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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 236
管理番号 1123284 
審判番号 取消2003-30617 
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-05-12 
確定日 2005-07-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第0467528号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第0467528号商標の指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第467528号商標(以下「本件商標」という。)は、「MONALIZA」と「モナリザ」の文字を二段に横書きしてなり、昭和29年10月4日に登録出願、第36類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、同30年6月30日に設定登録されたものである。その後、指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,及びその類似商品」については、放棄によりその登録は消滅し、一部抹消の登録が平成17年1月12日にされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、同15年6月4日にされたものである。
2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品中の第36類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」について、継続して3年以上、日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁の理由
被請求人は、答弁書において、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人により、商品「パンティストッキング」に使用されているものであるから、取消事由に該当しないと主張し、その主張事実を立証せんとして乙第1号証ないし乙第9号証を提出している。
しかしながら、以下1)ないし3)の理由により、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を請求人が取消しを求める商品について使用していないことが明らかである。
1)被請求人が本件商標を使用したと主張する商品「パンティストッキング」は、請求人が取消を求める指定商品「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」には含まれない。
2)被請求人が本件商標を使用したと主張する商品「パンティストッキング」は、本件商標の出願当時には存在していなかったものであるから、本件商標の指定商品には含まれない。
3)被請求人の提出に係る証拠からは、本件商標の使用の事実は認められない。
以下、上記理由1)ないし3)について詳述する。
理由1)「パンティストッキング」は、請求人が取消しを求める指定商品には含まれないことについて
被請求人は、商品「パンティストッキング」が、本件商標の指定商品中の「下着」(類似群コード17A02)に含まれると主張する。
しかしながら、「パンティストッキング」は、足部から腰部までを覆うストッキングとして昭和40年代に開発されたものであり、その流通過程においても、靴下、ストッキングと同一の流通過程に属するものである。
したがって、「パンティストッキング」は、「靴下、ストッキング」を含む類似群コード17A04に属する商品であって、「下着」に含まれるとする被請求人の主張は失当である。
上記のことは、特許庁電子図書館HPの商品・役務名リストにおいて、「パンティーストッキング」が「靴下、ストッキング」を含む類似群コード17A04に属するものとされていることからも明らかである(甲第2号証)。
また、甲第3号証ないし甲第6号証の各登録商標の特許庁電子図書館HPの商標出願・登録情報の詳細情報において、商品「パンティストッキング」は、17A04という類似群コードを付されている。このことからも、商標の類否を審査する実務において、商品「パンティストッキング」は、「靴下、ストッキング」を含む類似群コード17A04に属するものとして定着し、取り扱われてきたことが明らかである。
このように、かねてから「パンティストッキング」が類似群コード17A04に属するものとして審査がなされてきたことから、「パンティストッキング」を「下着」に含まれるものとすることは、法的安定性を害することになり、妥当ではない。
したがって、請求人が本件審判において取消しを求める商品中に「パンティストッキング」が含まれない以上、たとえ被請求人が本件商標を「パンティストッキング」に使用していると主張しても、その使用は、商品「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」(類似群コード17A01,17A02)について本件商標がその取消しを免れる使用にはならないことは明白である。
理由2)「パンティストッキング」は本件商標の指定商品には含まれないことについて
本件商標は、昭和29年10月4日に第36類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として出願されたものである。
