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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 029
管理番号 1131014 
審判番号 取消2004-31019 
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-03-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-08-05 
確定日 2006-01-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4381087号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4381087号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲のとおり、ややデサイン化した「PRINCE」の欧文字を横書きしてなり、平成9年1月4日に登録出願、第29類「乳製品」を指定商品として、同12年5月12日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標権者により継続して3年以上、日本国内において、商品「乳製品」について使用されていない。また、本件商標権には専用使用権及び通常使用権も登録されていないものである。
したがって、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証ないし乙第5号証について
被請求人は、食品スーパー「プリンスデリカ」の看板及び案内写真、当該店舗における商品展示写真、その他「プリンスデリカ」なる店舗に関する資料を示し、当該店舗において「乳製品」に本件商標が使用されている旨主張する。
しかし、乙第1号証で示す看板及び案内写真には、「PRINCE」の文字と「DELICA」の文字とを外観上一体不可分に長方形の幾何図形内に書した「PRINCE/DELICA」の文字を確認できるのみである。 そして、被請求人は、「プリンスデリカ」の文字が本件商標と社会通念上同一である旨主張するが、その主張は失当である。
まず、乙第1号証上段に示す看板には、惣菜等を売る店であるデリカテッセンを邦略した「DELICA」の文字の横に、あえて「DELICA」の文字を有する「PRINCE/DELICA」の文字を配置していること、及び被請求人自身が平成16年10月12日付け答弁書において「食品スーパー『プリンスデリカ』において」と述べていることは、標章「PRINCE/DELICA」が一体不可分のものであることを、被請求人が自認していることを示すものである。
審査の実際においても、例えば、甲第3号証ないし甲第6号証に示すように、「乳製品」と同一又は類似する商品を指定商品に含む、「ロイヤル/ROYAL」(登録第4272545号)と「ROYAL DELICA/ロイヤルデリカ」(登録第4435473号)及び「ヘルシー」(登録第738143号)と「ヘルシーデリカ」(登録第4330110号)とが、それぞれ非類似の商標として登録されているところである。
このことは、特許庁において「〇〇DELICA(デリカ)」からなる商標は、全体が一体不可分の商標であると看取しており、これらの商標全体から生ずる称呼、観念は、単なる「〇〇」からなる商標から生ずる称呼、観念とは異なることを示すものである。
してみれば、乙第1号証に示す「PRINCE/DELICA」「プリンスデリカ」の文字は、単なる「PRINCE」の文字からなる本件商標とはその称呼、観念が異なるものであるから、「PRINCE/DELICA」「プリンスデリカ」の文字は本件商標と社会通念上同一と認められる商標とはいえない。
また、乙第1号証に示す写真には、何ら撮影日が記載されていないので、当該証拠をもって、本件審判請求(「本件審判の請求の登録」の誤りと認められるので、以下「本件審判の請求の登録」という。)3年前に本件商標が「乳製品」に使用されていたとはいえない。
乙第2号証では、「PRINCE/DELICA」なる店舗における「商品展示写真」を示すが、「ネオソフト」等の乳製品が陳列されていることを示すにすぎず、その陳列物中に本件商標を付した乳製品を確認することができない。
また、乙第2号証に示す写真には、何ら撮影日が記載されていないので、当該証拠をもって、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が「乳製品」に使用されていたとはいえない。
乙第3号証では、北九州プリンスホテル併設の「プリンスデリカ」のインターネットHPの出力資料を示すが、外観上一体不可分に看取できる「PRINCE/DELICA」「プリンスデリカ」の文字を確認するも、単なる「PRINCE」「プリンス」の文字からなる商標は確認できない。また、本件商標を付した「乳製品」のみならず、「乳製品」について全く記載が見当たらない。
さらに、当該資料の出力日は、本件審判の請求の登録日後の2004年10月8日であり、当該資料内に、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が「乳製品」に使用されていたことを確認できる記載も見当たらない。
乙第4号証では、「プリンスデリカ」の贈答用商品カタログを示すが、「乳製品」に該当するものは「カルピスギフト」のみであり、本件商標を付した「乳製品」は見当たらない。
また、当該カタログが何時の時点でのカタログかを確認できる記載が見当たらない。
乙第5号証では、「プリンスデリカ」の会員カードを紹介するインターネットHPの出力資料を示すが、本件商標のみならず「乳製品」に関する記載が全く見当たらない。
