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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200225215 審決 商標
不服200322975 審決 商標
不服20035262 審決 商標
不服2003853 審決 商標
不服200225216 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない Y16
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y16
管理番号 1122985 
審判番号 不服2003-11222 
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-18 
確定日 2005-08-15 
事件の表示 商願2002- 55753拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
商標登録願2002年第55753号商標(以下、「本願商標」といい、必要に応じて「四角図形」ともいう。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第16類「アルバム,ファイル,クリアファイル,バインダ,ホルダ,カードホルダ,ルーズリーフ用紙,その他の文房具類」を指定商品として、平成14年7月4日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、黒い肉太の線で縁取りされた正方形の内部を青色で塗りつぶした図形よりなるものであり、外形上、ありふれた四角形の図形よりなるにすぎないものであるから、これは極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。なお、出願人は、本願商標は商標法第3条第2項に該当する旨主張するが、提出に係る東京商工会議所の周知証明書をもってしては、東京以外の地域の使用の証明がなされておらず、本願商標の図形のみが単独で使用されている資料も見あたらない。また、本願の指定商品は『ファイル,その他の文房具類』であるのに対して、提出された資料によれば『ファイル』以外の商品についての使用事実は発見出来ず、又これとても取引の時期・地域・数量等も明らかにされていないものであるから、提出された資料によっては、本願商標が商標法第3条第2項に該当するに至っているものと認めることができない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲のとおり、黒い肉太の線で縁取りされた正方形の内部を青色で塗りつぶした図形よりなるものであるから、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ない。
この点について、請求人は、このような濃黒色の正方形枠図形は縁起の悪い黒縁額を連想させる感もあることから、一見して一般には忌み嫌われるものと考えられる図形が含まれており、現実に使用する者がいないばかりか、将来的にも一般的な使用が想定されるものとはいい得ないものであって、「ありふれた」とは到底いえないものである旨主張している。
しかしながら、例えば、黒色の正方形枠図形の内部が白色で表され、黒色の正方形枠図形のみが一際目立つ構成であるならば、縁起の悪い黒縁額を想起させる場合があるとしても、本願商標は、正方形枠図形の内部は青色で塗りつぶされているものであって、これが縁起の悪さを感じさせるものとはいえず、単に、彩色された正方形の周囲をやゝ太めの黒線をもって縁取ったにすぎないものであり、格別、特異な構成からなるものとも認められないから、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標というべきであり、商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものといわなければならない。
(2)また、請求人は、本願商標は商標法第3条第2項の規定により登録されるべきである旨主張し、証拠方法として甲第15号証の1ないし同第59号証の2を提出している。
そこで、提出された各甲号証についてみるに、甲第15号証の1ないし10は、いずれも昭和63年10月から12月にかけての顧客等による証明書であるが、定型文による通り一遍の供述であって、証明者がいかなる根拠に基づいて該図形の識別性・周知性に言及しているか明らかでない。
甲第16号証は、(社)発明協会東京支部の支部長による平成11年8月3日付「確認書」であり、該法人が昭和44年から請求人である株式会社キングジムのファイルを年間100個発注していたことを認めることができる。しかしながら、「株式会社キングジムのシンボルマークである四角図形が付された・・・」との記述箇所は、依頼者からの要請に基づく文言でないとしても、単に、確認者の認識を表明したにとどまるものであって、四角図形が識別力を備えるに至ったことを証明するものではない。
甲第17号証は昭和40年3月29日付の「グッドデザイン選定証」、甲第18号証は昭和41年9月21日付の「グッドデザイン選定証」、甲第19号証は「DesignNews79-80(1977年)Gマーク20周年特集号」、甲第20号証は日本産業デザイン振興会の「昭和55年度Gマーク商品集」、甲第21号証は「DesignNews168-169(1985年)」、甲第22号証は(財)日本産業デザイン振興会の「昭和61年度通産省選定グッドデザイン商品」、甲第23号証は同じく「昭和62年度通産省選定グッドデザイン商品」、甲第24号証は「DesignNews187-188(1987年)特集GOOD DESIGN 1986.Gマークの30年」である。これらによれば、請求人のファイルは、その機能性、デザインの良さが評価され、各種のグッドデザイン賞を獲得している事実は認められるが、そのことが直ちに、ファイルの背表紙上部に表されている四角図形に識別力が備わっていることを証明することにはならない。むしろ、例えば、甲第19号証のデザイン上のポイントの項には、「白い大きな背見出しに赤黄緑青4色の単純明快な正方形のパターンで斬新さを出し、色別分類使用できるようにした」と記載されているように、ファイルの背表紙上部に表されている赤黄緑青の4色の四角図形は、もともと、ファイルの機能性を向上させるために付されたものと理解されるところであり、需要者もこの4色の四角図形をファイルを使用する際の分類・整理のためのものとして認識しているにすぎないとみるのが相当である。
