ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部無効 観念類似 無効としない Y30 審判 一部無効 称呼類似 無効としない Y30 審判 一部無効 外観類似 無効としない Y30 |
---|---|
管理番号 | 1119635 |
審判番号 | 無効2004-89081 |
総通号数 | 68 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-08-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-09-27 |
確定日 | 2005-06-20 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4744881号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4744881号商標(以下「本件商標」という。)は、「禄豊龍」の文字を標準文字で表してなり、平成15年5月28日に登録出願、第30類「食酢,その他の調味料,食酢を主原料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品,コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、同16年1月30日に設定登録されたものである。 2 請求人の引用する商標 請求人が本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第4643964号商標(以下「引用商標」という。)は、「禄豊香酢」の文字を標準文字で表してなり、平成14年4月15日に登録出願、第30類「食酢,酢の素,食酢を原材料とした粉末状・顆粒状・カプセル状・タブレット状・ゼリー状又は液状の加工食品」を指定商品として、同15年2月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中の「食酢,その他の調味料,食酢を主原料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」についての登録を無効とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第8号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)取引の実情について 近年、わが国においても健康志向の高まりにより、健康に良いと評価される種々の食品が注目されてきており、香酢もその一つである。 香酢は、400年あまりも昔から中国において食用されているものであり、雲南省、江蘇省、山西省がその産地として中国国内でも有名である。そして、その雲南省産中でも禄豊所在の「禄豊香醋廠」製造に係る「禄豊香酢」が雲南省名品100選にも選ばれ、その優位性は群を抜くものである。 請求人は、「禄豊香醋廠」と独占契約を結び、日本でその「禄豊香醋廠」製造に係る香酢、即ち「禄豊香酢」を輸入・販売し、かつ、「禄豊香醋廠」の了解を得て、「禄豊香酢」の商標権をも取得し、日本での販売活動に力を入れてきたものである。 その商業活動の地道な積重ねにより、例えば、インターネットで見るだけでもざっと100以上のものが出てくるが、いずれも請求人を通じ流通した商品のみである。即ち、香酢関連で「禄豊香酢」の商標の使用は、請求人から流出した商品のみに使用されるというはっきりとした秩序が確立されているのは明らかである。従って、長年の使用により、香酢で禄豊といえば禄豊香酢以外のものが無く、禄豊香酢の略称として確立していると言える。 然るに、被請求人は、「禄豊香醋廠」とは全く無縁の法人であって、契約上、「禄豊香酢」は扱えないものである。 してみると、本件商標「禄豊龍」を指定商品「香酢又は香酢を含む加工食品」に使用した場合は、香酢と禄豊との相関が強烈であるから、中国雲南省禄豊特産の「禄豊香酢」と何らかの関連があると消費者に誤解を招くおそれが極めて強いものであって、香酢関係の商品において確立している流通秩序を乱すおそれが非常に高いものである。 そして、引用商標「禄豊香酢」は、「香酢」が普通名称であることから、「禄豊」にその主要部分があるのは言うまでもないところである。これは、甲第2号証(商標登録第4643964号公報)の称呼の中に「ロクホー」が認められていることからも明らかである。 (2)商標法第4条第1項第11号について 引用商標「禄豊香酢」は、上記した理由により、「禄豊」に類似する。そして、引用商標「禄豊香酢」と本件商標「禄豊龍」は、香酢が普通名称であることから、「禄豊」がその主要部分であることに疑いの余地はない。従って、多少の付加部分があっても、主要部分が類似である以上、両者は類似するものである。 そして、本件商標の指定商品中「食酢,その他の調味料,食酢を主原料とする粉末状・錠剤状・頼粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」には香酢が含まれることは明らかであるから、上記商品と引用商標の指定商品とは類似するものである。 先例を示すと、例えば,「ダイヤトーキョー」が「ダイヤモンド」に類似すると判断された先例(審判39一1025号審決:甲第4号証)があり、「ダイヤモンド」を「禄豊香酢」に、「ダイヤトーキョー」を「禄豊龍」に置き換えることが出来ると思料する。 このように、香酢に関して、請求人らは大きな労力を費やして「禄豊香酢」を販売し、世に知らしめてきたものであり、「禄豊香酢」は、香酢関連商品に関しては、請求人ら以外の商品は知られていないものである。 したがって、「禄豊龍」が香酢関連商品に使用されれば、明らかに、請求人と関連のある出所の製品であるとの誤解を招き、紛らわしいことが極めて明らかである。 以上のとおり、本件商標の指定商品中、「食酢,その他の調味料,食酢を主原料とする粉末状・錠剤状・頬粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」に関して、「禄豊龍」は、商標法第4条第1項第11号により登録を受けることができないものであり、同法第46条第1項に該当し、本件商標は無効とされるべきものである。 4 被請求人の答弁 被請求人は、何ら答弁していない。 