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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y0942
管理番号 1121648 
審判番号 不服2003-10011 
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-03 
確定日 2005-08-04 
事件の表示 商願2002- 31163拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ネットで共有」の文字(標準文字による)を書してなり、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第42類「気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続の代理,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定商品及び指定役務として、平成14年4月16日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、インターネット等のコンピュータ・ネットワークを用いて共有することを表したものと容易に認識させる『ネットで共有』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、このようなものをその指定商品又は指定役務に使用しても、これに接する需要者は、商品の購買者や役務の利用者がコンピュータ・ネットワークを通じて、例えば商品のアフターサービスに関する情報等の有益な情報を共有し、利用することができることが表示されているものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり、「ネットで共有」の文字を書してなるところ、その構成中の「ネット」の文字は、近年のIT(Information Technology)社会において、例えば、「ネットオークション(インターネットでの競売)」、「ネットサーフィン(インターネットの中で泳ぎ回って情報を得ること)」、「ネットバンキング(顧客がインターネットを通じて金融機関のシステムにアクセスし、各種金融サービスの提供を受けること)」のように用いられており(「朝日現代用語 知恵蔵2004」(発行所:朝日新聞社)、「現代用語の基礎知識2004」(発行所:株式会社自由国民社)等)、今やインターネット等の情報ネットワークを利用する行為を表す際の語として一般に広く使用されているのが実情である。
また、同じく、「共有」の文字は、「二人以上が一つの物を共同して所有すること」等の意味を有する語(「広辞苑 第五版」(発行所:株式会社岩波書店))として、一般に広く知られているものである。
してみれば、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成文字全体から「インターネット等の情報ネットワークを利用して二人以上が一つの物を共同して所有すること」ほどの意味合いを容易に看取、認識するとみるのが相当である。
そして、本願商標を構成する「ネットで共有」の文字は、例えば、平成9年(1997年)11月6日付け産経新聞(東京朝刊10頁)には、「日商と全国の商工会議所 取引・就職情報を共有化 来春、ネットワーク稼働」の見出しの下、「日本商工会議所と全国の商工会議所は、企業取引や就職情報などを統一した書式で提供する情報ネットワークを、来年三月から稼働させる。各地の商工会議所が情報を共有化することで、会員の約九割を占める中小・零細企業の活性化を支援する。(中略)このシステムでは取引照会、就職情報、海外取引希望企業、特産品・土産物案内など六つの分野を日商と全国の商工会議所が、相互に結ぶネットで共有する。この情報網を活用することで、会員企業は全国から相互に取引情報などが得られ『全国規模で、販路の拡大や新たなビジネスチャンスが生まれてくる』(日商・情報化推進部)という。(後略)」との記載があること、同11年(1999年)3月19日付け化学工業日報(12頁)には、「農水省、NECと共同で農業支援ソフトを開発」の見出しの下、「農林水産省・農業研究センターと、NEC・C&Cメディア研究所の研究グループは十八日、インターネットを利用した農業生産者の判断支援ソフトウエアを開発したと発表した。(中略)予測モデルはインターネットで共有できる判断支援モデルで、水稲生育予測、ウンカ飛来モデル。このプログラム提供により、気象モデルなどの基本データをインストールすることなく最新モデルを利用することができる。」との記載があること、同12年(2000年)4月7日付け日経産業新聞(8頁)には、「富士通システムコンストラクション、建設情報ネットで共有、管理システム開発」の見出しの下、「富士通システムコンストラクション(FJSC)は社内や関係会社と建設事業における情報や文書をインターネットを介して共有できる施工管理システムを開発し、自社内で運用を始めた。本社・支社と各建設現場を効率的に結び情報を共有できる。FJSCは同システムをパッケージ化し、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)サービスとして今秋にも外販する計画だ。(後略)」との記載があること、同13年(2001年)9月6日付け日経流通新聞(9頁)には、「百貨店の法人外商、IT駆使し効率化――高島屋・ネット展示場、西武百・流通網管理。」の見出しの下、「(前略)商品の流れを効率的に管理するため、販促品の仕入れ先や物流会社も含めて、関連する全企業の在庫や出荷情報などをネットで共有する。(後略)」との記載があること、同年9月18日付け日本経済新聞(朝刊7頁)には、「電子カルテネットで共有、厚労省改革案――モデル地域創設、重複診療を防止。」の見出しの下、「厚生労働省は医療費の過剰請求や重複診療などを省くため、診療報酬明細書(レセプト)やカルテ(診療録)のIT化を後押ししていくことを決めた。レセプトの電算処理に伴う規制を廃止することで、医療機関が電算処理を実施しやすくするほか、複数の医療機関が電子カルテで患者の診療情報を共有し、重複検査などを省くモデル地域を創設する。(後略)」との記載があること及び、同14年(2002年)7月22日付け毎日新聞(東京夕刊1頁)には、「『住基ネット』仮運用が開始 市町村、住民情報を毎日更新」の見出しの下、「(前略)住基ネットは、全国民の住所、氏名、生年月日、性別の4情報をコンピューターネットで共有し、行政機関が本人確認などに利用するシステム。(後略)」との記載があることに照らせば、様々な分野における情報について、前記意味合いに相応する語として、一般に広く用いられていることが認められる。
そうとすると、本願商標は、その構成文字全体をもって「インターネット等の情報ネットワークを利用して二人以上が一つの物、特に情報を共同して所有すること」の意味合いを容易に看取、認識させるものであり、これをその指定商品及び指定役務中、例えば、「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラムの提供」について使用するときは、取引者、需要者は、その商品又は役務の利用目的を表したものと理解するに止まるものであって、自他商品又は自他役務の識別標識として認識し得ないものであるから、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標というべきである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、該登録例はいずれも本願商標とその構成、態様を異にするものであって、本件とは事案を異にするものであり、同一に論ずることができないものであるから、該請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-06-07 
結審通知日 2005-06-10 
審決日 2005-06-21 
出願番号 商願2002-31163(T2002-31163) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Y0942)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 熊谷 道夫 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 山本 良廣
田中 敬規
商標の称呼 ネットデキョーユー 
代理人 外川 英明 

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