甲第25号証は1991年1月から1999年6月までの広告掲載リストであり、甲第26号証は2000年7月から2002年6月までの広告掲載リストであり、甲第27号証から甲第45号証までは、日経ビジネス、週刊文春、週刊朝日、週刊ポスト、週刊東洋経済、日本経済新聞等々における掲載広告である。これらの掲載広告によれば、請求人は永年にわたって、ファイル等の宣伝広告をしてきたことを認めることができる。しかしながら、これらの掲載広告には、四角図形と「KING JIM」の構成からなる商標は認められるが、該四角図形のみが商標的に使用されている箇所は見当たらない(ファイルの背表紙上部には、四角図形が独立して大きく表されているが、上記したとおり、一般的には、該図形部分は、ファイルを使用する際の分類・整理のためのものとして理解・認識されているものとみるのが相当である。)。
甲第46号証は1990年から1999年におけるテレビコマーシャルの放映リストであり、甲第47号証はテレビコマーシャルの画像データである。これらによれば、請求人は、相当数のテレビコマーシャルを放映してきたことは認められるとしても、甲第47号証の画像データをみれば、いずれも、ラベルワープロ「テプラ」(文房具類の概念に属する商品も含まれているか否かは別にしても)の宣伝広告と認められるものであり、表示されている標章は、「テプラ/TEPRA」の商標及び四角図形と「KING JIM」の表示であり、該四角図形のみが商標的に使用されている箇所は見当たらない。
甲第48号証は請求人のビル看板を撮影した写真であり、甲第49号証は請求人の営業車を撮影した写真であり、甲第50号証は請求人の2003年の総合カタログであり、甲第51号証は請求人のホームページであり、甲第52号証は請求人のファイルが全面に描かれているラッピングバスを紹介するホームページである。いずれも、上記と同様、該四角図形のみが商標的に使用されている箇所は見当たらない。
甲第53号証は、平成12年1月5日付の東京商工会議所発行の周知証明書であり、四角図形が「ファイル、ラベルワープロ」について、平成2年8月から現在に至るまで継続して使用され、取引者及び需要者間において広く認識されている旨記載されているが、証明者がいかなる根拠に基づいて該四角図形の周知性に言及しているか明らかでない。
甲第54号証は「1998年版文具・事務用品マーケティング総覧」であり、メーカー別シェアにおいて、請求人は、ファイルについてもラベルワープロについてもトップの座を占めていることが記載されており、甲第55号証は日本ファイル・バインダー協会発行の平成9年10月付の「FBA ファイルとバインダーのしおり」であって、各種ファイルやバインダー等の請求人を含めた業界の動向が記載されているが、いずれも、そのことにより、四角図形が識別力を備えるに至ったことを証明するものではない。
甲第56号証は、株式会社キングジム発行の「NewsRelease(1999年3月)」であり、新製品の発売を紹介する記事であって、四角図形と「KING JIM」の構成からなる標章が表示されていることは認められるが四角図形のみが商標的に使用されているものではない。
甲第57号証は大韓民国における登録証であり、甲第58号証はシンガポール国における商標登録出願の公報であり、甲第59号証の1及び2は英国における審査経緯を示す代理人からの書簡である。これらによれば、いくつかの国においては、本願商標と同一の構成からなる四角図形が登録されている事実は認められるとしても、商標の識別性の判断基準は、必ずしも各国共通のものではないから、上記のような事例があるからといって、本願商標の我が国における識別性の判断に影響を与えるものではない。
(3)以上の甲号証によれば、ファイルの背表紙上部に大きく表されている四角図形部分については、ファイルを使用する際の分類・整理のためのものとして認識されることはあっても、これをもって、商品の識別標識として認識されることはないものというべきであり、また、ファイルの背表紙下部に表示されている四角図形と「KING JIM」の構成からなる標章及びフ
ァイル以外の箇所に表示されている四角図形と「KING JIM」の構成からなる標章については、これに接する取引者・需要者は、認識し易く、かつ、称呼し易い「KING JIM」の文字部分に強く注意を惹かれ、該文字部分を識別標識として認識し、その左側等に表されている四角図形については、「KING JIM」の商標に付加された装飾的な図形として認識するにとどまるものとみるのが相当である。
そして、提出された各甲号証によっては、本願商標が使用された結果、請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものとは認めることができず、その他、本願商標が使用された結果、自他商品の識別力を有するに至っていることを認めるに足る証拠はない。
(4)しかも、商標法第3条第2項により商標登録を受けることができるのは、同項所定の要件を充足するに至った特定の商品を指定商品とする場合に限られるのであり、指定商品中の一部に、登録を受けることができないものがあれば、その出願は全体として登録を受けることができないことは、例えば、昭和58年(行ケ)第156号判決、平成2年(行ケ)第103号判決においても判示されているとおりである。
しかして、本願の指定商品は、上記1のとおり、第16類「アルバム,ファイル,クリアファイル,バインダ,ホルダ,カードホルダ,ルーズリーフ用紙,その他の文房具類」であって、ファイル以外にも広範な商品を含むものであり、これら全ての商品について本願商標が使用されているものとは到底認めることができないし、請求人もその使用の事実について何ら立証していないから、この点においても、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を満たしているということはできない。
してみれば、本願商標をその指定商品について使用した結果、商標法第3条第2項所定の要件を具備するに至ったとする請求人の主張は採用することができない。
(5)したがって、本願商標について、商標法第3条第1項第5号に該当し、同条第2項に該当するものともなっていないとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別掲】本願商標

(色彩は原本参照)

審理終結日 2005-06-23 
結審通知日 2005-06-24 
審決日 2005-07-05 
出願番号 商願2002-55753(T2002-55753) 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (Y16)
T 1 8・ 17- Z (Y16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野上 サトル 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
山本 良廣
代理人 浜田 治雄 

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