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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 105
管理番号 1119711 
審判番号 取消2004-30523 
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-08-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-04-16 
確定日 2005-05-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第2427384号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2427384号商標(以下「本件商標」という。)は、平成元年9月26日に登録出願、「アイスクール」の片仮名文字を横書きしてなり、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、同4年6月30日に設定登録されたものである。なお、指定商品については、その後、平成15年2月12日に指定商品の書換登録により、第1類「化学品,植物成長調整剤類,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」及び第10類「おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。)」となっている。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録は指定商品中、第1類「植物成長調整剤類」及び第5類「薬剤」について取消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1.請求の理由
請求人は、本件請求に係る商標登録の商標権者について、その業務内容、取扱商品の範囲、そして特に本件商標の使用の状況について、インターネット上の検索サイトによる検索の他、同社の取引先に対する照会等を含め鋭意詳細に調査を実行したが、第1類「植物成長調整剤類」及び第5類「薬剤」に関する限り、本件商標が使用されたことを示す資料を発見することが出来なかった。
よって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者(又は通常使用権者)によって、請求に係る上記の指定商品については一度も使用された事実が存在せず、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、本件商標は「運動時の打撲や捻挫に対して応急的に患部を冷却するためのスプレー」について使用しており、化学品としての「スプレー」であるとともに、その効能により「冷却剤」とも認識されるものであるとして、第5類「薬剤」に属すると主張しているが、化学品としての「スプレー」であるとともに、「冷却剤」とも認識されるというのであるから、「薬剤」ではないことを自認しているようにみられ、さらに「薬剤」に属すると主張するのは理解し難い。
また、「冷却剤」が必ずしも「薬剤」に該当するわけではない。例えば、「乗物のエンジン用冷却剤」は第1類「化学品」に属し、「冷却作用を有する日焼けクリーム」は第3類「化粧品」に、また、発熱時の幼児に適用する「保冷用のシート」は第11類「化学物質を充填した保温保冷具」に該当するが如くである。
上記にも関わらず、提出された書証のいずれにおいても、被請求人は、他社の商品を引用しているものの、被請求人自身の商品に関して、負傷した患部を薬理的に治療する商品であること、即ち「薬剤」に該当することを示すものはない。
(2)被請求人は、乙第2号証について、裏表紙に「表示の仕様・カラー・価格などは2004年1月現在のものです。」と記載されているのを根拠に、このカタログが2004年1月には制作配布されていたと主張するが、この種の文書においては、過去の一時点における価格を表示するのが通常と考えられるから、このような記載から「2004年1月には制作配布されていた」という判断はできるものではなく、他に現実の頒布時期を証明する資料は提出されていない。
また、乙第4号証の各納品書は、いずれも日付の記載欄が二桁になっており、「04」の記載により「平成4年」に作成されたものではないかとの疑いを禁じえない。
(3)結局、被請求人の提出した各書証によっては、本件商標が「薬剤」について使用されたことを立証するものではないと言わざるを得ない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証(枝番を含む。)を提出した。
