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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z21
管理番号 1114870 
審判番号 取消2004-30279 
総通号数 65 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-05-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-03-01 
確定日 2005-03-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第4455679号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4455679号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4455679号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第21類「ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),アイスペール,泡立て器,魚ぐし,携帯用アイスボックス,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),米びつ,ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,食品保存用ガラス瓶,水筒,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,魔法瓶,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,家事用手袋,化粧用具,デンタルフロス,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,ブラシ用豚毛,洋服ブラシ,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,かいばおけ,家禽用リング,アイロン台,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,家庭用燃え殻ふるい,紙タオル取り出し用金属製箱,霧吹き,靴脱ぎ器,こて台,小鳥かご,小鳥用水盤,じょうろ,寝室用簡易便器,石炭入れ,せっけん用ディスペンサー,貯金箱(金属製のものを除く。),トイレットペーパーホルダー,ねずみ取り器,はえたたき,へら台,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),花瓶(貴金属製のものを除く。),ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,コッフェル,水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴」を指定商品として、平成10年2月23日に登録出願、同13年2月23日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによってもその指定商品(以下「本件指定商品」という。)について使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録は、取り消されるべきものである。
請求人の調査によれば、本件商標に専用使用権及び通常使用権の登録はなく、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても本件商標が本件指定商品について一度も使用された事実が存在しない。
これらの事実状況に関し、第一に、使用権登録の事実がないことは、甲第2号証の商標登録原簿の記載から明らかである。
第二に、商標権者である本田宗一郎スピリッツ株式会社の商業登記簿(甲第3号証)に記載された本店所在地は、本件商標の商標登録原簿(甲第2号証)に記載された商標権者の住所地と同一の住所であるが、その住所地である東京都港区南青山3丁目3番3号には、本田宗一郎スピリッツ株式会社の実体が存在しない。
第三に、同社の商業登記簿に登記されている代表取締役「渡部圭二」氏の住所地である東京都品川区豊町1丁目8番12号(甲第3号証)には同氏の自宅が存在するが、通常の住宅が存在するのみで、本田宗一郎スピリッツ株式会社としての営業が行なわれている外観を示す営業表示等が全く見られない。
第四に、取締役の任期は原則として2年を超えないところ(商法第256条)、平成16年1月27日登記官証明による甲第3号証の商業登記簿中の「役員に関する事項」を見ると、取締役の就任日及びその登記日はいずれも平成13年2月27日であり、既に2年をはるかに経過して3年を経過しようとしているにも拘わらず、役員の変更登記が行われていない事実も存在する。よって、商標権者は、既に営業活動を停止しているか、又は、そもそも営業活動を行っていない蓋然性が極めて高い。
したがって、本件指定商品について本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法は、追って提出予定とした。
(1)本田宗一郎スピリッツ株式会社に実体があること
被請求人本田宗一郎スピリッツ株式会社(以下「スピリッツ」という。)は、本田技研工業株式会社(以下「本田技研」という。)の創業者である故本田宗一郎(以下「宗一郎」という。)の偉業を称え、その精神を後世に伝えるための事業、具体的には、本田宗一郎に関する記念館の設立、維持及び運営等を主たる目的として廣川則男(以下「廣川」という。)により設立され、同人の主導の下、これらの業務を現実に行っていた会社である。詳細は追って主張するが、スピリッツは、請求人が主張するような、実体を有しない会社などではない。
そして、登録第4455679号商標(以下「本件商標」という。)は、スピリッツがこのような事業に関連して、例えば、来館者に販売する商品や提供する役務に付して用いるために登録を行った商標である。
(2)本件商標が使用できる状況にないこと
請求人本田博俊(以下「博俊」という。なお、同人は宗一郎の長男である。株式会社無限(以下「無限」という。)の株式は博俊及びその家族らによって所有されており、博俊がその実質的支配権を有している。また、同社の代表取締役は、博俊である。)は平成12年ころから廣川に敵対的な行動を取り始め、同人に対し、いわれのない多数の民事保全の申立や民事訴訟の提起、刑事告訴などを行っているが、その一環として、自らがスピリッツの株主であると主張し、平成14年9月17日付けにて、スピリッツの株券の執行官保管及び処分禁止を命ずる仮処分の申立を行い(東京地方裁判所平成14年(ヨ)第3824号仮処分命令申立事件。)、更には、株券の引渡を求める訴えを提起している(東京地方裁判所平成14年(ワ)第27633号株券引渡請求事件。)。また、博俊は、スピリッツとともに記念館事業に参加していた株式会社ヒロ・コーポレーション(以下「ヒロ・コーポレーション」という。)が記念館建設用地として取得した港区南麻布の土地に対して仮差押を申立て(平成13年(ヨ)第694号仮差押命令申立事件。)、ヒロ・コーポレーション等に対し、当該物件の所有権移転登記手続等を求める訴えを提起している(東京地方裁判所平成14年(ワ)第14146号土地所有権移転登記等請求事件。)。このような状況の下では、スピリッツが記念館事業を進展させることなど到底できず、したがって、本件商標を使用することなど到底できない。なお、記念館事業が開始された経緯、進展、及びこれを巡る紛争の経緯等については、追って主張する。
