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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2012300362 審決 商標
審判199930761 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 009
管理番号 1116375 
審判番号 取消2003-31411 
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-06-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-10-16 
確定日 2005-04-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第3313233号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3313233号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3313233号商標(以下「本件商標」という。)は、平成6年11月1日に登録出願され、「FineLINE」の欧文字を横書きしてなり、第9類「クロマトグラフ装置」を指定商品として、平成9年5月23日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者(又は通常使用権者)によって指定商品について一度も使用された事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
請求人は、本件請求に先立って職業的調査機関に依頼して当該商標権者の業務内容、取扱商品の範囲、そして特に「FineLINE」を書してなる本件商標の使用の実態について、取引先に対する照会等を含め鋭意詳細に調査を実行した。しかしながら、本件請求に係る指定商品に関する限り、本件商標が使用されたことを示す資料を発見することが出来なかった。また、本件登録については専用使用権または通常使用権の登録もされておらず、それらの存在を窺わせる資料も存在しない。
したがって、本件商標は前記商品については過去3年間にわたって日本国内では使用されなかったものと推認されるので、請求の趣旨のとおり審決を求めるものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)平成15年12月17日付け答弁書において、被請求人は、乙第1号証から乙第6号証までを提出した上で、「その子会社であり、使用権者である日本法人アマシャム バイオサイエンス株式会社が本件商標を指定商品について使用しており、商標法第50条第1項に規定の不使用登録商標に該当しない。」と述べている。
しかし、このような主張は以下に述べるような疑問があり、にわかに措信しがたいものである。
(2)乙第1号証は、「アマシャム バイオサイエンス 総合カタログ2003」と題するものであって、そのような印刷物が印刷されたことは推認されるとしても、その配布の事実、時期、場所、配布先等は一切不明である。 また、同証の表紙と見られる1枚目と、「3-08」と番号が記された2枚目、そしてその他の部分がどのような関係に立つのか明らかでない。
(3)次に、本件登録において、指定商品の「クロマトグラフ装置」は第9類に区分されているのであるから、主として、自然科学の研究用又は実験用に専ら使用される機械器具が分類されている「理化学機械器具」に属するものと理解される。
しかし、被請求人が本件商標が使用されていると主張する商品は、乙第1号証の記載によれば、「製造用大容量カラム」と表示されている。この記載から、本件使用に係る商品は、化学的製品を製造する際に専ら使用される機械器具の大部分を分類した第7類「化学機械器具」に属するものではないかとの疑念が生ずる。
(4)乙第2・3号証に記載された「FINELINE 450MP」なる商品は、乙第1号証のカタログの記載と対応しない。したがって、どのような商品かまったく分からない。
なお、通常使用権者と主張するアマシャム バイオサイエンス株式会社のホームページ(http://www.jp.amershambiosciences.com/)においても、被請求人のホームページ(http://www5.amershambiosciences.com/)においても、このような記号で表される商品を発見することができない。
(5)以上のように、被請求人は、その主張にも関わらず、当該予告登録日において、通常使用権者が本件商標を指定商品について使用していたことを証明していないと言わざるを得ない。
なお、平成16年9月28日付け答弁書(後記「第3 2弁駁に対する答弁」)に対する弁駁はしていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第13号証を提出している。
1 請求の理由に対する答弁
(1)請求の理由に対する認否
(1-1)「事件の概要」については、認める。
(1-2)「取消事由」については、否認する。
(1-3)「取消原因」中「本件商標について専用使用権または通常使用権の登録もされておらない」点は認め、その余は不知ないし否認する。
(2)本件商標の使用
(2-1)東京都新宿区百人町3-25-1サンケンビルヂングに所在の日本法人アマシャム バイオサイエンス株式会社は、商標「FineLINE」及び「FINELINE」を商品「クロマトグラフカラム」について使用している。
(2-2)上記アマシャム バイオサイエンス株式会社は、スウェーデン国法人ファルマシア・バイオテク社が1973年に設立した日本法人ファルマシア・バイオテク株式会社と、英国アマシャム社が1981年に設立した日本法人アマシャム株式会社とが、1998年に合併して誕生したアマシャム・ファルマシア・バイオテク株式会社が2002年に社名を変更したもので、被請求人の100%子会社である。
(2-3)アマシャム バイオサイエンス株式会社は、本件商標について使用権を有し(乙第1号証第19頁トレードマーク&ライセンスインフォメーション)、本件商標に係る商標「FineLINE」と同一又は社会通念上同一と認められる商標「FineLINE」を少なくとも総合製品カタログにおいて使用し(乙第1号証第3-08頁)に、また「FINELINE」を少なくとも納品書(乙第2号証)及び仕切書(乙第3号証)に使用している。
