• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z2425
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z2425
管理番号 1123056 
審判番号 不服2001-15162 
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-08-28 
確定日 2005-08-18 
事件の表示 商願2000-100908拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「クールタイプ」の片仮名文字と「COOL TYPE」の欧文字を上下二段に表してなり、指定商品を第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳,シャワーカーテン,紅白幕,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」として、平成12年9月14日に登録出願されたものである。

2 拒絶の理由
原査定は「本願商標は、指定商品との関係において、『クール』の文字が『涼しくさわやかなさま』の意に通じる外来語として、『COOL』の文字が『涼しい』を意味する英語として、また、『タイプ』の文字及び『TYPE』の文字が『型、式』を意味する外来語又は英単語として一般に親しまれているものであって、織物や寝具用品、被服等を取り扱う業界において、暑い夏を涼しく過ごすために綿、絹等の素材やそうしたもの等を用いた商品が多数販売されていることからすれば、本願商標をその指定商品中の『涼しい型の商品(例えば、綿織物類、綿毛布、夏掛け布団、麻製スーツ、開きんシャツ等)』に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、その商品が『涼しい型のものであること』の意を表示したものと理解するに止まり、単に商品の品質、効能を表示するすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、その商品が恰も『涼しい型のもの』であるかの如く、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当する。」として、本願商標の登録出願を拒絶するとの理由を示し、この拒絶理由に対する出願人の意見によってもなお、さきの認定を覆すことはできない旨認定、判断して、本願商標の登録出願を拒絶したものである。

3 審判請求の理由
請求人は、その請求の理由として「確かに『COOL』『クール』に『冷たい』『涼しい』の意味が存在することは事実であるが、この文字が『TYPE』または『タイプ』と結合した状態でファッション業界において普通に使用されている事実はない。請求人提出に係る同文書院発行『服飾辞典』(第1号証)、文化出版局発行『服飾辞典』(第2号証)、文化出版局発行『ファッション辞典』(第3号証)及びチャネラー発行『新ファッションビジネス基礎用語辞典』(第4号証)を見ても『COOLTYPE』『クールタイプ』の語を発見することはできない。この事実は、何故かというと、『COOL』に『TYPE』を接続しても繊維製品の業界では、一体何を表現しようとするのかを漠然としているからである。強いて考えられることは、穴のあいたシャツ、ノースリーブのシャツ、キャミソール、白色の麻製のシャツ、又は紗の布、クレープの織物であるが、一般にこのような製品は『クールタイプ』と称されてはいない。ただ、何となく涼しそうなイメージを与えるだけであって、商標としてはイメージを間接的に表示しているだけである。商標を観ただけで、いかにも暑苦しい印象を与えるものは、黒色に塗りつぶしたもの、燃えあがる火、火山爆発の情景などであるが、需要者が受ける印象はあくまでも漠然としたイメージである。これとは反対に、氷山の図形、南極のペンギンの図形は涼しい印象を与えるが、そうであるからといって、氷山や南極のペンギンが商品の品質を表示するということはできない。これらの商標は何となく涼しそうな印象を間接的に与えているにすぎない。本願商標の『COOLTYPE』『クールタイプ』を商標として使用しても氷山やペンギンと同様の印象を与えるのであって、商品の識別標識としての力を生じているのである。」旨述べて、本願商標の登録を求めた。

