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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 036
管理番号 1123277 
審判番号 取消2004-30922 
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-07-15 
確定日 2005-09-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第4174269号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4174269号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成8年5月8日に登録出願、第36類「金融市況・為替市況・株式市況その他の金融に関する情報の提供,ゴルフ会員権の売買に関する情報の提供,商品先物取引市況に関する情報の提供,保険に関する情報の提供,建物又は土地の情報の提供,骨董品・美術品・宝玉の評価に関する情報の提供,当せん金付証票の発売及び当せん番号に関する情報の提供,税務に関する情報の提供,慈善のための募金に関する情報の提供」を指定役務として、同10年8月7日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中「為替市況に関する情報の提供、及びこれらに類似する役務」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証の1及び2を提出した。
(1)請求人は、本件請求に先立って職業的調査機関に依頼して商標権者(以下「被請求人」という。)の業務内容、取扱商品及び役務の範囲、そして、本件商標の使用の実態について、取引先に対する照会等を含め鋭意詳細に調査を実行したが、本件請求に係る指定役務に関する限り、本件商標が使用されたことを示す資料を発見することができなかった。また、本件商標に係る登録には、専用使用権又は通常使用権の登録もされておらず、それらの存在をうかがわせる資料も存在しなかった。
したがって、本件商標は、前記役務について過去3年間にわたって日本国内で使用されなかったものと推認される。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)被請求人提出の乙第2号証の2枚目には、「商品取引情報サービス」との表題の下に、横長輪郭に囲まれた「J-COM」の標章が表示され、その下に「金や大豆などの商品先物取引相場や関連ニュースを専用回線を使ってリアルタイムに伝えます。本格的な商品先物取引に対応したJ-COMにくわえ、コンパクトで手軽に使えるJ-COM Miniも用意しています。多くの商品取引員や商社、メーカーなどで利用されており、商品取引業界の標準機になっています。」とあり、本件商標と同一と見られる商標が「金や大豆などの商品先物取引相場や関連ニュース」の提供に使用されていたことがうかがわれる。
(イ)被請求人は、さらに、乙第4号証、乙第6号証等を引用して、「提供される情報中には、『為替/金利/株式などの主要指標データ』(乙第4号証)も含まれ(答弁書5頁29行ないし6頁1行)、『外国為替』を選択した際に表示されるサブメニューには、『為替直物取引』や『通貨先物』のほか、各国通貨や各為替市場、『為替市況』等の項目があり(乙第6号証)、これらは、広義では『金融に関する情報の提供』と認められるが、狭義では『為替市況に関する情報の提供』に該当する(答弁書6頁13行ないし16行)。」等と述べている。
しかしながら、乙第2号証の2枚目に端的に示されているように、被請求人の提供する主たる役務は、「商品先物取引の相場に関する情報の提供」であり、「為替市況に関する情報の提供」等は、前記主たる役務の提供に付随して行われる行為にとどまる。このことは「為替市況」の該当頁が比較的深い階層に置かれており、当該情報がサブメニューをたどることにより利用できる位置付けになっていることからもわかるので、それらの情報の該当部分に標章「J-COM」が付されているわけではない。
(ウ)被請求人は、「Products and Service 商品案内」と表示された頁(http://www.jiji.com/service/index.html)(乙第2号証の1枚目)と、「商品取引情報サービス」と表示された頁(http://www.jiji.com/service/forward/index.html)(乙第2号証の2枚目)とを、あたかも一体のもののように「乙第2号証」として提出しているが、前者には、「金融・証券」と表示されたボタン(リンク)と「商品先物」と表示されたボタンが別個に設けられており、これらは、それぞれ請求人提出の「金融・証券情報サービス」と表示された頁(http://www.jiji.com/service/finance/index.html)(甲第1号証の1及び2)と前記の「商品取引情報サービス」と表示された頁(乙第2号証の2枚目)に関連付けられている。
