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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服200225216 審決 商標
審判199817893 審決 商標
不服20035262 審決 商標
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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z25
管理番号 1123163 
審判番号 不服2000-1417 
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-02-07 
確定日 2005-08-04 
事件の表示 平成10年商標登録願第38832号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成10年5月12日に立体商標として登録出願、その後、指定商品については、原審における同11年2月12日付け手続補正書により、第25類「運動靴」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、補正後の指定商品『運動靴』の形状の一形態を認識させる立体的形状よりなるものであるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、赤い縁取りと赤と紺のラインで装飾されているものの、一見して指定商品「運動靴」の形状の一形態を表したものと認識されるものであるから、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の形状そのものを表示したものと理解するにとどまり、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(3)出願人(請求人)(以下「出願人」という。)は、審判請求の理由において、本願商標は、指定商品「運動靴」の機能を有する形状に加え、1.ヒールパッドを急勾配の山形カーブ状とし、2.ツバメが飛んでいるようにカットしたトゥ部と逆T字状にカットしたヒール部のレザーパッドにダブルステッチを施し、3.甲の両サイドに鋭角的で斜めで直線的にあしらった2本ずつのラインを顕著に表したという、3つの特徴部分を有するものであるから、この部分をもって自他商品識別機能が働くものである旨主張し、その特徴部分がみられない商品の例として甲第2号証の1及び2を提出している。
しかしながら、商品「運動靴」は、その性質上、機能性とファッション性が求められることから、本願商標の指定商品を取り扱う業界においては、足を保護するという本質的な機能を有する形状に加え、履き心地や体への負担を考慮してソールの形状に工夫を施したり、耐久性や美感を高めるためにラインやステッチを施す等、これらの機能を兼ね備えた様々な特徴が商品の形状に採択されることは普通に行われていることであり、出願人が提出した甲第2号証の1及び2に表された各種運動靴においても、商品の機能又は美感をより発揮させるための、様々な特徴を持ったデザインが施されていることが認められるものである。
そうすると、本願商標が有する特徴部分は、甲第2号証の1及び2に表された運動靴と同様に、商品の機能又は美感をより発揮させるために施されたものというべきであるから、前記認定のとおり、本願商標は、その指定商品「運動靴」の形状の一形態を表したものと認識されるものである以上、自他商品の識別標識としての機能を果たさないというのが相当である。
また、出願人は、本願商標と同様の特徴を有する商標が、Patrick License S.A.を権利者とし、第25類「スポーツシューズ」を指定商品として国際登録され、世界6ヶ国で現に有効に存続しているから、日本においても登録されるべきである旨主張し、甲第11号証を提出している。
しかしながら、出願に係る商標(国際商標登録に係る商標を含む)が登録要件を具備しているか否かについては、当該出願に係る国の法令及びその国の商品取引の実情等に照らして判断がなされるべきものであり、諸外国の登録制度とわが国のそれとが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められないから、諸外国における登録例をもって、本願商標が直ちにわが国で登録されるべきとする根拠とはなり得ないばかりでなく、出願人が提出した甲第11号証(国際商標登録第442685号の登録原簿)によると、当該商標は平面商標であるから、本願商標の我が国における立体商標としての登録の可否についての判断に影響を与えるものではなく、この点に関する出願人の主張は採用できない。
(4)出願人は、本願商標は、これを使用した商品「運動靴」を、「パトリック(PATRICK)」の愛称のもとに取引者及び需要者に広く知れ渡るように努力を重ねた結果、遅くとも1997年3月頃には出願人の製品を表すものとして周知、著名なものとなっていたから、商標法第3条第2項に該当するものである旨主張して、甲第3号証ないし甲第10号証及び甲第12号証ないし甲第20号証(枝番を含む。以下同じ。)を提出している。
ところで、商品等の形状に係る立体商標が、商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるためには、使用に係る商標及び商品等、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品等の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり、その場合に、使用に係る商標及び商品等は、原則として、出願に係る商標及び商品等と同一であることを要するものと解される。
そこで、本願についてみると、出願人が提出した甲第5号証及び甲第10号証によれば、商標「パトリック(PATRICK)」を付した商品「運動靴」には、数種のラインナップがあり、さらにその下位にも数種のアイテム別に、明らかに本願商標と相違する様々な形状の商品が存在することが認められ、甲第6号証によれば、各店舗においてもそれら様々な形状の商品を取り扱っていることが認められる。
甲第3号証及び甲第17号証ないし甲第20号証によれば、商標「パトリック(PATRICK)」を付した商品「運動靴」が、各種雑誌に掲載されていること、甲第5号証によれば、日本の主要都市において同商品の発表注文会が開催されていることが認められる。
甲第4号証及び甲第15号証によれば、商標「パトリック(PATRICK)」を付した商品(サッカーシューズ、カジュアルシューズ等)別の1987年1月から1997年3月までの販売数量、並びに、商品名を「MARATHON WHT」及び「ハーレム レザー」とする商品の1998年度及び2000年度の販売実績が認められ、甲第13号証によれば、本願商標とその包装容器の形状が認められる。
甲第16号証によれば、2000年(平成12年)8月15日発行の「シューズポスト」(発行所:株式会社ポスティコーポレーション)の記事中、「類似品の横行は企画力の低下か」の見出しのもと、「…今年に入り、…ブランド商品の偽造品や模倣品の横行が非常に目立つ。特に目につくのが…パトリック(ブロンクス、マラソン等)の模倣品だ。…」との記述が認められる。
しかしながら、前記甲各号証のうち、実質的に本願商標についての記述が認められるものは全体のほんの一部にすぎず、そのほとんどが、甲第5号証及び甲第10号証に認められるとおりの種々の形状の運動靴について、商標「パトリック(PATRICK)」を使用しているとするものであって、これら甲各号証を総合考慮しても、本願商標の使用による識別性について立証し得たものとはいえない。
さらに、出願人は、同業者及びこれに関連する業者による証明書として甲第7号証ないし甲第9号証を提出している。
しかしながら、これら証明書は、本願商標と同一の態様の商品について証明したものではあるものの、あらかじめ用意され定型化された依頼文書に事業者が記名、捺印して作成されたもので、証明者がいかなる事実に基づき証明しているのかが不明であるばかりでなく、各証明者は、同業者とはいえ出願人と取引関係にある者等、出願人と何らかの関係を有する者であると推測され、利害の対立する同業他社や公的機関の証明もないことから、これら証明書の客観性は直ちに認め難く、証拠力に乏しいものであるといわざるを得ない。
以上のとおり、出願人が提出した証拠をもってしては、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできないから、本願商標は、商標法第3条第2項に該当するものとはいえない。
(5)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本願商標









(色彩については原本を参照されたい。)


審理終結日 2005-06-03 
結審通知日 2005-06-07 
審決日 2005-06-21 
出願番号 商願平10-38832 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 烈 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 和田 恵美
三澤 惠美子
代理人 酒井 一 

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