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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 016 |
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管理番号 | 1121477 |
審判番号 | 取消2003-31645 |
総通号数 | 69 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-09-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2003-12-04 |
確定日 | 2005-07-25 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4028840号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4028840号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成7年3月13日に登録出願、第16類「印刷物,写真,写真立て,遊戯用カード」を指定商品として、同9年7月18日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第7号証を提出した。 1.請求の理由 請求人が調査したところによると、本件商標はその全指定商品について、本件商標の商標権者であるフェロールーム株式会社によって継続して3年以上日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は見出せない。加えて、商標登録原簿上において、通常使用権及び専用使用権の設定登録がなされておらず、使用権者が使用していることも考えられない。 したがって、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の登録を取り消すとの審決を求める。 2.答弁に対する弁駁 被請求人の提出する乙各号証は、本件審判請求の登録の日前3年以内に日本国内において、本件商標が使用されていた事実を証明するものではない。(1)被請求人が使用していると主張する商標は、本件商標と社会通念上同一のものとはいえない。 乙第1号証は、被請求人が本件商標を使用していると主張する「インプレッサWRCチャレンジ応援紙」である。当該情報誌の表紙上部には、「CATCH the」及び「WRC」の文字からなる商標が記載されている。しかしながら、当該商標は、欧文字「WRC」を影付きの強調された文字で横書きされ、「W」より「R」、「R」より「C」と右にいくほど文字の大きさが小さくなるように右上がりに配置されており、「CATCH the」の文字は、「W」の文字に一部が重なるように「WRC」の文字の左上に影付き文字で書されてなる。本件商標が肉太の斜体で書された「WRC」の文字の右上に、「CATCH the」の文字が小さく斜体で書されてなる構成であることからすれば、被請求人が使用していると主張する商標と本件商標は書体が相違するばかりでなく、「CATCH the」の文字の位置、「W」「R」「C」の各文字の大きさや配置において全体の構成が大きく相違し、両者は、外観上同視できるとはいえない。 よって、被請求人が使用していると主張する商標は、本件商標と社会通念上同一のものとはいえない。 (2)該WRCの情報紙は、商標法上の「商品」に該当しない。 商標法における「商品」とは、商取引の目的物として流通性のあるもの、すなわち、一般市場で流通に供されることを目的として生産され、または取引される有体物であるところ、乙第2号証及び乙第3号証の1ないし8からは、乙第1号証のWRCの情報紙「インプレッサWRCチャレンジ応援紙」が一般市場において流通に供されることを目的として取引されたことが明らかではない。 乙第1号証の「インプレッサWRCチャレンジ応援紙」は、WRC(世界ラリー選手権)に参戦する本件商標の通常使用権者である富士重工業株式会社のSUBARUチームを紹介するために、富士重工業株式会社の関連会社である全国のスバル販売会社等で無償で配布されているものであり、一般市場で流通するものではない。甲第3号証ないし甲第5号証は、乙第1号証の「インプレッサWRCチャレンジ応援紙」の続刊にあたる「インプレッサWRCチャレンジ応援紙 SUBARU キャッチ・ザWRC NO.128」(甲第3号証)、「インプレッサWRCチャレンジ応援紙 SUBARU キャッチ・ザWRC No.130」(甲第4号証)、「インプレッサWRCチャレンジ応援紙 SUBARU キャッチ・ザWRC No.131」(甲第5号証)である。いずれも大阪府大阪市北区南扇町3-25在の大阪スバル株式会社北店にて、不特定多数の希望者に無償で配布されており、請求人においても無償で入手したものである。このことからも、「インプレッサWRCチャレンジ応援紙」は、商取引の対象として一般の市場において流通するものではないことが明らかである。 乙第2号証は、乙第1号証の「インプレッサWRCチャレンジ応援紙」の発送表であるが、発送先である釧路スバル自動車株式会社、青森スバル自動車株式会社、新潟スバル自動車株式会社等は、本件商標の通常使用権者である富士重工業株式会社の関連会社にすぎず、このことをもって、乙第1号証の「インプレッサWRCチャレンジ応援紙」が一般市場に商取引の目的として流通されたとはいえない。 