被請求人は、フィットネス、スポーツ用品の輸入販売を主要な事業内容とするものであり、特に、トレーニングマシンメーカーの世界トップブランドであるCYBEX社の日本総代理店として高い信頼を得ている。
本件商標「アイスクール」は、被請求人が販売する商品「運動時の打撲や捻挫に対して応急的に患部を冷却するためのスプレー」の商標として、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用をしているものである(乙第2号証、乙第3号証及び乙第4号証の1ないし6)。
被請求人は、当該「アイスクール」商品を平成2年(1990年)から販売しており、現在では、乙第4号証の1ないし6として提出された納品伝票記載のヤバネスポーツ(株)、(株)イモト、ダイヤ工業(株)等の他に、ときわスポーツ等の全国的に店舗展開をしている大手スポーツ用品販売店、その他のスポーツ用品販売店、おおよそ1000店舗において販売がされているものである。
なお、当該商品は、プロ野球その他のスポーツテレビ中継で良く目にするように(例えば、野球のデッドボールの際に、打撲箇所にスプレーする商品)、広く一般に使用されているものであり、原材料は、「LPG」(液化石油ガス)を用いている。この商品の説明としては、例えば、ソニー企業株式会社では、商品名として「スポーツ用冷却スプレー」若しくは「スポーツ用コールドスプレー」を用いて説明しており(乙第5号証)、(株)ムトーエンプライズは、「冷却スプレー」と説明をしており(乙第6号証)、また、スポーツ医科学センターは、「スプレー式瞬間冷却剤」と説明をしている(乙第7号証)。
被請求人は、商標としては「アイスクール」を使用しているが、商品名として「コールドスプレー」を用いている。すなわち、化学品の「スプレー」であると共に、その効能により「冷却剤」とも認識されているものである。
したがって、当該商品が第5類「薬剤」に属するものであることは明らかであるから、商標法第50条第1項により、本件商標を取消すべきとの請求人の主張には根拠がない。

第4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(a)乙第2号証は、被請求人の発行に係る「2004年スポーツグッズカタログ/SPORTS GOODS CATALOG」と題する製品カタログであり、その14頁には、「アイスクール(コールドスプレー)」の商品とともに、同種の商品と認められる「ウルトラクール(コールドスプレー)」の商品が記載されており、その商品の下部には、「コールドスプレーの定番!!強力な冷却力を発揮し、ユニフォームやソックスの上からでもすばらしく確実に冷却します。」と記載されている。
(b)乙第3号証は、乙第2号証に掲載されている「アイスクール(コールドスプレー)」の拡大写真であり、「コールドスプレー」、「ICECOOL/アイスクール」、「INSTANT COOL SPRAY」、「BODY SURFACE COOLANT」の各文字が記載されており、使用時の注意書きの欄には「長時間連続的に吹き付けると凍傷をおこすことがありますので同一箇所に連続して1秒以上吹き付けないでください。・・・」等と記載され、発売元の欄には被請求人である「株式会社 メッカ」の記載が認められる。
(c)乙第4号証の1ないし6は、いずれも納品書(控)であり、同号証の1は、04年02月23日付で(株)イレブン宛に「#603 コールドスプレー 12本」を納品した際のものであり、同号証の2は、04年02月24日付でダイヤ工業(株)宛に「#603 コールドスプレー 24本」等を納品した際のものであり、その他の書証も、04年02月24日ないし04年02月27日付で、ヤバネスポーツ(株)、(株)駿河スポーツ・清水、(株)イモト及びダイヤ工業(株)宛に、それぞれ「#603 コールドスプレー」等を納品した際のものと認められる。そして、納品書に記載されている「#603」の表示は、乙第2号証の製品カタログに表示されている「アイスクール(コールドスプレー)」のコード表示と一致している。
(2)上記において認定した事実を総合すると、被請求人は、本件審判の請求の登録日(平成16年5月11日)前3年以内には、既に制作・配布されていたものと推認し得る「2004年スポーツグッズカタログ/SPORTS GOODS CATALOG」と題する製品カタログを用いて、本件商標を付した「コールドスプレー」と称する打撲や捻挫等の際に応急処置として消炎目的で用いられるスプレー式瞬間冷却剤を2004年2月24日ないし同年2月27日にかけて、ダイヤ工業(株)等に対して販売していたものと認めることができる。そして、当該スプレー式瞬間冷却剤は、本件取消請求に係る第5類「薬剤」の範疇に属する商品と認められるものである。
(3)この点について、請求人は、上記商品は第5類「薬剤」に属する商品ではない旨主張している。