そして、請求人提出の甲第1号証の1と甲第1号証の2の2枚目のそれぞれの「金融・証券情報サービス」の頁には、「MAIN II,MAIN III,JMS,JMS for Webs」「PRIME」「MAIN-MATE」「証券同報」「J-Port」「J-site MAIN」という本件商標とは異なる標章が使用されている(なお、甲第1号証の2は、甲第1号証の1と同一の画面をフレームごとに別個に印刷したものである。)。
このことは、被請求人自身が「商品先物取引に関する情報の提供」と、「金融・証券に関する情報の提供」とを別異のものとして行っていることを示している。
そうして、請求人提出の甲第1号証の1と甲第1号証の2の2枚目のそれぞれの「金融・証券情報サービス」においては、上記の「MAIN II」をはじめとする標題の下に、それぞれ「金融証券情報や企業情報を中心に為替、株式、金利の動向をリアルタイムで伝えます。(以下略)」「株式相場の動向をリアルタイムで伝える、コンパクトな株式情報端末です。(以下略)」「金融機関の窓口などで為替、金利、指数などのデータを表示するために利用されている電光表示板です。(以下略)」「証券市場の動きをライブで伝える音声情報サービスです。」「定評のある時事通信社のニュースと、為替、債券など数値情報に強いロイター通信社の情報を同一端末で利用できる金融証券情報端末です。(以下略)」「お客様の社内LANに弊社専用のWWWサーバーを設置する、イントラネット向け金融証券情報提供サービスです。(以下略)」のような説明があって、これらの一部が、まさに本件取消の対象とする役務に対応するものと見られる。
(エ)本件請求に係る役務「為替市況に関する情報の提供、及びこれに類似する役務」は、広くは金融に属する分野であるが、具体的には、銀行業務、特に内外国の為替取引に関わるものであり、被請求人が本件商標を使用しているとして資料を提出した役務「商品先物取引の相場に関する情報の提供」とは、一般に業種・業法を異にし、競争関係にないから、非類似の役務というべきである。
よって、被請求人の主張は理由がない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第41号証を提出した。
(1)証拠の説明
乙第1号証は、被請求人の2004年の会社案内の写しであるところ、そのうちの「時事通信社の歩み」の頁には、「1989年 電子メディアによる商品情報『J-COM』サービス開始」及び「2002年 新J-COM(商品情報システム)サービス開始」の記載がある。
乙第2号証は、被請求人のホームページの写しであるところ、その2枚目の「商品案内」の項目には、「商品取引情報サービス」として「J-COM」の英字が記載され、「金や大豆などの商品先物取引相場や関連ニュースを専用回線を使ってリアルタイムに伝えます。」との記載がある。
乙第3号証は、被請求人のリーフレットであるところ、その裏面の「J-COM(商品情報システム)」の項目には、「国内取引所の市場情報がリアルタイムで配信されるのはもちろん、シカゴなど海外の主要取引所の相場情報なども網羅。また、内外の商品、為替・金融などの多岐にわたる関連ニュースを速報するとともに、経済指標や生産・消費動向を裏付ける統計情報、分析チャートや過去データも完備されている。」と記載されている。
乙第4号証は、被請求人の「J-COMのご案内」と題された営業用資料であるところ、そこには、「本サービスの特長」(3枚目)、「画面構成」(8枚目)、「システム構成」(11枚目)、「機器仕様」(12枚目)等とともに、「ご提供情報」(5枚目)として提供される情報の内容が詳細に記載されているが、その中に「為替/金利/株式などの主要指標データ」(6枚目)の項目がある。
乙第5号証ないし乙第31号証は、平成16年8月30日に被請求人の本社において、実際に端末を操作して出力した画面の写しである。
乙第5号証は、ヘルプ機能により端末画面に実際に表示される簡易操作マニュアルであるが、その左上に「J-COM」の英字が表示されている。
乙第6号証は、メニュー画面及びメニュー中の「外国為替」を選択した際に表示されるサブメニューを併せて表示した画面である。「外国為替」のサブメニューには、更に「為替直物取引」、「通貨先物」等のほか、各国毎の通貨や地域単位の通貨に関する項目のほか、各為替市場、「為替市況」等の項目が存在している。
