• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y38
管理番号 1121807 
異議申立番号 異議2003-90262 
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2005-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-05-16 
確定日 2005-07-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第4643932号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4643932号商標の登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4643932号商標(以下「本件商標」という。)は、「thawte」の欧文字と「ソーテ」の片仮名文字を二段に併記してなり、平成13年10月30日に登録出願され、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末によるメッセージ及び映像の送信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定商品として、平成15年2月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
本件商標に対して、本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条柱書、同第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当し、その登録は取り消されるべきものであると主張している。

3 本件商標に対する取消理由
当審は、上記登録異議の申立てについて審理をし、商標権者に対して要旨以下の取消理由を通知した。
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る各甲号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)商標権者は、平成13年頃から現在にかけて、商品及び役務の区分第35類、第36類及び第38類に属する役務を中心とした役務や商品について402件もの商標登録出願をし、その内の64件が設定登録されている。 しかも、商標権者が取得している商標の多くは、外国において他人によって現に使用されている商標と同一又は類似のものである(甲第1号証ないし同66号証及び第68号証ないし同76号証)。
(イ)1995年に南アフリカで設立されたThawte Consultingは、設立以来「Thawte」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)を使用して、インターネット利用者に対してウェブサイトの運営主体である法人組織の実在性を証明し、ウェブサーバ/ブラウザ・携帯端末間の通信を保護する暗号化通信を利用可能にする役務を提供しており、1999年末にはインターネット上での交換データを保護するために各証明機関が発行する世界SSL証明書市場の41%のシェアを占めるに至った。そして1999年には在アメリカ合衆国のインターネット信託業務の世界的有力業者である申立人に吸収され、引用商標も申立人に継承され現在も使用されている(甲第77証及び同第78号証)。引用商標を使用した電子認証については、第三者のホームページにも紹介されている(甲第83号証及び同第84号証)。
(ウ)商標権者は、ドメインネームのおいても、書店チェーンとして知られるバーンズ アンド ノーブルのドメイン名と紛らわしい「barnesandnoble.jp」のドメイン名を登録したが、日本知的財産仲裁センターにおいて、不正の目的で登録を受けたものと認定され、移転の裁定を受けている(甲第80号証)。
(エ)商標権者が所有する商標の一部が、ホームページ上で使用の勧誘対象とされており(甲第81号証)、同じホームページに掲げられたドメインネームの一つは商標権者の所有に係るものである(甲第82号証)。
(2)以上の事実によれば、引用商標は、申立人及びThawte Consultingがインターネットを介した電子認証の役務について使用する商標として、この種業界においては、本件商標の登録出願時には既に、少なくともアメリカ合衆国において需要者間に広く認識されていたいうべきものである。そして、本件商標は、上記のとおり、引用商標と同一の綴りからなる「thawte」の文字とその字音を表したといえる「ソーテ」の文字からなるものであるから、引用商標と称呼、外観及び観念を共通にする類似の商標であること明らかである。
しかも、商標権者は、他人が外国で使用している商標と同一又は類似の商標を我が国において多数登録出願していること、登録出願された商標の中には「WALMART」、「Safeway」、「JCPENNEY」といった高名な大規模小売店の名称まで含まれていること、本件商標は既成の単語は見出せない、いわゆる造語であって、欧文字部分は引用商標と綴りを同じくするものであり、単なる偶然の一致とはいい難いこと、商標権者は、自己が登録した商標を他人に利用させることを意図していることが窺えること、さらには、商標権者はドメインネームについても外国の他人のドメイン名と紛らわしいドメイン名を該他人に無断で我が国において登録した事実があること、などからすれば、商標権者は、引用商標が外国で使用され周知になっていることを知りながら、それが我が国において登録されていないことを奇貨として、申立人に無断で先に出願し登録を受けたものであって、不正の目的があったものといわざるを得ない。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第2項の規定に基づき、その登録が取り消されるべきものである。

4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対して、商標権者は、要旨次のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
(1)本件商標は、引用商標が著名なら登録査定されないはずである。特許庁は、登録査定を出した時点で「THAWTE」商標が申立人の商標であることを把握していたのであるから、役務によっては、「THAWTE」商標を使用するのは問題なしと判断したのは明白である。特許庁は、長い審査期間を経て登録査定し、商標登録をする。その特許庁が「THAWTE」商標の著名性や役務の類似性を挙げて、今さら商標権者に指摘するのも非常に奇妙で滑稽といえる。
(2)商標権者が所有する64件の商標の設定登録について指摘しているが、これらの商標の多くは、海外で使用されているようであるが、まったく問題ないといえる。商標権を与えるのは、日本国では特許庁であり、適切な審査がすべての商標登録に行われているはずである。商標権者は、出願から登録まで商標法に基づき適正な手続を行った。
(3)特許庁は、ドメインについても指摘しているが、本件とは何の関係もない。
(4)以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではないので、商標法第43条の3第2項の規定を以って取り消されるべき理由はない。

5 当審の判断
(1)上記3(取消理由の通知)で認定したとおり、甲第77証、同第78号証、同第83号証及び同第84号証によれば申立人の引用する「Thawte」商標は、インターネットを介した電子認証の役務を提供している申立人及びThawte Consultingが使用し、この種業界において、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、少なくともアメリカ合衆国においては、需要者の間に広く認識されていたと認められるものである。
そして、本件商標は、上記のとおり、引用商標と同一の綴りからなる「thawte」の文字とその字音を表したといえる「ソーテ」の文字からなるものであるから、引用商標と称呼、外観及び観念を共通にする類似の商標であること明らかである。
また、甲第1号証ないし同66号証及び第68号証ないし同76号証によれば、商標権者は、平成13年頃から現在にかけて、商品及び役務の区分第35類、第36類及び第38類に属する役務を中心とした役務や商品について外国において他人によって現に使用されている商標と同一又は類似の多数の登録出願をしていることが認められる。
さらに、甲第80号証、同第81号証及び同第82号証によれば、商標権者は、「barnesandnoble.jp」のドメイン名を登録したが、日本知的財産仲裁センターにおいて、不正の目的で登録を受けたものと認定され、移転の裁定を受けていることや商標権者が所有する商標及びドメイン名の一部が、ホームページ上で使用の勧誘対象とされていることが認められる。
そうすると、申立人の引用する「Thawte」商標と欧文字部分が同一綴りの本件商標が単なる偶然に一致したものとは考え難いことから、商標権者は、本件商標が他人の業務に係る商品を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一若しくは類似の商標であることを承知のうえ、当該商標が未だ登録されていないことを奇貨として、その著名性にただ乗りし不当な利益を得る等の目的のもとに登録出願し、権利を取得したものと推認せざるを得ないところであるから、本件商標は、不正の目的をもって使用する商標に該当するものといわざるを得ない。
(2)商標権者は、特許庁が登録査定をした後に取消しの理由を通知したことや登録出願が適正あることついて種々述べているが、商標登録に対する信頼を高めるという公益的な目的を達成するために、登録後に登録処分の適否を審理し、瑕疵ある場合に是正を図るために設けられているのが登録後の異議申立制度であること、及び本件商標の採択の趣旨が単なる偶然の一致とは認めがたいこと上記のとおりであるから、この点に関する商標権者の主張は、採用することができない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2005-05-20 
出願番号 商願2001-102431(T2001-102431) 
審決分類 T 1 651・ 222- Z (Y38)
最終処分 取消  
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
登録日 2003-02-14 
登録番号 商標登録第4643932号(T4643932) 
権利者 堀田 政義
商標の称呼 ソーテ 
代理人 廣江 武典 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