しかしながら、商標法における商品の分類は、出願人の便宜及び審査の便宜等を図る見地から定められているものであるが、商品によっては、いずれの商品群に属するかについて、判断が極めて困難な商品も存するのが実情であり、現に取引の対象となっている商品がいずれの指定商品の範疇に属するかは、商品の使用目的や取引の実情等をも総合勘案して判断されるべきものである。
しかして、被請求人の使用に係る商品は、上述したとおり、その製品カタログには、同種の商品について「強力な冷却力を発揮し、ユニフォームやソックスの上からでもすばらしく確実に冷却します。」と記載されており、また、乙第3号証の商品の拡大写真には、「INSTANT COOL SPRAY」や「BODY SURFACE COOLANT」の表示も認められる。
そして、取引の実情をみるに、ソニー企業株式会社の発行に係る商品カタログ(乙第5号証)によれば、「捻挫、肉ばなれ、打撲に対する応急処置」の項目の中で「スポーツ用冷却スプレー」を紹介しており、株式会社ムトーエンプライズの発行に係る商品カタログ(乙第6号証)によれば、「緊急時の定番スプレー&コールドパック」の表題のもとに、「Super Coolant」として、「打撲や捻挫に効果的な冷却スプレー」と説明している。更に、スポーツ医科学センターの発行に係る商品カタログ(乙第7号証)によれば、「応急処置に最適な用品を選びたい」の表題のもとに、「突然のアクシデントには、的確で素早い応急処置が重要です。いざという時に適切な対応ができるだけでなく、受傷によって引き起こされる二次傷害や、他の部位への影響を最小限にくい止めます。」との説明の中で「コールドスプレー」として、「スプレー式瞬間冷却剤」を紹介している。
加えて、審査例をみても、「打撲・捻挫等の応急処置及び筋肉のほてりをとるために用いるスプレー式の瞬間冷却剤」は、第5類の「薬剤」に属する商品として登録されている状況にある(例えば、登録第4346432号、登録第4446910号参照)。
そうとすれば、被請求人の使用に係る商品は、打撲や捻挫等の際に応急的に消炎目的で患部を冷却するために用いられる商品と認められるものであるから、その使用目的や効能及び取引の実情を総合してみれば、第5類の「薬剤」の範疇に属する商品とみるのが相当である。
また、請求人は、乙第2号証のカタログの裏表紙に「表示の仕様・カラー・価格などは2004年1月現在のものです。」と記載されているからといって、当該カタログが2004年1月には制作配布されていたという判断はできず、乙第4号証の各納品書は、いずれも日付の記載欄が二桁になっており、「04」の記載は「平成4年」に作成されたものではないかとの疑いを禁じえない旨主張している。
しかしながら、乙第2号証のカタログは、その表題が「2004年スポーツグッズカタログ」となっており、2004年に使用するためのカタログであるから、2004年1月の時点において配布されていなかったとしても、遅くも、年央近くである本件審判の請求の予告登録日(平成16年5月11日)頃までには、制作・配布されていたものとみるのが自然である。また、納品書の日付の年を示す表示欄には「04」と表示されているが、最近は西暦表示を用いることも少なくない実情にあり、加えて、各納品書に記載されている消費税額をみると、いずれも原価金額の5%であることが認められ、消費税率が5%になったのは、平成9年4月1日からであることからみれば、当該「04」の表示が平成4年でないことは明らかであり、西暦表示の2004年を表しているものというべきである。
そうしてみると、請求人の上記各主張は、いずれも採用することができない。
(4)以上によれば、被請求人は、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件取消請求に係る指定商品中、第5類「薬剤」について使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、本件審判の取消請求に係る指定商品について、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-04-04 
結審通知日 2005-04-07 
審決日 2005-04-19 
出願番号 商願平1-108888 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (105)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 欽五渡邉 健司 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 小川 有三
富田 領一郎
登録日 1992-06-30 
登録番号 商標登録第2427384号(T2427384) 
商標の称呼 アイスクール、アイス 
代理人 苫米地 正敏 
代理人 梅村 莞爾 

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