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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y30
審判 全部申立て  登録を維持 Y30
管理番号 1121809 
異議申立番号 異議2004-90274 
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2005-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-05-17 
確定日 2005-07-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第4746951号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4746951号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第4746951号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおり、「タカラオー」及び「TAKARAOO」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成14年6月24日に登録出願され、第30類「穀物の加工品」を指定商品として平成15年12月25日登録査定、同16年2月13日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法4条1項11号及び同15号に違反してされたものであり、本件商標の登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第20号証を提出した。
1 本件商標は、商標法4条1項11号に該当する
本件商標は、
(1)昭和58年3月3日に登録出願され、「宝」の文字を書してなり、第32類(平成3年9月25日平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令第1条に基づく商品の区分)に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成3年6月28日に設定登録され、同13年8月21日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その後、同16年5月26日に、第29類、第30類、第31類及び第32類(平成13年8月8日平成13年政令第265号をもって改正された商標法施行令第1条に基づく商品及び役務の区分)に属する商標登録原簿に記載のとおりの指定商品に書換登録された登録第2312832号商標、
(2)昭和58年3月3日に登録出願され、「タカラ」の片仮名文字を横書きしてなり、第32類(平成3年9月25日平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令第1条に基づく商品の区分)に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成3年6月28日に設定登録され、同13年8月21日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その後、同16年5月26日に、第29類、第30類、第31類及び第32類(平成13年8月8日平成13年政令第265号をもって改正された商標法施行令第1条に基づく商品及び役務の区分)に属する商標登録原簿に記載のとおりの指定商品に書換登録された登録第2312833号商標、
(3)昭和58年3月3日に登録出願され、「TAKARA」の欧文字を横書きしてなり、第32類(平成3年9月25日平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令第1条に基づく商品の区分)に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成3年6月28日に設定登録され、同13年8月21日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その後、同16年5月26日に、第29類、第30類、第31類及び第32類(平成13年8月8日平成13年政令第265号をもって改正された商標法施行令第1条に基づく商品及び役務の区分)に属する商標登録原簿に記載のとおりの指定商品に書換登録された登録第2312834号商標、
(4)昭和57年4月22日に登録出願され、「タカラ」の片仮名文字を横書きしてなり、第32類(平成3年9月25日平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令第1条に基づく商品の区分)に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成4年12月25日に設定登録され、同15年2月18日に商標権の存続期間の更新登録がされている登録第2491034号商標、
(5)昭和60年7月12日に登録出願され、「TaKaRa」の欧文字の上部に図形を配してなり、第32類(平成3年9月25日平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令第1条に基づく商品の区分)に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成4年12月25日に設定登録され、同15年2月18日に商標権の存続期間の更新登録がされている登録第2491037号商標、
(6)平成5年6月29日に登録出願され、「TaKaRa」の欧文字を横書きしてなり、第32類(平成3年9月25日平成3年政令第299号をもって改正された商標法施行令第1条に基づく商品の区分)に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同9年10月9日に設定登録されている登録第4066233号商標
