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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) 025 |
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管理番号 | 1129442 |
異議申立番号 | 異議1997-90348 |
総通号数 | 74 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2006-02-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1997-11-07 |
確定日 | 2005-11-29 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 登録第4024909号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4024909号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件登録第4024909号商標(以下「本件商標」という。)は、「U.S.POLO」の文字とこれよりやや小さな「ASSOCIATION」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成7年6月23日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、同9年7月11日に設定登録されたものである。 2 本件商標に対する取消理由 当審において、本件商標の登録は取り消すべきものと認められるとして、通知した取消理由は、次のとおりである。 本件商標は、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ(アメリカ合衆国ニューヨーク所在。以下「申立人」という。)が、商品「被服、装身具、香水、眼鏡」等に長年使用し、本件商標の出願前から取引者、需要者の間に広く知られている「POLO」の文字を有するものであるから、これを本件指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字に注目し、これより、前記周知となっている「POLO」の商標を連想し、該商品があたかも上記会社となんらかの関係を有する者の商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。 3 商標権者の意見 (1)本件商標は、商標権者の上部団体である米国ポロ協会「United States Polo Association」(以下「米国ポロ協会」ともいう。)を表わしたものであり、「POLO」の文字だけを単独で取り出して扱われるものではない。したがって、本件商標をその指定商品に使用しても、申立人の取り扱う商品とその出所について混同を生ずるおそれは全くない。 本件商標は、上述の「United States Polo Association」を表示する出所の表示部分である。本件商標中に含まれている「POLO」の言葉は、商標権者が、ポロスポーツの統括団体であることを表すものであり、必要欠くべからざる要素である。商標権者は、スポーツのポロ/POLO競技を主催する団体であり、関連商品に使用する商標に自己の名称を付しているにすぎない。 「POLO」(以下「引用商標」という。)が、他人の著名な商標であることは否定するものではない。ただし、「POLO」の言葉は、同時にスポーツとしてのポロ/POLO競技を表す一般的な用語でもある。特に、米国ポロ協会は、引用商標の使用の開始よりはるかに以前からアメリカにおいてその名称を正式名称として使用してきたアメリカでも著名なポロスポーツの統括団体の名称である。 (2)本件商標の由来 本件商標中には、確かに「POLO」の名称が入っているが、これは、商標権者の名称である「ユーエスピーエー プロパティーズ インク」のうちの「U.S.P.A」の部分すなわち「United States Polo Association」の名称そのものである。米国ポロ協会の名称として「POLO」の文字が入るのは必然であり、他の商標との関連はもともと全くない。 米国ポロ協会は、1890年より存在するポロ競技に関するルールや審判等を派遣する団体であり、引用商標が採用されるはるか以前から存在した商標である。引用商標は、日本における商標登録より前からすでにアメリカにおいて著名であったと推測されるが、日本において著名になったのは1970年代後半のことと推察される。