ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部無効 称呼類似 無効としない Y05 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y05 |
---|---|
管理番号 | 1121604 |
審判番号 | 無効2004-89005 |
総通号数 | 69 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-09-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-04-08 |
確定日 | 2005-08-01 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4736924号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4736924号商標(以下「本件商標」という。)は、「SEED ONE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成15年4月25日に登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙」を指定商品として、同年12月26日に設定登録された。その後、商標法第43条の2に基づく登録異議申立により指定商品中「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液」については、その登録を取り消す旨の取消決定が平成17年2月1日にされ、同年3月21日に確定し、その登録が同年4月25日にされた。 第2 引用商標 請求人が本件商標の無効の理由に引用する、登録第523472号商標(以下「引用商標」という。)は、「シード」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和32年10月11日に登録出願、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、昭和33年7月10日に設定登録されたものである。そして、指定商品については、商標権一部取消審判事件(2000-30574号)により、「化学品(膠を除く)及びその類似商品」について、取り消されたものである。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第10号証(枝番を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標を構成する「SEED ONE」の文字は、後半の「ONE」が数字の「1」を意味し、かつ、数字の順序を示す序数であり、記号・符号等に普通に用いられるありふれた標章として認識され、自他商品の識別標識としての機能を有しない文字部分を結合してなるものである。 また、この「SEED ONE」の文字は、これが特定の語義を有する熟語、または常に一体不可分のものとして見なければならない特段の理由もない単なる文字の結合として理解されるものである。 してみれば、本件商標は、構成文字中の識別性を有しない「ONE」の文字部分を除いた前半の「SEED」の文字部分が識別性を具備するものであり、「SEED」の文字に相応して「シード」とのみ称呼されるものである。 これに対し、引用商標は、その構成文字に相応して「シード」の称呼を生ずるものである。 本件商標及び引用商標は、そのいずれからも「シード」の称呼を生じ、共に「シード」の称呼を共通にするものである。 また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中における「薬剤」と相抵触し、両商標は、指定商品においても同一又は類似するものである。 ちなみに、本件商標と引用商標の関係と同様、「ONE」の文字を語尾に結合した商標の対比について、「ONE」が数字の「1」を表わす記号・符号の表示として商品に普通に使用され、識別性を有しない文字部分とされ、前半部より生ずる称呼をもって類似と認定された審決例も存在する(甲第3号証)。 2 商標法第4条第1項第15号について 請求人は、2000年12月12日付けで引用商標について、株式会社シードに通常使用権を許諾し現在に至っているものである。 そして、通常使用権者は、引用商標及び欧文字の「SEED」を「ソフトコンタクトレンズ専用洗浄・消毒システム」等の薬剤に使用し、広く一般に周知・著名となっているものである(甲第5号証ないし同第10号証)。 また、本件商標は、「SEED」の文字部分を主要部として構成されており、かつ、その主要部に相応して「シード」と称呼されるものであるため、通常使用権者により使用されている商標の「SEED」及び「シード」と称呼を共通にするばかりでなく、指定商品も互いに抵触すること明かなものである。 そのため、本件商標をその指定商品に使用するときは、通常使用権者のソフトコンタクトレンズ専用洗浄・消毒システムに使用されている周知・著名な商標の「SEED」及び「シード」と類似するものであり、商品の出所について混同を生じさせるおそれが充分にある。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その登録は、商標法第46条第1項の規定により取り消されるべきである。 第4 被請求人の主張 被請求人は、何ら答弁していない。 第5 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標及び引用商標は、前記「第1」及び「第2」のとおりである。 そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標は、「SEED」の文字と「ONE」の文字との間には、約1字程度の間隔を置いてなることから、両文字部分は、視覚上分離して看取し得るばかりか、両文字が結びついて一般に親しまれた熟語的意味合いを有するともいえず、又、両文字の観念的な結び付きも強固ともいえない。 加えて、「ONE」の文字は、「一つの、算用数字の1」等を意味する極めて平易な英語であり、それ自体自他商品識別標識としての機能が極めて弱いか無いものとみるのが相当である。 そうとすれば、簡易迅速を尊ぶ商取引の場で、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標を適宜分離抽出して、称呼することが十分あり得ることを考慮すれば、本件商標からは、書された文字に相応して「シードワン」の称呼を生ずるほか、「SEED」の文字に相応して「シード」の称呼をも生じ得るものと認められる。 他方、引用商標は、「シード」の文字に相応し「シード」の称呼を生ずること明らかである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、電話等口頭による取引が普通に行われる取引社会の実情よりすると、商標より生ずる称呼をもって取引指標とする場合も少なからずあるといえるから、その外観及び観念の点について考慮したとしても、本件商標及び引用商標から生ずる「シード」の称呼を共通にする類似する商標といわなければならない。 しかしながら、本件商標の指定商品「医療用腕環,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」と引用商標の指定商品「化学品、薬剤及び医療補助品、但し、化学品(膠を除く)及びその類似商品を除く」とは、その品質、用途、生産、販売部門等を異にすることから、これらは互いに類似する商品とはいえない。 そうとすれば、本件商標と引用商標とは、商標において類似するとしても、その指定商品において類似しないから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第15号について 請求人の提出した甲第4号証によれば、引用商標の商標権者(請求人)は、引用商標について、株式会社シードに通常使用権を許諾していることが認められる。 そうして、甲第5号証ないし同第10号証に徴すれば、通常使用権者は、引用商標及び「SEED」の文字よりなる商標(以下これらをまとめて「引用商標等」という。)を商品「ソフトコンタクトレンズ専用洗浄・消毒液」等の薬剤に使用していることが認められる。 しかしながら、請求人が提出した商品カタログ(甲第5号)、製品ガイド(甲第6号証)、商品チラシ(甲第7号証)及び「雑誌(ミスターパートナー)」(甲第9号証)、「業界紙(THE GANKYO SHIMBUN)」(甲第10号証)を精査するも、前記商品に係る引用商標等の使用開始時期、使用期間、広告宣伝回数、又、商品の販売量等何ら証するものではなく、提出された証拠のみによっては、引用商標等が本件商標の登録出願時はもとより登録査定時に至るも周知・著名性を獲得したものと認めることはできない。 そうしてみると、本件商標は、その指定商品に使用するとしても、通常使用権者の使用商標を連想、想起し、通常使用権者又は通常使用権者らと経済的または組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、出所の誤認混同を生じさせるおそれがあるものということはできない。 3 結語 本件商標は、商標法第43条の2に基づく登録異議申立により、その指定商品中、「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液」について取消決定が確定(平成17年3月21日)し、同第43条の3第3項によりその商標権は、初めから存在しなかったものとみなすところ、その余の指定商品「医療用腕環,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」については、前述のとおり、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当しないから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-06-02 |
結審通知日 | 2005-06-08 |
審決日 | 2005-06-21 |
出願番号 | 商願2003-34019(T2003-34019) |
審決分類 |
T
1
11・
262-
Y
(Y05)
T 1 11・ 271- Y (Y05) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 杉山 和江 |
特許庁審判長 |
佐藤 正雄 |
特許庁審判官 |
宮川 久成 山本 良廣 |
登録日 | 2003-12-26 |
登録番号 | 商標登録第4736924号(T4736924) |
商標の称呼 | シードワン、シード |
代理人 | 大内 康一 |
代理人 | 館石 光雄 |
代理人 | 村越 祐輔 |
代理人 | 萼 経夫 |