• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない Z25
審判 全部無効 称呼類似 無効としない Z25
管理番号 1116605 
審判番号 無効2004-89020 
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-05-13 
確定日 2005-05-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4273120号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1.本件商標
本件登録第4273120号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年12月4日に登録出願され、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせ〈ぎ・靴〈ぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせ〈ぎ,靴〈ぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、平成11年5月14日に設定登録されたものである。

第2.請求人の引用する商標
請求人が本件商標の登録の無効理由に引用する登録第4040030号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成8年1月25日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成9年8月8日に設定登録されたものである。

第3.請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む)を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。
1.請求の理由
(1)商標法第4条第1項第11号該当について
本件商標は、甲第1号証に示す通り、「RL」の構成からなる英文字モノグラムを表したものである。
これに対し、請求人は、先願に係る登録第4040030号商標を引用する(以下「引用商標」という)。
引用商標は、米国国旗状図形の左上部分を「RL」の英文字を白抜き表示した構成態様からなり、第25類「洋服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として平成8年(1996年)1月25日登録出願、同9年(1997年)8月8日設定登録されたものである。
本件商標は、モノグラム化されているが明確に英文字「R」と「L」を表現したものと認識できる構成態様からなるものであるから、その構成文字に相応し「アールエル」の称呼を生ずるものである。他方、引用商標は、上記構成態様からなるものであるところ、米国国旗状図形と「RL」の文字とは一体として称呼観念すべき理由もないから、独立して認識される「RL」の英文字に相応し「アールエル」の称呼を生ずるものである。また、本件商標と引用商標の指定商品が同一又は類似すること明らかである。
したがって、両商標は称呼上同一の類似商標と言うべきものである。
上述した理由は、マルエム事件(平成6年行ケ第109号)判決例に照らしても首肯できることと確信するものである(甲第7号証)。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号該当について
(イ)請求人の「RL」商標採択経緯及び周知性
請求人は、米国ニューヨーク州所在のリミテッド パートナーシップであり、関連会社やライセンシー及び販売店を通して、被服、眼鏡、フレグランスその他のファッション関連商品について世界的な規模でその製造及び販売に携わっているものである。
請求人がライセンシーや販売店等を通して製造販売している商品は、請求人の主な構成員であり世界的に著名なデザイナーであるラルフ・ローレンによってデザインされたものである。
請求人商品のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1939年米国ニューヨーク州で生まれ、1967年(昭和42)ネクタイ製造販売会社である「ボー・ブランメル」在籍中に自らデザインした幅広のネクタイに「POLO」のラベルを付して販売したところ爆発的な売れ行きをしめした。ラルフ・ローレンは1968年(昭和43)独立し「ポロ・ファッションズ社」を設立して自らデザインしたスーツを発表するなど精力的に新しいデザインを発表していった。その結果1970年(昭和45)には早くもファッション界のアカデミー賞とも称される「コティ・アメリカン・ファッション・クリティックス賞」のベスト・メンズウエア・デザイナー賞を受賞するなど順調に業績を伸ばしていった。そして、取扱商品には「POLO」又は「POLO by RALPH LAULEN」と「馬に乗ったポロプレーヤーの図形(「ポロプレーヤーマーク」)」及び特に婦人用には「Ralph Lauren」の商標を使用した。
ラルフ・ローレンは、1973年(昭和48)に映画「華麗なるギャツビー」の衣装を担当したことから広く世界の人々にその名を知られるようになりデザイナーとしての名声を不動のものとした。現在その取扱商品は、紳士、婦人、子供を問わず、被服、ホーム・ファニシング、香水、レザーグッズなどトータルに亘って展開されており、「POLO」「Ralph Lauren」及び「ポロプレーヤーマーク」商標は、請求人のブランドとして全世界的に著名となっている。