乙第7号証は、メニュー中の「外国為替」の「為替直物取引」の画面(左上)、その中の「主要通貨22取引直物一覧」の画面(左下)、「東京外為市況」の画面(右上)及び「ヒストリカル(分析)チャート」の画面(右下)(一画面を4分割して表示した状態)の写しである。
乙第8号証は、乙第7号証中の「為替直物取引」の単独の画面の写しである。
乙第9号証は、同上「主要通貨22取引直物一覧」の画面の写しである。
乙第10号証は、同上「東京外為市況」の画面の写しである。
乙第11号証は、同上「ヒストリカル(分析)チャート」の画面の写しである。
乙第12号証は、「東京金先物相場関連画面」(左上)と、その中の「相場ー覧」画面(左下)と「東京貴金属市況」画面(右上)及び「ヒストリカルチャート」画面(右下)(一画面を4分割して表示した状態)の写しである。
乙第13号証は、乙第12号証中の「東京金先物相場関連画面」の写しである。
乙第14号証は、同上「相場一覧」の画面の写しである。
乙第15号証は、同上「東京貴金属市況」の画面の写しである。
乙第16号証は、同上「ヒストリカルチャート」の画面の写しである。
乙第17号証は、メニュー中の「外国為替」(乙第7号証)の下にある「金利」の項目中の「金利先物」に関する画面(左上)と、その中の「シカゴIMM先物相場」の画面(下段)と「シカゴ金利先物市況」画面(右上)を、表示した状態の写しである。
乙第18号証は、乙第17号証中の「金利先物」の画面の写しである。
乙第19号証は、同上「シカゴIMM先物相場」の画面の写しである。
乙第20号証は、同上「シカゴ金利先物市況」の画面の写しである。
乙第21号証は、為替その他に関する「主要指標一覧」の画面の写しである。
乙第22号証及び乙第23号証は、東京市場の各種情報の要約を提供する「東京市場サマリー」の画面の写しであり、「東京株式」及び「東京外為」(乙第22号証)、「東京債券」、「短期金融市場」及び「東京原油」(乙第23号証)の情報が提供されている。
乙第24号証は、過去データから為替に関する情報を検索した全480件中、2002年(平成14年)12月2日及び3日の情報一覧画面の写しである。
乙第25号証は、乙第24号証中の「2002/12/02 9:09:55」の「ドル続伸」の項目に関する全文の画面の写しである。
乙第26号証は、乙第24号証と同様で、2003年(平成15年)5月29日及び30日の情報一覧画面の写しである。
乙第27号証は、前号証中の「2003/05/30 12:22:54」の「ドル反落、118円台前半」の項目に関する全文の画面の写しである。
乙第28号証は、乙第24号証と同様、2004年(平成16年)1月5日及び6日の情報一覧画面の写しである。
乙第29号証は、前号証中の「2004/01/06 22:53:57」の「円、106円台前半」の項目に関する全文の画面の写しである。
乙第30号証も、乙第24号証と同様、2004年(平成16年)6月4日ないし7日の情報一覧画面の写しである。
乙第31号証は、前号証中の「2004/06/05 6:20:56」の「円、111円台前半」の項目に関する全文の画面の写しである。
乙第32号証ないし乙第41号証は、「主要市場の為替ドル直物相場」に関する情報で、取引日の前日及び前々日の始値、終値、ドル高値及びドル安値を示したものである。これは、被請求人が過去データのハードコピーを蓄積・保管していた中から抽出したもので、乙第32号証ないし乙第36号証が2002年(平成14年)11月5日ないし9日の出力分で、乙第37号証ないし乙第41号証が2003年(平成15年)10月21日ないし25日の出力分の写しである。ユーザー、すなわち本件役務の提供を受ける者が当該情報をプリンタで出力した場合には、これらと全く同じ状態のハードコピーが出力されるが、その右上に、被請求人を示す「時事通信」の文字と「J-COM」の英字が明瞭に印字されている。
(2)本件商標の使用事実
(ア)以上の各証拠から明らかなとおり、被請求人は、1989年(平成元年)に、本件商標「J-COM」を使用したサービス(役務の提供)を開始しており、それは2002年(平成14年)に「新J-COM(商品情報システム)」としてリニューアルされ、現在に至っている(乙第1号証)。
被請求人は、ホームページ(乙第2号証)、リーフレット(乙第3号証)及び営業用資料「J-COMのご案内」(乙第4号証)に本件商標と社会通念上同一性を有する商標を付しており、これは商標法第2条第3項第8号の広告宣伝的使用態様に該当する。なお、これらは遅くとも「新J-COM」が提供された平成14年度以降、継続して提供され、あるいは頒布されている。