したがって、米国ポロ協会の設立の方が80年以上前であり、後日「POLO」を登録商標として採用した申立人の営業活動によってその名称の使用が左右されるはずのないものである。 (3)米国ポロ協会の活動 米国ポロ協会「United States Polo Association」の名称は、引用商標が採用される以前から長年にわたり使用されてきたアメリカでも著名なポロスポーツの統括団体の名称である。 米国ポロ協会は、1890年に創設され、アメリカ、カナダにおけるポロスポーツの統括団体である。この種の組織としては、ゴルフのUSPG(United States Professional Golf)や、テニスのUSTA(United States Tennis Association)や、フットボールのNFL(National Football League)、バスケットボールのNBA(National Basketball Association)と同様の組織である。 現在は、これらの団体は独自に、その協会名を使用して、スポーツ関連商品のライセンスビジネスを行い、それらの物販から得た利益を各スポーツの振興に役立てているのが実情であり、したがって、各スポーツ団体は、それぞれ、その協会名で商標の登録をしており、日本でも多くの公報に各団体からの申請が登録公告されている。 なお、商標権者が米国におけるポロ・スポーツの統括団体であることを示す資料として、「2000年国際ポロカレンダー・ダイレクトリー」(乙第1号証)を提出する。 (4)商標権者の活動 商標権者は、米国ポロ協会の下部組織であり、商標等の積極活用を具体化するための団体である。すなわち、日本において数多くのライセンシーに使用権を付与して、その利益を米国ポロ協会に還元している。 商標権者は、日本国内においては、現在、株式会社ウエーブコーポレーションをマスターライセンシーとし(1997年以前においては、株式会社ロスモーリ)、20社を超すサブ・ライセンシーを擁している。そのサブ・ライセンシーとしては、内外衣料製品(株)、兼吉(株)、ポプラ(株)、アルプス・カワムラ(株)、(有)ナカエ、(株)山豊、(株)サロンジェ、(株)タカイシ、(株)タムラコーポレーション、フェニックスコーポレーション(株)、(株)小山等々が挙げられる。 取り扱い商品は、メンズ、レディースウエアー、アンダーウエアー、帽子、ハンカチ、エプロン、革小物、ベルト、バッグ、時計、傘、サンダル等に及んでいる(乙第2号証)。また、世界各国におけるマスターライセンシーの下にそれぞれ多数のサブライセンシーが存在している(乙第3号証)。 商標権者は、上記のライセンス事業により得られた収益をもって、ポロ用具(ヘルメット、プロテクター等々)の改良や、大学のポロクラブに対する援助活動を行っている。 (5)各国登録の実情 商標権者は、本国アメリカを始めとして、ヨーロッパおよび日本その他の数多くの国で自己の名称およびイメージキャラクターの登録を推進している。世界各国での登録例は、乙第4号証のとおりである。米国ポロ協会は、これら各国の権利についても、これらの商標権を基礎として各国においてライセンス事業を行っている。 日本の審査においては、今後はマドリッド・プロトコルを経由して出願される商標について、拒絶理由が発見されない限り登録になる。商標権者の商標に関しても、これらの世界各国における登録と同一の形態の商標出願は、日本において登録が許容されるべきである。 ちなみに、世界各国では混同の可能性がないとして登録された名称が、日本においてだけ、商標権者の名称は引用商標の所有者の業務と混同を生ずるというような奇異な認定が許容されるはずがない。したがって、世界各国で併存されて登録されている商標については登録が拒絶される根拠はないと考える。まして、商標権者の名称のように、世界でも商標権者の名称として通用している商標が、一部に「POLO」の文字を含むことを理由に拒絶されるのは出所の混同をあまりにも拡張解釈した結果と考えられ、世界の統一的な審査の基準からはずれる結果となることは明白である。この点における特許庁の新たな審査基準は、後述するようにWIPOの要請を逸脱する拡張保護であると考える。 (6)引用商標の使用者と商標権者との関係 商標権者及びその上部団体である米国ポロ協会は、アメリカ合衆国においても、申立人又はラルフ・ローレン社(ポロ ファッション インコーポレーテッド)との間で係争関係があり、ニューヨークの南部地区地方裁判所において、1984年12月6日付の判決により、商標権者とラルフ・ローレンの間ですみ分けが行われている。なお、判決については、添付の判決(写)を参照されたい(乙第5号証)。 ポロは、一般に裕福な人々のスポーツというイメージがあり、実際にも富裕層に浸透しているスポーツである。