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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025 |
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管理番号 | 1121702 |
審判番号 | 取消2004-30596 |
総通号数 | 69 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-09-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2004-05-07 |
確定日 | 2005-08-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4058475号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4058475号商標の指定商品中「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬用靴を除く)」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4058475号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成5年1月14日登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く)」を指定商品として、同9年9月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品中「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く)」について継続して3年以上日本国内において使用された事実が存在しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)「商品及び役務の区分解説」(社団法人発明協会発行)によると、商品の区分第25類の「運動用特殊衣服」の項によれば、「この概念には、スポーツをする際に限って着用する特殊な衣服が含まれる。なお、『トレーニングパンツ』『ランニングシャツ』等は、スポーツ以外の日常生活でも使用され、特殊なものでないことから、この概念には含まれず、本類1被服に属する。」と記載されている。 (2)乙第2-1号証及び乙第3-1号証(いずれもカタログ)の商品は、運動用特殊衣服に属するものではなく、むしろスポーツ以外の日常生活でも使用される、特殊なものでないことを示すものである。 また、被請求人は、「本件商標の付された被服は、ポリエステル地にプリーツ加工を施したものであるから、基本的に防水性に優れたゆったりしたものであることは明らかである。」と述べているが、防水性に優れたゆったりしたものが日常生活に使用されない特殊なものであることにはならない。 (3)乙第2-2号証及び乙第3-2号証(SHOP LIST)には、スポーツ用品専門店あるいいはスポーツ量販店がリストアップされておらず、このことは、使用に係る商品がスポーツをする際に限って着用される特殊な衣服ではないことを示している。 したがって、使用に係る商品は、スポーツをする際に限って着用する衣服とはいえず、むしろスポーツ以外の日常生活でも使用され、特殊なものでないと判断されるのが順当であり、請求に係る指定商品中の「運動用特殊衣服」に該当するものではない。 (4)以上のとおり、被請求人は、本件請求に係る指定商品について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内で使用した証拠は何ら提出していないから、商標法50条の規定により、本件商標の指定商品中の「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く)」についての登録は取り消されるべきである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3ー3号証及び参考資料1及び同2を提出した。 1 本件商標は、被請求人の関連会社であり本件商標権の通常使用権者である株式会社イッセイミヤケ(東京都渋谷区富ヶ谷1丁目12番10号所在、以下「イッセイミヤケ」という。)によって、本件請求に係る指定商品中の「運動用特殊衣服」に属する「アノラック、グランドコート、ヤッケ」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で使用された(乙第1号証)。 2 使用の事実 (1)乙第2-1号証は、本件商標を付してイッセイミヤケが販売する「’02 AUTUMN/WINTER」のカタログ兼価格表であり、乙第2-2号証は、「ショップリスト」であるところ、乙第2-1号証の最終頁には、copyrightを表す「○にcの記号」と「2002 ISSEY MIYAKE INC.」の記載があり、また、乙第2-2号証には、「2002年6月現在」の記載があるから、これらは、本件審判の請求の登録前3年以内のものである。 (2)参考資料1及び同2によれば、「アノラック」は、防水加工された、ゆったりしたフード付ジャケットであり、「ヤッケ」ともいう。また、「グランドコート」については、各種辞典類を調査するも適切な説明を見出し得なかったが、サッカー関係者によれば、Jリーグの選手が試合後に着用するフード付きまたは襟の大きな、防水性、保温性に優れた長めのコートをグランドコートと称しているとのことである。 そして、本件商標の付された被服は、ポリエステル地にプリーツ加工を施したものであるから、基本的に防水性に優れたゆったりしたものであることは明らかである。 (3)乙第2-1号証の表紙左の商品及び2頁に掲載の「DRAGON DANCE」の商品番号「JC664」は、フード付のゆったりしたジャケットであり、風雨、雪よけ、体の保温のために着用されるものであるから、アノラック又はヤッケということができる。そして、商品番号「JC664」は、「SHOP LIST」記載の「青山店」などで2002年に販売されていた。 また、乙第2-1号証の9頁に掲載の「CLIP COAT #4」の商品番号「ZA952」及び「ZA953」は、グランドコートであり、商品番号「ZA952」及び「ZA953」は、「SHOP LIST」に記載の「青山店」などで2002年に販売されていた。 