4 当審の判断
(1) 本願商標は、上記のとおり「クールタイプ」と「COOL TYPE」の構成文字よりなるところ、構成前半部の「クール」及び「COOL」の文字(語)が「涼しい」の意味を、また、同後半部の「タイプ」及び「TYPE」の文字(語)が「型、種類」の意味をそれぞれ有するものであり、これらは外来語ないしは英単語としてよく知られ、かつ日常的に用いられる平易な語といえるものである。そして、これら各語を結合したものと容易に理解される本願商標からは「涼しい型」又は「涼しい種類」程の意味合いを看取するにすぎないというべきであって、これ以上に各語を組み合わすことによりそれぞれの有する意味を越えて別異な観念が生じるというような格別の事由は見出せない。
(2)ところで、「クールタイプ」の語は、目薬、冷感シップ剤、洗顔クリームや頭髪化粧品等に多数使用されているばかりでなく、「クール」及び「クールタイプ」の語が本願の指定商品分野においても、素材のもつ機能の一として涼しさを強調する商品、或いは白や紺系等の色彩を基調とする商品が、新聞報道記事、或いはインターネツト上で各種企業が自社の製品等を紹介しているホームページ情報において、例えば次のような記事又は掲載情報を見出すことができる。
(a)「アウトバーン『EGスミス』秋冬からメンズライン、クール系カジュアル」の見出しの下「・・・布帛とニットのトップを中心にクール系カジュアルを基本にした『きれい目カジュアルウエア』。初年度売り上げは三億円(小売りベース)、先行するレディスを含め六億円以上を計画する。EGスミスのメンズラインは、ヤングを対象にしたシャツ、ニット・カットソー、コートを含むアウターとトップ。シャツはベロア、スエード、ピーチ起毛などウオーム感のあるものや無地のドビー織りで凹凸感のある素材を使う。・・・」の報道記事(1998.08.03繊研新聞)。
(b)「テキスタイル産地 東京展で情報発信、流通パイプ作り」の見出しの下「・・・このほか新商品開発コーナーでは、ブルー系のクールカラーと茶、緑などのアースカラーに分け、涼しさや軽さを感じさせる素材や、表面に凹凸感のある素材が展示され、来場者の目を引いた。・・・」の報道記事(1999.02.22繊研新聞)。
(c)「[ハーブティーを飲みながら]まくらを変えてぐっすり 業界全体で200種以上」の見出しの下「・・・夏向けには、頭のあたる部分に蓄冷剤を埋め込み、体温より五―九度も低めを保つクールタイプ。大理石や川の石、ヒノキなど木のチップをはさんだエコロジータイプ・・・」の報道記事(1993.08.16読売新聞大阪夕刊)。
(d)「新素材最前線/軌道に乗る用途開発(10)セラミックス繊維―涼しく、紫外線カット」の見出しの下「・・・一方、東レは、ポリエステル長繊維に太陽光反射性セラミックス微粒子を練り込んだクール繊維『アロフト」を出している。・・・」の報道記事(1991.04.23日刊工業新聞)。
(e)「91年春夏の素材 軽くて涼しいクールウール 色はのどかなブルー系中心」の見出しの下「91年春夏の素材は、クールウールが中心。色はニューブルー、それにさまざまな花の色--IWS(国際羊毛事務局)のロンドン本部は、新しいウールの傾向をこう予測している。根拠は、素材の見本市として名高いパリの『プルミエール・ヴィジョン』を筆頭にフランクフルトの『インターストッフ』、東京の『マテリアル9』に出品された素材の分析結果。・・・」の報道記事(1990.05.15読売新聞東京朝刊)。
(f)「2004年3月24日/〜トリンプの京都限定ご当地ショーツ第6弾〜」の見出しの下「・・・ショーツは全部で4種類。それぞれ愛らしい雰囲気のフェミニンタイプと粋なクールタイプから選べます。・・・クールタイプには、バック部分に3つの"桜"モチーフがついたタイプと・・・」の掲載情報(http://www.triumphjapan.com/triumph/release/040324_main.html)。
(g)「ASICS:XTR306/ソフトタッチランニングスリーブレスシャツ」の見出しの下「■素材名:ベンベルグRクールタイプ」の掲載情報(http://www.asics.co.jp/products/running/XTR306.html)。
(h)「季 節 作 業 服/ 靴 下 / 腰 用 ベ ル ト / 耳 栓/」の見出しの下「■腰 用 ベ ル ト/・・・604920 0004:ラクールガードV クールタイプ 軽くて強いアミステーと、広幅の二重補助ベルトが腰部を・・・」の掲載情報(http://www.maru-t.co.jp/yellow/name/pdf/s248.pdf)。
(i)「HatandCap:帽子100年」の見出しの下「・・・ フォルムの特徴は、1930年代のモードを現代風にアレンジしたもので、型もホットタイプ (レジャーを中心に街着の帽子にまで発展させる)とクールタイプ(タウンからアフタヌーンまで利用)に分けられ原型からバリエーションまで、64点発表された。(昭和43年)・・・」の掲載情報( http://www.hatandcap.or.jp/hundred_pages/japan_pages/museum04.html)。
(j)「冷える帽子/coolbit」の見出しの下「・・・Wメッシュクールタイプ/税込み価格 3500円/Wメッシュクールタイプ 色はネイビー、ゴールドも/帽体は風邪が通り、後頭部のカバーを水に浸して軽く絞って着用、涼しさ爽快!・・・」の掲載情報(http://www1.neweb.ne.jp/wa/kobaya/coolbit.html)。
してみると、「クールタイプ」の文字(語)は、「涼しいタイプ(型又は種類)」程の意味合いで、新聞報道記事、或いはインターネツト情報において普通に使用されている状況が窺われるものである。
(3)以上のとおり、「クールタイプ」と「COOL TYPE」の文字よりなる本願商標は、その指定商品中、素材のもつ機能の一として涼しさを強調する商品、或いはクール系の色彩を基調とする商品について使用しても、単に、商品の機能、或いは色彩、すなわち商品の品質を端的に表現したもの理解するにとどまり、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわなければならない。
そして、本願の指定商品中、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け」及び第25類「被服,運動用特殊衣服」には、涼しさを機能とする商品、或いはクール系の色彩によりなる商品が存すること、或いは現にその使用がないとしても、これら指定商品はその機能性或いは色彩により当該商品の品質を表示したものと理解するものが含まれるとみて差し支えないといえる。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわざるを得ない。
また、本願商標を素材のもつ機能の一として涼しさを強調する商品、或いはクール系の色彩を基調とする商品以外の第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け」及び第25類「被服,運動用特殊衣服」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するものというべきである。
したがって、これと同趣旨をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消す理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-06-20 
結審通知日 2005-06-20 
審決日 2005-07-05 
出願番号 商願2000-100908(T2000-100908) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Z2425)
T 1 8・ 13- Z (Z2425)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 高野 義三
大橋 信彦
商標の称呼 クールタイプ 
代理人 小谷 悦司 
代理人 川瀬 幹夫 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