我国においては、米国における成功を受けて1976年(昭和51)株式会社西武百貨店がライセンス契約を結び以降精力的に請求人の商品を展開してきている。そして、西武百貨店はライセンス商品の展開にあわせて新聞・雑誌等のメディアを通じて請求人商品の広告宣伝に力を注いだ。すなわち、1977年(昭和52)から1987年(昭和62)まで毎年4000万円〜1億1800万円の宣伝・販促費を投じており、1988年(昭和63)西武百貨店の請求人商品を取り扱う部門が独立し、株式会社ポロ・ラルフローレン・ジャパンが設立されてからは毎年4億1100万円〜13億7700万円の宣伝・販促費を費やして請求人商品の普及に努めている。かかる広告宣伝活動の結果、日本における請求人商品の売上げは、1977年(昭和52)の5億6000万円を皮切りに毎年前年度を大幅に上回る伸びを示し、現在では年間900億円近い売上げを誇る日本でも有数の人気の高いブランドの一つとなっている。このことは、請求人ブランドが、請求人商品を示すものとして極めて短期間に日本における周知・著名性を獲得していてことを示すものである。
(ロ)請求人は、需要者層又は商品のアイテムに合わせ「POLOJEANS」「POLOGOLF」「CHAPS」「RL」「ダブルRL」「RLX(「X」は赤色で表わしている)」等のシリーズ商標を採択している(甲第6号証の1ないし同6)。「RL」「ダブルRL」「RLX」等「RL」の文字からなる商標はラルフ・ローレン(RALPHLAULEN)のイニシャルから採択された商標であり「POLO」などのメーンブランドとともに使用されるが需要者の反響・浸透度によって独立したアイテムブランドとして継続使用されている商標である。そして、「RL」商標もそのようにして需要者に認知された商標であり、本件出願以前からホーム・ファニシングや靴等にデザイナーズ標章として使用していたが(甲第5号証の7ないし同9)、1996年からは新たにボーイズ・ガールズウ工ア一のシリーズ商標として採択した商標である(甲第5号証の1ないし同6)が我が国においては若者用被服にも使用し本件出願時には既に周知となっている商標であり(甲第3号証)現在も使用している(甲第4号証の1ないし同3)。
(ハ)上述の通り、請求人の使用する「RL」商標は、本件商標出願前よりボーイズ・ガールズウエアーとして又スポーツ用被服に使用され既に著名となっているものであり、本件商標はその「RL」商標と態様を多少異にするとはいえ「R」「L」の文字構成を同一のものであるから、本件指定商品に使用するときは、当該商品が請求人の業務に係る商品であるとの商品の出所の混同を生ずることは明白である。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)むすび
以上述べた通り、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。

第4.被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
1.商標法第4条第1項第11号について
(1)請求人の主張の概要
請求人は、被請求人の本件商標は、先出願・先登録の引用商標に類似し、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号により無効にすべきものである、と主張する。
(2)本件商標について
そこで、本件商標についてみるに、本件商標は白地に黒の縁取りがなされた「R」及び「L」の文字を組み合わせてなるもので、「R」の文字を左上に配し、「L」の文字をその右下に近接させて構成されるものである。
かかる構成より、本件商標からは、「アールエル」の称呼が生じ、特定の観念を生じさせないものである。
(3)引用商標について
これに対し、引用商標は、アメリカ合衆国の国旗を想起させる横縞の模様があらわされた横長長方形の図形を表し、この図形の左上部分に黒地に白抜き文字で「RL」とあらわしてなるものである。
実際の取引の場面を想定すると、引用商標を目にした需要者は、まず引用商標の大部分を占め、わが国の国民にも慣れ親しまれているアメリカ合衆国の国旗のような図形が目に入る。そのため、引用商標に接する需要者は、かかる国旗のような図形部分を無視してその商標中の「RL」の文字部分だけを商標の要部として捉え、自他商品の識別標識として認識することは想定できず、図形と一体のものとして把握されるものと考えるのが自然であるから、「RL」が「アールエル」と称呼されうる文字であるとしても、引用商標より「アールエル」の称呼を生じない、と解するべきである。
(4)他の登録例との比較について
前記(3)の主張は、引用商標の出願以前に既に登録されていた登録商標の存在からも裏付けられるものである。
すなわち、引用商標の類似範囲において、多数の「RL」の文字の商標が、引用商標より先に出願がなされ、登録されている(乙第1号証〜乙第4号証)。また、引用商標の出願後にも、本件商標以外にも「RL」の文字の商標が登録されている(乙第5号証,乙第6号証)。
特に、乙第1号証及び乙第2号証の先登録商標は「RL」の文字のみからなるものであり、引用商標がこれらの登録商標の存在を前提として登録が認められたものであることを無視してはならない。
このように、「RL」の商標が商品の類似する範囲において異なる権利者に対し重複して商標登録が認められているのは、いずれの登録商標も「RL」の文字が他の図形等と結合されたり、図案化されたりして特徴的な構成を有するためである。すなわち、これらの商標に接した需要者は、その特徴的な図形や図案化された構成を一体的に認識するために、たとえ共通の称呼を生じ得るとしても、各商標の間には識別力に明確な違いが生じ、出所の混同が生じることがないからである。さらに、出所の混同が生じないと認められたのは、例えば、「JT」、「JR」等のようにわが国において周知・著名な商標であれば格別であるが、「RL」の文字から構成される商標については、具体的構成の如何にかかわらず、一の出所を表示すると言えるまでの事実は存在しないからである。