被請求人が本件商標を使用して提供する役務は、「電子メディアによる商品情報」及び「商品情報システム」(乙第1号証)であり、それは「商品先物取引相場や関連ニュースを専用回線を使ってリアルタイムに伝え」る「商品取引情報サービス」(乙第2号証)である。この役務は、「国内取引所の市場情報がリアルタイムで配信され」、また、「シカゴなど海外の主要取引所の相場情報なども網羅」しており、さらに、「内外の商品、為替・金融などの多岐にわたる関連ニュースを速報するとともに、経済指標や生産・消費動向を裏付ける統計情報、分析チャートや過去データも完備」して、各種情報を提供する(乙第3号証)。そして、この役務により提供される情報の中には、「為替/金利/株式などの主要指標データ」が含まれている(乙第4号証)。
ここで、被請求人が「商品情報」(乙第1号証)と表現しているのは、商標法上の商品のことではなく、世間一般によくいわれる、いわゆる「金融商品」のことを広く意味している。また、被請求人が提供する役務は、「商品先物取引相場」が主であるが(乙第2号証ないし乙第4号証)、後述の説明からも明らかなとおり、この「商品先物取引」は、商品及び役務の区分第36類中の「商品市場における先物取引の受託」における「先物取引」のほか、「金融先物取引の受託」における「先物取引」をも含む広い概念である。
さらに、提供される情報中には、「為替/金利/株式などの主要指標データ」も含まれている(乙第4号証)。
(イ)以下、現実に提供される情報の内容を端末画面の出力の写し(乙第5号証ないし乙第31号証)により説明する。なお、これらは、本件審判請求の予告登録後の平成16年8月30日における端末画面の写しであるが、このようなデータや、それを提供するプログラムその他を短期間に構成し提供することは、社会通念上・日常経験則上不可能であるから、このような画面を用いてなされる情報の提供が当該予告登録の日前から行われてきたと考えるのが極めて自然と認められる。
本件役務の提供を受けるに当たり、役務の提供を受ける者、すなわちユーザーは、簡易操作マニュアルを参照することができるが、当該画面の左上には、本件商標が表示されている(乙第5号証)。
次に、ユーザーは、メニュー・サブメニューから、自己の必要とする情報を入手することができるが、メニュー画面には、「外国為替」のほか、「金利」及び「債券」等の項目があり、「外国為替」を選択した際に表示されるサブメニューには、「為替直物取引」及び「通貨先物」のほか、各国通貨や各為替市場、「為替市況」等の項目があり(乙第6号証)、これらは、広義では「金融に関する情報の提供」と認められるが、狭義では「為替市況に関する情報の提供」に該当する。
ユーザーは、サブメニューで「為替直物取引」を選択すると、「主要通貨22取引直物一覧」、「東京外為市況」及び「ヒストリカル(分析)チャート」等の情報を得ることができる(乙第7号証ないし乙第11号証)。これは、正に「為替市況に関する情報の提供」である。
また、「東京金先物相場」を選択すると、「東京金先物相場」の一覧や「東京貴金属市況」及び「ヒストリカルチャート」等の情報を入手できる(乙第12号証ないし乙第16号証)。これは、「商品市場における先物取引の受託」に関連し、「商品先物取引市況に関する情報の提供」に該当する。
さらに、メニュー中の「金利」の項目から「金利先物」を選択すると、例えば、「シカゴIMM先物相場」や「シカゴ金利先物市況」等の情報を入手できる(乙第17号証ないし乙第20号証)。これは「『金融先物取引の受託』に関連する情報の提供」、すなわち「金融先物取引市況に関する情報の提供」であり、いわゆる金融サービスに属するから、「為替市況に関する情報の提供」に類似する役務と認められる。
さらにまた、ユーザーは、「主要指標一覧」(乙第21号証)や「東京市場サマリー」(乙第22号証及び乙第23号証)等の情報の提供を受けることができるが、これは為替・金利や「東京外為」、「東京債券」及び「短期金融市場」等の情報を含んでおり、これは「為替市況に関する情報の提供」に類似する役務である。
上述の各役務は、2002年(平成14年)12月3日において(乙第24号証及び乙第25号証)、また、2003年(平成15年)5月30日において(乙第26号証及び乙第27号証)、さらに、2004年(平成16年)1月6日において(乙第28号証及び乙第29号証)、そして、2004年(平成16年)6月5日において(乙第30号証及び乙第31号証)、各々提供されていたことが明らかである。したがって、上述の各役務は、この間から現在に至るまで継続して提供されていたことが明らかである。
(ウ)上述の各役務の提供に関して、ユーザーが自己のプリンタで出力するハードコピーには、本件商標と社会通念上同一の商標が表示される。例えば、「主要市場の為替ドル直物相場」のハードコピーには、被請求人を示す「時事通信」の文字と本件商標が明瞭に印字されている(乙第32号証ないし乙第41号証)。
