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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z09
管理番号 1119742 
審判番号 不服2001-2047 
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-15 
確定日 2005-06-08 
事件の表示 平成11年商標登録願第 61361号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「HAVI」の文字を標準文字で書してなり、第9類「電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,遊園地用機械器具,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品とし、パリ条約に基づくオランダ国を最初の出願(1999年1月22日)とする優先権の主張をして、平成11年7月8日に登録出願されたものであるが、指定商品については、同12年10月2日付け手続補正書で「HAViに対応したインターフェイス,HAViに対応したインターフェイスを内蔵したセットトップボックス・ビデオレコーダー・(デジタル)カメラ・コンパクトディスクプレーヤー・ミニディスクプレーヤー・DVDプレーヤー・モデム・(デジタル)テレビジョン受信機・モニター・電話機及びテレビ電話機・家庭用テレビゲームおもちゃ・コンピュータ・コンピュータ周辺機器,前記商品をHAViに対応させるためのプログラムを記憶させたソフトウェアプログラム」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「HAVI」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、大手家電メーカー8社が提唱する家庭内ネットワーク対応AV機器のための仕様として策定した技術(規格)である「Home Audio/Video interoperability」の略称である「HAVi」と大文字と小文字の違いがあるものの、上記「Home Audio/Video interoperability」の略称を容易に理解させるものであるから、本願商標を補正後の商品について使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

第3 当審の判断
1 「HAVi」又はその片仮名表記である「ハビ」の語について、職権で行った証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(1)「日経パソコン用語事典2004年版」(日経BP社、2003年9月16日初版第一刷発行)の「HAVi ハビ;home audio/video interoperability」の項(182頁)に、「メーカーが異なるデジタルAV機器間や、パソコンとデジタルAV機器間の相互接続、相互操作を可能にすることを目指して策定された規格。独グルンディヒ、日立製作所、松下電器産業、オランダのフィリップス、シャープ、ソニー、東芝、仏トムソン・マルチメディアの日欧8社が基本仕様を1998年5月に策定した。」との記載がある。
(2)「現代用語の基礎知識2001」(878頁、株式会社自由国民社発行)に、「主に家庭用AV機器のネットワーク化を実現するための規格。IEEE1394をベースに、つながっている各機器をリモコンひとつで全部動かせるようになる。日本・ヨーロッパの家電メーカー八社により推進母体として『HAVi推進協会』が設立されている。」との記載がある。
(3)1999年1月20日付け日本経済新聞(朝刊、11頁)には、「ソニー、フィリップス、サン、家電ネット技術で提携。」の見出しのもと、「ソニーとオランダのフィリップス、米サン・マイクロシステムズは家電ネットワークソフトの開発で提携した。ソニー、フィリップスが持つ家電同士を接続して操作できるソフト仕様『HAVi(ハビ)』を、電話回線やインターネット経由で遠隔地の情報機器を操作できるサンの技術『Jini(ジニー)』に対応させる。・・ハビは松下電器産業、日立製作所を含む日欧八社が策定し、対応製品を開発中。この仕様に従った機器を相互に接続すれば、例えばパソコンやテレビからVTRを操作できるようになる。・・今後の共同開発では、ハビ対応の家電機器がジニーを使った遠隔操作やソフト配信を利用できるようにする計画。」との記載がある。
(4)1999年2月19日付け日経産業新聞(9頁)には、「家庭内ネット技術で3社提携、Jini・HAVi 機器接続、より柔軟に。」の見出しのもと、「ソニーやとフィリップスなどが推進するAV機器向けのミドルウエア『HAVi(ハビ)』と、サンが開発した情報機器向けのミドルウエア『Jini(ジニー)』を接続、相互にデータをやり取りできる技術の開発を目指す。ハビにジニー対応のパソコンなどを接続することが可能になり、デジタル家電時代を控えたネットワークの相互乗り入れ合意をいえる。ハビの正式名は『ホーム・オーディオ・ビデオ・インターオペラビリティ』。・・異なるメーカーのAV機器を通信回線で結び、画像、音声を送ったり操作できるようになる。」との記載がある。
(5)1999年3月9日付け読売新聞(東京夕刊、5頁)には、「[パソコンNOW]家電をネットワーク化 AV機器、冷蔵庫、電話つなぎ便利に」の見出しのもと、「・・昨年末、ソニーや松下電器、フィリップスなど世界の大手家電メーカー8社が、共通のネットワーク規格『HAVi(ハビ)』を開発した。HAViは『家庭内音声映像相互運用性』の頭文字の略だ。『ハビ』対応の機器には、『iリンク』や『IEEE1394』と呼ばれる規格の接続端子がある。ここにケーブルを差し込んで、他の機器と数珠つなぎにするだけで、簡単にネットワークができる。細いケーブルを、1秒間に最高400メガ・ビットものデジタル信号が流れるため、音声や映像、さらに制御信号までが一緒に伝達できる訳だ。・・シャープは『ジニー』対応の携帯情報端末『ザウルス』を秋に発売することを明らかにしており、今後は『ハビ』対応のAV機器、『ジニー』対応の家電製品が、店頭に並ぶことになりそうだ。」との記載がある。
