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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 003
管理番号 1113515 
審判番号 取消2003-31164 
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-09-01 
確定日 2005-02-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第3194477号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1.本件商標
本件登録第3194477号商標(以下「本件商標」という。)は、平成5年10月13日に登録出願され、「ゼロ」の片仮名文字と「ZERO」の欧文字とを上下2段に横書きしてなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成8年9月30日に設定登録されたものである。

第2.請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の指定商品中「化粧品」についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。と申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第16号証を提出した。
1.請求の理由
本件商標は、その指定商品「化粧品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2.弁駁の理由
被請求人は、平成15年11月6日付けの審判事件答弁書(第1回)において、本件商標は、通常使用権者であるライオン株式会社が「制汗剤」について、本件審判請求の登録前三年以内に使用しているので、本件審判請求は成り立たない旨主張している。
しかしながら、「制汗剤」について本件商標をしていることが、「化粧品」について本件商標を使用していることとはならない。すなわち、「制汗剤」は第5類「薬剤」に含まれる商品であり、「化粧品」とは非類似の商品だからである。
特許庁のホームページでの商品・役務リストからも、「制汗剤」は第5類に属する商品であることは明らかであり(甲第2号証)、第3類の化粧品の類似商品として認められている商品は明確に「制汗用化粧品」などと「化粧品」であることを表示しているものに限られている(甲第3号証)。
さらに、実際の登録例においても、「制汗剤」は第5類に属する商品として登録されている(甲第4号証ないし同第16号証)。特に国際商標登録を含む外国からの出願・登録において第5類「制汗剤」の登録が多数認められることから、国際的な趨勢としても、「制汗剤(化粧品に属するもの)」と明示した場合を除き、「制汗剤」は第5類に属する商品として取り扱っていることは明らかである。よって、我が国においても、商品「制汗剤」は第5類に属する商品として取り扱われるべきものであることは明らかである。
以上のことから、被請求人が答弁書において主張するライオン株式会社の「制汗剤」についての使用は、本件審判に係る商品「化粧品」の使用とは認められず、被請求人は、本件審判登録前3年以内に本件商標を「化粧品」について使用した事実は何ら示していない。
よって、弁駁の趣旨のとおりの審決を求めるものである。

第3.被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番を含む)を提出している。
1.答弁の理由(第1回)
本件商標「ゼロ/ZERO」に関しては、当社(被請求人)自身は使用していないものの、当社とライオン株式会社との間で通常使用権許諾契約(許諾期間:平成14年11月1日〜平成17年10月31日、許諾地域:日本全国)が締結されており、契約に基づいて平成15年2月から現在に至るまでライオン株式会社が制汗剤「Ban」シリーズの1製品に使用中である。よって、本件審判請求の登録前3年以内に、通常使用権者が本件商標を指定商品「化粧品」に使用しているので、本件審判請求は成り立たない。
2.答弁の理由(第2回)
請求人は、その弁駁書で要旨次のように述べ、甲第2号証ないし甲第16号証を提出している。
「制汗剤」は、第5類「薬剤」に含まれる商品であり、第3類の化粧品として認められている商品は明確に「制汗用化粧品」などと「化粧品」であることを表示しているものに限られており、国際的な趨勢としても「制汗剤(化粧品に属するもの)」と明示した場合を除き、「制汗剤」は第5類に属する商品として取り扱っていることは明らかであるから、「制汗剤」について本件商標を使用していることが、「化粧品」について本件商標を使用していることにならない。
請求人の言わんとするところは、第3類の「化粧品」として認められる「制汗剤」は「制汗用化粧品」又は「制汗剤(化粧品に属するもの)」と表示してあるものに限られる、というものであるが、同人のかかる主張は、指定商品の表示上の問題であって、実際の商取引の場において、商品又は商品の包装用容器等にどのように表示するかということとは別の問題である。
因みに、ニベア花王株式会社は、その親会社バイエルスドルフ・アクチェンゲゼルシャフト所有に係る旧第4類「スプレー式制汗防臭パウダー化粧品」を指定商品とする登録第1609742号商標「エイトフォー」(乙第3号証)の使用商品に「制汗・デオドラント」(乙第4号証)と表示し、また、日本リーバ株式会社は、その親会社ユニリーバー エヌ ヴィ所有に係る第3類「…制汗用化粧品・防臭性化粧品その他の化粧品,…」を指定商品とする登録第4000165号商標「REXENA/レセナ」(乙第5号証)の使用商品に「制汗・デオドラント」(乙第6号証)と表示していることから明らかなように、実際の商取引の場においては、「制汗用化粧品」又は「制汗剤(化粧品に属するもの」などと表示することはないのである。
本件商標は、被請求人から本件商標について通常使用権の許諾(乙第1号証)を受けたライオン株式会社(以下、「通常使用権者」という。)が、商品「薬用デオドラント」に使用しているものであり、本件商標が通常使用権者によって前記「薬用デオドラント」に使用されていることは、既に提出した乙第2号証から明らかである。
すなわち、乙第2号証は、本件商標を付した商品のパンフレットであるが、同商品(1枚目のパンフレットにあっては裏面右端の商品)の中央下方部に[薬用デオドラント]と明記されているのである。
「(薬用)デオドラント」は、「(特に、体臭の)臭気止め、脱臭剤、防臭剤」(乙第7号証)あるいは「体臭防止用化粧品」(乙第8号証)という意味を表す英語「deodorant」に由来する外来語で、“汗の分解、悪臭化を防ぐ殺菌剤を含有した”「わきが止め(deodorant)」(乙第9号証)あるいは“腋の下や足などの臭いを抑える化粧品”「デオドラント化粧品(deodorant cosmetic)」(乙第10号証)などと称されているものである。
また、「デオドラント」は、皮膚の常在細菌を減らすことによって、不快な体臭を防ぐ目的に用いられるもので、この殺菌防臭薬は制汗作用も示し、「医薬部外品では、体臭の防止を目的とした製品を制汗デオドラント剤」(乙第11号証)と称し、市場においては「制汗デオドラント」(乙第2号証パンフレット1枚目の裏面左からの6品目、乙第4号証、乙第6号証)と表示して使用されているのである。
本件使用商品「薬用デオドラント」は、乙第2号証(パンフレット2枚目)の中央部右端に「Anti-Perspirant(制汗)」、「Sterilization(殺菌)」及び「Deodorant(消臭)」と記載されていることから明らかなとおり、「制汗」、「殺菌」及び「消臭」作用を併せ持っている商品である。
この「薬用デオドラント」や「制汗デオドラント」が「制汗作用」を有するが故に「制汗剤」(乙第12号証、乙第13号証)とも称されていることから、被請求人と通常使用権者は、両当事者間の「通常使用権許諾契約書」(乙第1号証)において使用許諾商品を「制汗剤」としたものであり、また、この使用許諾商品に合致させる意味で、答弁書(第1回)において「ライオン株式会社が制汗剤『Ban』シリーズの1製品に使用中です。」と述べたのである。
しかして、前出の「薬用デオドラント」、「わきが止め」、「デオドラント化粧品」、「制汗デオドラント剤」及び「制汗デオドラント」は、いずれも制汗・殺菌することにより体臭を防止する商品であるから、国際分類上「身体用防臭剤(Deodorants for personal use)」(乙第14号証)に該当する商品であり、この「身体用防臭剤」は、我が国の商品及び役務の区分において第3類「化粧品」に属する商品とされているのである(乙第15号証)。
要するに、本件商標は、通常使用権者によって、本件商標の指定商品「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」中の「化粧品」に含まれるところの「薬用デオドラント」に使用されているのであり、この「薬用デオドラント」は「制汗剤」とも称されているのである。
なお、事情として述べるならば、本件審判請求は、杏林製薬株式会社(以下、「杏林製薬」という。)が村田博なる者をダミーとして行ったものであるから、製薬会社であるところの請求人側は、医薬部外品としての本件使用商品「薬用デオドラント」が「化粧品」に含まれる商品であることを知悉しているはずのものである。
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求前3年以内に日本国内において、通常使用権者によって、本件商標の指定商品「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」中の「化粧品」に含まれる「薬用デオドラント」に使用されていることが明らかであるから、請求人の主張は失当といわざるを得ない。
よって、答弁の趣旨のとおりの審決を求めるものである。