なお、これらの役務の提供が2002年(平成14年)11月(乙第32号証ないし乙第36号証)と2003年(平成15年)10月(乙第37号証ないし乙第41号証)に、各々提供されていたことも明らかである。
(3)結論
以上、本件商標は、商標権者により、請求に係る指定役務について、本件審判の請求の予告登録前3年以内に日本国内において、使用されているからその登録は取り消されるべきものでない。

4 当審の判断
被請求人提出の乙第1号証(会社案内2004)及び乙第4号証(「J-COMのご案内」と題された営業用資料)によれば、被請求人の提供する役務は、「電子メディアによるJ-COM(商品情報システム)の提供」であって、その役務により提供される情報の中には、「為替/金利/株式などの主要指標データ」(乙第4号証の6枚目)等が含まれており、それらに関する情報の提供(以下「使用役務」という。)に際しては、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを認めることができる。
ちなみに前記乙第1号証の会社案内には、会社案内の文字とともに2004の文字が表示されており、さらに、前記乙第4号証の営業用資料の13枚目には、【端末スペック表】(2003年6月現在)の文字が表示されていることから、いずれも本件審判請求の登録前3年以内に作成されたものと認めることができる。また、それらからうかがえる被請求人の使用役務は、当該役務の内容、用途等からみて、「為替市況に関する情報の提供」等というのが相当である。
乙第5号証は、被請求人が出力した2004年5月付けの「J-COM 簡易操作マニュアル」の画面であって、その左上に「J-COM」の文字が表示されていることが認められる。そして、被請求人から上記役務の提供を受ける者は、当該簡易操作マニュアルを参照することができるものである。
乙第6号証は、メニュー画面のメニューの中から、「外国為替」を選択した際に表示されるサブメニューを併せて表示した画面であり、そこに見られる「外国為替」のサブメニュー中には、「為替直物取引」、「通貨先物」等のほか、各国毎の通貨や地域単位の通貨に関する項目のみならず、各為替市場、「為替市況」等の項目が存在していることを認めることができる。
また、乙第7号証ないし乙第11号証によれば、「外国為替」のサブメニューにより「為替直物取引」を選択すると、「主要通貨22取引直物一覧」、「東京外為市況」及び「ヒストリカル(分析)チャート」等に関する情報を得ることができ、また、乙第24号証ないし乙第31号証によれば、2002年12月2日ないし2004年6月7日の時点における為替情報等に関する役務が提供されていたことを認めることができる。
乙第32号証ないし乙第41号証の過去データのハードコピーによれば、それらの情報は、2002年11月5日ないし9日及び2003年10月21日ないし24日の時点における「主要市場の為替ドル直物相場」に関する情報であることがわかり、そのハードコピーには、被請求人を示す「時事通信」の文字と「J-COM」の文字が印字されていることが認められる。
以上のとおり、被請求人提出の証拠を総合勘案すれば、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務について継続して使用していたものと認められる。
なお、請求人は、「被請求人の提供する主たる役務が『商品先物取引の相場に関する情報の提供』であり、『為替市況に関する情報の提供』等は、前記主たる役務の提供に付随して行われる行為にとどまる。」旨主張しているが、前記のとおり、被請求人の使用役務は、「為替市況に関する情報の提供」と見るのが相当であるから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標



審理終結日 2005-07-07 
結審通知日 2005-07-12 
審決日 2005-07-25 
出願番号 商願平8-49021 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (036)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 恵美 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 鈴木 新五
柳原 雪身
登録日 1998-08-07 
登録番号 商標登録第4174269号(T4174269) 
商標の称呼 ジェイコム 
代理人 中田 和博 
代理人 足立 泉 
代理人 青木 博通 
代理人 松田 治躬 
代理人 松田 雅章 
代理人 近藤 史代 
代理人 柳生 征男 

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