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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 024
管理番号 1118347 
審判番号 審判1999-2809 
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-02-22 
確定日 2005-05-25 
事件の表示 平成 5年商標登録願第 8067号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲(1)に示した構成よりなり、第24類「織物(畳べり地を除く。),布製身の回り品,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」を指定商品として、平成5年1月28日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の『ザ ポロ ローレン カンパニー』が商品『被服』等に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標『ポロプレーヤーの図形(例えば、登録第2691725号商標)』とその構成の軌を一にする図形を含むものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社或いはこれと何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、その出願を拒絶したものである。

第3 請求人の主張の要点
請求人は、本願商標は登録されるべきであるとして要旨以下のとおり述べ、証拠方法として第1号証ないし第156号証を提出している。
1.ポロプレーヤーの図形、及び「POLO/ポロ」の文字を含む商標が多数併存して登録されている事実があり、市場においても取引者、需要者は、それぞれ出所が異なる商品として認識しており、本願商標をその指定商品について使用しても、ラルフ・ローレンの「Polo」、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」と、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがないから、本願商標は登録されるべきである。
2.「POLO LEAGUE/ポロリーグ」の文字よりなる商標が、過去において旧17類、旧21類及び旧22類で登録を受け、請求人は長年使用しているが、ラルフ・ローレンの「POLO」とはもちろんのこと、他の「POLO/ポロ」の文字を含む登録商標とも出所の混同を生じたというようなことはかつてない。
3.本願商標は、「POLO LEAGUE」とポロプレーヤーの図形を組み合わせてなるものであって、前記したように、「POLO LEAGUE/ポロリーグ」の文字よりなる商標が過去に適法に登録された事実、これら登録商標を長年使用してきた事実、並びに本願商標とラルフ・ローレンの「POLO」及びポロプレーヤーの図形との間には、「POLO/ポロ」の結合態様及びにポロプレーヤーの図形の態様の相違があるから、ラルフ・ローレンの「POLO」及びポロプレーヤーの図形と出所の混同を生ずることはない。