さらに、商品アノラック(又はヤッケ)、グランドコートに関する広告、カタログ及び「SHOP LIST」には、本件商標が付されて2002年に展示、配布されていた。 (4)乙第3-1号証は、本件商標を付してイッセイミヤケが販売する「2003 AUTUMN/WINTER」のカタログであり、乙第3-2号証は、「PRICE LIST&SHOP LIST」であるところ、乙第3-1号証の最終頁には、copyrightを表す「○にcの記号」と「2003 ISSEY MIYAKE INC.」の記載があり、また、乙第3-2号証には、「2003年9月現在」の記載があるから、これらは、本件審判の請求の登録前3年以内のものである。 (5)乙第3-1号証の3頁及び5頁に掲載の「HOPPER ZIP」の商品番号「JD402」は、フード付のゆったりしたジャケットであり、防水性に優れ、風雨、雪よけ、体の保温のために着用されるものであるから、アノラック又はヤッケということができる。そして、商品番号「JD402」は、「SHOP LIST」に記載の「青山店」などで2003年に販売されていた。 また、乙第3-1号証の5頁に掲載の「CLIP COAT #5」の商品番号「ZA851」、「ZA852」及び10頁に掲載の「COYOTE」の商品番号「JD441」は、襟のファーの取り外し自由なコートであり、グランドコ-トということができる。そして、商品番号「ZA851」、「ZA852」及び「JD441」は、「SHOP LIST」に記載の「青山店」などで2003年に販売されていた。 (6)乙第3-3号証は、イッセイミヤケから「SHOP LIST」に記載の店への商品の引渡しを示す出庫明細と納品伝票であり、商品番号「JD402」、「ZA851」、「ZA852」及び「JD441」の各商品がそれぞれ納品されたことが確認できる。 さらに、商品「アノラック、グランドコート、ヤッケ」に関する広告、商品カタログ、及びPRICE LIST&SHOP LISTには、本件商標が付されて2003年に展示、配布されていた。 3 してみれば、本件商標は、通常使用権者であるイッセイミヤケによって、本件請求に係る指定商品中の「運動用特殊衣服」に属する商品「アノラック、グランドコート、ヤッケ」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内で使用されたものである。 第4 当審の判断 1 本件使用に係る商品が本件請求に係る指定商品中の「運動用特殊衣服」の範疇に属する商品であるか否かについて検討する。 (1)商品の区分第25類に属する「運動用特殊衣服」は、スポーツをする際に限って着用する特殊な衣服が含まれ、「トレーニングパンツ」、「ランニングシャツ」等スポーツ以外の日常生活でも使用されるものであって、特殊なものではない商品は、「運動用特殊衣服」の概念には含まれないと解される(「商品及び役務の区分解説」平成4年3月25日改訂第2版発行参照)。 (2)これを本件使用に係る商品についてみるに、乙第2-1号証及び乙第3-1号証並びに答弁の理由によれば、以下の事実が認められる。 (ア)本件商標を使用した被服は、いずれもポリエステル地にプリーツ加工を施した商品であること(答弁書3頁)。 (イ)乙第2-1号証の表紙左に掲載された商品及び2頁の商品(商品番号「JC664」)は、フード付きジャケットと認められる。また、同9頁の商品(商品番号「ZA952」及び「ZA953」)は、ハーフコートとロングコートと認められる。 (ウ)乙第3-1号証の3頁の商品及び5頁の商品(商品番号「JD402」)は、フード付きジャケットと認められる。また、5頁の商品(商品番号「ZA851」及び「ZA852」)は、ハーフコートとロングコートと、さらに、10頁の商品(商品番号「JD441」)は、ジャケットと認められる。 そして、上記5頁の商品(商品番号「ZA851」及び「ZA852」)の襟部及びフード部に、また、上記10頁の商品(商品番号「JD441」)の襟部には、ファー(毛皮)が付けられている。 (エ)乙第2-1号証のカタログには、上記(イ)の商品のほか、ベスト、長袖の上着、ロングドレス、パンツ、ニット製品、ジャケット、スカート、スカーフなどが掲載されている。 また、乙第3-1号証のカタログには、上記(ウ)の商品のほか、ニット製品、スカート、パンツ、ロングドレスなどが掲載されている。 (3)前記(2)で認定した事実によれば、被請求人が本件請求に係る指定商品中の「運動用特殊衣服」に属する商品「アノラック、グランドコート、ヤッケ」であると主張する商品番号「JC664」、「ZA952」、「ZA953」、「JD402」、「ZA851」、「ZA852」及び「JD441」は、いずれもポリエステル地にプリーツ加工を施した布地を原材料に使用した商品であり、いうなれば、優雅さを強調するファッション性の高い商品といえるものであって、社会通念上、スポーツをする際に限って使用される商品とは考えにくいところである。加えて、上記商品番号の商品は、カタログ中に掲載された他の商品との関係からみても、被服の範疇に属する商品であるというのが相当である。他に、これら商品がスポーツをする際に限ってのみ着用される特殊な衣服であるという事実を明らかにする証拠の提出はない。 したがって、本件使用に係る商品は、請求に係る指定商品中の「運動用特殊衣服」の範疇に属しない商品といわなければならないし、また、「運動用特殊靴(乗馬靴を除く)」の範疇に属しない商品であることは明らかである。 3 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標を使用していたこと証明し得なかったのみならず、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く)」について、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
本件商標 |
審理終結日 | 2005-06-09 |
結審通知日 | 2005-06-14 |
審決日 | 2005-06-27 |
出願番号 | 商願平5-1992 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(025)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 茂久、大川 志道 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
茂木 静代 三澤 惠美子 |
登録日 | 1997-09-19 |
登録番号 | 商標登録第4058475号(T4058475) |
商標の称呼 | プリーツプリーズ、プリーズ |
代理人 | 藁科 孝雄 |