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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 001
管理番号 1113497 
審判番号 取消2003-31108 
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-08-19 
確定日 2005-02-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第3173142号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3173142号商標(以下「本件商標という」。)は、「FOX」の欧文字を横書きしてなり、平成5年7月14日に登録出願、第1類「マルチレベル装置用の段間誘電層を平面化したり間隔を閉塞したりするために使用される流動可能な酸化物,その他の化学品」を指定商品として、平成8年6月28日に設定登録されたものである。
また、本件審判の請求の登録日は、平成15年9月10日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、過去3年間日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、使用事実を立証する乙第1号証ないし乙第10号証を提出しているが、これらが証拠としての能力があるかどうかを具体的に検討する。
(ア)乙第1号証の本件商標の通常使用権者が発行した平成15年3月28日付納品通知書の写しは、コンピュータ等によって作成された自発文書であるため、書証として客観性があるとは思われない。
(イ)乙第2号証の通常使用権者が作成した試験成績表の写しは、本件商標「FOX」と商品「Flowable oxide」の成分について表示されているとしているが、あくまで試験成績表であり、実際に販売されていた証明にはならない。
(ウ)乙第3号証の通常使用権者が作成した商品カタログの写しは、乙第1号証同様、自発的なものであり客観性がない。また作成された日付も1996年3月28日と本件取消審判の予告登録の3年以上前であり、3年以内に使用していた証明にはならない。
(エ)乙第4号証の容器の外観写真の写しは、容器に貼られているラベルのどこにも日本語の表示が確認できない。即ち日本国内で使用されていたとは言えない。
(オ)乙第5号証のラベルの見本も乙第4号証と同じことが言える。
(カ)乙第6号証及び乙第7号証の平成13年3月14日付新聞記事の写し及び2000年8月号の雑誌記事の写しは、いずれも製品名として「FOX」が記載されているものの、取引があった事実、販売の事実は記載されていない。
(キ)乙第8号証の株式会社リアライズ社が主催した特別セミナーの資料についても、1999年3月25日に開催されたセミナーのものであり、取消審判の予告登録前3年以内に使用していたとは言えない。
(ク)乙第9号証及び乙第10号証の書類送付案内写しは、商標使用の証明とは、なんら関係がないと思われる。
(2)以上のとおり、乙第1号証ないし乙第10号証によっては、本件商標の使用事実を立証していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 被請求人(商標権者)は、我が国における本件商標の使用につき、千葉県市原市千種海岸2-2所在の東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社(以下「通常使用権者」という。)に本件指定商品中の商品「マルチレベル装置用の段間誘電層を平面化したり間隔を閉塞したりするために使用される流動可能な酸化物(Flowable oxide)」(以下「使用商品」という。)について我が国における通常使用権を、本件商標の登録時より今日に至るまで継続して許諾している。
2 本件商標の通常使用権者は、本件審判請求の予告登録前3年以内にのみならず現在でも、本件商標と社会通念上同一の商標が付された本件請求に係る商品中の使用商品を商標権者より我が国に輸入し、販売している。
(1)乙第1号証は、通常使用権者から、東京大学生産研究所平本研究所斎藤真澄宛の本件商標「FOX」を付した使用商品の平成15(2003)年3月28日付け納品通知書の写しである。乙第1号証には、本件商標「FOX」の表示と商品「Flowable oxide」の表示がなされており、その納品日付は、本件取消審判の予告登録前3年以内である。
(2)乙第2号証は、通常使用権者から、東京大学生産研究所平本研究所斎藤真澄宛の本件商標「FOX」を付した使用商品の平成15(2003)年3月28日付試験成績表の写しであり、本件商標「FOX」の表示と使用商品の成分を証明すると共に、当該商品が本件商標の指定商品に属する商品であることを証明するものである。
(3)乙第3号証は、通常使用権者が、1996年3月28日に作成した本件商標「FOX」を付した使用商品に関する商品カタログの写しである。
(4)乙第4号証は、本件商標「FOX」を付した使用商品の1000ミリリットル入り容器の外観写真の写しである。
(5)乙第5号証は、本件商標「FOX」を付した使用商品に貼付されるラベルの見本である。
(6)乙第6号証は、平成13年3月14日付の「半導体産業新聞」に掲載された「Low-k材料」に関する記事の抜粋写しである。乙第6号証には、商標権者であるダウ・コーニング・コーポレーションの「FOX」の商品が紹介されている。
(7)乙第7号証は、雑誌「エレクトロニック・ジャーナル」2000年8月号掲載の特集記事「Low-k層間絶縁膜」の抜粋写しである。乙第7号証にも、商標権者の本件商標「FOX」が紹介されている。
(8)乙第8号証は、株式会社リアライズ社が1999年3月25日に開催した特別セミナー「今後のデバイスに向けた低誘電率(Low-k)材料の現状と課題」の資料写しである。乙第8号証は、本件商標「FOX」を付した使用商品が、1999年当時も、我が国に輸入された事実を証明するものである。
(9)乙第9号証(平成15年11月27日付)及び乙第10号証(平成15年12月5日付)は、通常使用権者の担当者から代理人に対する書類送付案内写しである。