(5)本件商標の出願時における引用商標の周知性について
上記(3)、(4)において引用商標の商標登録についての前提となる事実、及び登録された理由について述べたが、登録後における周知性の獲得等の事情の変化により類似範囲が拡大することも考えられるため、さらに、本件商標の出願時における引用商標の周知性についても検討しておく。
請求人の提出した証拠において本件商標の出願時以前のものとされているのは甲第3号証、甲第5号証の1〜甲第5号証の7号証のみである。
しかし、甲第5号証の1〜甲第5号証の7については、裏表紙に「ポロ・ラルフローレン スタッフ用資料」、「無断転載禁止」と明記されていることからも明らかなように、これらは請求人の販売スタッフの教育用資料であり、需要者の目に触れるものではなく、需要者間において周知であることを示す資料とはなり得ない。
とすれば、需要者が接し得るのは甲第3号証のみであるが、甲第3号証において引用商標が使用されている事実は認められないし、甲第3号証の存在のみを根拠に引用商標が周知であるとするのは著しく不合理である。
以上の事実に基づいて検討すると、引用商標が本願商標の出願時において、「JT」や「JR」のように周知・著名となっていた事実は存在せず、引用商標の登録後に引用商標から「アールエル」の称呼が生ずるようになったと考え得る事情の変化は存在しない。
(6)本件商標と引用商標との対比
以上の事実を踏まえ、本件商標と引用商標とを対比する。
本件商標は、前記(2)で述べた通り「アールエル」の称呼が生ずる。
これに対し、引用商標は、前記(3)〜(5)で述べた通り、先登録商標(特に乙第1号証、乙第2号証)の存在を前提とし、図形と一体のものとして商標登録が認められたという事実、及び本件商標の出願時において引用商標が周知性を獲得していない事実からすれば、引用商標に接する需要者は、わが国においてもよく知られ親しまれているアメリカ合衆国の国旗のような図形部分を無視して「RL」の文字部分だけを商標の要部として捉え、自他商品の識別標識として認識することは想定できず、図形と一体のものとして把握されるものと考えるのが妥当であり、引用商標からは「アールエル」の称呼は生じないと解するべきである。
したがって、本件商標と引用商標とは称呼上非類似である。
また、外観及び観念上も類似するものではない。
よって、本件商標と引用商標とは外観、称呼、観念を総合的に評価して非類似の商標である。
以上の通り、本件商標と引用商標とは非類似であるため、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反しない。
2.商標法第4条第1項第15号について
(1)請求人の主張について
請求人は、「請求人の使用する『RL』商標が著名である」旨を漠然と主張しているが(審判請求書5頁〜7頁)、各甲号証を見てもそれぞれ構成の異なる商標が散見されるのみであり、審判請求書及び証拠を総合的に判断してもどの商標が著名であると主張しているのか具体的に特定されていない。
そして、引用商標が具体的に特定されておらず、審判請求書及び証拠から総合的に判断しても、これを特定すべく一義的に解釈し得ない以上、今後引用商標を追加する補正をなすことは、徒に審理の遅延を招くのみならず、被請求人にも著しく不利益を与えるものであって、要旨の変更となり許されないと解するべきである(準用特許法第131条の2第1項)。
したがって、本無効理由を審理対象とすることは不当である。
(2)甲号証について
上記の通り、被請求人は本無効理由を審理対象とすべきでないことを強く要求するものであるが、以下に、甲号証についても反論しておく。
(2-1)甲第3号証
甲第3号証における請求人の指摘箇所を見ると、「RL2000」(66頁)、「R[R]L」([R]は「R」の文字を反転させたもの。67頁)、「RL/ALL ABOUT」(70頁)との記載が見られる。
しかし、「RL2000」については、66頁下の囲みを見ても明らかなように、「POLO SPORT」の商標と併せて付記的に使用されているものであり、商標というよりは型番を示すものである。したがって、「RL2000」の表記が単独で周知・著名商標であることを示すものではない。また、この表記は「RL2000」と一連一体に表わされたものであり、その構成文字及び構成態様が大きく異なっており、本件商標と類似するものではない。
次に、「R[R]L」については、構成文字及び構成態様が大きく異なっており、本件商標と類似するものではない。また、この「R[R]L」は「ダブルアールエル」と称呼されており(甲第3号証、66頁〜67頁参照)、称呼上類似しないことは明らかである。
そして、「RL/ALL ABOUT」の記載は、表紙の左側の記載を見ても明らかなように、雑誌の特集名であってそもそも商標ではない。なお、この記載中の「RL」は「RALPH LAUREN」の頭文字を表したものとは認められるが、有名外国人の名前等を略して頭文字で表記することは誌面編集の都合上頻繁になされる手法であるから、この記載をもって直ちに「RL」が「RALPH LAUREN」の略称としてわが国の需要者の間で周知であるとするには論理的に無理がある。
(2-2)甲第4号証の1〜甲第4号証の3
これらは、本件商標の出願後に発行されたものであり、本無効理由の存在を証明する事実とはなり得ない。
(2-3)甲第5号証の1〜甲第5号証の9