(6)2001年2月23日付け日刊工業新聞(13頁)には、「HAVi推進協会、富士通など6社が参加」の見出しのもと、「HAVi推進協会は22日、新たに富士通、コニカ、米テキサス・インスツルメンツなど6社が会員に加わったと発表した。これで企業や大学、研究機関の会員総数は47となった。HAVi(ハビ)は、IEEE1394規格を利用した家庭内ネットワーク規格で、フィリップス、ソニー、松下電器産業など内外の家電8社が共同で推進している。」との記載がある。
(7)2002年7月30日付け日経産業新聞(9頁)には、「安川情報システム、『HAVi』対応アプリ開発、デバッグ機能で期間半分。」の見出しのもと、「安川電機のソフトウエア開発子会社、安川情報システムは、デジタルAV(音響・映像)機器接続の共通規格である『HAVi』に対応するアプリケーション開発用のソフトウエアを開発した。・・▼HAVi ホーム・オーディオ・ビデオ・インターオペラビリティーの略。家庭内のデジタルAV(音響・映像)機器を有線でつなぐための国際規格。一九九八年にソニーやオランダのフィリップスなど日欧の家電会社八社が提唱。現在、三菱電機や韓国のサムスン電子など五十以上の企業や団体が賛同している。」との記載がある。
2 前記1で認定した事実によれば、「HAVi」又はその片仮名表記である「ハビ」の語は、請求人を含む日欧の家電会社8社が提唱した「家庭用AV機器のネットワークを実現するための規格」を意味する「Home Audio/Video interoperability」の略語を表すものとして、電気通信機械器具、電子応用機械器具等の機械器具関連の分野において使用され、その需要者の間に広く認識されているものとみるが相当である。
ところで、本願商標は、前記のとおり、「HAVI」の文字を標準文字で書してなるものであるところ、該文字が「家庭用AV機器のネットワークを実現するための規格」を意味する「Home Audio/Video interoperability」の略語として普通に使用されている事実はないとしても、該略語を表す「HAVi」とは、末尾における「I」が小文字ではなく大文字で表されている点に差異を有するにすぎないものである。しかも、本願商標を構成する「HAVI」の文字は、これを「ハビ」と読むことに何ら妨げとなる事情も存在しない。
そうすると、「HAVI」の文字よりなる本願商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者が該商品について、「HAVi(ハビ)」に対応する機能を備えた商品との意味合いをもって、商品の品質、機能等を表示したものと認識し、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得る商標を表したものと理解し得ないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわなければならない。
3 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、「HAVi」又はその片仮名表記である「ハビ」の語が「家庭用AV機器のネットワークを実現するための規格」を意味する「Home Audio/Video interope rability」の略語であること、該略語は電気通信機械器具、電子応用機械器具の範疇に属する本願商標の指定商品について使用されるものであること、「HAVi」は、1998年5月より請求人を含む日欧8社が策定した規格であることを認めた上で、証拠調べで示した証拠は、「HAVi」の使用主体が請求人であることをその需要者に広く認識されている事実を証明するものであること、本願商標と上記規格の略称を表す「HAVi」とは、末尾の文字部分において大文字と小文字の差異は有するものの、需要者は該略語を表したと理解するから、同一の範囲を出ないものであることなどからすると、本願商標は、その指定商品について使用された結果、請求人の取扱いに係るものとして需要者の間に広く認識されているから、商標法第3条第2項の適用を受けることができ、登録されるべきである旨主張し、甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。
しかしながら、前記認定のとおり、「HAVi」又はその片仮名表記である「ハビ」の語は、請求人を含む日欧の家電会社8社が提唱した「家庭用AV機器のネットワークを実現するための規格」を意味する「Home Audio/Video interoperability」の略語を表すものとして、電気通信機械器具、電子応用機械器具等の機械器具関連の分野において使用され、その需要者の間に広く認識されているものであり、需要者は、該「HAVi」又は「ハビ」の語から、上記意味を直ちに理解するものであること、該「HAVi」又は「ハビ」の語が請求人のみによって使用されているという事実は見出せないこと及び本願商標を構成する「HAVI」が上記略語を表すものとして請求人に使用されている事実は存しないことを総合勘案すれば、本願商標は、使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品を表示するものとして認識するに至ったものと認めることは困難であるといわざるを得ない。
4 むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-01-06 
結審通知日 2005-01-12 
審決日 2005-01-25 
出願番号 商願平11-61361 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 三男 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 内山 進
津金 純子
商標の称呼 ハビ 
代理人 津軽 進 
代理人 宮崎 昭彦 

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