に、「浴用水用のもの」は、同商品の使用に係る水(すなわち、ろ過・浄化の目的を達成した水)が人体の外皮に触れるが、薬理作用を伴わず、第5類「薬剤」に含まれる商品ではない。 以上、本件使用商品は、第1類に属すべき商品である。 (カ)「風呂用商品」 一般市場を見わたすと、風呂に関連するさまざまな商品が提供されている。 例えば、一般の商品市場において、「入浴剤」なる言葉が用いられることがあるが、同概念に含まれる商品は、次の2種類に大別されると思われる。 (a)第5類「薬剤」の概念に含まれる「浴剤」に該当するもの。 これは、市場において、「薬用入浴剤」と呼ばれることもある商品であり、皮膚疾患の治療・予防等の薬理作用を有し、医薬品あるいは医薬部外品に該当するものである(甲第9号証の1及び2、甲第7号証の3)。 (b)第5類「薬剤」の概念に含まれる「浴剤」には該当しないもの。 これは、市場において、「(一般)入浴剤」と理解されている商品であり、皮膚の美化等を目的として使用され、商標法に基づく商品区分に従えば、「浴用化粧品」に該当するものである(甲第9号証の4)。 本件使用商品は、人体への薬理作用・衛生・美化等を目的とするものではなく、浴槽に貯められた水のろ過・浄化を直接的かつ主たる使用目的としている。 そして、従来は、飲用水や浴用水のろ過・浄化のために、備長炭等が用いられていたところ、より多孔質の素材として、非金属鉱物が使用されているものである。 本件使用商品は、浴用の商品ではあるが、いわゆる「入浴剤」ではなく、ましてや、第5類「薬剤」に含まれている「浴剤」ではない。 (キ)まとめ 第5類「薬剤」に含まれる「浴剤」は、薬事法に定める医薬品のように人体への薬理作用が顕著なものであるか、あるいは、同法に定める医薬部外品のように穏やかであっても、人体への薬理作用をもたらす成分を含むものでなければならないが、本件使用商品の性質・特徴を検討するに、その直接的かつ主たる使用目的は、「水のろ過・浄化」であり、人体への薬理作用は、認められない。また、医薬品や医薬部外品として承認・認可された商品であるとの証拠もない。 したがって、本件使用商品は、第5類「薬剤」に含まれる「浴剤」ではない。 むろん、「浴剤」以外に、第5類「薬剤」に含まれるべきその他の商品でもない。 かような次第で、被請求人は、本件商標を第5類「薬剤」に含まれるべき商品について使用したとは、認められない。 以上、詳述したとおり、被請求人提出に係る乙第1号証ないし乙第14号証では、本件商標がその指定商品に使用されていたことが証明されておらず、被請求人の答弁も事実に反し、理由がなく、成り立たないものである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)本件商標の使用状況について 被請求人及び「京都市右京区西院東貝川町81番地」所在の「株式会社ハーツ」(通常使用権者)は、本件審判請求の登録(平成17年1月6日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「アニャン」をその指定商品「薬剤」中に含まれている商品「浴剤」に使用している。 そして、上記事実は、被請求人が商品「浴剤」の包装箱に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「アニャン」を付して、平成7年7月から現在に至るまで、日本国内において継続して販売しているとともに、通常使用権者が被請求人から当該商品を仕入れ(購入し)て、平成12年1月から現在に至るまで、日本国内において継続して販売していることを示す「登録商標の使用説明書」(乙第1号証)によって立証できる。 なお、被請求人は、「登録商標の使用説明書」に添付の「(3)商標が付された商品が掲載された商品カタログ」や「(4)商標が付された商品が掲載された宣伝用チラシ」に見られるとおり、商標「アニャン」をハウスマーク(営業標識)として使用し、商標「龍水華」を個別ブランド(商品標識)として使用している。 (2)登録商標の使用説明書について (ア)まず、京都地方法務局発行に係る現在事項全部証明書(乙第2号証)の「目的」欄に掲載されているとおり、被請求人が行っている業務の一つに「2.天然素材による家庭用、業務用浴槽の水質浄化及び温泉効果物質の販売」があり、被請求人は、当該業務を平成7年7月から開始し、現在に至っている。 