第4.当審の判断
本件審判において被請求人より提出された「通常使用権許諾契約書」(乙第1号証)及び「ライオン株式会社発行の2003年春の商品パンフレット」(乙第2号証)によれば、本件商標権の通常使用権者と認め得る「ライオン株式会社」が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を「制汗剤」について使用していたということができる。
ところで、請求人は、通常使用権者のライオン株式会社が本件商標を使用しているとする「制汗剤」は第5類の「薬剤」に含まれるものであり、第3類の「化粧品」について使用した事実を示すものではない旨主張するので、以下、この点について検討する。
第3類の「化粧品」の概念には、薬事法(昭和35年法律第145号)に規定する「化粧品」の大部分及び「医薬部外品」のうち、人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するものが含まれる。女性用のみならず、男性用又は乳児用のものもすべてこの概念に属する。
ただし、薬事法にいう「医薬部外品」のうち、使用目的が医薬品的用途に使用されるものとして取引される「薬用ベビーオイル」「薬用ベビーパウダー」等は、第5類の薬剤に含まれる(発明協会発行、特許庁商標課編集「商品及び役務区分の解説」参照)とされている。
これを被請求人より提出された乙第2号証(商品パンフレット)についてみるに、この印刷物は3頁の色付きのものであり、スプレー缶の容器に入った商品の写真と共にその3頁目には、製品の説明及び広告を兼ねた「薬用デオドラントスプレー」、「酸化臭までカット」、「Deodorant(消臭)」、「…汗は酸化して臭う!」、「医薬部外品」等と表示されていることが認められる。
そして、これらの記載からすれば、本件商標の使用に係る「制汗剤」は、上記の化粧品の概念に含まれる薬事法にいう医薬部外品と認め得るものであり、該商品は化粧品に属する商品とみるのが相当である。
また、乙第1号証の使用許諾期間又は該契約書の作成日及び乙第2号証に掲載されている上記商品の発売時期(2003年2月)等からすれば、本件審判請求の予告登録日(平成15年10月1日)前3年以内に本件取消審判の取消に係る指定商品に属する「化粧品」の使用と推認し得るものである。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品中に含まれる「制汗剤(制汗用化粧品)」について、使用されていたものというべきである。
したがって、本件商標は、指定商品中「化粧品」について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-12-27 
結審通知日 2005-01-04 
審決日 2005-01-18 
出願番号 商願平5-103071 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (003)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 俊男鈴木 雅也 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 小林 薫
岩崎 良子
登録日 1996-09-30 
登録番号 商標登録第3194477号(T3194477) 
商標の称呼 ゼロ 
復代理人 細井 貞行 
代理人 奥田 稲美 

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