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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200225215 審決 商標
不服200225216 審決 商標
不服200322975 審決 商標
不服20035262 審決 商標
審判199817893 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z19
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z19
管理番号 1121519 
審判番号 不服2002-9882 
総通号数 69 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-03 
確定日 2005-07-20 
事件の表示 平成11年商標登録願第13998号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成11年2月22日に立体商標として登録出願され、その後、指定商品については、同13年12月20日付け及び同16年11月29日付け手続補正書をもって、第19類「コイル状に巻いたガラス繊維製の断熱材・防音材」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係よりすると、その商品の形状の一形態を容易に認識させる立体的形状を普通に用いられる方法をもって表してなるものであるから、これをその指定商品中、『ガラス繊維製の住宅用断熱・防音材,岩石繊維製防音材(建築用のものを除く。),その他の住宅用断熱・防音材,化学繊維(織物製のものを除く。)』等の『コイル状の商品』について使用するときは、単に商品の形状そのものを表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審において通知した審尋
本願商標は、原審において、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当する旨の拒絶理由を通知し、本願を拒絶したものであるが、なお次の理由により商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当するものと認められるので、これについて意見があれば応答されたい。

<理由>
立体商標は、商品若しくは商品の包装(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として採択されるものではない。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、本願指定商品である断熱材又は防音材を巻いたような形状よりなるところ、たとえ本願商標が赤色を帯びているとしても、当該商品を取り扱う業界においては、グラスウール等を利用した断熱材等がロール状で販売されている実情があることから、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の販売に係る形状と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
また、断熱材、防音材がロール状で販売されている実情としては、例えば、次のようなインターネットによるホームページの情報等により、是認できるところである。

(1)「不燃建材 グラスウール」の見出しのもと、「住宅用断熱材 GW300シリーズ 色々な仕様の中から選べる軟らかいロールタイプのグラスウール。 ■特長と仕様 ●裸のグラスウール製品。ロールタイプです。」と記載し、あわせてロール状の商品が表示されている(http://www.hatsuho.co.jp/eh/funen2.html)。
(2)「天然羊毛断熱材[サーモウール]」の見出しのもと、ロール状の商品が表示されている(http://www.2100.co.jp/FINCO/wool_01.htm)。
(3)「一般住宅天井・壁用ロール断熱材 テクノロンロール」の見出しのもと「グラスウール断熱・吸音材を指定の長さでロール状に巻き取り、圧縮包装したものです。」と記載し、あわせて、ロール状の商品が表示されている(http://homepage2.nifty.com/techno-fiber/sub03.html)。

以上によれば、本願商標は、これをその指定商品中「ロール状の商品」について使用した場合、たとえ本願商標が赤色を帯びているとしても、これに接する取引者、需要者は商品の販売に係る形状を表示したものと理解するにとどまるものであるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ず、かつ、「ロール状の商品」以外の形状の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号に該当する。
なお、請求人(出願人)は、審判請求の理由(平成14年8月12日付手続補正書による補正を含む。)において、「本願商標を使用した断熱材は日本にも相当量輸入され、住宅用等に広く使用された結果、本願商標は、出願人の業務に係る断熱材を表示する商標として需要者に認識されるに至っており、この事実を追って資料を以て明らかにする。」旨述べているが、その後、相当期間経過したが現在に至るも何ら提出していない。よって、この点について釈明されたい。

4 当審の判断
請求人は、平成16年11月29日付け回答書をもって、当審が示した前記審尋に対し、「本願商標は、『ピンク色とコイル状に巻いた断熱材の形状との結合』よりなる商標はそれ自体で登録性を有する。」旨の反論し、あわせて、甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。
しかしながら、本願商標について、当審においてした証拠調べ結果に基づく上記審尋は妥当なものであって、請求人の主張は以下の理由により、いずれも採用の限りでなく、さきの認定を覆すに足りない。

(1)請求人は「本願商標に対応するピンク色に着色しコイル状に巻いた断熱材の形状よりなる商標、及びピンク色を主体とする商標は、出願人の本国であるアメリカ合衆国を初めとして多くの国において登録になっている。」旨主張し、あわせて、甲第1号証の1ないし甲第3号証の18を提出しているが、諸外国における商標の登録制度と我が国のそれが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められない。
(2)請求人は、「本願商標を使用した断熱材は日本にも相当量輸入され、住宅用等に広く使用された結果、本願商標は、出願人の業務に係る断熱材を表示する商標として需要者に認識されるに至っている。」旨主張し、あわせて、甲第4号証の1ないし9(日本への輸出に関するインボイス)を提出しているが、これらのインボイスには、立体商標である本願商標の記載はなく、商品を特定できるものとしてDescription of Goods(商品の種類)の欄に、商品の名称と見られる記載、サイズ及び色彩とみられる「Color:Pink」の記載があるのみである。
したがって、これらの証拠と立体商標である本願商標との関係は明らかでなく、また、これらの証拠のみによっては、本願商標が出願人の業務に係る断熱材を表示する商標として需要者に認識されるに至っているものと認めることができない。
加えて、請求人は、「本願の指定商品は、建築資材であるから、請求人は新聞、雑誌、テレビなどのマスメディアには広告していないが、インターネットにホームページを設けて建築関係者、住宅等の防音、断熱に関心を有する者に対するPRをおり、請求人の防音材、断熱材がピンク色であり、ピンク色の防音材、断熱材が、需要者が必要とする防音効果、断熱効果を充足するものであることをPRしている。」旨主張するが、請求人の提出したインターネットのホームページ及びパンフレット(甲第5号証及び甲第6号証)は、立体商標である本願商標の掲載を認めることができないものであり、まして、一般的に製造業者が自らの製品を宣伝、広告することは、通常行われていることであって、この程度の宣伝、広告した事実のみをもって、当該商標が需要者に認識されるに至っているものと認めることができない。

そうとすると、前記3の審尋で示したとおり、断熱材、防音材がロール状で販売されている実情よりすれば、本願商標は、その指定商品中「ロール状の商品」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は商品の販売に係る形状を表示したものと理解するにとどまるものであるから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ず、かつ、「ロール状の商品」以外の形状の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本願商標

(色彩については原本参照)
審理終結日 2005-02-07 
結審通知日 2005-02-14 
審決日 2005-02-28 
出願番号 商願平11-13998 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Z19)
T 1 8・ 13- Z (Z19)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 小川 有三
特許庁審判官 早川 文宏
矢代 達雄
代理人 木村 三朗 
代理人 大村 昇 
代理人 佐々木 宗治 
代理人 小林 久夫 

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