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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Y1825
管理番号 1127522 
審判番号 不服2003-19962 
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-10 
確定日 2005-11-10 
事件の表示 商願2002- 83284拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成14年10月1日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その構成中に、アメリカ合衆国ニューヨーク所在の『ザ ポロ/ローレン カンパニー リミッテッド』が商品『被服,かばん類,装身具』等に長年使用し、世界的に著名な商標である「POLO」の文字を有してなるものであるから、これを出願人がその指定商品に使用するときは、これが恰も前記会社の製造販売に係り、あるいはこれと何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1.当審における職権証拠調べ通知
当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)に関して行った職権による証拠調べにより、以下の事実を発見したので、その旨を請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
(1)株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」(184頁)及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(208頁)の記述によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
そして、前記の記述には「Polo」及び「by RALPH LAUREN」の文字並びに「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章が用いられ、これらの標章は単に「ポロ」と略称されて紹介されている。
(2)株式会社洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/Polo」の項(123頁、195頁、221頁、224頁、281頁)及びボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項(223頁)の記述並びに昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事(5頁)によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、昭和52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、昭和53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
(3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、昭和53年2月16日付け日本経済新聞(夕刊)の広告(6頁)、前出「男の一流品大図鑑」(184頁)、株式会社講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」(147頁)、株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行「別冊チャネラー79-9/ファッション・ブランド年鑑’80年版」(61頁、130頁)、「男の一流品大図鑑’81年版」(12頁 昭和55年11月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(131頁 昭和55年6月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(87頁 昭和56年6月20日発行)、前出「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(208頁)、株式会社講談社昭和60年5月25日発行「流行ブランド図鑑」(63頁)のそれぞれにおいて、メガネについては、前出「世界の一流品大図鑑’80年版」(200頁、201頁)、「男の一流品大図鑑’81年版」(171頁)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(259頁、260頁)のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」及び「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
(4)平成3年株式会社研究社発行「英和商品名辞典」には、「POLO ポロ」の見出し語の下に「⇒Polo by Ralph Lauren」との記載があり、「Polo by Ralph Lauren ポロバイラルフローレン」の見出し語の下に「米国のデザイナーRalph Lauren(1939-)がデザインした紳士物衣料品。通例Poloと略されて呼ばれる。・・・1976年に紳士服でCoty賞を受賞、翌年には婦人服で受賞。・・・1974年の映画The Great Gatsby(「華麗なるギャッツビー」)の衣裳を担当して、人気が急上昇した」と記載されている。
平成11年1月10日株式会社小学館発行の「ランダムハウス英和大辞典」には、「polo」の見出し語の下に「3《商標》ポロ:米国のRalph Lauren デザインによるバッグなどの革製品。4ポロ⇒POLO BY RALPH LAUREN」の記載があり、「Polo by Ralph Lauren」の見出し語の下に「《商標》ポロバイラルフローレン:米国のR.Laurenデザインのメンズウエア」と記載されている。
(5)ラルフ・ローレンの「Polo」、「POLO」及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形等を模倣したブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付朝日新聞(東京版)夕刊(16頁)、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊(16頁)、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊(30頁)、同11年6月8日付朝日新聞(西部版)夕刊(6頁)、同11年9月9日付日本経済新聞朝刊(39頁)に報道されている。
(6)ラルフ・ローレンの「Polo」、「POLO」、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形等について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決として、東京高裁平成2年(行ケ)183号(平成3.7.11言渡)、東京高裁平成11年(行ケ)250号、同251号、同252号、同267号、同290号(以上平成11.12.16言渡)、同268号、同289号(以上平成11.12.21言渡)、同288号(平成12.1.25言渡)、同298号、同299号(以上平成12.2.1言渡)、同333号、同334号(以上平成12.3.29言渡)、平成12年(行ケ)5号(平成12.9.28日言渡)、同140号(平成12.10.25言渡)、同112号(平成12.11.14言渡)、同162号(平成13.2.8言渡)、平成11年(行ケ)420号(平成13.4.19言渡)、平成13年(行ケ)90号(平成13.7.10言渡)、同119号(平成13.11.29言渡)、平成16年(行ケ)33号(平成16.5.27言渡)等がある。
(7)以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においても継続しているものと認めることができる。

2.請求人の意見
上記証拠調べ通知に対し、請求人は、指定された期間内に何ら意見を述べるところがない。

3.引用商標の著名性について
前記1.の職権証拠調べ通知において示したとおり、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等に使用される「引用商標」についてした証拠調べ、(1)ないし(5)の事実及び(6)の判決をも併せ考慮すると、「引用商標」は、ラルフ・ローレンのデザインにかかる被服類、眼鏡等に使用する標章として、遅くとも本件商標の登録出願時までには、我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、かつ、著名となっていたものであり、その状態は現在においても継続しているものと認めることができる。

4.商品の出所の混同のおそれについて
本願商標は、「St.」「PO」「LO.」及び「CB」の文字と、「PO」と「LO.」の文字の間に馬蹄の図を背景とした疾走する馬に乗った乗馬服姿の人の図形を配した構成よりなるところ、これを文字部分についてみると、間に図形を配してはいるが、全体として「St.POLO.CB」と一体に把握できるものであることから、「POLO」の文字を有するものと容易に認められるものである。
一方、前記認定の引用商標も、「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されているものである。
また、本願の指定商品は、「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革,被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」であり、これらの商品のほとんどが、トータルファッションが流行している昨今においては、引用商標が需要者に広く認識され著名となっている商品群と同様にファッション関連商品ということができるものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、前記実情から、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字に注目し、前記引用商標を連想し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人(出願人)は、「本願商標は、図形部分と文字部分とから構成された出願人の著作物であり、構成上の発想も異なるため、本願商標を本願指定商品に使用したとしても、その商品の出所について、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッドの関連企業の使用に係る商標と混同が生じることはない。」旨述べているが、本願商標は、図形の左右に「POLO」の文字が配されていることから、「ポロ」の称呼、観念を生ずるとともに、前記引用商標を連想し、出所の混同を生ずるおそれがあるとみるのが相当である。

5.以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、その理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本願商標





引用商標









審理終結日 2005-08-30 
結審通知日 2005-09-02 
審決日 2005-09-15 
出願番号 商願2002-83284(T2002-83284) 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (Y1825)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 裕子 
特許庁審判長 小川 有三
特許庁審判官 矢代 達雄
山本 敦子
商標の称呼 セントポロシイビイ、ポロシイビイ、ポロ 
代理人 宮崎 栄二 

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