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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y01 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y01 |
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管理番号 | 1118317 |
審判番号 | 無効2004-89037 |
総通号数 | 67 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-07-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-06-18 |
確定日 | 2005-05-31 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4697229号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4697229号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.本件商標 本件登録第4697229号商標(以下「本件商標」という。)は、平成14年4月25日に登録出願され「COLOR-BRITE」の文字と「カラーブライト」の文字を上下二段に横書きしてなり、第1類「化学品」及び第3類「つや出し剤,塗料用剥離剤,つや出し剤用剥離剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用柔軟剤」を指定商品として、同15年8月1日に設定登録されたものである。 2.請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第47号証(枝番を含む。)を提出した。(請求の理由) (1)本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号の規定に違反し、登録されたものである。 (2)本件商標及び引用商標 本件商標は上記の通りの態様よりなるが、上段の欧文字「COLOR-BRITE」の部分は、我国で最も親しまれた外国語である英語の発音に従い、またその読みを表しているとみられる下段の片仮名文字に照らし「カラーブライト」の称呼を生じ、商標全体としても「カラーブライト」の称呼を生じる。 一方、請求人は長年に渡り商標「カラーブライト」(甲第3号証・引用商標1及び2)を商品「衣料用洗濯漂白剤」につき使用してきているが、これは本件商標登録出願時において既に需要者の間で著名となっており、その状況は登録査定時においても変わらないので、本件商標は当該請求人商標との間で商品の出所の混同を生ずるものである。 (3)引用商標の著名性 請求人であるライオン株式会社は、「歯磨き、石けん、洗剤」をはじめ「ヘアケア・スキンケア製品、クッキング用品、薬品、化学品」等の製造・販売を幅広くおこなう会社であるが、これらの中でも長年に渡り販売され、需要者に親しまれてきた商品のひとつに「洗濯用漂白剤」の「カラーブライト」がある。これは、洗濯の際に衣料の白地をいっそう白く仕上げ、色・柄をくっきりと浮き立たせるという特長を有する商品だが、請求人会社の前身であるライオン油脂株式会社が1977(昭和52)年に販売を開始して以来、改良を繰り返しながら現在においても販売が継続されているものである。 甲第4号証から甲第21号証まではその事実を示す証拠である。 このように、請求人会社の「カラーブライト」は、今から27年前の1977年の発売開始以来、市場の動向やニーズ、あるいは新たな提案をも含めた数々の改良をおこなうことで需要者の支持を得、これまで継続的に販売がなされてきたものである。ここで一口に27年といっても、現在の目まぐるしく変化する商品ライフサイクルや需要者の嗜好を考えれば、この長きに渡って同一のブランドが販売され続けているという事実は驚くべきことであり、しかもこれが大量の最終消費者向け商品であることを加味すれば、いかに「カラーブライト」の商品自体としての人気が根強いものかは推して知るべしである。 また、同時にテレビや雑誌を利用した広告をおこなうことで、請求人会社はブランドの周知にも力を注いでおり、商品自体の優秀性とこれら長年の宣伝広告の効果により、「カラーブライト」は本件商標出願時には既に、色柄物の衣料にも安心して使える洗濯用漂白剤の定番として、需要者の間に広く認知され著名となっているものである。 「カラーブライト」の著名性に関しては、次に提出する甲第22号証から甲第41号証までの新聞・雑誌の紹介記事によっても裏付けられる。 これからも分かるように、請求人会社の「カラーブライト」は、我国の一般的需要者が使用する洗濯用漂白剤としては代表的なものなのであり、この他ではわずかに、これも大手洗剤メーカーである花王株式会社の「ハイター」シリーズが知られるのみである。 代表的なものとして紹介されるほどに「カラーブライト」は広く知られているのであり、これは請求人会社の長年の努力の成果といえる。 加えて、上記に関する具体的な数字を示すものとして、甲第46号証及び甲第47号証を提出する。 このように、これらデータからは、「カラーブライト」というブランドが引き続き高い知名率を誇り、多くの需要者によって購入されていることが分かる。これまでの証拠に加え、これらの具体的データが補強されることで、「カラーブライト」の著名性、延いては引用商標1及び2の著名性はさらに客観的なものとなり、これが多くの人に知られ、親しまれているブランドであるということは明らかな事実である。 (4)本件商標の無効理由 本件商標は上記の態様よりなり「カラーブライト」の称呼を生じるものであるが、これまでに述べるように請求人会社の販売に係る「洗濯用漂白剤」の著名な商標「カラーブライト」(甲第3号証・引用商標1及び2)もこれと全く同一の称呼を生じるものであるため、両者は類似する商標である。 なお、引用商標2のデザインはいくつかの変遷を経てきているが、「カラー」と「ブライト」を上下二段に表すという基本的な構成は同じで、これより「カラーブライト」の称呼が生じることに変わりはない。 