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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 111
管理番号 1113448 
審判番号 取消2003-31500 
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-11-05 
確定日 2005-02-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第2250984号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2250984号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和62年7月24日に登録出願され、「ニュートロニック」の片仮名文字を横書きしてなり、第11類「電気機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条の規定により、本件商標の指定商品中、「民生用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具」に係る指定商品についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第3号証を提出した。
(1)請求の理由
請求人の調査によれば、本件商標の指定商品のうち、「民生用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具」に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者により本件商標の使用がされている事実を発見することができなかった。
また、本件商標について、専用使用権又は通常使用権の登録もされておらず、これらの者による使用の事実も認められない。
よって、商標法第50条第1項の規定に基づき、請求の趣旨のとおりの審決を求める。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人が使用証拠として提出した乙第1号証は、「ニュートロニック8000 記録計」の納入仕様書であり、乙第2号証は「ニュートロニック8000 記録計KSR形」の仕様カタログであるが、これらはその記載から明らかなように、いずれも「記録計」に関するものである。請求人が「記録計」をキーワードにIPDLの商品・役務名リストを検索したところ、「遠隔測定制御機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に該当するものは全くなく、殆どが「測定機械器具」に属するものとされていることが判明した(甲第1号証)。したがって、「記録計」は、指定商品としては、「測定機械器具」の範疇に属するものである。
また、乙第3号証は、「NutroniK8000 プログラマブル・セルフチューニング調節計 KSM111/211/311形」の取扱説明書であるが、この「まえがき」に述べられている「PID調節計」なる文言から、当該商品は「計装関係」の商品ということができる(甲第2号証)。「計装」とは、生産工場において工程を計測・運用することを意味するものであるから(甲第3号証)、「調整計」は「測定機械器具」に属するものであり、本件審判の取消対象の商品ではない。
なお、これらの商品が仮に、電子応用機械器具等を内蔵していたとしても、それは単に商品の本来の目的や機能を達成するための手段にすぎず、電子的作用の応用がその商品の機能の本質的な要素になっていても、これらの商品自体、電子応用機械器具等であることを意味するものではないことはいうまでもない。
また、被請求人は、当該商品が「遠隔測定制御機械器具」であると主張するが、当該商品が遠隔地にある機械を自動制御するものである旨を何ら立証していない。
加えて、乙第3号証の取扱説明書の奥付には「改訂年月 1998年7月 2版」の記載があることから、この取扱説明書が本件審判の予告登録前3年以内に展示・頒布されたものとは考えられない。すなわち、乙第3号証によっては、本件商標の3年以内の使用を何ら立証していないのである。
したがって、乙各号証をもってしては、本件審判請求の対象である「民生用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具」に係る指定商品についての本件商標の使用を証明したものとはいえない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した。
被請求人は、本件商標を取消対象である「民生用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具」中の、少なくとも「遠隔測定制御機械器具、電子応用機械器具及びその部品」として使用している。
本件商標は、電子式の小型計器のシリーズ名称として永年使用しているものであり、納入仕様書(乙第1号証)の2頁目(INDEX LIST)に示すように、「ニュートロニック8000」として過去に納入されており、その製品内容は、乙第1号証の9〜10頁目及び参考として添付するカタログ(乙第2号証)に示すとおりである。また、使用の時期については、乙第1号証1頁の右上に「作成日 01.2.26」とあることから、本件審判請求以前に使用されていたことも明らかである。なお、本件商標は、「ニュートロニック」シリーズとして販売している事情があり、添付した「NutroniK8000 プログラマブル・セルフチューニング調節計 KSM111/211/311形」(乙第3号証)も「ニュートロニック」の名称を使用して販売している製品の一例である。
したがって、本件商標は、日本国内において、本件審判請求の登録前3年以内において、当該指定商品について使用されているものであるから、答弁の趣旨通りの審決を求めるものである。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙第1号証ないし同第3号証によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第1号証は、山武産業システム株式会社徳山営業所の作成に係る納入仕様書と題する書面であり、作成日として「01.2.26」の日付があり、注文先として「出光エンジニアリング株式会社徳山事業所、出光エンジニアリング株式会社本社」の記載があり、INDEX LISTには「ニュートロニック8000 記録計」の表示がある。
乙第2号証は、株式会社山武の作成に係る「TDCS3000SSC/ニュートロニック8000/記録計/KSR形」についてのカタログ(1999年10月第6版)であり、該記録計の製品内容が掲載されている。
乙第3号証は、株式会社山武の発行に係る「NutroniK8000 プログラマブル・セルフチューニング調節計 KSM111/211/311形 取扱説明書」と題する資料(1998年7月 2版)であり、該調節計の製品内容が掲載されており、その「まえがき」には、「TDCS3000SSC/ニュートロニック8000 プログラマブル・セルフチューニング調節計(KSM形)は分散デジタル制御システムの中で機能の分散度を1ループ単位までに拡張したデジタルコントローラであり、PID調節計の機能に加え、複数個の補助演算器の機能を1台の機器に組込んだコンパクトな制御機器です。この調節計は従来のアナログ調節計と同様の操作性をもちつつ、制御パラメータなどはデジタル値で高精度に設定できます。また、本調節計はPIDのパラメータを自動的に最適設定するセルフ・チューニング機能を持っており、スイッチの切換えによりその機能を選択することができます。」と記載されている。