(2-4)本件商標に係る指定商品「クロマトグラフ装置」は、クロマトグラフィー(各種化合物が混在している試料をその成分ごとに分離する方法)を実施する装置であり、クロマトグラフカラムはそのクロマトグラフ装置である。クロマトグラフィーによる化合物の分離は、固定相(stationary phase)と移動相あるいは流動相(moving or mobile phase)で構成されるカラムあるいは薄層の使用に基づいている。試料はある一定時間固定相表面に保持され、その他の時間は移動相で過ごす。試料は移動相中に存在している時間だけ、カラム中を移動する。移動相に滞在する時間が短い化合物ほど、その他の化合物よりもゆっくりとカラムを下降する。そして2種の化合物は分離される(乙第4号証)。
(2-5)「アマシャム バイオサイエンス 総合製品カタログ 2003」(乙第1号証)は、東京都新宿区下宮比町2-26共同ビルに所在の株式会社シータスがアマシャム バイオサイエンス株式会社の求めにより2003年3月に38000部印刷加工したもので、納品は2003年3月7日にされ、印刷代等の請求は2003年3月20日にされ、支払いは2003年5月25日に振込によってされている(乙第4号証、乙第5号証)。
なお、乙第1号証の裏表紙の右下部分に記載の「03.3.380(CGP)」は、印刷の年、月、部数を示している(参考拡大コピー参照)。
(2-6)上記納品書(乙第2号証)及び仕切書(乙第3号証)は、アマシャム バイオサイエンス株式会社が顧客に対して2002年2月26日に発行したものであり、これらの書類の品名の欄には「FINELINE 450MP」との記載がある。FINELINEは販売製品がクロマトグラフカラムであることを示し、450MPは、100.100L、200,200L等(乙第1号証3-08頁)と同様に、クロマトグラフカラムの型式を表している。
(3)以上のとおり、被請求人は、その子会社であり、使用権者である日本法人アマシャム バイオサイエンス株式会社が本件商標を指定商品について使用しており、商標法第50条第1項に規定の不使用登録商標に該当しない。
したがって、本件審判の請求には理由がないから棄却されるべきである。
よって、答弁の趣旨のとおりの審決を求めるものである。
2 弁駁に対する答弁
(1)乙第1号証の総合製品カタログの配布
乙第1号証の総合製品カタログの配布の事実、時期、場所、配布先を証すべく、乙第7号証及び同第8号証を提出する。これらの証拠によれば、乙第1号証のカタログは平成15年3月13日頃に配布されている。
(2)乙第1号証の写し
乙第1号証の1枚目は総合製品カタログの表紙、2枚目は3ー08頁、3枚目は第19頁、4枚目は裏表紙の各写しである。
乙第1号証の総合製品カタログにおける表紙と「3ー08」とその他の部分との関係を明らかにすべく、同総合製品カタログの表紙、目次、1〜19頁、3-1〜3-8頁及び裏表紙を乙第1号証(再提出)として、乙第1号証の原本と共に提出する。
なお、乙第1号証の総合製品カタログは大部(845頁)であること、2004年度分の総合製品カタログが配布された後、残りの2003年度総合製品カタログは廃棄処分され、その残部が他にないため、総合製品カタログそのものを提出することができない。請求人において原本の照合を要するときは、閲覧を請求されたい。
(3)第9類のクロマトグラフ装置
第9類のクロマトグラフ装置は、自然科学の研究用又は実験用に使用されるクロマトグラフ装置を含むが、これに限定されない。
平成2年(1990)2月20日、わが国において、「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」が発効した。わが国は、ニス協定加入当初、国際分類を副次的体系として使用してきたが、サービスマーク登録制度が施行された平成4年(1994)4月1日からは、国際分類を主たる体系とする使用に移行した。
本件商標の出願がされた平成6年(1994)11月1日当時、国際分類第6版(Sixth Edition)における「商品のアルファベット順の表AphabeticaILlSt ofGoods」には、
11 Chromatography apparatus[for industrial purposes]
09 Chromatography apparatus for laboratory use
と記載されている(乙第9号証)。
また、査定当時、国際分類[第7版]対訳表には、
11 Chromatography apparatus[for industrial purposes]
訳 クロマトグラフ装置(工業用のもの)
09 Chromatography apparatus for laboratory use
訳 実験用クロマトグラフ装置
と記載されている(乙第10号証)。
これらの記載は、実験室用のクロマトグラフ装置は第9類の商品であり、工業用のクロマトグラフ装置は第11類の商品であることを意味する。
したがって、第9類のグロマトグラフ装置を指定商品とする本件商標の指定商品が、実験室用のクロマトグラフ装置であることはいうまでもない。
実験室用のクロマトグラフ装置は、自然科学の研究用又は実験用に使用されるクロマトグラフ装置を含むものであっても、これに限定されるものではない。
(4)登録商標「FineLINE」の実験室用クロマトグラフ装置についての使用
(4-1)アマシャム バイオサイエンス株式会社は、乙第1号証の3-08頁下段の「仕様」の欄に示された「FineLINE Pilot 35」カラムを八州薬品株式会社に販売した。この事実を証するため、2002年(平成14)10月2日付けの倉庫控(乙第11号証)及び納品書(乙第12号証)を提出する。これらの書類の品名の蘭には、「FINELINE PILOT 35」の表示がある。
(4-2)乙第1号証の3-08頁中段左の写真は「プロセス開発用FineLINEPilot 35カラム」を示している。化学分野において、製品候補が製品となるまでに、一般に、「プロセス開発」、「プロセス スケール アップ」、「生産」の各過程を経るが(乙第13号証)、工場における「生産」を除き、「プロセス開発」等は研究室又は実験室において行われる。
(5)結論