また、当該資料の出力日は、本件審判の請求の登録日後の2004年10月8日であり、当該資料内に、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が「乳製品」に使用されていたことを確認できる記載も見当たらない。
してみれば、乙第1号証ないし乙第5号証は、証拠能力を著しく欠くものであるから、これらの証拠をもって、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標が「乳製品」に使用されていたことを立証できるものではない。
(2)乙第6号証ないし乙第12号証について
被請求人は、乙第6号証ないし乙第12号証を示し、総合ショッピングセンター(ショッピングプラザ)又はホテル併設の店舗(プリンスデリカを除く。)で本件商標が「乳製品」に付されて使用されている旨主張する。
しかし、乙第6号証では、「プリンスショッピングプラザ」「PRINCE SHOPPING PLAZA」「PRINCE CAFETERIA」「プリンスカフェテリア」「プリンスパン工房」の文字を確認することができても、本件商標を確認することができなかった。また、看板や配置図等が示されてはいるものの、被請求人が平成16年10月12日付け答弁書4頁で主張するような「本件商標『PRINCE』及び『プリンス』が指定商品『乳製品』に付して使用されている」ような事実は何ら確認できない。
また、当該資料の出力日は、本件審判の請求の登録日後の2004年10月8日であり、当該資料内に、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が「乳製品」に使用されていたことを確認できる記載も見当たらない。
乙第7号証においても、「プリンスパン工房」なる店舗及び包装用箱は確認できるが、本件商標を付した「乳製品」は確認できない。
乙第8号証において出卓表及びテイクアウトメニューを示すと主張するが、出卓表には「乳製品」が見当たらず、日付も本件審判の請求の登録後である「平成16年9月」との記載が認められるのみである。一方、テイクアウトメニューと主張するものについては、株式会社コクドがFAX発信した日付を確認することはできても、当該日付は本件審判の請求の登録日後の日付である。また、当該メニューがテイクアウト用のものであることを何ら確認できない。さらに、出卓表及びメニューのいずれからも、本件商標を確認することもできず、これらの証拠が、「プリンスパン工房」のものであることも何ら示されていない。
乙第9号証及び乙第10号証に示すショッピングプラザに関する資料においても、本件商標も「乳製品」も確認できない。
また、当該資料の出力日は、本件審判の請求の登録日後の2004年10月8日であり、当該資料内に、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が「乳製品」に使用されていたことを確認できる記載も見当たらない。
乙第11号証で示す資料では、「山川牛乳、チーズ」の記載を確認するも、当該資料が「函館大沼ショッピングプラザ」に関するものであり、何ら本件商標に関する記載が認められない。
また、乙第11号証1行目に「函館電子新聞ニュースファイル2000.10一12」の記載があり、この記載から当該新聞が2000年10月から12月までの記事を掲載していることは推認できるが、2000年10月から12月までの期間は、本件審判の請求の登録前3年以内の期間ではないので、当該資料は、何ら証拠能力を有しないものである。
乙第12号証に示す資料においても、パンらしき図形の中に「プリンス/パン工房」と書された標章や、パンらしき商品を確認するも、本件商標や「乳製品」については何ら確認できない。
また、当該資料の出力日は、本件審判の請求の登録日後の2004年10月8日であり、当該資料内に、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が「乳製品」に使用されていたことを確認できる記載も見当たらない。
してみれば、乙第6号証ないし乙第12号証からは、いずれも被請求人が主張するような「本件商標『PRINCE』及び『プリンス』が指定商品『乳製品』に付して使用されている。」ような事実を確認できないものであるから、これらの証拠は証拠能力を著しく欠くものであり、これらの証拠をもって、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標が「乳製品」に使用されていたことを立証できるものではない。
(3)乙第13号証ないし乙第15号証について
被請求人は、乙第13号証ないし乙第15号証を示し、被請求人と通常使用権者との関係及び使用店舗等との関係について立証する旨主張する。
確かに、これらの証拠に示されたホテル等が、被請求人と何らかの関係があるものと推認することはできる。
しかし、これらの証拠に示された関連会社等が、乙第1号証ないし乙第12号証に示すいずれのものに関わるのか何ら主張がなく、また、乙第1号証ないし乙第12号証は証拠能力を欠くものであるから、乙第13号証ないし乙第15号証をもって、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を「乳製品」に使用していたことを立証できるものではない。
(4)乙第16号証について
被請求人は、乙第16号証を示し、通常使用権者である明治乳業株式会社が、本件商標を「乳製品」に付して使用している旨主張する。
しかし、乙第16号証に示される品質規格報告書及び写真の日付は、本件審判が請求された後の日付である。