しかしながら、その観客やファン層は広く一般に広がっており、特に富裕層に属する以外の人々にもゲームの詳細な内容はともかくとしてそのプレーヤーの姿や形は、周知されており、実際には全ての階層の人々によって愛され親しまれているスポーツである。 (7)ポロ競技と他のポロ関係商標の所有者 従来より、「POLO」の文字の含まれている商標は多数登録が許可されており、これが、申立人の業務と混同を生ずる可能性があるとの批判があることは事実と考えられる。未登録周知商標の保護として「POLO」関連の商標の多発併存を回避する方向に審査が進むことは世界的にも受け入れられる基準ではないかと考えられる。 しかしながら、商標権者の名称は、問題となった申立人またはラルフ・ローレン社よりはるかに古く、1890年より存在するスポーツの統括団体の名称である。 したがって、「POLO」の名称を単に商標として利用しようとする他の権利者やラルフ・ローレンの著名性を事業に利用しようとするものとは同列に評価できないことは明白である。商標権者は、ポロスポーツの振興を目的としてライセンスビジネスを行っているものであり、他の実在しないポロ団体名を使用する者とは、同一視されるのは甚だ心外である。 (8)ラルフ・ローレン社とポロ競技 申立人又はラルフ・ローレン社は、ポロスポーツとは直接は一切関係がない団体である。したがって、その売上げがスポーツのポロ競技の発展等に寄与している事実はない。申立人又はラルフ・ローレン社がポロプレーヤーのマークを商標として選択し利用した経緯については明らかではないが、商標権者等が長年にわたって培った伝統的なポロ競技の雰囲気やイメージを利用する意図から積極的にポロプレーヤーのマークおよび「POLO」の文字を商標として選択したものと考えられる。実際に、ニューヨーク周辺で育ったラルフ・ローレンは、裕福な生活をしているポロ愛好者のライフスタイル又はそのコンセプトをシンボルとして利用したものと推察される。 ポロ競技が、勇猛果敢な貴族のスポーツであるという認識は、現在では多くの日本人の間にも十分に認識されている。 ポロスポーツの純然たる団体に対して、その名称を使用させないということは、本末転倒であり、むしろ「POLO」を商標として利用した申立人等がポロ競技にある程度の貢献をすべきであると考えている。欧米において、使用が公に認められている名称について日本において商標の登録が拒絶される理由はない。1890年から存在する団体の名称の一部にポロ競技を表す文字が含まれていたとしても、需要者・取引者が他の服飾業者の商標の混在を理由に出所について混同するとは到底考えられない。ちなみに、「POLO」商標は多くの業者が併存して使用していたために、申立人自身も「POLO」だけでなく「POLO BY RALPH LAUREN」の商標を登録しているのが現在の登録の実情である。 (9)具体的出所混同の不存在 取消理由通知書においては、申立人の「POLO」商標との出所混同のおそれがあると判断している。しかしながら、本件商標を使用した商品はすでに市場に大量に販売されており、他の同種のポロ関連商品と併存して販売されている。それらの同一商品群の中で本件商標の付された商品と引用商標の付された商品間で具体的に混同を生じた事実はない(乙第10号証)。 申立人は、自己の商品を「Polo by Ralph Lauren」と表示していたものであり、現在も、申立人の商品を表すときには、括弧書きで(ラルフ ローレン)と表示されているのが実情である(乙第11号証)。 なお、ポロ関連商標の例としては、上野衣料の「Polo Club」および「Polo Spirits」 の 他 に、 「BEBVERLY HILLS POLO CLUB」「EP POLO」「WORLD POLO」「Polo Mallet」が掲載されている(乙第2号証の1ないし7)。 以上のとおり、取引の実際においても、それぞれのポロ関連商標として充分に需要者・取引者に認識され、区別されているものであり、米国においても、日本の市場においても、商標権者の商品が申立人の業務に係る商品と混同を生じている事例は全くなく、その販売実績と流通量から考えて、出所の混同を生ずる商標でないことは需要者の動向及び市場の反応からも明らかである。 なお、商標権者のライセンス商品は、1996年、97年、98年の小売りベースで年間50億円の安定した売上げを示している。 なお、最近のライセンス商品に関する紹介記事、広告類については、乙第12号証及び乙第13号証の1ないし4を参照されたい。 商品の取引の実際において現実に出所混同が生じた事実がない本件において、机上の議論として出所混同のおそれがあるとして本件商標の登録を拒絶することはいかに国際的要請があるとはいえ、他の同業のアメリカ業者の利益を損なう判断であって再度国際的批判を浴びる可能性のある妥当性を欠くものといわざるを得ない。 (10)先審査例 商標権者が現在までに出願した商標の審査では、商標中に「POLO」の文字が含まれていても、その全てが申立人の商標と混同を生ずるという判断ではない。そのことは、特許庁の審査において長年にわたり認められてきたものである。商標権者は、旧商品区分において、「POLO」を含む商標を登録第2547303号、登録第2570515号(旧第21類)及び登録第4024909号(第25類)を所有している(乙第14号証の1及び2)。これらの商標の登録時には、申立人の商標の存在が登録の障害となったことはない。 申立人の商標の存在にもかかわらず登録または登録査定されている事実がこれを証明している。 本件商標と同様に「POLO」を含む商標が登録、登録査定となっている例を挙げると、登録第2649563号(旧第17類)、登録第2717425号(旧第19類)、登録第2675199号(旧第20類)、登録第2709950号(旧第22類)、登録第2718440号(旧第24類)、登録第3255078号(第34類)、登録第4017664号(第34類)及び登録第2667324号(旧第22類)を挙げることができる(乙第14号証の3ないし10)。 これらの商標は、いずれも、「POLO」文字を含んでいるが、他の登録例とは類似しないものとして登録されている。 これらの先審査例に照らしても、本件商標から「POLO」の部分が分離して称呼・観念されることがないことは明らかであり、本件商標が引用商標と類似するものではなく、したがって、出所混同を生ずるおそれがないことは明らかである。 (11)結語 以上、詳述したとおり、本件商標は引用商標とは類似するものではなく、具体的出所混同の可能性は実在せず、また、その可能性もないので、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。したがって、本件商標は、その登録を取消すべき理由は全くない。 4 当審の判断 (1)本商標権は、「ユナイテッド ステイツ ポロ アソシエーション」が特定承継によりその商標権を取得し、平成17年7月1日付けで同人に移転登録されたものである。以下、「商標権者」という場合、前権利者である「ユーエスピーエー プロパティーズ インク」をいう。 (2)引用商標の著名性について 申立人の主張及び申立人提出の甲第2号証(昭和63年10月29日付「日経流通新聞」)、甲第4号証(商品カタログ ’81年版写)、甲第5号証(「男の一流品大図鑑」写:講談社昭和53年7月20日発行)、甲第6号証(「男の一流品大図鑑 ’81年版」写:講談社昭和55年11月20日発行、甲第7号証(「世界の一流品大図鑑 ’81年版」写:講談社昭和56年5月25日発行、甲第8号証(「判例時報」平成4年1月11日発行:東京高等裁判所平成2年(行ケ)183号)を総合すれば、以下の事実を認めることができる。 申立人は、アメリカ合衆国ニューヨーク州に所在するリミテッド・パートナーシップであり、そして、1968年に「ポロ・ファッションズ」(社名)を創立した同国のファッションデザイナーとして世界的に著名なラルフ・ローレンのデザインに係る商品(被服等ファッション関連商品)を、直営店あるいはライセンシーを通じて世界的な規模で販売している。 我が国においては、昭和52年(1978年)に西武百貨店がそのライセンシーの権利を取得し、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、婦人服等についてライセンスビジネスを手掛けているほか、松屋、東急、大丸等のデパート、また、銀座、原宿等には大型専門店を開設し今日に至っている。 これらラルフ・ローレンのデザインに係る商品には、「Polo」と「Ralhh Lauren」の欧文字にポロ競技プレーヤーの図形とを組み合わせた標章及び横長四角形中に配した「Polo」と「by RALPH LAUREN」(「by Ralph Lauren」)の文字にポロ競技プレーヤーの図形とを組み合わせた標章などが使用されてきた。 そして、これらの標章を付した商品は、「POLO」、「ポロ」あるいは「ラルフ・ローレンのポロ」等と略称されるとともに、引用商標(POLO)を含め上記各標章は、遅くとも、本件商標の登録出願時(平成7年6月23日)より前には、申立人の取り扱いに係る商品(被服等ファッション関連商品)の分野において、取引者、需要者の間で周知・著名となっており、その周知・著名性は、登録査定時(平成9年4月9日)を経て今日まで継続していることを認めることができる。 