一方、「パンティストッキング」は、甲第7号証(アツギ株式会社のHPによる「ストッキングの歴史」)に示すとおり、昭和40年に開発され、昭和43年に発売が開始されたものであり、「パンティストッキング」の開発及び市場への普及が昭和40年代であったことが明らかである。
したがって、「パンティストッキング」は、本件商標の出願時である昭和29年10月4日には未だ商品として存在しておらず、かつ、「パンティストッキング」と同等と考えられるような商品も存在していない。
このことから、本件商標が、たとえ改正前の商標法施行令別表に基づく第36類に属するすべての商品を指定するものであるとしても、その中に商品「パンティストッキング」が包含されていないのである。
したがって、たとえ被請求人が本件商標「パンティストッキング」に使用していたと主張しても、本件商標の使用にはならない。
理由3)本件商標の使用の事実が認められないことについて
被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内にあたる平成15年5月26日から同28日まで、東京ビッグサイトを会場としてメサゴ・メッセフランクフルト株式会社によって開催された展示会「INTIMA JAPAN(インティマジヤパン)」に、商品「パンティストッキング」について、乙第1号証に示す態様で商標「MONALIZA」を使用し(包装用台紙に表示)出展展示したと主張し、その事実を、乙第3号ないし乙第6号証によって立証するとしている。
しかしながら、乙第1号証の「MONALIZA」の標章の付された包装用台紙が本件審判請求の登録日前に存在していたことは全く立証されていない。
したがって、本件審判請求の登録日前3年以内における本件商標の使用事実を客観的に証明するものとはいえない。しかも、乙第1号証の包装用台紙の表面及び裏面の両方に示されている態様は、キスマークの図と「MONALIZA」の欧文字を一体的に併記してなるものであり、「MONALIZA」の欧文字と「モナリザ」の片仮名の2段併記からなる本件商標とは、社会通念上同一のものとは認められない。
また、乙第3号証の展示会の招待状には、「(株)レガルト」という被請求人会社の名称のみが記載されており、本件商標に関する記載は一切なく、どのような商品(又は商品の包装)にどのような標章を付したものが展示される予定であるかは、この招待状からは明らかではない。
乙第4号証の新聞記事には、被請求人会社が上記展示会に「モナリザ」という商品を出展するとの記載があるが、その商品が上記展示会で出展されたという事実を証明するものとして提出された乙第5号証の写真は、被請求人会社の従業員によって撮影されたものであり、その写真を見ても、撮影場所及び撮影時期は不明である。展示会の主催者などの第三者による証明であればともかく、被請求人側が自由に作成することが可能な乙第5号証の写真や、被請求人会社の従業員による乙第6号証の陳述書は、証拠力が極めて低いというべきであって、実際に上記展示会で出展展示がなされたことを客観的に証明するには不十分である。
次に、被請求人は、上記展示会において乙第5号証の写真中に示されるポスターに「MONALIZA STOCKING」と表示して展示したと主張し、これが商標法2条3項8号の「使用」に該当すると主張している。
しかし、被請求人が本件商標を使用しているとする商品「パンティストッキング(「ストッキング」の記載は被請求人の誤記であると思われる。)」は、既に詳述したように、本件審判において取消しを求める指定商品には含まれないものである。また、前述のとおり、乙第5号証の写真の撮影場所及び撮影時期については疑問があり、その写真中に示されるポスターについても、作成時期は不明であるから、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標が使用されたことの客観的な証明にはならないものである。
さらに、被請求人は、乙第7号証の新聞記事が同法2条3項8号の「広告」としての使用にあたるとしているが、該記事は、「モナリザ」という商品「パンティストッキング」が発売される予定があることを紹介する記事にすぎず、商品の販売に関する「広告」としての機能を果たしているというには不十分である。また、乙第7号証における表記の態様は、記事の文章の中に「モナリザ」の片仮名が縦書きで表記されているのみであり、「MONALIZA」の欧文字と「モナリザ」の片仮名を横書きで2段に表記してなる本件商標の使用であるとは到底言い難いものである。
したがって、乙第7号証からは本件商標の使用があったことを立証することはできない。
以上述べたように、被請求人提出の証拠からは、本件商標が、被請求人によって審判請求の登録前3年以内に、商品「パンティストッキング」について使用したことは証明されていないのである。
また、被請求人は、「パンティストッキング」について、使用の事実の立証をしようとしているだけであり、本件審判において取消しの対象とした指定商品については、使用の事実に関する証拠を一切提出していないのである。
以上詳述したように、被請求人の提出に係る答弁書における主張及びその主張事実を立証する証拠によっては、本件審判により取消しを求める商品について、本件商標を使用していないことが明らかである。
3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出している。
(1)本件商標の使用の事実(その1)
(ア)商品「パンティストッキング」(本件商標の指定商品中の「下着」に含まれる)について、商標「MONALIZA」を乙第1号証に示す態様で使用し(包装用台紙に表示)、これを本件審判の請求の登録前3年以内にあたる平成15年5月26日から同月28日まで、東京ビッグサイトを会場としてメサゴ・メッセフランクフルト株式会社によって開催された展示会「INTIMA JAPAN(インティマ ジャパン)」に出展展示した。
