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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Z202425
管理番号 1132728 
審判番号 不服2002-4148 
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-02-01 
確定日 2006-02-15 
事件の表示 商願2000-137885拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「ポロクラブ」の片仮名文字を横書きしてなり、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」を指定商品として、平成12年12月5日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「1970年、73年の2回にわたり、アメリカのファッション界では最も権威のあるコティ賞を受賞しているアメリカの服飾等の著名なデザイナー『ラルフ・ローレン』が自己のデザインに係る商品について使用し、一般に広く知られている『POLO』の文字に通じる『ポロ』の文字を有してなるから、これを出願人がその指定商品に使用するときは、恰も、『ラルフ・ローレン』のデザインに係る商品若しくは同人と組織的・経済的に何らかの関係があるものの業務に係る商品であるかのように、商品の出所について誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

第3 請求人の主張(要点)
請求人は、本願商標は登録されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出している。1 一連のポロ関連の商標事件について、最近、東京高裁による判断が示されており、「ラルフローレン」商標との間に出所の混同を生ずるおそれがあるとして、その登録適格性が否定される傾向にある。
しかし、少なくとも「ポロクラブ」商標に関する限りは、これらポロ関連商標とは根本的に異なる固有の論点があり、その登録が認められるべきである。
(1)まず、「ポロクラブ」商標は、宣伝広告や企業努力の結果、相当額の販売実績を有する商標であり、その出願前から既に著名な商標としての地位を確立している。そして、「ポロクラブ」商標と「ラルフローレン商標」とは、取引市場において共に著名商標として認知され、互いに別異の商標として「同時並存」しているという事実があり、このような著名商標の「同時並存」の事実を法的にどのように評価すべきかという重要な論点がある。
そして、「ポロクラブ」商標が既に著名性を獲得していること、取引市場において同じく著名商標である「ラルフローレン」商標と「同時並存」していること、「同時並存」の事実は、出願前から現在まで継続しているとともに、既に少なくとも10年以上に及ぶこと等を総合的に考えるとき、「ポロクラブ」商標は、「ラルフローレン」商標と別異の商標として商品の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断すべきであり、また少なくとも事実上このように推定してよいというべきである。
(2)次に、「ポロクラブ」商標が使用の結果、著名性を獲得していることは既に述べたとおりであるが、このような使用の基礎には請求人の所有に係る登録商標「Polo Club/ポロクラブ」(商標登録第1090129号 以下「Polo Club登録商標」という)が存在する。
なお、「Polo Club」登録商標の出願当時、「ラルフローレン」商標は、我が国において出願・登録あるいは使用の事実はなく、また当然ながら我が国での著名性も確立されていなかった。
「ポロクラブ」商標の著名性は、その使用が正当化されるべき基礎に依拠して確立したものであり、それにより獲得されたグッドウィルは、当然「Polo Club」商標に帰属するものである。すなわち、「ラルフローレン」商標と関係なく蓄積された「ポロクラブ」それ自身に固有のグッドウィルが存在し、その帰属が本願商標に認められる以上、本願商標の登録が商標法第4条第1項第15号の規定により、否定されるべきいわれはないというべきである。
2 「ポロクラブ」商標の著名性を以下の資料により確認する。
(1)ボイス情報株式会社のブランド知名度調査
同社が実施した「ライセンスブランド」の知名度調査が示す「ポロクラブ」商標の知名度は、1994年度の総合知名度78.6%で、ベスト30位中17位にランクされている。また、1996年度80.6%で16位となっており、「ポロ・ラルフローレン」の知名度81.6%とは、その差はわずか1%にすぎない。
さらに、1998年の調査結果は、「ポロ・クラブ」が69.8%、「ポロ・バイ・ラルフローレン」が56.7%、2000年の調査結果は、「ポロ・クラブ」が57.9%、「ポロ・バイ・ラルフローレン」が46.6%
となっている。
(2)「被服におけるマーケティングと消費行動」をテーマとした「ブランドTシャツに対する女子大学群の反応」(京都学園大学講師の研究発表)において、「ブランド」知名度の調査(1996年)が女子大生になされ、知っているブランドについて質問したところ、「ポロクラブ」の知名度は100%という結果になっている。
3 以上のとおり、本願商標は、「ラルフローレン」商標の「ポロ・バイ・ラルフローレン」と非類似の商標であり、出所の混同も生じないから、商標法第4条第1項第15号を適用することは違法である。

第4 当審の判断
1 「POLO」の周知著名性について
(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケッテング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在のラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」の主演ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標、(以下、一括して「引用商標」という。)が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。
そして、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー 昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB I980,12 」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」に、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80版」、「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」に「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、本願商標の出願時には既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして引用商標が取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
2 本願商標が商品の出所について混同を生ずるか否かについて
本願商標は、前記のとおり、「ポロ」と「クラブ」の2語を結合してなるものと理解・認識されるものであり、両語が常に一体不可分にのみ看取されるべき格別の事由もなく、前記認定の如く引用商標が著名であることに照らせば、本願商標に接する需要者、取引者は、その構成中の「ポロ」の文字に注目し、引用商標を連想、想起するというのが相当である。
また、本願の指定商品の第20類「まくら、クッション等」、第24類「布製身の回り品、敷布、布団等」、第25類「被服」は、ファッションに関連する商品であって、統一ブランドの下にトータル的にファッションをまとめようとする昨今においては、上記引用商標が使用されている被服、眼鏡とは、少なからぬ関係を有するものといえる。
してみれば、本願商標をその指定商品について使用する場合、これに接する取引者、需要者は、ラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人の「Polo Club」商標についての東京高等裁判所の判決(平成12年(行ケ)160号、平成14年6月19日判決言渡)、及び同じく請求人のやや手書き風の書体からなる「PoloClub」商標についての同裁判所の判決(平成12年(行ケ)308号、平成14年6月19日判決言渡)において、何れも引用商標「POLO」等の著名性を認めた上で、他人(請求人)が「はき物、かさ、つえ等」、「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類等」について上記「Polo Club」商標を使用した場合は、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがある旨判示している。
また、請求人が提出したブランド知名度調査等の甲各号証は、「Polo Club」、「ポロクラブ」と「Polo」が別のブランドの商標として知られるに至っている事実を立証するにとどまるものというべきであり、「Polo Club」ブランドないしは本願商標「ポロクラブ」を使用する者がラルフ・ローレン等と関係がないことを一般の需要者が知っていたことを窺わせるものでないから、たとえ、本願商標が周知であったとしても、上記混同を生ずるおそれがないということはできない。
3 むすび
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり、審決する。
審理終結日 2005-12-12 
結審通知日 2005-12-16 
審決日 2005-12-27 
出願番号 商願2000-137885(T2000-137885) 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (Z202425)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 富田 領一郎 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 寺光 幸子
小林 薫
商標の称呼 ポロクラブ、ポロ 
代理人 山内 淳三 

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