5 当審の判断 本件商標は、前記したとおりの構成からなるところ、これを構成する各文字は、外観上まとまりよく一体的に表現されており、「禄豊」と「龍」の文字との間に特に軽重の差はなく、これより生ずる「ロクホウリュウ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。また、例え、構成中の「禄豊」の文字が食酢との関係において、禄豊香醋廠製造に係る「禄豊香酢」を想起させる場合があるとしても、「禄豊」の文字は、一義的に、中国雲南省禄豊県を表すものであるから、「禄豊」の文字と他の文字とが一連に書されている場合においては、「禄豊」の文字部分のみが独立して把握、認識されることはないものとみるのが自然である。 そして、他に、「禄豊龍」の文字から「禄豊」の文字部分が分離抽出できる特段の事情は見出せない。 そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体が不可分一体の商標として認識されるものというべきであるから、該構成文字全体に相応して「ロクホウリュウ」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当である。 他方、引用商標は、前記表示のとおり、「禄豊香酢」の文字を標準文字で表してなるところ、請求人(出願人)は、引用商標の審査段階における商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の拒絶理由通知に対して、平成14年12月24日付けの上申書で意見を述べているが、その要旨は、「禄豊香酢」といえば禄豊香醋廠の香酢として特定され、該文字全体をもって自他商品識別標識としての機能を有するものであるとしている。 とすれば、登録査定を獲得した審査経過を考慮すると、引用商標は、その構成文字全体をもって、自他商品識別標識機能を果たすものというべきであるから、該構成文字に相応して「ロクホウコウズ」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当である。 そこで、本件商標から生ずる「ロクホウリュウ」の称呼と引用商標から生ずる「ロクホウコウズ」の称呼とを比較するに、この両称呼は、前半部分において「ロクホウ」の音を共通にするとしても、後半部分において、全く別異な音構成からなる「リュウ」と「コウズ」の差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するも、全体の語調・語感を異にし、互いに明瞭に聴別し得る差異を有するものと認められる(念のために、請求人の主張に沿って、引用商標構成中の「香酢」の文字部分を商品の品質を表したものと理解したとしても、その場合において、引用商標から生ずる称呼は「ロクホウ」の称呼であるから、本件商標より生ずる「ロクホウリュウ」の称呼とは、「リュウ」の音の有無という顕著な差異を有し、両者は、称呼上互いに紛れるおそれはないものといわなければならない。)。 次に、両商標の観念についてみるに、請求人の提出に係る甲第5号証(「禄豊」をキーワードにしたヤフーの検索結果)によれば、「禄豊」の語については、禄豊香酢についての紹介記事が検索されるばかりでなく、例えば、「禄豊県は恐竜の故郷と言われ・・・」、「最大級の恐竜発掘地である雲南省禄豊県・・・」、「恐竜の起源の要所ともいわれる雲南省禄豊・・・」、「禄豊恐竜博物館・・・」等々と表示されているように、「禄豊恐竜」についての紹介記事も数多く検索されている事実を認めることができる。 加えるに、「禄豊竜(龍)」については、例えば、甲第5号証の記事中の「驚異の大恐竜博」の詳細な記事中には、「中国語では禄豊竜。ルーフェンゴサウルスという。」(http://www.kyoryu.jp/highlight03_01.html)との表示もある。 そうとすれば、両商標は、語義上、特定の観念を有するものではないとしても、本件商標からは「禄豊の龍(竜)」の如き一体的な意味合いを想起させるものであり、引用商標からは「禄豊の香酢」の如き意味合いを想起させるものであるから、両商標から想起し得る意味合い(観念)の点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 更に、外観の点についてみるに、前記したとおり、両商標は「禄豊」の文字部分を共通にするとしても、本件商標の後半部分は「龍」の文字からなり、引用商標の後半部分は「香酢」の文字からなるものであって、いずれも一連一体に構成され、一体不可分の商標として認識されるものというべきであるから、両商標の外観は、明らかに区別し得る差異を有するものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 なお、請求人は、審決例を挙げて主張するところあるが、それらの審決で争点となっている商標は、いずれも、本件商標とは商標の構成を異にし、事案を異にするものであるから、本件における上記判断を左右することにはならない。また、請求人は、引用商標の商標公報には「ロクホー」の称呼も掲載されている旨主張しているが、商標公報に掲載されている称呼は、参考情報と括弧書きされているように、称呼検索の便宜をも考慮して、広範にわたる称呼が採録されているものであり、あくまでも参考情報としての位置付けのものであって、これをもって、当該商標の称呼が特定されるという性質のものではない。 したがって、本件商標の指定商品中、「食酢,その他の調味料,食酢を主原料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-04-22 |
結審通知日 | 2005-04-26 |
審決日 | 2005-05-10 |
出願番号 | 商願2003-43723(T2003-43723) |
審決分類 |
T
1
12・
262-
Y
(Y30)
T 1 12・ 261- Y (Y30) T 1 12・ 263- Y (Y30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 斎 |
特許庁審判長 |
佐藤 正雄 |
特許庁審判官 |
山本 良廣 宮川 久成 |
登録日 | 2004-01-30 |
登録番号 | 商標登録第4744881号(T4744881) |
商標の称呼 | ロクホーリュー |
代理人 | 小堀 益 |