(イ)本件商標は、「MONALIZA」の欧文字と「モナリザ」の片仮名との2段併記であるが、特許庁商標課編の商標審査基準(平成4年3月23日改訂第4版)第72ページ(乙第2号証)によれば、「太陽」と「「SUN」の2段併記の登録商標があった場合に、「太陽」又は「SUN」のいずれか一方のみの使用であっても、当該登録商標の使用として認められる旨の例示があるところからみれば、本件審判事件の場合も、乙第1号証に示す表記態様であっても、社会通念上、本件商標の使用であるとすることに何ら問題はない。
(ウ)なお、前記展示会「INTIMA JAPAN」が、平成15年5月26日から同月28日まで東京ビッグサイトを会場として開催された事実、及び被請求人会社が同展示会に参加し、包装用台紙に商標「MONALIZA」を付したパンティストッキングを出展した事実は、「INTIMA JAPAN」のための招待状(乙第3号証)、平成15年4月28日付「繊研新聞」第2面左上欄の「レガルト」に関する記事(乙第4号証)、出展会場での写真(乙第5号証)、同写真を撮影した被請求人会社の従業員安井隆文の陳述書(乙第6号証)及び、必要がある場合に行われることのあるべき同人を証人とする証拠調べ等によって立証する。
(2)本件商標の使用の事実(その2)
(ア)被請求人は、上記展示会「INTIMA JAPAN」の被請求人展示ブース(小間)において、乙第5号証の写真中(右半分部分)に示されるポスターに「MONALIZA STOCKINGS」と表示して展示した。これは本件商標と当該商標が使用されている商品との関係を広告しているものである。
(イ)この事実も本件商標が商品「ストッキング」について使用(商標法2条3項8号該当)されていることを示している。
なお、乙第5号証中のポスターに示されている「MONALIZA」の表記態様は、本件商標の2段併記のものと外見上同じではないが、本件第2の表記態様をもって、社会通念上、本件商標の使用とみて問題ないことは、前出の第1の表記態様について述べたとおりである。
(3)本件商標の使用の事実(その3)
(ア)株式会社センイジヤアナル社発行の業界新聞「センイ・ジヤアナル」2003年5月12日号の第7面中段右欄に掲載されている記事(乙第7号証)中には、レガルト(被請求人)が「モナリザ」の商標でP・S(パンティストッキング)を発売することが紹介されている。
(イ)乙第7号証の記事は、商品「パンティストッキング」についての広告として機能しており、当該記事中に「モナリザ」の標章が使用されていることは、社会通念上、本件商標の使用に該当する(同法2条3項8号該当)。
なお、乙第7号証中における「モナリザ」の表記態様は、片仮名でしかも縦書きであり、本件商標の横書き、2段併記の態様と外見上同じではないが、このような点についての相違があっても上記第3の表記態様をもって本件商標の使用であるとすることに何ら問題はない。
すなわち、前出の商標審査基準(乙第2号証)によれば、「太陽」と「SUN」の2段併記の例においては、それぞれ一段のみの使用であっもよく、また同商標審査基準第70頁(乙第8号証)の「日立」の例では、横書きのものを縦書きで使用してもよいとの例示があることからすれば、本件商標の場合もこれらの例示の考え方にしたがって判断すれば、縦書きの「モナリザ」の表記態様であっても、社会通念上、本件商標の使用である。
(4)結語
以上のように、本件商標の商標権者である本件審判の被請求人においては、上記で詳記したような商標の使用実績があり、これらの各事実関係からすれば本件商標が本件審判の請求の登録(平成15年6月4日、乙第9号証参照)前3年以内に商標権者によって使用(同法2条3項1号、2号または8号該当)されたことが明らかである。
4 当審の判断
被請求人は、商標「MONALIZA」及び「モナリザ」を本件商標の指定商品中の「下着」に含まれる商品「パンティストッキング」について使用しているとして、乙号証を提出している。
しかしながら、使用に係る商品「パンティストッキング」は、「くつ下」の類とみるのが相当であって、本件審判の請求に係る指定商品には包含されない商品であるといわざるを得ない。
そうすると、使用に係る商品が本件審判の請求に係る指定商品には包含されないものであるから、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に、本件審判の請求に係る商品「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」のいずれについても使用していたものと認めることができない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定によりその指定商品中「結論掲記の商品」についての登録を取り消すべきものである。
なお、被請求人は、証人尋問申出書を提出しているが、証人尋問を行うまでもなく、上記のように認定、判断し得たから、証人尋問の申出は採用しない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-05-31 
結審通知日 2005-06-03 
審決日 2005-06-14 
出願番号 商願昭29-24185 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (236)
最終処分 成立  
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 富田 領一郎
小川 有三
登録日 1955-06-30 
登録番号 商標登録第467528号(T467528) 
商標の称呼 1=モナリザ 
代理人 大浜 博 
代理人 蔦田 正人 
代理人 蔦田 璋子 

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