また、乙第3号証の1ないし8は、本件商標の通常使用権者である富士重工業株式会社の販売促進部宣伝課から、その関連会社である各スバル自動車株式会社への雑品代総括請求書であり、請求明細中に「キャッチザWRC モンテカルロ号」の文字が記載されているが、富士重工業株式会社と上記のスバル販売各社との間で、「インプレッサWRCチャレンジ応援紙」が取引の対象となったとしても、当該「インプレッサWRCチャレンジ応援紙」は、上述のとおり全国のスバル販売会社等において、無償で配布されているものにすぎず、わが国の一般市場において独立して商取引の対象として流通に供されたとはいえない。 以上より、被請求人が本件商標を使用したと主張する「インプレッサWRCチャレンジ応援紙」が商標法上の商品に該当しないことは明らかである。 なお、商標法上の「商品」と認められる要件として一般市場における流通性が不可欠であることは、甲第6号証(東京高裁平成元(行ケ)139号 タケダマーク事件)及び甲第7号証(東京高裁平成12(行ケ)110号 デール・カーネギー事件)の裁判例からも窺われる。 (3)以上、被請求人の提出する証拠は全て、本件商標が日本国内において本件審判の請求の登録日前3年以内に本件審判の請求にかかる指定商品に使用されていた事実を証明するものではない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出した。 本件商標は、通常使用権者である富士重工業株式会社によって継続して使用されているものである。 乙第1号証は、モンテカルロ(モナコ)において開催された「WRC」(世界ラリー選手権「World Rally Championship」)の情報誌で、表紙の上部に「CATCH the」「WRC」と表記されているものであり、登録商標と実質的に同一の文字よりなるものであるから、登録商標をその指定商品中に包含される「WRCの情報誌」について使用しているというべきものである。 この「WRCの情報誌」の裏面には、「2001年1月26日発行」と発行日が明記されており、その発行日は、本件審判の請求の登録の日である平成16年1月20日前3年以内であることは明白である。 この「WRCの情報誌」は、商標権者が富士重工業株式会社に通常使用権を許諾した上で、商標権者であるフェロールーム株式会社が企画・制作をし、スバルテクニカインターナショナル株式会社が監修をし、富士重工業株式会社が発行しているものであり(なお、「WRCの情報誌」の裏面には、「発行:スバルテクニカインターナショナル株式会社」、「監修:富士重工業株式会社」と表記されているが、実質的に監修を行っているのはスバルテクニカインターナショナル株式会社であり、発行しているのは富士重工業株式会社である。)、印刷された「WRCの情報誌」は、通常使用権者の指示した乙第2号証の発送先に共同運輸株式会社和光配送センターから発送されるものである。 この「WRCの情報誌」には、価格の表示はないが、通常使用権者が発送先に対して、乙第3号証の1ないし8等の包括請求書を発行し、その都度、代金が振り込まれているものであり、請求明細における記載から見て、本件商標の使用に係る商品「WRCの情報誌」は、取引の対象たる商標法上の商品であるというべきものである。 したがって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内にその指定商品中の「WRCの情報誌」について使用されていたものであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべきものでない。 第4 当審の判断 (1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。 乙第1号証は、「WRC」(世界ラリー選手権「World Rally Championship」)の情報誌であり、第1戦/モンテカルロ・ラリーについての記事やWRC NEWSなどが掲載されており、表紙の上部には、別掲(2)のとおり、左から右上に行くに従い次第に文字がやゝ小さくなるように書された「WRC」の文字が大きく表され、その文字の左上部にその一部が「WRC」の文字に掛かるように、小さく「CATCH the」の文字が表されている(以下「使用商標」という。)。そして、該情報誌の裏面には、「2001年1月26日発行、発行:スバルテクニカインターナショナル株式会社、監修:富士重工業株式会社、企画:フェロールーム株式会社、印刷:共同印刷株式会社」と記載されている。 乙第2号証は、「2001 CATCH the WRCモンテカルロ」発送表の写しであり、釧路スバル自動車株式会社、青森スバル自動車株式会社、新潟スバル自動車株式会社等々66を超える会社や製作所関係に総数5万部を超える該WRC情報誌を発送したことが記載されている。 乙第3号証の1ないし8は、乙第2号証に対応する各発送先に通常使用権者と認められる富士重工業株式会社が発行した平成13年2月28日付の雑品代包括請求書であり、例えば、乙第3号証の4の静岡スバル自動車(株)宛の請求明細によれば、「キャッチザWRCモンテカルロ号 単価15 数量1440 合計金額21,600」の記載とともに、「ポスターパネル 単価4800 数量3 合計金額14,400、フォレスターSTi2フロアPOP 単価1800 数量16 合計金額28,800、Forester&NICOT素材CD-ROM 単価10000 数量1 合計金額10,000」が記載され、更に「レガシイB4カタログ、レガシイワゴンカタログ、ブリッツエンカタログ、フォレスターカタログ、プレオカタログ、全車種カタログ・・・アンケートカードファイル、フレッシャーズフェア封書DMセット、2月3,4展告チラシ、インプレッサI’s店頭用ツール、桃太郎旗」等々数多くの商品名と各単価、数量、合計金額が記載されており、請求金額の合計も2,688,060円となっている。そして、他の乙第3号各証も、商品名や数量等はそれぞれ異なるが、いずれも同様のものである。 (2)上記した乙各号証を総合してみれば、被請求人の通常使用権者と認められる富士重工業株式会社は、本件審判の予告登録日である平成16年1月20日前3年以内である2001年(平成13年)1月26日発行のWRC情報誌に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標をその題号として使用して、該WRC情報誌を平成13年2月28日当時において、少なくとも、乙第3号各証に掲げられている釧路スバル自動車株式会社、青森スバル自動車株式会社、新潟スバル自動車株式会社、静岡スバル自動車株式会社、京都スバル自動車株式会社、山陰スバル株式会社、香川スバル自動車株式会社及び福岡スバル自動車株式会社に販売したものとみるのが相当であり、該WRC情報誌は、その記事内容及び体裁からみて、商品性のある定期刊行物と認められるものである。 (3)この点について、請求人は、被請求人の使用商標は本件商標と社会通念上同一のものとはいえない旨主張している。 確かに、被請求人の使用商標は、本件商標と同一のものということはできないとしても、商標の使用は、商標を付する対象に応じて、適宜に変更を加えて使用されるのがむしろ通常であり、本件の場合も、「WRC」の文字の表現方法や「CATCH the」の文字と「WRC」の文字との位置関係等が本件商標と若干異なるとしても、そのことにより、商標の印象に格別の差異を感じさせるものとはいえず、また、使用に係る商標からは、本件商標から生ずる「キャッチザダブリュアールシー」と同一の称呼を生ずるものと認められるから、この程度の変更がなされているとしても、社会通念上同一と認識し得る範囲内の商標と認めて差し支えないものというべきである。 また、請求人は、乙第1号証のWRC情報誌は富士重工業株式会社とその関連会社に過ぎないスバル販売各社との間での取引であり、その間において取引の対象となったとしても、全国のスバル販売会社等において無償で配布されているものであって、わが国の一般市場において独立して商取引の対象として流通に供されたとはいえないから、商標法上の商品に該当しないものである旨主張している。 しかしながら、乙第2号証の「2001 CATCH the WRCモンテカルロ」発送表の写しによれば、発送先のほとんどは各スバル自動車株式会社であり、これら各スバル自動車株式会社は、富士重工業株式会社の製造に係る車の販売等を主に手掛けているという点においては、富士重工業株式会社との関連性を否定出来ないとしても、資本関係の強いいわゆる子会社等とは異なり、富士重工業株式会社とは独立した法人と推認し得るものであり、また、乙各号証及び甲各号証を徴するも、該WRC情報誌が特定の関係のある者にのみ限定して販売されていたものであると認めるに足る証拠もない。そして、上記したとおり、乙第3号各証の総括請求書には、「キャッチザWRCモンテカルロ号」の外にも、「ポスターパネル、フォレスターSTi2フロアPOP、Forester&NICOT素材CD-ROM、レガシイB4カタログ、レガシイワゴンカタログ、ブリッツエンカタログ、フォレスターカタログ、プレオカタログ、全車種カタログ・・・アンケートカードファイル、フレッシャーズフェア封書DMセット、2月3,4展告チラシ、インプレッサI’s店頭用ツール、桃太郎旗」等々数多くの商品がそれぞれの単価とともに記載されており、これらの商品は、各スバル自動車株式会社がその店頭等において、車の販売という業務遂行の際に使用する目的で、自らがそれら各商品の最終需要者の立場として購入したものとみることができるから、富士重工業株式会社とスバル販売各社との間で上記した取引が行われた段階において、乙第1号証の「WRC情報誌」も商取引の対象物として売買されたものとみるのが相当であり、本件商標も該情報誌の題号として、自他商品の識別標識としての機能を果たしていたものということができる。そして、その後、スバル販売各社により、該WRC情報誌がこれを希望する者に無償で提供されることがあったとしても、そのことにより、上述した該WRC情報誌の商標法上の商品性が否定されることにはならないものというべきである。 そうしてみると、請求人の上記各主張は、いずれも採用することができない。 (4)してみれば、以上の乙各号証により、被請求人は、通常使用権者と認められる富士重工業株式会社により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標が表示されている乙第1号証の「WRC情報誌」を釧路スバル自動車株式会社、青森スバル自動車株式会社、新潟スバル自動車株式会社等に販売したものとみるのが相当であり、該WRC情報誌は、本件商標の指定商品中の印刷物に含まれる商品と認められるものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(1)本件商標 (2)使用商標(色彩についての詳細は原本を参照されたい) |
審理終結日 | 2005-01-21 |
結審通知日 | 2005-01-24 |
審決日 | 2005-03-14 |
出願番号 | 商願平7-24137 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(016)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岡田 美加 |
特許庁審判長 |
涌井 幸一 |
特許庁審判官 |
富田 領一郎 小川 有三 |
登録日 | 1997-07-18 |
登録番号 | 商標登録第4028840号(T4028840) |
商標の称呼 | キャッチザダブリュウアアルシイ、ダブリュウアアルシイ |
代理人 | 小泉 勝義 |
代理人 | 中川 博司 |
代理人 | 矢崎 和彦 |
代理人 | 岩井 智子 |
代理人 | 松本 尚子 |
代理人 | 吉武 賢次 |
代理人 | 宮嶋 学 |
代理人 | 山田 威一郎 |