(2)上記した乙第1号証及び同第2号証によれば、被請求人は、被請求人の通常使用権者と認められる山武産業システム株式会社により、被請求人の発行に係るカタログを用いて、本件審判の請求の登録日(平成15年12月3日)前3年以内である2001年(平成13年)2月26日当時に、「ニュートロニック8000」の商標を付した乙第2号証のカタログにある記録計を出光エンジニアリング株式会社徳山事業所及び出光エンジニアリング株式会社本社に販売・納品したものと認めることができる。
また、乙第3号証によれば、被請求人は、乙第3号証の資料の発行日である1998年7月以降も引き続き、乙第3号証の資料を用いて、遠隔測定制御機械器具の範疇に属するものと認められる「プログラマブル・セルフチューニング調節計 KSM111/211/311形」に「NutroniK8000」の商標を付して販売していたものと推認することができる。
そして、乙第3号証において使用されている商標の要部は、「NutroniK」の文字部分にあるものと認められるものであり、加えて、前書き部分には、「ニュートロニック8000 プログラマブル・セルフチューニング調節計」のように「ニュートロニック」の文字も使用されていることをも併せみれば、乙第3号証において使用されている商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるということができる。
以上の乙各号証に被請求人の主張を総合してみれば、被請求人は、電子式の小型計器のシリーズ名称である本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む)のもとに、乙第1号証及び同第2号証の記録計とともに、乙第3号証に掲載されている調節計をも販売していたものとみるのが相当である。
(3)この点について、請求人は、乙第1号証及び同第2号証の記録計は「測定機械器具」の範疇に属する商品であり、乙第3号証の調節計なる商品は、計装関係の商品ということができ、計装とは、生産工場において工程を計測・運用することを意味するものであるから、該調節計も「測定機械器具」に属する商品である旨主張している。
確かに、乙第2号証の商品概要の記載からみれば、該記録計は測定機械器具としての側面の強い商品であることを否定することはできない。しかしながら、乙第3号証の調節計は、その前書きにおいて「分散デジタル制御システムの中で機能の分散度を1ループ単位までに拡張したデジタルコントローラであり、PID調節計の機能に加え、複数個の補助演算器の機能を1台の機器に組込んだコンパクトな制御機器です。」と説明されているように、単なる測定機械器具ということはできない。
このことは、例えば、東洋経済新報社発行の「現代商品大辞典 新商品版(昭和61年10月18日発行)」の「調節計」の項の説明(453頁)によっても首肯し得るものである。該説明によれば、横河北辰電機製のシングルループ調節計を例に説明されているところ、「調節計は、制御システムの中心であり、用途に応じて数種類の調節計がラインアップされている。調節計の前面中央には測定値信号と設定値を指示する双針指示計が配置され、その右側に設定値変更用押しボタンスイッチ、下方には制御モード切換用押しボタンスイッチ、操作出力信号指示計、手動出力操作用レバーが置かれ、計器の右側面には制御用パラメータ設定用スイッチが配置される。最近では、双針指示計や出力指示計として、可動コイル形メー夕の代りに蛍光表示管や発光ダイオード式のバーグラフを採用する計器もみられる。制御演算回路には8ビットのマイクロプロセッサが採用され、デジタル演算により複雑な制御を約0.2秒周期で実行する。制御の新技術として、制御対象の挙動を観測しながら制御パラメータを修正するSTC(self turning control)調節計も発表されている。制御機能が高度で機能集積度が高まると、計器故障時の影響は小さくない。この対策として、調節計には自己の内部回路の異常や入出力信号の断線等を監視する自己診断機能が装備されている。自己診断により異常が検知されると、操作出力信号は固定され、出力の操作権はデジタル回路からバックアップ用のアナログ回路に切り換わり、電流出力を手動操作することができる。」と記載されている。
このような記載に照らしてみれば、乙第3号証の調節計は、工場等における生産工程全体を監視し全工程を合理的に運用できるように設計・製造されている「遠隔測定制御機械器具」の範疇に属する商品とみるのが相当であって、単なる測定機械器具であるとの請求人の主張は採用できない。
なお、請求人は、乙第3号証の調節計なる商品は計装関係の商品であるとし、計装とは、生産工場において工程を計測・運用することを意味するものであると述べているが、甲第3号証の「計装」の語句の説明には「生産工場において、工程を計測・制御する装置を設置・運用すること。」と記載されているように、「計装」の語句には、計測ばかりでなく制御の概念をも含んでいるものであるから、この点においても、請求人の主張は採用できない。 また、請求人は、乙第3号証の取扱説明書の奥付には「改訂年月 1998年7月 2版」の記載があることから、この取扱説明書は本件審判の予告登録前3年以内の使用を立証していない旨主張している。
確かに、乙第3号証の資料は1998年7月に発行されたものであるから、本件審判の請求の登録日前3年以内に発行されたものとはいえない。しかしながら、その初版は1987年10月に発行されたことが記載されており、10年を経過して、第2版が発行されているということは、該調節計は、相当長期間に亘って製造・販売されてきたものということができるから、本件審判の要証期間内においても、乙第3号証の資料は、引き続き該調節計の取引にあたって用いられていたものと容易に推認し得るところであり、「NutroniK8000 プログラマブル・セルフチューニング調節計 KSM111/211/311形」も「ニュートロニック」の名称を使用して販売している製品の一例であるとの被請求人の主張に不自然さは認められない。
(4)してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求に係る指定商品「民生用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具」中の「電気通信機械器具」に含まれる「遠隔測定制御機械器具」について使用していたものといわなければならない。
したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る商品についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-09-28 
結審通知日 2004-09-30 
審決日 2004-10-14 
出願番号 商願昭62-83951 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (111)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川崎 義晴富田 領一郎 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 柴田 昭夫
鈴木 新五
登録日 1990-07-30 
登録番号 商標登録第2250984号(T2250984) 
商標の称呼 ニュートロニック、トロニック 
代理人 田島 壽 
代理人 勝部 哲雄 
代理人 青木 篤 

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