なお、衣料品その他ファッション関連商品の分野における「POLO」、「Polo」、「ポロ」ブランドの周知・著名性に関しては、上記の「東京高等裁判所平成2年(行ケ)183号」(甲第4号証)の外、平成14年(行ケ)612号(平成15年5月12日言渡)、同490号(平成15年6月23日言渡)、平成16年(行ケ)87号(平成16年9月29日言渡)など、これを認めた多数の判決例がある。 (3)以上の事実関係に基づいて、本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性について以下に検討する。 本件商標は、上記のとおり、「U.S.POLO」及び「ASSOCIATION」の文字よりなるものであるところ、これよりは、全体として親しまれた熟語的意味合いを看取させるものではなく、また、特定の団体名称を表示するものとして我が国において広く知られているともいえないものである。 しかして、被服等ファッション関連商品について使用をする商標として周知・著名な引用商標と同一の「POLO」の文字をその構成中に有する本件商標を、引用商標の使用する商品と同一の商品である「洋服」等を含むその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字に着目し、周知・著名となっている引用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。 (4)商標権者は、引用商標の著名性を容認した上で、「Polo」の言葉はスポーツの競技を表す一般名称であること、本件商標中に含まれている「POLO」の語は商標権者がポロスポーツの統括団体であることを表すものであって必要欠くべからざる要素であること、商標権者は1890年より実在する米国ポロ協会の下部組織であり、日本をはじめ各国において数多くのライセンシーに使用権を付与し、その利益を同協会に還元していること、米国ポロ協会は引用商標が商標として採択される以前から存在し長年にわたり使用されてきた米国でも著名なポロスポーツの統括団体の名称であり、他のPOLO関連商標と同列に取り扱われるものではないこと、本件商標は引用商標と具体的出所混同の可能性は実在せず、その可能性もないこと等を主張し、証拠を提出すると共に登録例及び異議決定例を挙げている。 しかしながら、本件商標が、商標権者の主張する米国ポロ協会(United State Polo Association)の団体名を表したものとして我が国において広く一般に知られているとはいえないし、「POLO」の語がスポーツ名を表す一般用語であるとしても、ポロ競技は、我が国においてはなじみの薄いスポーツであって、少なくともファッション関連商品に使用される商標の構成部分としての「POLO」が一般用語としてのポロ競技を示す語として、周知・著名な引用商標の連想、想起を阻害するような強い意味づけを有するものということはできない。 そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合には、引用商標の周知・著名性からして、取引者、需要者がポロ競技ないしはポロスポーツの統括団体名を連想、想起するというよりは、むしろ、引用商標を連想、想起するというのが相当である。 仮に、本件商標からポロスポーツの統括団体としての米国ポロ協会が認識されることがあるとしても、それのみが認識されるとすべき理由はないから、そのことから直ちに出所の混同が生じなくなるというものでもない。 そうすると、引用商標の周知・著名性、取引における経験則、需要者の注意力等を考慮すれば、本件商標については、上記のとおり判断するのが相当であるから、前商標権者の上記主張は採用することができない。 (5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2005-07-15 |
出願番号 | 商願平7-62425 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(025)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 村上 照美 |
特許庁審判長 |
柴田 昭夫 |
特許庁審判官 |
柳原 雪身 鈴木 新五 |
登録日 | 1997-07-11 |
登録番号 | 商標登録第4024909号(T4024909) |
権利者 | ユナイテッド ステイツ ポロ アソシエーション |
商標の称呼 | ユウエスポロアソシエーション、ユウエスポロ |
代理人 | 白石 吉之 |
代理人 | 黒岩 徹夫 |
代理人 | 曾我 道照 |
代理人 | 城村 邦彦 |
代理人 | 江原 省吾 |
代理人 | 田中 秀佳 |
代理人 | 広瀬 文彦 |
代理人 | 岡田 稔 |