(以下、上記の各登録商標を一括して、「11号引用商標」という。)と類似するものであり、かつ、本件商標と11号引用商標の指定商品とは同一又は類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 本件商標は、商標法4条1項15号に該当する
(1)申立人会社は、大正14年9月に「寶酒造株式会社」として設立され、平成14年4月1日付で持株会社へと移行したもので、申立人のグループ会社全体の経営を統括している(甲第8号証及び同第9号証)。
(2)申立人のグループ会社の業務範囲は、酒類はもとより、調味料、茶、清涼飲料、水、キノコ等の農水産食品類、機能性食品等、食品分野の多岐にわたり、また、醗酵・醸造技術を応用したバイオテクノロジーの分野では世界のトップレベル・トップシェアを占めている(甲第8号証ないし同第14号証)。
(3)これらの申立人グループの製品にはいずれも、「宝(タカラ)」印と称呼観念される「TaKaRa」 「タカラ」 「寶」の文字からなる商標(申立人は、これら商標の特定をしていないが、甲第19号証に示された3件の商標をいうものと推認される。これら3件の商標を別掲(2)に表示する。以下、これらの3件の各商標を一括して「15号引用商標」という。)、あるいはこれを要部とする商標が申立人のハウスマークとして使用されており、本件商標の出願前より取引者・需要者間に広く認識されている。
このことは、裁判例により、法律的判断が確立しているところである(甲第15号証ないし同18号証)。
(4)15号引用商標は、AIPPI・JAPAN発行「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN/日本有名商標集」や、特許庁ホームページの「日本国周知・著名商標検索」データにも収録されており、これらの商標が著名であることは、顕著な事実である(甲第19号証及び同第20号証)。
(5)本件商標は、この著名な「TAKARA」「タカラ」の文字を語頭に有してなり、既成語が表されたものではないから、需要者において常に不可分一体のものとして理解されるとはいえず、「TAKARA」「タカラ」の部分が注意を惹き付けやすいものである。
かつ、申立人グループが取扱う酒類・調味料・茶・清涼飲料水・機能性食品等の商品と、本件商標の指定商品である「穀物の加工品」は、同じ食料品分野の商品として、販売場所や需要者を共通にしており、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等、同じ店舗で取り扱われる等、時と処を異にせずして接する機会も多いものである。
そして、申立人グループの業務は、設立当初の「焼酎,味轍」の商品範囲を超えて、近年目覚ましく拡充を続けており、「穀物の加工品」について取り扱う可能性は十分ある。
(6)以上の通り、申立人の15号引用商標が申立人のハウスマークとして著名であり、かつ申立人グループの事業が多角的に行われていることに鑑みれば、本件商標が、その指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、「TAKARA」「タカラ」の部分に強く惹かれて、この部分より申立人商標を想起するといえるから、当該商品があたかも申立人の業務または申立人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがあり、本件商標は商標法4条1項15号に違反して登録されたものである。

第3 当審の判断
1 本件商標と11号引用商標との類否
本件商標は、「タカラオー」の片仮名文字を横書きし、その下部に「TAKARAOO」の欧文字を横書きして、上下二段に表した構成よりなるものである。
しかして、その態様についてみるに、本件商標を構成する上下の各文字は、同じ書体で、同じ大きさをもって一連に書されていて視覚上一体のものとして看取し得るものである。
そして、たとえ構成中に「タカラ」、「TAKARA」の文字が含まれていても、構成中の「オー」あるいは「OO」の文字が、前半部の文字部分から分離して看取されるとすべき特別な事情があるとすることはできないものである。
そうとすれば、本件商標は、上下それぞれの文字が、一体不可分のものとして把握されるものといわざるを得ないものである。
してみれば、本件商標からは、その構成態様に相応して「タカラオー」の称呼のみが生ずるというのが相当である。
また、本件商標を構成する、「タカラオー」、「TAKARAOO」の各文字は特定の観念が生じない造語というべきものである。
そこで、本件商標と11号引用商標との類否についてみるに、両者は、外観上区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標から生ずる「タカラオー」の称呼と、11号引用商標から生ずる「タカラ」の称呼とは、「オー」の音の有無により、判然と区別し得るものである。
さらに、両者は観念においても類似するものではない。
してみれば、本件商標と11号引用商標とは、その外観、称呼、観念のいずれの点においても類似するとはいえないものである。
2 商品の出所の混同のおそれ
ある商標がその指定商品に使用された場合、当該商品が他人の取り扱いにかかるものであると誤信され、あるいは、混同を生ずるおそれがあるか否かを判断するに際しては、「当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。」(平成12年7月11日 最高裁判所第三小法廷判決 平成10年(行ヒ)第85号 判例時報1721号141頁)との観点から、検討がなされるべきである。
以下、本件について検討する。
(1)本件商標と15号引用商標類似性の程度