そして、被請求人は、登録商標の使用説明書に添付の「(1)商標が付された商品を撮影した写真(A〜F)」に写っている商品(本件使用商品)を、平成7年7月から現在に至るまで、日本国内において継続して販売しており、当該写真(A、C)に見られるとおり、本件使用商品の包装箱には、商標「アニャン」と商標「龍水華」とが表示されている。 なお、上記包装箱は、上記業務開始時に、「京都市下京区烏丸通5条下ル第10長谷ビル」所在の「ザ・パック株式会社」に依頼して製作したもの(乙第3号証:請求書(写し)参照)であり、当該包装箱(後出乙第14号証)は、現在も使用している。 また、被請求人は、登録商標の使用説明書に添付の「(2)商標が付された商品の取扱説明書」を、上記写真(D、E)に見られるとおり、本件使用商品の包装箱に同封しており、当該取扱説明書にも、商標「アニャン」と商標「龍水華」とを表示している。 さらに、被請求人は、登録商標の使用説明書に添付の「(3)商標が付された商品が掲載された商品カタログ」にも本件使用商品の写真を掲載するとともに、商標「アニャン」と商標「龍水華」とを表示している。 なお、上記取扱説明書及び上記商品カタログは、上記業務開始時に、「京都府向日市森本町戌亥5番地の3」所在の「佐川印刷株式会社」に依頼して、製作したもの(乙第4号証:請求書(写し)及び振込金受取書(写し)参照)であり、当該取扱説明書及び商品カタログは、現在も使用している。 また、被請求人が上記業務を平成7年7月から開始した事実は、乙第5号証(雑誌:国際グラフ)に、「・・・健康入浴用商品『龍水華』の販売を、実は、この7月から本格的に開始した・・・」なる記載とともに、本件使用商品が写っている写真が掲載されていることによっても立証できる。 (イ)次に、京都地方法務局発行に係る現在事項全部証明書(乙第6号証)の「目的」欄に掲載されているとおり、通常使用権者が行っている業務の一つに「2.天然素材による家庭用、業務用浴槽の水質浄化及び温泉効果物質の販売」があり、通常使用権者は、当該業務を平成12年1月から開始し、現在に至っている。 なお、通常使用権者の代表者「橋本雅隆」は、被請求人会社の代表者でもある(乙第1号証参照)。 そして、通常使用権者は、平成12年1月から現在に至るまで、日本国内において継続して、本件使用商品を被請求人から仕入れ(購入し)て、販売しており、当該販売に当っては、前記商品カタログを使用(同カタログの裏表紙参照)するとともに、登録商標の使用説明書に添付の「(4)商標が付された商品が掲載された宣伝用チラシ」及び「(5)商標が付された商品が掲載された宣伝用カード」を使用しており、当該宣伝用チラシ及び宣伝用カードには、本件使用商品の写真が掲載されている。 なお、上記宣伝用チラシ及び宣伝用カードは、「京都市下京区4条通大宮東入ル立中町5024条ファーストビル7階」所在の「有限会社セブンズ」に依頼して、製作したもの(乙第7号証:請求書(写し)及び領収書(写し)参照)であり、当該宣伝用チラシ及び宣伝用カードは、現在も使用している。 また、通常使用権者は、登録商標の使用説明書に添付の「(6)商標が付された商品が掲載された新聞広告(写し)」のとおり、2003年11月13日付けの京都新聞(夕刊)第8面に、本件使用商品の写真を掲載して、新聞広告を行っている。 さらに、通常使用権者は、登録商標の使用説明書に添付の「(7)商標が付された商品が掲載されたホームページ出力」に見られるとおり、本件使用商品の写真を掲載して、該商品の通信販売を行っている。 なお、上記ホームページ出力が、遅くとも平成16年6月4日(金曜日)から同月10日(木曜日)までの間に出力されたものであるという事実は、当該ホームページ出力の1枚目に「2004/6/4更新」とあり、2枚目に「毎週金曜日更新」及び「Copyright(c)1999-2004・・・」とあることによって立証できる。ちなみに、同ホームページの2005年2月18日出力(乙第8号証)の1枚目には、2005/2/18更新」とあり、2枚目には、「毎週金曜日更新」及び「Copyright(c)1999-2005・・・」とある。 ところで、上記宣伝用チラシ、新聞広告(写し)及びホームページ出力に掲載されている本件使用商品の各写真が不鮮明なため、当該各写真に写っている本件使用商品の包装箱に表示されている商標「アニャン」を明確に視認することは困難であるが、被請求人としては、当該各写真と登録商標の使用説明書に添付の前記写真(A)とを対比・観察する場合には、商標「アニャン」が表示されている事実を推認することが可能と思料する。 (ウ)本件商標が、欧文字「Anyan」と片仮名文字「アニャン」とを上下二段に横書きしてなるのに対し、登録商標の使用説明書に添付の前記写真(A、C)、商品カタログ、宣伝用チラシ、宣伝用カード、新聞広告(写し)及びホームページ出力に見られるとおり、本件使用商品の包装箱には、商標「アニャン」が表示されており、登録商標の使用説明書に添付の前記取扱説明書にも、商標「アニャン」が表示されており、本件商標の構成と上記表示とは一致していないが、被請求人としては、本件使用商品の包装箱や前記取扱説明書に見られる商標「アニャン」の表示、換言すれば、商標「アニャン」の使用が本件商標の使用と認められるべきものであることは、明白と思料する。 なぜなら、商標法第50条には、「・・・登録商標(・・・当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。・・・」と規定されており、その運用に当っては、“登録商標が二段併記の構成からなる場合であって、上段及び下段の各部が観念を同一とするときには、その一方の使用が登録商標の使用”と認められていること、換言すれば、社会通念上同一と認められる商標の使用と認められていることを考慮すると、本件商標は、欧文字「Anyan」と片仮名文字「アニャン」とを上下二段に併記している構成であって、上段を構成する“anyan”なる語が我が国の代表的な英和大辞典である小学館ランダムハウス英和大辞典(乙第9号証)に収録されていない事実、また、下段を構成する“アニャン”なる語が同じく代表的な国語大辞典である広辞苑第五版(乙第10号証)に収録されていない事実によって、本件商標を構成する「anyan」なる語と「アニャン」なる語は、いずれも造語(無意味語)といえるものであり、上段の「Anyan」部から格別の観念が生ずることはなく、下段の「アニャン」部からも格別の観念が生ずることはないので、上掲の規定及び運用からして、下段の「アニャン」部の使用が本件商標の使用と認められるものであること、換言すれば、商標「アニャン」が本件商標と社会通念上同一と認められるものであることは、明白といえる。 なお、本件使用商品の包装箱や前記取扱説明書における商標「アニャン」の表示態様は、商標「龍水華」とは、その大きさ、字体及び配置位置が異なり、完全に独立しているものである。 (エ)本件使用商品は、登録商標の使用説明書に添付の前記写真(E、F)、商品カタログ、取扱説明書及び宣伝用チラシに見られるとおり、「自然石」・「天然の鉱石」からなり、前記取扱説明書中の「・・・ネット袋より布袋に入れ替えて下さい。中の石が出ないようしっかりとひもにしばって下さい。・・・浴そうに入れてご入浴下さい。・・・」なる記載や前記宣伝用チラシ中の「・・・ご家庭の浴槽に約30分、龍水華をつけておくだけで・・・湯冷めしにくく、冷え性・美容・肌荒れ・疲労回復等にも効果があります。・・・」なる記載のとおり「浴剤」の一種と認められるべき商品である。 なお、商品区分第5類の薬剤には、自然石・天然の鉱石を用いた浴剤が含まれている事実は、例えば、登録第4740470号商標に係る指定商品が第5類「天然鉱石を用いた入浴剤,遠赤外線・磁気を生じる鉱石からなる入浴剤」等であること(乙第11号証参照)によって立証できる。 (オ)通常使用権者が被請求人から本件商品を仕入れ(購入し)て、通信販売を行っている事実を近年の取引伝票類の抜粋によって立証する。 被請求人は、平成15年5月12日付けの納品書控(写し)及び同16年12月1日付けの納品書控(写し)(乙第12号証)のとおり、同15年5月12日に本件使用商品10個を、同16年12月1日に本件使用商品10個を、それぞれ通常使用権者に納品しており、通常使用権者は、平成15年7月4日付けの代金引換伝票依頼主控(写し)及び同16年12月3日付けの代金引換伝票依頼主控(写し)(乙第13号証)のとおり、同15年7月4日に本件使用商品1個を「和歌山県和歌山市井辺255-9」所在の「井村鈴美 殿」に販売し、平成16年12月3日に本件使用商品1個を「岡山市今七丁目15-13」所在の「林健一 殿」に販売している。 なお、上記各納品書及び代金引換伝票依頼主・各控には、いずれも商標「龍水華」が表示されており、商標「アニャン」は、表示されていないが、これは、取扱伝票類の記入に当って、ハウスマークである商標「アニャン」の表示(記入)を省略しているからである。 (3)まとめ 被請求人は、上記(1)及び(2)において述べたとおり、被請求人及び通常使用権者が本件審判請求の登録(平成17年1月6日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「アニャン」をその指定商品「薬剤」に含まれている商品「浴剤」に使用している事実を乙第1号証ないし乙第14号証によって立証した。 したがって、本件商標については、商標法第50条第2項の規定により、商標登録を取り消すべき理由が存在しないことは明白である。 4 当審の判断 被請求人は、乙第1号証ないし乙第14号証を示し、「被請求人及び通常使用権者が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標『アニャン』をその指定商品『薬剤』中に含まれている商品『浴剤』に使用している。」旨主張している。 そこで、被請求人の提出に係る前記証拠について見るに、乙第1号証の取扱説明書及び商品カタログによれば、被請求人及び通常使用権者が本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているとする商品は、「健康入浴用商品」(本件使用商品)と表示されており、当該本件使用商品は、「水道水に含まれる有害な物質を吸着させ、解毒するろ過作用を持ち、水の浄化、消臭に大変優れた効果を発揮し、天然の有効成分が水中に溶けだすことにより、水質も向上させます。また、湯冷めしにくく、冷え性・美容・肌荒れ・疲労回復等にも効果があります。」と説明されている。 しかして、本件使用商品は、美容・肌荒れ・疲労回復等に効果があると説明されている(乙第1号証の5頁目:取扱説明書)が、そのような効果が実際にあるのか否かについて、客観的な裏付けは、示されていないから、本件使用商品に係る前記説明を勘案すれば、本件使用商品の主たる目的は、「水のろ過・浄化」と見るのが相当である。 そして、「薬剤」に属する「浴剤」は、薬事法に定める医薬品のように、人体への薬理作用が顕著なものであるか、あるいは、同法に定める医薬部外品のように穏やかであっても、人体への薬理作用をもたらす成分を含むものでなければならないところ、本件使用商品は、前記のとおり、その主たる目的が「水のろ過・浄化」と見られるものであって、人体への薬理作用は、認められない。 また、上記本件使用商品が医薬品や医薬部外品として承認又は認可された商品であるとの証拠も何ら示されていない。 そうすると、被請求人の提出に係る乙各号証によって、被請求人及び通常使用権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件使用商品に使用していたと認め得ても、本件使用商品は、「薬剤」の範疇に属する「浴剤」とはいい得ない。 また、被請求人は、本件商標をその指定商品に使用しているとして、前記乙第1号証ないし乙第14号証を提出するのみで、他に、何らの書類の提出及び立証もしていない。 してみれば、被請求人及び通常使用権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の指定商品について、本件商標を使用していなかったものといわざるを得ない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-10-04 |
結審通知日 | 2005-10-11 |
審決日 | 2005-10-24 |
出願番号 | 商願平6-57733 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(005)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 野上 サトル |
特許庁審判長 |
大場 義則 |
特許庁審判官 |
柳原 雪身 鈴木 新五 |
登録日 | 1998-09-04 |
登録番号 | 商標登録第3370132号(T3370132) |
商標の称呼 | アニャン、アンヤン、アニアン |
代理人 | 高梨 範夫 |
代理人 | 大村 昇 |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 安島 清 |
代理人 | 上村 喜永 |
代理人 | 安藤 順一 |
代理人 | 木村 三朗 |