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審決分類 |
審判 査定不服 商3条柱書 業務尾記載 登録しない Z29 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z29 |
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管理番号 | 1127580 |
審判番号 | 不服2002-16842 |
総通号数 | 73 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-09-02 |
確定日 | 2005-11-16 |
事件の表示 | 商願2000-113285拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「プロッシュット ディ パルマ」の片仮名文字を標準文字により表してなり、第29類「ハム」を指定商品とし、平成12年10月18日に団体商標として登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由 原査定は、以下1及び2のように認定、判断し、本願を拒絶したものである。 1 商標法第3条第1項柱書について 本願商標は、「プロッシュット ディ パルマ」の片仮名文字を書してなるものであり、本件出願人がイタリアの協会であり、日本の輸入業者が使用し、販売している事実は認められますが、団体商標は、その構成員に使用させる商標について、団体商標の商標登録を受けることができるものであるところ、本願商標はその構成員に使用させる商標とは認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。 2 商標法第3条第1項第3号について 本願商標は、「プロッシュット ディ パルマ」と書してなるところ、「Parma-Prosciutto」はイタリアのパルマ地方特産の骨付きハムであることの記載が「発行:食肉通信社、食肉用語事典(新訂版)270頁「パルマハム」[製品名]」にあること、「プロッシュット」が「(塩づけの)ハム」の意味合いのイタリア語「Prosciutto」の表音、「パルマ」がイタリアの地名である「parma」の表音である。したがって、「イタリアのパルマ地方で製造されているハム」である意味合いを認識させるにすぎず、これをその指定商品に使用しても、単にその商品の産地、品質を表示するにすぎないものあるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 第3 当審の判断 1 商標法第3条第1項柱書き及び同第3号と団体商標の関係について (1)商標法第3条第1項柱書きと団体商標との関係について 本願商標の請求人(出願人)の提出に係る審判請求書に添付の証拠方法各号証によれば、出願人「コンソルツィオ デル プロッシュット ディ パルマ」は、商標法第7条第1項でいう「民法第34条の規定により設立された社団法人若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合又はこれらに相当する外国の法人は、その構成員に使用させる商標について、団体商標の商標登録を受けることができる。」とする中の「これらに相当する外国の法人」と認められるものである。 そして、本願商標は、上記団体の構成員に使用させるものであるから、同条第2項の規定により、同法第3条第1項柱書の「自己」とあるのは、「自己又はその構成員」とされるものである。 してみれば、本願商標は、団体商標はその構成員に使用させる商標について、団体商標の商標登録を受けることができるものであるところ、その構成員に使用させる商標であるから、本願商標を商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとして拒絶することはできない。 (2)商標法第3条第1項第3号について 団体商標として商標登録出願されたものであっても、登録商標として求められる自他商品の識別機能の必要性は、通常の商標登録出願と変わるところはなく、単に商品の産地、品質等を表示すると認識されるものからなる商標については、使用をされた結果、取引者・需要者間において、特定の団体の商品を表示する商標としての機能を有すると認識することができるに至っている場合を除き、単に商品の産地、品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。 これを本願についてみるに、本願商標は、上記のとおり、「プロッシュット ディ パルマ」の文字よりなるところ、その構成中の「プロッシュット」の文字がイタリア語で「(塩漬けの)ハム」を意味(白水社発行「新伊和辞典」)する「prosciutto」の読みを片仮名文字で表してなるものであり、また、「ディ」の文字がイタリア語の定冠詞で「〜の」等を意味(白水社発行「新伊和辞典」)する「di」の読みを片仮名文字で表してなるものであり、そして、「パルマ」の文字がイタリア北西部に位置する先進農牧地帯、食品工業地帯として知られている地名「parma」(三省堂発行「コンサイス外国地名辞典」)を片仮名文字で表してなるものと認められる。 ところで、肉製品を取り扱う業界においては、「イタリア、パルマ地方産の(塩漬けの)ハム」について、「パルマハム」の製品名で呼ばれ、イタリア語では「Parma-Prosciutto」(食肉通信社発行、食肉用語事典「新訂版」)と表され、商品の産地、品質を表示するものとして、普通に使用している実状が見受けられるところである。 してみると、上記意味合い及び取引の実情からして、「プロッシュット ディ パルマ」の文字からなる本願商標をその指定商品「ハム」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「イタリア、パルマ地方産の(塩漬け)ハム」として容易に理解するというのが相当であって、商品の産地、品質を表示したものとして理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。 したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものである。 2 請求人の主張について (1)本願商標は、「Prosciutto di Parma」を日本語表現した「プロッシュット ディ パルマ」であり、イタリア共和国の原産地名称保護法において保護が約束されたものだけに使用の許された名称で「コンソルツィオ デル プロッシュット ディ パルマ(パルマハム協会)」の会員及び認可業者の製造販売する製品にのみ使用が許されたもので、その余の者には使用が許されていないこと、そしてその状態がイタリア共和国の法律により保証されている。また、アメリカ及び欧州で「Prosciutto di Parma」が、自他商品識別力ありとして評価され団体商標として登録されている旨主張する。 しかしながら、本願商標は、上記のとおり、我が国においては、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、この点に関しては、パリ条約第6条(1)において、「いずれかの同盟国において正規に登録された商標は、他の同盟国(本国を含む。)において登録された商標から独立したものとする。」と規定されていることからしても、諸外国の法律、出願、登録例をもっては、自他商品の識別力の有無の判断理由とすることはできない。 (2)我が国においても「Prosciutto di Parma」商標を付した製品が多数の業者により大量に輸入され、いずれも「Prosciutto di Parma」及び「プロッシュット ディ パルマ」商標を冠して販売されており、「プロッシュット ディ パルマ」を冠した商品が協会会員又はその認可業者から出たものであることが、少なくとも「プロッシュット ディ パルマ」は商品取扱業者間において広く認識されるに至っている。「Prosciutto di Parma」商標の使用態様は業者により異なっており、商標法第3条第2項の規定の対象とはならないが特定の態様ではなく「Prosciutto di Parma」「プロッシュット ディ パルマ」という語は充分に識別性を獲得している旨主張し、証拠方法として甲第3号証ないし同第11号証、甲第16号証ないし同第22号証を提出している。 そこで、請求人提出の各証拠について検討するに、甲第3号証は、「Prosciutto di Parma」の日本への輸出を認めた生産者とその実績を示すものであり、また、第4号証が日本に輸入する輸入業者を示すものであるがこれらの輸入量等の数字が直に本願商標の著名性に結び付くものであるか明確でないばかりでなく、ここに示された数字が本願指定商品を取り扱う業界全体の取引においてどれほどの割合を占めるものであるのかについても記載がないことから、これよりは使用により自他商品の識別力を有するに至っているとは認めるに足りない。また、これらの証拠からは、「Prosciutto di Parma」の文字を書してなる態様での使用は認められるものの、「プロッシュット ディ パルマ」の文字が使用されている事実は認められない。 次に、甲第5号証ないし同第8号証は、請求人が単独で、またはイタリア貿易振興会、イタリア農林省と共に作成した小冊子であるが、しかし、これらの証拠からは、「プロッシュット ディ パルマ」の文字を使用した商品「ハム」が、実際の取引きで、我が国においてどの程度、宣伝広告されたかの具体的な使用状況は不明であり、自他商品の識別力を有するに至っているとは認められない。 また、甲第9号証ないし同第11号証は、日本の輸入業者等が立ち上げたホームページであるが、たとえば、「パルマの生ハム(プロシユット・ディ・パルマ)の生産の流れをみていきましょう。」(甲第9号証)、王冠の紋章とProsciutto di Parmaの文字を書した下段に「パルマ産のプロシュット(生ハム)」(甲第10号証)、「・・・正真正銘のプロシユット・ディ・パルマであること公式に認定されます。ですから、王冠の焼印は、消費者に対する純正なパルマ産プロシユツトであることの品質保証であり・・・」(甲第11号証)等の記述からは、「プロッシュット ディ パルマ」の文字が商品の産地、品質を表示したものとして理解するにとどまり、これらの証拠からは、使用により自他商品の識別力を有するに至っているとは認められない。 さらに、甲第16号証ないし同第22号証は、輸入業者の本願商標が商標として機能している旨の証明書であるが、いずれも同一内容の文章であることから、請求人の求めに応じ、請求人が用意した文面に証明者が署名捺印したにすぎないものと認められ、証明者が如何なる事実に基づき、書面に記載された内容を証明しているのか、その客観的事実を示す根拠や判断の過程は何ら明らかにされていないものであるから、結局、証拠力に乏しい書面といわざるを得ないものであり、その書面の事実評価を直ちに採用することはできない。 その他、請求人提出の証拠を総合してみても、本願商標が使用により識別力を有するに至ったものと認めることはできない。 3 むすび したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-06-14 |
結審通知日 | 2005-06-20 |
審決日 | 2005-07-06 |
出願番号 | 商願2000-113285(T2000-113285) |
審決分類 |
T
1
8・
18-
Z
(Z29)
T 1 8・ 13- Z (Z29) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 瀧本 佐代子、高橋 幸志 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
椎名 実 高野 義三 |
商標の称呼 | プロッシュットディパルマ、プロッシュット、パルマ |
代理人 | 植木 久一 |
代理人 | 小谷 悦司 |
代理人 | 川瀬 幹夫 |