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、「タカラオー」の片仮名文字を横書きし、その下部に「TAKARAOO」の欧文字を横書きして、上下二段に表した構成よりなるものであり、これと、別掲(2)に示した15号引用商標との類似性についてみるに、一体的に看取される本件商標と15号引用商標とは、外観において明らかに区別しうる差異を有するものである。
次に、その称呼についてみるに、本件商標からは、前記「1」で判断したように「タカラオー」の一連の称呼のみが生ずるというべきであるから、「タラカ」の称呼が生ずる15号引用商標とは、称呼上紛らわしいとすることはできないものである。
また、両者は観念においても類似する関係にあるとすることはできない。
そして、本件商標と15号引用商標との共通点をみるとき、本件商標の構成中に「TAKARA」の文字が、また、称呼中に「タカラ」の音が含まれているものの、このことをもって両者の類似性の程度が高いとすることはできないものである。
(2)15号引用商標の周知・著名性の程度について
甲第8号証ないし同第10号証の事実及び甲第15号証ないし同第19号証の事情を総合して勘案すれば、15号引用商標は、申立人の取り扱いにかかる商品「みりん、焼酎」を表示するものとして、本件商標登録出願時及び登録査定時において、取引者・需要者間において周知・著名となっていたということができるものである。
そして、商品「みりん、焼酎」に関して獲得されている、この周知・著名性が、これ以外の商品の取引者・需要者の間にまで及んでいるか否かについて以下、検討する。
提出された甲各号証によれば、申立人のグループ会社が、「清酒、ソフトアルコール飲料、リキュール、ワイン、ウイスキー、中国酒、」などの酒類、「調味料」、「清涼飲料水」、「明日葉を原料とする加工食料品」、「シメジ類」、各種「健康食品類」を取り扱っていることが認められるところである。
しかして、商品「みりん、焼酎」の取引者・需要者層が比較的共通する「清酒、ソフトアルコール飲料、リキュール、ワイン、ウイスキー、中国酒、」、「調味料」以外の、商品「清涼飲料水」、「明日葉を原料とする加工食料品」、「シメジ類」、各種「健康食品類」については、提出された甲各号証をもってしては、これら商品の販売期間、販売地域、生産及び営業規模、広告宣伝の方法や回数及び内容などが明らかではないから、15号引用商標が、商品「清涼飲料水」、「明日葉を原料とする加工食料品」、「シメジ類」、各種「健康食品類」の取引者・需要者の間においても周知・著名となっていたことを推し量ることができないものである。
ましてや、提出された甲各号証をもっては、商品の品質、用途等を違え、取引者・需要者層をある程度異にする、本件商標の指定商品である「穀物の加工品」の分野に至るまで、15号引用商標の周知・著名性の程度が及んでいたとすることはできないといわなければならない。
(3)商品「みりん、焼酎」と商品「穀物の加工品」の関連性
商品「みりん」は、酒類であるものの、主に料理の調味に用いられ、また、「焼酎」は、嗜好品としてのアルコール飲料であり、酒造メーカーにより生産され、スーパーマーケットの調味料売り場・酒売場、ないしは酒販店で販売され取引されるものである。
他方、「穀物の加工品」は、「生麺、乾麺、パスタ類、もち」といった、穀物を加工した商品をいうものであり、その用途は、主食・副食としての食事の材料となるものであり、主に穀物加工業者により生産され、販売場所は、スーパーマーケットのような同一の店舗内でも、酒類や調味料類とは別のコーナーに配置されていることが多いという実情にあるといえるものである。
そうとすれば、商品「みりん、焼酎」と商品「穀物の加工品」とは、同じ食品類ではあるものの、その品質、用途、生産者、販売場所を、互いに異にするものというべきである。
(4)取引者・需要者が通常有する注意力の程度
上記(3)のような取引事情にある互いの商品に接する取引者・需要者は、それに使用されている商標を観察するときには、互いの商品の関連性が強くないことから、それぞれの商標の類似性の程度が低い場合には、それらの商品が同一の生産者により生産されたものか否か、あるいは関連会社により取り扱われているものであるか否かといった、商品の出所についての関連性には、あまり注意を払わないとみるのが取引の経験則に照らし相当というべきである。
(5)以上の(1)ないし(4)に照らせば、本件商標をその指定商品である「穀物の加工品」に使用しても、それが申立人ないしは申立人グループの会社の取り扱いに係る商品であるかの如く、商品の出所についての誤信、混同を生ずるおそれがあるものとすることはできないものである。
また、外に、本件商標を使用することが、15号引用商標を希釈化し、ないしはこれにフリーライドするとの証拠、事情は認められない。
3 まとめ
以上によれば、本件商標は、商標法4条1項11号及び同15号のいずれにも違反して登録されたものとすることはできない。
よって、商標法43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持することとし、結論のとおり決定する。
別掲 【別掲】
(1)本件商標


(2)15号引用商標





異議決定日 2005-06-30 
出願番号 商願2002-57580(T2002-57580) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (Y30)
T 1 651・ 271- Y (Y30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池田 佐代子 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 宮川 久成
山本 良廣
登録日 2004-02-13 
登録番号 商標登録第4746951号(T4746951) 
権利者 株式会社陽光コーポレーション
商標の称呼 タカラオー、タカラウー 
代理人 重本 博充 
代理人 大角 菜穂子 
代理人 村田 紀子 
代理人 徳岡 修二 
代理人 武石 靖彦 

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