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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 109 |
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管理番号 | 1127488 |
審判番号 | 取消2004-31225 |
総通号数 | 73 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-01-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2004-09-16 |
確定日 | 2005-11-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2628725号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2628725号商標の指定商品中第9類「金属加工機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,製材、木工または合板機械器具,パルプ、製紙または紙工機械器具,ガラス器製造機械」についての登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2628725号商標(以下「本件商標」という。)は、「ダイナミック」の片仮名文字を書してなり、昭和60年4月20日に登録出願、第9類「産業機械器具、その他本類に属する商品(ただし、かいばおけ、養蜂用巣箱、工業用炉、理髪用椅子、救命用具、ベロ―ズおよびその類似商品を除く)」を指定商品として、平成6年2月28日に設定登録され、その後、平成16年3月9日付で商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、「結論同旨の審決を求める」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。 (2)答弁に対する弁駁 (ア)被請求人は、乙第2号証及び乙第3号証を示し、商標として機能を果たしているのは「ダイナミック」の部分のみであり、当該表示に接した取引者・需要者は、「ダイナミック」印の「コーティングホブ」あるいは「ダイナミック」印の「コーティングオピニオンカッタ」であると認識する旨述べている。 しかしながら、「ダイナミック」の文字が商標としてでなく、コーティングの手法として使用されていることは、乙第2号証における「二番摩耗量の比較」と題された図並びに乙第3号証における「工具寿命 2倍」と題された図において「TiN」、「TiCN」及び「ダイナミック」の3つの文字が同列に表現され比較されているところ、「TiN」及び「TiCN」の文字は、コーティング技術の方法として知られているものであるから、これら図中に記されている「ダイナミック」の文字が、商標としてではなく、コーティング技術の1方法として記されているものと解するのが妥当である。 したがって、乙第2号証及び乙第3号証に係る「ダイナミックコーティングホブ」及び「ダイナミックコーティングオピニオンカッタ」の標章は、いずれも全体として、当該商品の品質を普通に用いられる方法で表示しているものにすぎない。 また、乙第2号証及び乙第3号証に係るチラシがいつ作成・配布されたのかも明らかでない。 (イ)被請求人は、乙第4号証ないし乙第6号証を示し、当該証拠中の「DYNAMIC PVD」について、商標として機能しているのは「DYNAMIC」の部分である旨主張しているが、「DYNAMIC」の文字と「PVD」の文字が1つの長方形で囲まれ、かつそれらの2語の間のスペースも自然なものであり、「DYNAMIC PVD」全体として1つの標章と認識するものと解するのが妥当である。 なお、箱の中身の写真が提出されておらず、商品が被請求人の主張する歯車切削用工具であるか否か明らかでない。また、同証拠に係る年月日が本件審判の請求の登録前3年以内であるか何ら証明されていない。 (ウ)乙第7号証ないし乙第9号証は、「ダイナミックコーティングホブ」及び「ダイナミックコーティングオピニオンカッタ」の工事命令書注文内示書であるとのことであるが、当該工事命令書注文内示書において、表面処理の欄に「ダイナミック」の文字があることから、当該「ダイナミック」の文字は、明らかに表面処理を表しているものであり、商標として使用されているものとはいえない。 また、備考欄の「黒色ダイナミック」という文字は、表面処理方法の黒色ダイナミックへの変更に関するものと解するのが自然である。よって、「黒色ダイナミック」の表示が、黒色の「ダイナミック」という商標に係る商品を表示していると解することは極めて不自然である。 3 被請求人の主張 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判の費用は、請求人が負担とするとの審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)答弁の理由 本件商標の通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標をその指定商品中の「金属加工機械器具」の分野に属する商品について使用している。以下、その使用の事実について述べる。 (ア)被請求人は、三菱重工業株式会社と1997年8月28日付商標使用許諾契約を締結し、本件商標の通常使用権を許諾しており、この契約は現在も有効に継続している(乙第1号証)。 該契約に基づき、本件商標の通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に歯車切削加工用工具に「ダイナミック」の商標を使用している。 (イ)乙第1号証及び乙第2号証は、社外の顧客に向けて配布したチラシの写しである。同証拠によれば、本件商標の通常使用権者が歯車切削用工具に「ダイナミックコーティングホブ」、「ダイナミックコーティングオピニオンカッタ」の表示を使用していることがわかる。 (ウ)乙第4号証ないし乙第6号証によれば、本件商標の通常使用権者が歯車切削用工具に「DYNAMIC PVD」の表示を使用していることがわかる。 (エ)乙第7号証及び乙第8号証は、「ダイナミックコーティングホブ」、「ダイナミックコーティングオピニオンカッタ」の工事命令注文内示書であり、乙第9号証は、客先の注文仕様に合わせて作成したものであるが、注文年月日及び「訂正」の日付より、本件商標の通常使用権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に使用していたのは明らかである。 (2)弁駁に対する第2答弁 本件審判に係る商標の使用をより客観的に証明するものとして、乙第10号証の1ないし乙第15号証を提出する。 (ア)乙第10号証の1及び乙第10号証の2は、乙第7号証の内容を補強するものである。 (イ)乙第11号証は、参考資料であるが、客先への商品の発送を記録する発送台帳であり、乙第8号証の内容を補強するものである。 (ウ)乙第12号証の1ないし乙第12号証の5は、乙第4号証ないし乙第6号証において梱包されている商品が何かわかる写真とその補足資料である。 4 当審の判断 (1)被請求人は、本件商標の通常使用権者が歯車切削用工具に「ダイナミックコーティングホブ」、「ダイナミックコーティングオピニオンカッタ」の表示を使用しているところ、商標として機能しているのは「ダイナミック」の文字部分のみである旨主張している(乙第2号証及び乙第3号証)。 しかしながら、乙第2号証における「二番摩耗量の比較」と題された図並びに乙第3号証における「工具寿命2倍」と題された図によれば、比較対象として「TiN」、「TiCN」及び「ダイナミック」の3つの文字が同列に表現され、その摩耗性能に関して比較されていることが認められることから判断して、前記構成文字中前半の「ダイナミック」の文字部分については、単に1種のコーティングの方法(加工方法)を表す語として使用されているにすぎないものといわざるを得ない。 ところで、「TiN」及び「TiCN」の文字が、表面処理の方法ないしコーティングの1手法を意味することは、「TiN膜を越えたTiCNセラミックコーティング」(http://www.taihei-s.com/seihin2.htm)の見出しの下、「TiCN膜は、高硬度で低摩擦という特性をもち、しかも強い密着力をもつセラミックコーティング膜です。」の記載及び「滑りベアリングに応用したダイナミックミキシング法によるTiN膜の摩擦特性」(http://www.rada.or.jp/database/home4/normal/ht-docs/member/synopsis/010080.html)の見出しの下、「詳細説明:イオンビーム混合法(イオンビームダイナミックミキシング法)はイオンビーム照射と金属蒸着とを同時に行い、材料基板表面にTiNなどの高性能皮膜を形成し、切削性能向上、摩擦・摩耗特性向上などを目的として表面処理する方法である。」の記載(インターネット情報)からも窺い知ることができる。 そうすると、乙第2号証及び乙第3号証に係る「ダイナミックコーティングホブ」及び「ダイナミックコーティングオピニオンカッタ」の文字は、いずれも当該商品(ホブ及びオピニオンカッタ)及びその品質(加工方法)を表示しているにすぎないから、商標として使用されているものとは認められないものである。 また、乙第2号証及び乙第3号証に係るチラシには、いつ作成・配布されたのかの記載がなく、かつ、第2答弁書によっても、その作成年月日等が明らかでない。 そうすると、本証拠をもってしては、本件商標が「歯車切削用工具」に使用されているものと認めることはできない。 (2)被請求人は、乙第4号証ないし乙第6号証をもって、本件商標の通常使用権者が歯車切削用工具に「DYNAMIC PVD」の表示を使用している旨主張しているが、乙第4号証ないし乙第6号証の補足として提出された乙第12号証の1ないし乙第12号証の5によれば、「発送台帳」中の「発送日」は、「05/02/26」及び「05/07/13」」との記載が認められるところ、いずれの日付も本件審判の予告登録日(平成16年10月12日)日以降のものであるから、その登録前3年以内に、本件商標が使用されていたことを証明したものと認めることはできない。 (3)被請求人は、工事命令書注文内示書の中で「ダイナミック」の表示を使用している旨主張し、かつ、注文年月日が本件審判の請求の登録前3年以内に製品の注文を受けたのは明らかと主張している(乙第7号証及び乙第8号証)。 しかしながら、当該工事命令書注文内示書によれば、「表面処理:」の欄に「ダイナミック」の記載が認められることからして、当該「ダイナミック」の文字が、「表面処理の方法としては、ダイナミック(加工方法)で行うこと」を指示していることは明らかであり、商標として使用されているものとは認められない。 また、その下段の備考欄の「黒色ダイナミック」という文字も「表面処理方法の黒色ダイナミックへの変更に関するもの」と解するのが自然である。 (4)以上、前記4(1)ないし(3)によれば、通常使用権者の取扱いに係る使用商品が、その指定商品中の「歯車切削用工具」であるとしても、乙各号証で使用されている「ダイナミック」ないし「DYNAMIC」の文字は、コーティングの方法を表示しているにすぎず、これらの証拠をもってしては、本件商標が商標として使用されたものとは認めることができない。 (5)そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品「金属加工機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,製材、木工または合板機械器具,パルプ、製紙または紙工機械器具,ガラス器製造機械」について使用していなかったものといわざるを得ず、また、これを使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中「結論掲記の指定商品」について取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-09-01 |
結審通知日 | 2005-09-06 |
審決日 | 2005-09-26 |
出願番号 | 商願昭60-40281 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(109)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 宮川 久成、原 隆、田中 照雄 |
特許庁審判長 |
田辺 秀三 |
特許庁審判官 |
高野 義三 佐藤 達夫 |
登録日 | 1994-02-28 |
登録番号 | 商標登録第2628725号(T2628725) |
商標の称呼 | ダイナミック |