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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y43
管理番号 1130971 
審判番号 不服2004-11412 
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-06-03 
確定日 2006-01-13 
事件の表示 商願2003-35954拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、後掲のとおりの構成よりなり、第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成15年5月2日に登録出願されたものである。
そして、その指定役務については、原審における平成15年12月8日受付の手続補正書により、第43類「イタリア料理の提供」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、(1)及び(2)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、「レストラン」の意味を有するイタリア語の「RISTORANTE」の文字にありふれた図形と認められる黒塗り長方形を配し、その下段に「フィレンツェの」等の意味を有するイタリア語の「Fiorentina」の文字を書してなるところ、指定役務を取り扱う業界においては、イタリア料理が西洋料理の一つとして一般に親しまれているばかりでなく、イタリア料理に関するイタリア語が使用されている実情にあることからすれば、これを本願指定役務中「イタリア料理を主とする飲食物の提供」に使用しても「フィレンツェ風の料理の提供」を認識させるにとどまり、単に役務の質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本願商標は、「レストラン」の意味を有するイタリア語の「RISTORANTE」の文字にありふれた図形と認められる黒塗り長方形を配し、その下段に「フィレンツェの」等の意味を有するイタリア語の「Fiorentina」の文字を書してなるところ、その構成中の「Fiorentina」の文字は、1926年にイタリアのフィレンチェを本拠地として設立されたプロサッカークラブ「Associazione Calcio Fiorentina」の著名な略称として認識されているものであるから、「Fiorentina」の文字を、本願指定役務に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は前記サッカークラブを想起し、該指定役務が「Associazione Calcio Fiorentina」又は同団体等と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の取り扱いに係る役務であるかのごとく、その役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断
本願商標は、後掲のとおり、「RISTORANTE」の文字の前後に黒塗りの横長の長方形を配し、その下段に、上段の構成文字よりやや大きく「Fiorentina」の欧文字を筆記体で表してなるものである。
そこで、本願商標の図形部分について見るに、「RISTORANTE」の文字を前後から挟むように配された黒塗りの横長の長方形は、その構成が極めて簡単でかつありふれたものであって、特段の語義を有するとも理解し難い幾何図形といえるものであり、全体として見ても、特殊な態様からなるものとはいうことができないから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
次に、本願商標の文字部分について見るに、「RISTORANTE」の文字は、「料理店、レストラン」等の意味を有するイタリア語であり、また、「Fiorentina」の文字は、「フィレンツェ風の」等の意味を有するイタリア語であると認められるものである。
ところで、近年我が国においては、諸外国の料理が普及、浸透しており、各国の料理の提供やそれらの食材の販売が一般に行われているところ、それらの飲食物や食材については、日本語に適切に訳すことが困難なものも多く、原語のまま、あるいは該語の表音を片仮名で表して使用されて、既に外来語として親しまれている語も多く存在するところである。
そして、「イタリア料理」もその例外ではなく、イタリア料理に関する分野においては、イタリア語も普通に使用されている実情があるといえるものである。
加えて、我が国においては、諸外国の料理の中でも、イタリア料理が人気を博し、親しまれていることから、近年では、イタリア各地方の伝統的郷土料理が紹介され、その地方ごとの特徴のある飲食物が提供されて多くの人に食されているところであって、料理名やメニューの名前に地方名が冠されて、「〜地方の料理」「〜風に調理されたもの」等として親しまれ、イタリア料理の範疇が細分化されている実情もある。
そうとすれば、本願商標は、その構成中上段の「RISTORANTE」の文字は、そこが「レストラン」である旨、すなわち役務の提供される場所を表すために普通に用いられる語として、また、「Fiorentina」の文字部分は、「フイレンツェ風の料理」、すなわちレストランで提供される飲食物の特性を表す語として認識されることから、これを構成する各文字の意味合いとが相まって、全体として、「フィレンツェ風の飲食物を提供するレストラン」程の意味を表すにすぎないものであり、本願指定役務との関係では、役務の質を表示する語であるといわざるを得ない。
しかして、商標法第3条第1項第3号は、自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない商標として、役務の提供の場所、質、提供の方法等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものを例示的に列挙しているところ、同号の趣旨は、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから、一私人に独占を認めるのは妥当ではなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないと解されるものであって、仮に「Fiorentina」の語が、現実に使用されておらず、あるいは、一般には知られていない場合であっても、将来役務の質の表示として使用されて、取引者、需要者の間において役務の質の表示であると認識される可能性があり、また、これを特定人に独占させることが適切でないと判断されるときには、同号に該当すると解されるものである。
してみれば、本願商標は、先に述べたとおり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないありふれた図形と、その指定役務との関係において、その役務の質等を普通に用いられる方法で表示す文字とを結合してなるにすぎないものであって、全体として自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと見るのが相当であるから、商標登録を受けることができないものといわざるを得ない。
なお、請求人は、本願商標が使用により特別顕著性のある商標となった商標である旨主張している。
しかしながら、本来、自他役務の識別力がなく、商標法第3条第1項第3号に該当するものが、永年にわたり、ある役務について使用された結果、自他役務の識別力を有するに至った商標として、同法第3条第2項の規定により登録が認められるのは、その商標と同一の商標及びその商標を使用している役務と同一の役務に関する場合に限られると解されるところ、請求人が提出した資料によれば、甲第19号証に表示されている商標を除けば、資料中に表示されている商標は、本願商標と同一の構成態様とは認められないものであるし、本願商標の使用期間、販売実績、売上高等の営業の規模、広告宣伝の方法、回数及び内容等の使用状況に関する事実についての客観的証拠は不十分であるから、本願商標が使用された結果、自他役務の識別標識として認識されているとするには十分なものとはいえないものである。
してみれば、使用により識別力を有するに至った商標であるとの請求人の主張は、認めることができない。
また、請求人は、本願商標の登録適格性を主張するために、過去の登録例を挙げているが、出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断は、当該商標の査定時又は審決時において、該商標の構成態様と指定役務とに基づいて、個別具体的に判断されるものであり、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではないから、この点についての請求人の主張は、採用することができない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
本願商標

審理終結日 2005-11-01 
結審通知日 2005-11-11 
審決日 2005-11-24 
出願番号 商願2003-35954(T2003-35954) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小田 昌子 
特許庁審判長 柳原 雪身
特許庁審判官 小出 浩子
山本 良廣
商標の称呼 リストランテフィオレンティーナ、フィオレンティーナ 
代理人 志村 正和 

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