また、本件商標の指定商品中、第1類「化学品」及び第3類「つや出し剤用剥離剤、さび除去剤、染み抜きベンジン、洗濯用漂白剤、洗濯用柔軟剤」は、特許庁編「類似商品・役務審査基準」に照らせば、引用商標の使用される「洗濯用漂白剤」とは同一又は類似する商品である。 ここにおいて、本件商標は請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その商品及びこれに類似する商品に使用するものに該当するので、これが商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたことは明らかである。 さらに、本件商標を上記以外の指定商品である第3類「つや出し剤、塗料用剥離剤」について使用すると、著名な各引用商標との関係で、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標に該当することとなるため、これは同第15号にも違反して登録されたものである。 「カラーブライト」は繰り返すように、請求人会社により長年に渡って使用され、著名となるに至ったものであるが、甲第43号証ないし甲第45号証に「カラーブライト(ライオン)」と示されているように、ライオンの「カラーブライト」として広く親しまれているものである。 よって、「カラーブライト」といえば請求人会社が思い浮かぶのであり、同じ名前の商品があれば、それは必然的に請求人会社の製造・販売に係るものであるとの連想がはたらく。また仮に、「カラーブライト」が請求人会社の商品であることを知らない者がいたとしても、これは長きに渡ってその名声を確立してきたブランドなのであるから、「カラーブライト」さえ知っていれば、同じ名前の商品が同じ出所に係るものであるとの認識が生ずるのは自然なことである。 しかも、「洗濯用漂白剤」というのは、片手で持てる程度の縦長のプラスチック容器で販売されるのが通常であり、「つや出し剤、塗料用剥離剤」もそのような容器の形状が想定される。また、いずれも化学物質の性質を用いて物をきれいにするという点において共通するため、いくら両者が商標法上は非類似の商品として扱われていても、そうした共通の要素により、一方で著名な商標が存在した場合には、他方でそれとの関係において出所の混同が生じることは容易に想像できる。しかも、本件においては全く同じ称呼を有する商標が問題となっているのであり、本件商標の片仮名文字に関していえば各引用商標とは同一ともいえるものであるので、ここでは商品の出所につき混同を生ずるおそれは非常に高いものといえる。 (5)まとめ 以上のように、本件商標は商法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものであり、出願時においてもこれら規定に該当するので、これはその登録を無効とすべき商標である。 従って、本件審判請求は理由がある旨の審決を求めるものである。 3.被請求人の主張 被請求人は、何ら答弁していない。 4.当審の判断 本件審判請求人「ライオン株式会社」(以下「請求人」という。)の提出に係る甲第4号証ないし甲第47号証(枝番を含む)によれば、請求人は、「カラーブライト」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)を、「洗濯用漂白剤」について請求人会社の前身であるライオン油脂株式会社によって、1977年(昭和52年)に販売を開始してから現在に至るまで長年に亘り継続して該商品を販売してきたことが認められる。 以来、洗濯用漂白剤「カラーブライト」は、製品の改良を繰り返しながら盛大に広告宣伝され、また、雑誌等の記事としても取り上げられ、その結果「洗濯用漂白剤」について、人気の商品となったことが認められる。 以上より、引用商標は、本件商標の登録出願の時および登録査定時において、請求人の業務に係る商品「洗濯用漂白剤」を表示する商標として需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。 一方、本件商標は、前記したとおりの構成よりなるものであるところ、その構成文字が、請求人の著名な引用商標「カラーブライト」と同一の片仮名文字とこれに照応する「COLOR-BRITE」の欧文字とを併記したにすぎないものであって、かつ、引用商標の使用商品「洗濯用漂白剤」と本件商標の指定商品中の第1類「化学品」及び第3類「つや出し剤用剥離剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用柔軟剤」とは、同一または類似の商品と認められるものである。 そうとすれば、本件商標は、その指定商品中前記商品について、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものといわなければならない。 また、本件商標は、これをその指定商品中第3類「つや出し剤,塗料用剥離剤」について使用したときには、当該商品と請求人が取り扱う商品「洗濯用漂白剤」とが、家屋や家具の掃除や衣服の洗濯等に使用されるものであって、関連性が深い商品であることから、これに接する取引者、需要者をして、容易に請求人の著名な引用商標「カラーブライト」を想起させ、その商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係る商品であるかの如くその商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。 してみれば、本件商標は、その指定商品中第3類「つや出し剤,塗料用剥離剤」について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-12-17 |
結審通知日 | 2004-12-21 |
審決日 | 2005-01-19 |
出願番号 | 商願2002-34240(T2002-34240) |
審決分類 |
T
1
11・
271-
Z
(Y01)
T 1 11・ 25- Z (Y01) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 渡口 忠次 |
特許庁審判長 |
山田 清治 |
特許庁審判官 |
小林 薫 岩崎 良子 |
登録日 | 2003-08-01 |
登録番号 | 商標登録第4697229号(T4697229) |
商標の称呼 | カラーブライト、ブライト |
代理人 | 小谷 武 |
代理人 | 中村 仁 |
代理人 | 木村 吉宏 |