(3)請求人らの申立が権利濫用であること
博俊は、廣川らに対して多数の民事保全及び民事訴訟を提起している上、刑事告訴までも行っているし、一方では、博俊が関与したとしか考えられないマスコミ報道が行われていた。博俊は、いわば、法的手続やマスコミなどを利用して、廣川に強烈かつ不当なプレッシャーを加え、廣川をねじ伏せて事実を隠蔽しようとしているとしか考えられず、本件もまたそのー環であると考えざるを得ない(先に述べたとおり、無限は博俊が支配権を有する会社であり、同社代表取締役は博俊である。)。博俊は、訴訟という手続に訴えてまでスピリッツが自らの所有する会社であると主張しているが、仮に、博俊が本件商標の使用を意図しているのであれば、本件審判請求のようなスピリッツから本件商標を奪うに等しい行為に及ぶことなどあり得ない。
以上のとおり、本件審判請求は、いわば権利の濫用として、却下されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第50条は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる、と規定しており、同条による商標登録の取消審判の請求があったときは、被請求人は、その取消請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れないものである(同条第2項)。
(2)本件商標の使用の有無について
被請求人は、本件商標の使用の事実について、何ら主張立証するところがない。かえって、本件商標の不使用について正当な理由がある旨を主張している。
したがって、本件審判請求の登録がなされた平成16年3月24日前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが指定商品のいずれかについて本件商標の使用をしていた事実は、認められない。
(3)不使用についての正当な理由の存否について
商標法第50条第2項ただし書きにいう登録商標の不使用についての「正当な理由」あるといえるためには、登録商標を使用しないことについて当該商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責に帰することのできない事情がある場合、例えば、地震、水害等の不可抗力、放火、破壊等の第三者の故意又は過失による事由等が発生したために使用することができなかった場合をいうものと解するのが相当である(平7(行ケ)124 平8.11.26判決、平9(行ケ)53 平9.10.16判決、平14年(行ケ)50 平14.9.20判決、特許庁編逐条解説14版1087頁末行ないし1088頁3行)。
これを本件についてみるに、被請求人が本件商標の不使用についての「正当な理由」として主張する事由は、前記3(2)のとおりであるが、被請求人は、同人の主張する記念館事業に関連して、来館者に販売する商品や提供する役務に本件商標の使用を予定していたものであるとしても、同人が主張する多数の民事保全の申立や民事訴訟の提起、刑事告訴などは、その内容にかかる証拠の提出が一切ないばかりか、本件商標が設定登録された平成13年2月23日から相当期間経過しているのに上記主張以外に本件商標の使用状況又は準備状況についての具体的主張立証はなく、本件商標の使用の妨げになったとは認められないものであるから、前記3(2)の主張事由が本件商標の不使用につき商標権者の責に帰することのできない事由が発生した場合に該当するものとはいうことができない。
したがって、被請求人が主張する前記3(2)の事由は、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」に該当するものとはいえないものである。
(4)本件審判請求の権利濫用の該当性について
商標法第50条の審判の請求人適格については、平成8年の商標法改正で上述したとおり、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる、と規定しており、その制限が緩和されたとしても、当該請求が被請求人を害することを目的としていると認められる場合には、その請求が権利濫用として認められない可能性があると解される(特許庁編逐条解説14版、1087頁10行ないし11行)。
これを本件についてみるに、被請求人が本件審判の請求を権利濫用であるとして主張する事由の要旨は、請求人は、廣川らに対して多数の民事保全及び民事訴訟を提起していること、刑事告訴までも行っていること、請求人が関与したとしか考えられないマスコミ報道が行われていること、にある。
しかしながら、被請求人の主張する上記事由については、何ら具体的な証拠の提出がないことから、本件審判の請求が被請求人を害することを目的としているものとは認めることができない。
したがって、本件審判の請求を権利の濫用とすることはできない。
(5)結語
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが指定商品のいずれかについて使用をしている事実が認められず、かつ、本件商標の不使用について商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかに正当な理由があるとも認められないものであり、本件審判の請求が権利の濫用とは認められないものであるから、商標法第50条の規定により、本件商標の登録は、取り消すべきものとする。
なお、被請求人は、答弁書(平成16年5月18日付け)において、答弁にかかる証拠方法は追って提出予定としているが、その後相当の期間が経過するも、具体的な答弁にかかる証拠について何ら明らかにするところがない。したがって、これ以上、本件の審理を遅滞させるべき理由はないものと認め、審理を進めることとした。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標

審理終結日 2005-01-21 
結審通知日 2005-01-24 
審決日 2005-02-04 
出願番号 商願平10-13481 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z21)
最終処分 成立  
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 半田 正人
山本 良廣
登録日 2001-02-23 
登録番号 商標登録第4455679号(T4455679) 
商標の称呼 ホンダソーイチロースピリット、ホンダソーイチロー 
代理人 渡邉 弘志 
代理人 橋場 満枝 
代理人 山口 栄一 
代理人 石戸 久子 
代理人 高橋 健一 
代理人 牛島 信 
代理人 影島 広泰 
代理人 井上 雄樹 

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