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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y16
管理番号 1129081 
審判番号 不服2004-3116 
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-17 
確定日 2005-12-09 
事件の表示 商願2003-51472拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「りんどう」の文字を標準文字で表してなり、第16類「紙類,洋紙,印刷用紙」を指定商品として、平成15年6月20日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『りんどう』と普通に用いられる方法で書してなるところ、これよりは、『りんどう色』の意味を容易に認識できるから、本願の指定商品に使用したときは、取引者、需要者は『りんどう色の紙』と認識するに止まり、単に商品の品質、色彩を表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおりの構成よりなるところ、その指定商品「紙類」との関係においてみると、需要者・取引者間において、紙の色名を例えば、「橙色」を「橙」、「茶色」を「茶」のように、しばしば「色」の部分を省略して取引、使用されていることよりすれば、「りんどう」の文字は、容易に「りんどう色」を理解させると見るのが相当である。
そして、「りんどう色(竜胆色)」は、例えば、「色名事典」(日本色研事業株式会社発行)によれば、「竜胆色(りんどう色)・・リンドウの花のような青紫の色をいう。」と記載されている。また、「色彩の事典」(朝倉書店発行)において、「1.5.8 慣用色名の性格・・伝統色名の中には、王朝時代の襲の色目や織色、合色などにつけられた色名もある。・・桜,紅梅,撫子,山吹・・竜胆,藤,紫苑,牡丹などの花にちなむ色名」と記載されており、一般に古くから知られている色である。
さらに、色名の由来についてみると、例えば、「藤色」は、「藤の花のような青紫系の薄い浅い調子の色」、「桃色」は、「桃の花の色に似た淡い紅花染の色」にちなんでいることは、上記事典等から植物に由来するものが多いものであることが認められる。
また、製紙業界においては、「大王製紙株式会社」のホームページ(http://www.daio-paper.co.jp/newsrelease/archieve/n150623.html)によれば、「大王製紙の『再生色上質』増色・増規格について・・・この『再生色上質』について、さらにユーザーの皆様のご要望にお応えするべく、当社営業員が印刷会社や流通の皆様を訪問してマーケット調査を行なった結果、(1) 色数の増色 (2) A判横目の全色品揃え (3) カット判(色PPC)の増色、これらの要望が多いことが判明しました。・・1.増色・増規格の内容・・3.再生色上質カット判(コピー&軽オフセット用カラーペーパー)の新ブランドとして「ダイオーマルチカラーペーパー」FSC森林認証紙(16色)を上市する。背景:文具通販の普及により、一般企業でも再生色上質カット判(色PPC)を使う頻度が増えており、色のバリエーションが要望されている。」との記載があり、ユーザーの要望に応えるべく、製紙各社は増色等の製品開発を行っている実情がある。
「りんどう(色)」が、日本の伝統色として一般に使用され、また、紙類を取り扱う業界においても、色名の一種を表示するものとして使用されていることは、例えば、新聞記事情報、インターネットのホームページにおいて、以下の記事があることからも十分に裏付けられるところである。
(1)2003.8.31 「毎日新聞」東京朝刊 4頁 文化
「・・・それにしても、アジアの色はなんと微妙でぜいたくなことか。製紙会社が作った45色の色見本帖をめくってみると、それがよくわかる。たとえば「青」。淡紅藤(うすべにふじ)から竜胆(りんどう)、茄子(なす)、・・など日本の風土から生まれた色が多い。」
(2)1993.4.18 「朝日新聞」大阪地方版/兵庫 兵庫版
「川西町は、市のシンボルカラーをむらさき色にすることを決めた。むらさき色のリンドウが市花になっていることにちなんで採用した。・・・「川西りんどう色」と名付けて公用車うや封筒などに使用する。」
(3)「エコジャパンR 王子製紙がファンシーペーパー部門を富士製紙に移管したのに伴って,旧OKエコジャパンが「エコジャパンR」という新たな製品へと生まれ変わりました.45色という色数もさることながら,OKエコジャパンに比べてより使いやすい色調が増え,人気商品であるTANTのライバルとして遜色のないカラーバリエーションとなっています。・・・色・・・りんどう,きすいせん・・(全45色)
(http://www.asahi-net.or.jp/~PD4J-KTRG/ep-ecor.html)
(4)「野田印刷有限会社 ■色上質紙 表紙やなか扉に使用する無地で色の付いた上質紙です。・・・藤 りんどう さくら・・」
(http://www16.ocn.ne.jp/~noda-prt/gaiyou.html)
これらによれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する需要者をして、「りんどう色の紙」であるものと理解させるに止まり、単に商品の品質、色彩を表示したものと認識させるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取消すことはできない。
なお、請求人は、「りんどう色」という表現は色合いの表現として一般的ではなく、紙類、洋紙、印刷用紙が広く普及している現状において「りんどう」なる表示が一般的に使用されていない旨主張するが、「りんどう色」が、日本の伝統色であり、一般需要者間において馴染みの色であること及び紙類を取り扱う業界において、用紙の色名として普通に使用されていることは、前記認定のとおりである。さらに、過去の登録例を挙げて、本願商標は登録されるべきであるとも主張するが、それらの登録例は、本願商標とは商標の構成が相違し、事案を異にするものであるから、本件の判断に影響を及ぼすものではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-10-11 
結審通知日 2005-10-12 
審決日 2005-10-28 
出願番号 商願2003-51472(T2003-51472) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大井手 正雄 
特許庁審判長 小川 有三
特許庁審判官 山本 敦子
矢代 達雄
商標の称呼 リンドウ、リンドー 
代理人 飯塚 信市 

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