第4 当審の判断
1.当審における職権証拠調べ通知
当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章に関して行った職権による証拠調べによリ、以下の事実を発見したので、その旨を請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
(1)株式会社講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング 昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」の記載によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、かばんなどのデザインをはじめ、紳士物全般に拡大し、1971年には婦人服の分野にも進出した。1970年と1973年には、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を受賞し、1974年に、映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
ラルフ・ローレンのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「POLO」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字、及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章が使用され、これらは単に「ポロ」と略称されて紹介されていた。
(2)株式会社洋品界 昭和55年4月15日発行「月刊『アパレルファッション店』別冊、1980年版『海外ファッション・ブランド総覧』」、株式会社アパレルファッション 昭和57年1月10日発行「月刊アパレルファッション2月号別冊 海外ファッション・ブランド総覧」の「ポロ/POLO」の項、及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から「Polo」の文字よりなる標章をはじめ、「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字、及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章などの使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、販売をしたことが認められる。
(3)前出「男の一流品大図鑑」、「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」をはじめ、株式会社講談社 昭和55年1月20日発行「男の一流品大図鑑’81」、同社 昭和55年11月15日発行「世界の一流品大図鑑’80年版」、同社 昭和56年6月20日発行「世界の一流品大図鑑’81年版」、株式会社チャネラー 昭和53年9月20日発行「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑’80年版」等によれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士用品について、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題のもとに紹介されていることが認めらる。
(4)ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される標章を模倣した、偽物ブランド商品が市場に出回っている事実も少なくない。
例えば、1989年5月19日付朝日新聞には、「昨年二月ごろから、米国の『ザ・ローレン・カンパニー』社の・・・『Polo』の商標と、乗馬の人がポロ競技をしているマークをつけたポロシャツを・・・売っていた疑い。」なる記事が掲載された。また、1992年9月23日付読売新聞(東京版)、1993年10月13日付読売新聞(大阪版)、1999年9月9日付日本経済新聞等にも同様の記事が掲載された。
(5)「Polo」標章に関し、判決においても「我が国において、遅くとも本件商標の登録出願がされた昭和59年までには、既に引用標章(Polo)がラルフ・ローレンのデザインに係る被服等及び眼鏡製品を表す標章であるとの認識が広く需要者及び取引関係者の間に確立していたものということができる。」旨認定している(東京高等裁判所 平成2年(行ケ)第183号〔商標 Polo Club〕平成3年7月11日判決言渡)。そのほか、東京高等裁判所 平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日判決言渡)、平成11年(行ケ)第268号、同第289号(以上平成11年12月21日判決言渡)、平成12年(行ケ)第5号(平成12年9月28日判決言渡)等々、ラルフ・ローレンの「POLO」ないし「Polo」標章の著名性を認定した一連の判決が存在する。
(6)上記(1)ないし(5)で認定した事実を総合すれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章は、我が国において、単に「Polo」、「ポロ」と略称され、その略称は、本願商標の登録出願前には、既に我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものであり、その認識の度合いは現在においても継続しているものと認めることができる。
(7)また、シャディサラダ館本部発行「シャディサラダ館 ギフトライフ’93〜’94 FALL & WINTER」、MITSUKOSHI 新宿発行「三越のお中元 1997年、夏」、西武百貨店発行「ご返礼品のしおり 2000〜2001 西武百貨店」等によれば、本願の指定商品に含まれるハンカチ・タオル等布製身の回り品、布団、敷布、布団カバー、枕カバー、毛布、カーテンなどの商品に関して、被服等のデザイナーとして著名なデザイナーがデザインした商品に当該デザイナーの名前等を付し、これをブランドとした商品が市場に多数出回っている実情にあり、ラルフ・ローレンの扱った商品も多数存在することが認められる。
なお、本件と関連する判決として、以下の事例が挙げられる。
本願商標と構成をやや異にするが、本願商標と同一の図形部分を左に、その右に「POLOLEAGUE」の欧文字を横書きしてなる商標について、請求人は、第25類及び第24類に属する商品を指定して出願(商願平4-321964及び商願平5-8069)したところ、商標法第4条第1項第15号により拒絶査定がなされ、これに対して、審判請求(前者は平成10年審判第19751号、後者は平成11年審判第2810号)を行った。
そして、上記審判請求についての拒絶審決に対し、東京高等裁判所に出訴(前者は平成12年行ケ第5号、後者は平成12年行ケ第6号)され、前者については、平成13年2月15日付けで請求棄却の判決がなされ、また、後者については審決は取り消されたが(手続違背)、何れも最終的には「ラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する商品であるかの如き商品の出所について誤認を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。」とした拒絶審決が確定している。
2.請求人の意見
上記証拠調べ通知に対し、請求人は、指定された期間内に何ら意見を述べるところがない。
3.本願商標及びその指定商品について
(1)本願商標は、別掲(1)に示したとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中に、前記1.(6)で認定したラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、婦人服等の被服などについて使用され、我が国においても取引者、需要者の間に広く認識されている標章と同一綴り文字よりなる「POLO」の文字を有しているものである。
さらに、その図形部分も、頭部を左に向け、前を向いて前足を上げた馬にポロプレイヤーが乗り、マレットを振り上げているという点において、ラルフ・ローレンの著名な馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形とその構成において極めて近似するものであり、いずれの図形も、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」という印象を与えるものである。
(2)本願の指定商品は、主として、織物、家庭用の織物製カバー製品をまとめた商品区分であるところ、織物は、被服等の原材料となるものであり、また、ハンカチ・タオル等布製身の回り品は、ファッション性の強いアクセサリー的要素を持つものであり、被服等と統一されたブランド名のもとで、同一のファッションメーカーより製造、販売される場合が少なくなく、また、ハンカチ・タオル等布製身の回り品をはじめ、敷布・布団カバー・枕カバー・カーテン・テーブル掛けなどにあっては、近時、一種ファッション性を持たせ、被服等で著名なデザイナーがデザインし、そのデザイナーの名前をブランドとした商品が市場に出回っている例が極めて多いことは、前記1(7)で示したとおりである。
4.商品の出所の混同について
前記で認定した事情よりすれば、本願商標をその指定商品について使用した場合は、これに接する取引者、需要者は、「POLO」の文字部分及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形部分に強く印象付けられ、「Polo(ないし「POLO」)」、「ポロ」とも呼ばれるラルフ・ローレンのブランドを連想、想起することは明らかであり、該商品が「Polo(ないし「POLO」)」(ポロ)のブランドの一種、ないし兄弟ブランドであるとの誤解を生ずるか、あるいはラルフ・ローレン、もしくはその関連会社と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように認識する蓋然性が極めて高いというべきである。
したがって、本願商標は、これをその指定商品について使用するときは、ラルフ・ローレンの「Polo(ないし「POLO」)」(ポロ)標章を使用した商品との間に、出所の混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
5.以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同条項により本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべきかぎりでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)本願商標



審理終結日 2005-03-16 
結審通知日 2005-03-25 
審決日 2005-04-05 
出願番号 商願平5-8067 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (024)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 正雄 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 岩崎 良子
小林 薫
商標の称呼 ポロリーグ、リーグ 
代理人 樋口 次郎 
代理人 宮崎 伊章 
代理人 小谷 悦司 
代理人 伊藤 孝夫 

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