また、報告書中には、本件商標及び製品名が何ら記載されておらず、「生産開始時期」が示されているものの、これを裏付ける取引伝票等が何ら示されていないので、この記載により必ずしも、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を「乳製品」に使用していることを立証しているとはいえない。
さらに、商品「ベターハーフ」の写真を示すが、ここには円の中に一体不可分に書された「PRINCE HOTELS」の文字を確認できるのみであり、本件商標及びその中身が乳製品であることを何ら確認できない。
因みに、被請求人は、「PRINCE HOTELS」の文字を本件商標と社会通念上同一視していると思うが、単なる「PRINCE」から生じる称呼、観念と、「PRINCE HOTELS」から生じる称呼、観念は異なるものであるから、これらを社会通念上同一の商標であるということはできない。
このことは、例えば、「乳製品」を指定商品とし、「インペリアル」(登録第1433737号)(甲第7号証)からなる商標と「IMPERIAL HOTEL」(登録第4741392号)(甲第8号証)からなる商標や、「ロイヤル/ROYAL」(登録第4272545号)(甲第3号証)からなる商標と「ROYALHOTEL」(登録第1523259号)(甲第9号証)とが、それぞれ非類似の商標として登録されている事実からも立証できるものである。
してみれば、乙第16号証には、本件商標を付した乳製品を認めることができず、報告日も本件審判の請求の登録日後であり、審判の請求の登録前3年以内における本件商標の「乳製品」への使用に関する記載も確認できないことから、当該証拠は証拠能力を著しく欠き、当該証拠をもって、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を「乳製品」に使用していたことを立証できるものではない。
3 むすび
被請求人は答弁書において縷々述べ乙各号証を提出しているが、これをもって、本件商標を商標権者又は通常使用権者が審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用していたとする証拠にはならないことが明らかである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
1 被請求人は、以下に記するとおり、本件審判の請求登録前3年以上前より現在に至るまで、日本国内に於いて本件商標をその指定商品「乳製品」に使用しており、この事実は、提出した乙各号証によって証明されるところである。
(1)使用者
(ア)名 称:株式会社プリンスホテル
本店住所:東京都渋谷区神宮前6丁目35番1号
商標権者との関係:商標権者本人
(イ)名 称:株式会社コクド
本店住所:東京都渋谷区神宮前6丁目35番1号
商標権者との関係:通常使用権者(商標権者の親会社)
(ウ)名 称:西武商事株式会社
本店住所:東京都豊島区南池袋1丁目16番15号
商標権者との関係:通常使用権者(グループ会社)
(エ)名 称:株式会社プリンスフーズ
本店住所:東京都港区高輪4丁目10番30号
商標権者との関係:通常使用権者(グループ会社)
(オ)名 称:明治乳業株式会社
本店住所:東京都江東区新砂1丁目2番10号
商標権者との関係:通常使用権者(取引会社)
(2)使用標章
「PRINCE」、「プリンス」
(3)使用商品
牛乳、クリーム、チーズ、乳酸飲料、乳酸菌飲料及びバター等の乳製品全般
(4)使用時期
現に使用中
(5)使用場所
前記使用者の本店所在地及び事業所所在地。
株式会社プリンスホテル、株式会社コクド、西武商事株式会社、株式会社プリンスフーズらが運営する食品スーパー「プリンスデリカ」、ショッピングセンター「ショッピングプラザ/プリンス」及び「コンビニエンスストア」等。
2 乙第1号証ないし及び乙第16号証について
(1)乙第1号証:品川PHレジデンス(マンション)にある食品スーパー「プリンスデリカ」の看板及び案内板の写真
(2)乙第2号証:同上店舗における商品展示の写真
なお、以下の証拠においては、具体的な使用商品を明らかにしていない例もあるが、食品スーパー、総合ショピングセンター及びコンビニエンスストアの業態からして、上記証拠(乙第2号証)に示された商品と同様の商品「乳製品」が展示され販売されていることは容易に推認できるところであるので、上記証拠と同様の証拠の提出は省略する。
(3)乙第3号証:北九州プリンスホテル併設の「プリンスデリカ」のインターネットHPの出力資料
(4)乙第4号証:「プリンスデリカ」の贈答用商品カタログ
(5)乙第5号証:「プリンスデリカ」の会員カードを紹介するインタ一ネットHPの出力資料
上記証拠(乙第1号証ないし乙第5号証)により、食品スーパー「プリンスデリカ」において、本件商標「PRINCE」及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標「プリンス」が指定商品「乳製品」に付いて使用されていることを立証する。
(6)乙第6号証:「軽井沢・プリンス・ショッピングプラザ」に関するインターネットHPの出力資料
(7)乙第7号証:同上施設内にある店舗「プリンスパン工房」の写真
(8)乙第8号証:同店舗の出卓表及びテイクアウトメニュー
(9)乙第9号証:「箱根・プリンス・ショッピングプラザ」に関するインターネットHPの出力資料
(10)乙第10号証:「函館大沼プリンスホテル・ショッピングプラザ」に関するインターネットHPの出力資料
(11)乙第11号証:同上施設についての「函館電子新聞ニュース」の記事
(12)乙第12号証:新富良野プリンスホテルにある「プリンス/パン工房」を紹介したインターネットHPの出力資料