3 以上の如く、本件商標は、その通常使用権者によって、本件審判請求に係る指定商品中の使用商品である「マルチレベル装置用の段間誘電層を平面化したり間隔を閉塞したりするために使用される流動可能な酸化物(Flowable oxide)」について、本件審判請求の予告登録前3年以内に我が国において使用していたものである。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用権者について
被請求人(商標権者)は、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社(千葉県市原市千種海岸2-2)に本件商標の指定商品中「マルチレベル装置用の段間誘電層を平面化したり間隔を閉塞したりするために使用される流動可能な酸化物(Flowable oxide)」について、日本国における通常使用権を、本件商標の商標登録時より今日に至るまで継続して許諾している、旨述べている。そして、特に、これを否定する理由も存しないから、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社は、本件商標の通常使用権を許諾された者であると推認し得るものである。
2 被請求人の提出に係る証拠によれば、下記の事実が認められる。
(1)乙第1号証の「納品通知書」は、通常使用権者が東京大学生産研究所平本研究所(東京都目黒区駒場7ー13ー8)斎藤真澄宛に発行したものであり、その納品通知書には、「出荷日:2003/3/28」、取引商品名と認められる欄に「FOX(R)-15 FLOWABLE,1000 ML bottle」と記載されている。そして、この納品通知書は、コンピュータによって作成されてものであるとしても、その客観性は必ずしも否定し得ないものであり、また、該納品通知書の出荷日(2003年3月28日)は、本件審判請求の登録前3年以内である。
(2)乙第2号証の「試験成績表」は、通常使用権者が東京大学生産研究所平本研究所(東京都目黒区駒場7ー13ー8)斎藤真澄宛に発行したものであり、その試験成績表には、「発行日:2003/11/13」「到着日:2003/3/28」「受注日:2003/3/28」品名「FOX(R)-15 FLOWABLE OXIDE,1000 ML bottle」と記載されている。また、該試験成績表の受注日及び到着日(2003年3月28日)は、本件審判請求の登録前3年以内である。
(3)乙第3号証は、「Flowable oxide」の商品カタログと認められるものである。そして、そのカタログによれば、「Flowable oxide」と称する商品は、通常使用権者が販売している「マルチレベル装置用の段間誘電層を平面化したり間隔を閉塞したりするために使用される流動可能な酸化物」と認め得る商品であり、そのカタログ中に、「FOx」の文字を使用している。
(4)乙第4号証の「FOX(R)15 1000ml容器外観写真」及びその容器に貼付されるラベル(乙第5号証)よれば、そのラベルには、「FOX(マルR)15 FLOWABLE OXIDE」の記載がある。そして、そのラベルには、日本語による記載がないとしても、その商品は被請求人による輸入商品であることよりして、このことをもって、日本国内で販売されたものではないと断定し得ない。
(5)乙第6号証は、「半導体産業新聞(平成13年3月14日発行」の「Low-k材料」に関する掲載記事であり、その中でダウコーニング「FOX」の記載をもって商品が紹介されている。また、該半導体産業新聞の発行日は、本件審判請求の登録前3年以内である。
(6)乙第7号証は、雑誌「エレクトロニック・ジャーナル(2000年8月号)」の特集記事「Low-k層間絶縁膜」であり、製品として「Dow Corning FOx」の表示をもって紹介されている。
(7)乙第8号証は、株式会社リアライズ社が1999年3月25日に開催した特別セミナー「今後のデバイスに向けた低誘電率(Low-k)材料の現状と課題」の資料集であるとしも、「FOX(マルR)15 FLOWABLE OXIDE」は当時日本国に輸入された事実が認められる。
3 以上によれば、「FLOWABLE OXIDE」の文字は、商品「マルチレベル装置用の段間誘電層を平面化したり間隔を閉塞したりするために使用される流動可能な酸化物」であり、該商品は、取消請求に係る指定商品に含まれるものと認められる。また、上記乙各号証に記載されている「FOX」の商標は、本件商標と称呼及び欧文字の構成を共通にするものであって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標とみて差し支えないものである。そうして、被請求人は、使用商品に係る具体的取引書類(例えば、請求書、受領書)等の証左を示していないとしても、乙各号証を総合勘案すると、該商品は、商取引に資されているものと認め得るものである。
4 そうとすれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品に含まれる「マルチレベル装置用の段間誘電層を平面化したり間隔を閉塞したりするために使用される流動可能な酸化物」ついて、通常使用権者によって使用されていたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する
審理終結日 2004-09-27 
結審通知日 2004-09-28 
審決日 2004-10-18 
出願番号 商願平5-74626 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (001)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野上 サトル池田 光治 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 富田 領一郎
小川 有三
登録日 1996-06-28 
登録番号 商標登録第3173142号(T3173142) 
商標の称呼 フォックス、エフオオエックス 
代理人 中田 和博 
代理人 足立 泉 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 森川 正仁 

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