先にも述べたが、これらは、裏表紙に「ポロ・ラルフローレン スタッフ用資料」、「無断転載禁止」と明記されていることからも明らかなように、請求人の販売スタッフの教育用資料であり、需要者の目に触れるものではなく、需要者間において周知であることを示す資料とはなり得ない。
また、甲第5号証の8及び甲第5号証の9は本件商標の出願後のものであることが明らかであり、本無効理由の存在を証明する事実とはなり得ない。
さらに、これらの資料には「RL」の文字が表わされた商品が散見されるが、これらの商品が本件商標の出願前に実際に販売されたかどうかも不明であるし、その上、ほとんどの商品は「POLO」の商標と共に使用されており、「RL」の文字が単独で使用されているものは僅少である。
以上の事実より、これらの証拠をもって「RL」の文字が単独で請求人の業務に係る商品を示すものとして需要者の間に広く認識されているとする合理的理由はない。
(2-4)甲第6号証の1〜甲第6号証の6
これらは、請求人の他の登録商標の存在を示すものに過ぎず、本件と何ら関係がない。
(3)小括
以上より、請求人が提出している証拠の中で、本件商標の出願前に頒布され需要者が接し得ると考えられるのは甲第3号証のみであり、あまた存在するファッション雑誌の中の僅か1の雑誌に掲載された事実のみをもって、「RL」の文字が請求人の業務に係る商品を示すものとして需要者の間に広く認識されているとすることは到底できない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものでないことは明白である。
3.総括
以上の通り、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び第15号に違反して登録されたものではなく、商標法第46条第1項第1号に該当しないものである。よって、答弁の趣旨の通りの審決を求めるものである。

第5.当審の判断
1.本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、その構成に係る左上は「R」の欧文字を、また、右下は「L」の欧文字を表したものと容易に認識できるとしても、かかる構成態様においては、これに接する看者には、一種のモノグラム風の図形として認識し把握されるといえるものであり、これより特定の称呼及び観念を生ずるものではないとみるのが相当である。
これに対して、引用商標は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなるところ、その構成はアメリカ合衆国の国旗の如き横縞とアメリカ合衆国の国旗の51州都を星で表したことで知られている左上部分に、白抜きで「RL」の欧文字を配してなるものであるが、これに接する看者は、全体として不可分一体のアメリカ合衆国の国旗の如き図形として、認識し印象に付けられるものであり、これよりは特定の称呼及び観念を生ずるものではないとみるのが相当である。
そうとすれば、両商標は、上記認定のとおり特定の称呼及び観念を生ずるものではないから、称呼・観念において、両者は類似するものとは認められない。
また、本件商標と引用商標の構成は、それぞれ前記したとおり外観において顕著な差異を有するから、外観上明らかに区別し得るものである。
してみれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念の何れからみても非類似の商標といわなければならない。
2.出所の混同等の有無について
請求人より提出された証拠を検討するに、請求人が主張する「RL」商標が本件商標の出願前に、我が国において被服に使用され既に周知となっていることを証明する証拠は、月刊誌「BOON」に掲載された甲第3号証のみと認められるものであり、他の証拠は本件商標の出願後に発行されたもの(甲第4号証1〜3)であったり、又は一般の需要者が目に触れることのない請求人及び関連会社のスタッフ用資料(甲第5号証1〜6)等であって、これらの証拠をもってしては、本件商標の登録出願前に、請求人の主張するところの「RL」商標が需要者間に周知となっていたものとは認められない。 加えて、本件商標は、前述のとおり称呼及び観念を生じないモノグラム風の図形商標として認識し把握されるといえるものであり、引用商標等とは類似しない別異の商標として看取されるものであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、これより、請求人の引用商標等を連想、想起することことはなく、その商品が請求人又は請求人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。
3.むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)本件商標

別掲(2)引用商標


審理終結日 2004-11-19 
結審通知日 2004-11-24 
審決日 2004-12-21 
出願番号 商願平9-183345 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (Z25)
T 1 11・ 272- Y (Z25)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 小林 薫
岩崎 良子
登録日 1999-05-14 
登録番号 商標登録第4273120号(T4273120) 
商標の称呼 アアルエル 
代理人 曾我 道照 
代理人 岡田 稔 
代理人 福島 三雄 
代理人 小山 方宜 
代理人 向江 正幸 
代理人 面谷 和範 
代理人 曾我 道治 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