以上のとおり、第9類のクロマトグラフ装置は実験室用クロマトグラフ装置であるところ、本件商標を使用して販売した製品の用途は「プロセス開発」であるから、本件商標が実験室用クロマトグラフ装置に使用されたことは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人が本件商標の使用の事実を示すために提出した乙各号証及び答弁の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(1)「総合製品カタログ2003」(乙第1号証)によれば、「ProcessChromatography」(製造用大容量カラム)の見出し(3-08頁)の下、「仕様」として「Column」の項に「FineLINE Pilot 35」「FineLINE 100」「FineLINE 100L」「FineLINE 200」「FineLINE 200L」と、及び、写真と共に「プロセス開発用」「FineLINE Pilot 35カラム」と記載されていること。
(2)納品書(乙第2号証)及び仕切書(乙第3号証)によれば、「品名(Description)」として「FINELINE 450MP」と記載されていること。
(3)「INTERNTIONAL CLASSIFICATION OF GOODS AND SERVICES」(乙第9号証)によれば、「Cl.11」として「Chromatography apparatus[for industrial purposes]」、「Cl.09」として「Chromatography apparatus for laboratory use」と記載されていること。
(4)倉庫控(乙第11号証)及び納品書(乙第12号証)によれば、「品名(Description)」として「FINELINE PILOT 35」と記載されていること。
(5)「工業化学研究(スケールアップ・プロセス開発等)」(乙第13号証)によれば、「プロセス開発の流れ」として、「製品候補」-「プロセス開発」-「プロセススケールアップ」-「生産」と記載されていること。
2 以上の事実から、本件商標の指定商品である第9類「クロマトグラフ装置」は、乙第9号証に徴して、「実験用(研究用)クロマトグラフ装置」の範囲であって、少なくとも「工業用(産業用)クロマトグラフ装置」の範囲までは及ばないものといえる。
そこで、請求人が本件商標の使用の事実を示す証拠として挙げた乙第1号証、同第2号証、同第3号証、同第11号証及び同第12号証について検討するに、乙第1号証には、本件商標と社会通念上同一と認められる「FineLINE 100」「FineLINE 100L」「FineLINE 200」「FineLINE 200L」の記載が認められるが、これらの商標について使用されている商品は、「製造用大容量カラム」との見出しの下での商品紹介(各種商品の仕様)であること、及び、「プロセス開発用」として「FineLINE Pilot 35」を紹介していることからすると、第11類の「工業用(産業用)クロマトグラフ装置」の範疇に属する商品と推認し得るものである。
したがって、乙第1号証をもっては、本件商標をその指定商品について使用しているものと認めることができない。
次に、乙第2号証及び同第3号証には、品名として「FINELINE 450MP」と記載されているところ、該商品は、乙第1号証に製品名として何ら記載されていないことから、如何なる商品であるかを特定することができない。また、記載されていないことについての合理的な理由も見出すことができない。
したがって、乙第2号証及び同第3号証をもっては、本件商標をその指定商品について使用しているものと確認し得ない。
最後に、乙第12号証及び同第13号証についてみるに、両書証には、品名として「FINELINE PILOT 35」と記載されているところ、該商品は、乙第1号証及び同第13号証に照らして、「実験用(研究用)クロマトグラフ装置」の範疇に属する商品と認められる。
しかしながら、本件商標「FineLINE」と乙第12号証及び同第13号証で使用されている商標「FINELINE PILOT 35」とを比較すると、両者は「PILOT 35」の欧文字及び算用数字の有無の顕著な差異がある上、「PILOT 35」の部分が、本件商標の指定商品との関係において、商品の品質を表示する等記述的、付記的部分であって自他商品識別機能を果たし得ないとする証拠も見出すことができない。
してみれば、商標「FINELINE PILOT 35」の使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用と認めることができない。
したがって、乙第12号証及び同第13号証をもっては、本件商標をその指定商品について使用しているものと認めることができない。
そして、他に、本件商標の指定商品について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用と認めるに足りる証左は見出せない。
3 以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録日前3年以内の期間に本件商標をその指定商品に使用していたことを証明し得ないから、本件商標は、継続して3年以上日本国内におて商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもによっても、その指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-11-18 
結審通知日 2004-11-22 
審決日 2004-12-06 
出願番号 商願平6-110359 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (009)
最終処分 成立  
前審関与審査官 深沢 美沙子泉田 智宏 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
登録日 1997-05-23 
登録番号 商標登録第3313233号(T3313233) 
商標の称呼 ファインライン 
代理人 苫米地 正敏 
代理人 松永 宣行 

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