上記証拠(乙第6号証ないし乙第12号証)により、総合ショッピングセンター(ショッピングプラザ)又はホテル併設の店舗(プリンスデリカを除く。)で本件商標「PRINCE」及び「プリンス」が指定商品「乳製品」に付いて使用されていることを立証する。
(13)乙第13号証:株式会社プリンスホテルのカタログ
(14)乙第14号証:西武商事株式会社の会社案内
(15)乙第15号証:株式会社プリンスフーズのインターネットHPの出力資料
上記証拠(乙第13号証ないし乙第15号証)により、商標権者と通常使用権者(関連会社)との関係及び使用店舗等との関係を立証する。
(16)乙第16号証:明治乳業株式会社の販売する商品(ベターハーフ)の品質規格報告書
上記証拠(乙第16号証)により、明治乳業株式会社(通常使用権者)が本件商標「PRINCE」を指定商品「乳製品(ベターハーフ)」に付いて使用していることを立証する。
3 以上とおり、本件商標は、我が国において、過去3年間以上継続的に商標権者等によって使用されているもので、商標法第50条1項の規定により、その登録を取消し得ないものであることは明らかである。

第4 当審の判断
1 使用商品について
乙第2号証は、「品川PHレジデンス(マンション)にある食品スーパー『プリンスデリカ』における商品展示の写真」であるが、該写真中には、本件商標の指定商品である「乳製品」に該当する商品、例えば「チーズ」が多数陳列されている事実が認められる。
さらに、乙第4号証のカタログの商品中には、「カルピスギフト」なる詰め合わせが掲載されており、該商品は、本件取消請求に係る指定商品「乳製品」の範疇に属する「乳酸菌飲料」といえるものである。また、乙第8号証の「プリンスパン工房出卓表」の品名欄中に「オレンジヨーグルト」が掲載されていることが認められる。
請求人は「…その陳列物中に本件商標を付した乳製品を確認することができない。」、及び「乙第4号証のカタログの商品中で、『乳製品』に該当するものは『カルピスギフト』のみである。」旨主張しているが
乙第2号証、乙第4号証及び乙第8号証の上記商品は、「乳製品」の範疇に属するものといえるものである。
2 審判の請求の登録日前3年以内か否かについて
上記乙第4号証は、「プリンスデリカの贈答用商品カタログ」であるが、該カタログの表紙の左下には「2004ー2005」の文字、次頁の下には「※夏期のみ販売(6月15日〜9月30日:商品がなくなり次第終了とさせていただきます。)」の文字及び最終頁には「※表示価格は2004年4月現在の価格です。」等の文字があるところよりすれば、該カタログは遅くとも2004年6月15日には使用されていたものと推認されるから、該カタログの使用は、本件審判の請求の登録日(平成16年(2004年)8月25日)前3年以内に該当するものと認められる。
3 本件商標と社会通念上同一の範囲か否かについて
使用商標は、以下のとおりである。
乙第1号証は、「品川OHレジデンスにある食品スーパー『プリンスデリカ』の看板及び案内板の写真」であるが、その表紙の案内板の白抜きの長方形内に二段に横書きされたややデサイン化された「PRINCE」の文字は白地に黒抜きの文字で表示されているのに対して、「DELICA」の文字は黒地に白抜きの文字で表示されている。また、乙第4号証カタログの表紙の下にも、同様の表示がなされている。
そして、「DELICA」の文字(語)は、請求人も弁駁書で主張しているように、「惣菜等を売る店(調整食料品店)」である「デリカテッセン(delicatessen)」を邦略した文字として一般に認識されているものであるから、その指定商品との関係においては、自他商品の識別力の極めて弱いか若しくは有しないものといえるものである。
以上を総合すると、使用商標中の要部は「PRINCE」の文字部分といえ、該デサイン化された「PRINCE」の文字は、独立して自他商品の識別標識として機能しているとみるのが相当である。
これに対して、本件商標は、別掲のとおり、使用商標と同一のややデサイン化された「PRINCE」の文字よりなるものである。
してみると、同一の「PRINCE」の文字よりなる本件商標と使用商標とは、称呼、観念及び外観を共通にするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標いうべきである。
4 以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の予告登録前3年以内に日本国内において、商標権者(被請求人)又は通常使用権者が本件商標の指定商品「乳製品」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
なお、請求人は他の登録例等を種々挙げて反論しているが、これらは、本件取消審判とは事案を異にするものであるから、この点に関する請求人の主張は、採用できない。
したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲

審理終結日 2005-08-12 
結審通知日 2005-08-17 
審決日 2005-09-01 
出願番号 商願平9-2559 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (029)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 高野 義三
三澤 惠美子
登録日 2000-05-12 
登録番号 商標登録第4381087号(T4381087) 
商標の称呼 プリンス 
代理人 瀧野 秀雄 
代理人 野原 利雄 
代理人 神田 正紀 
代理人 垣内 勇 

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